次世代企業向けスマートUXセミナー2011
スマホも含めた
マルチOS開発を実現する
業務スマートUXの開発環境の構築
2011/12/12
いま、韓国において数々のグローバル企業に採用され、話題を呼んでいるスマートデバイス&PC対応のマルチOS対応の開発環境とは? 業務アプリケーショのスマートデバイス対応やユーザーインターフェイス向上が、いかに業務効率向上に貢献するかが訴求された「次世代企業向けスマートUXセミナー2011」の模様をお伝えする
理想のスマートデバイスの開発環境は?
日本市場においてもスマートフォン、タブレットPCの出荷台数は順調に伸び、企業での使用も活発化している。しかし、業務アプリケーションをこれらのスマートデバイスに対して個々に対応させることには大きな課題もある。
そうした中、いま、韓国において数々のグローバル企業に採用され、話題を呼んでいるスマートデバイス対応開発環境が、TOBESOFTの企業向けRIA開発プラットフォーム 「XPLATFORM」だ。
2011年11月22日、東京・ベルサール飯田橋を会場に、韓国TOBESOFT主催「次世代企業向けスマートUXセミナー2011」が開催され、業務アプリケーショのスマートデバイス対応やユーザーインターフェイス向上が、いかに業務効率向上に貢献するかが訴求された。
UIは業務効率性、業務生産性を高める重要な機能
セミナーのオープニング、まず主催者 TOBESOFTの代表取締役 金 衡坤(キム ヒョンゴン)氏が開会のあいさつに立ち、放送大学教授 黒須正明氏が「業務生産性とワークエクスペリエンス」と題した基調講演を行った。
黒須氏は日本の業務アプリケーション開発において、抜け落ちている重要な要素として、「ワークエクスペリエンス」に関する提言をした。「ワークエクスペリエンス」とは、ユーザーの特性、仕事の目標、業務の遂行環境などを的確に把握したソフトウェア開発を行う考え方である。これは開発者、マネージャーだけでなはく、クライアント側の意識開発が必要であると述べていた。
※黒須氏の講演資料はTOBESOFTの「技術情報」サイトからダウンロードできる。
続いて演壇に立ったのは、TOBESOFT 日本支社長 崔彰桓(チェ チャンファン)氏だ。崔氏は冒頭、ユーザーエクスペリエンス(以下、UX)とは何かを説明するのに、コンビニのおにぎりを引き合いに出した。
TOBESOFT 日本支社長 崔彰桓(チェ チャンファン)氏 |
「1つの店は、店内を探してもどこにおにぎりがあるか分からない。もう1つの店はよく整理されていて店に入っておにぎりがどこにあるかすぐ分かる。あなたならどちらの店で買いたいですか?」
UXはデザインとも表現されることが多いが、業務アプリケーション開発でデザインというとき、それは“どういう風に見せるかということではなく、どういう風に機能させるか”を意味する言葉ととらえるべきだと崔氏は参加者に訴えた。
UXStudioでデザイン実装するメリットとは?
講演者はTOBESOFT 日本コンサルティングチーム 崔仁熙(チェ インヒ)氏にバトンタッチ、同氏は、実際にUXの違いがどれほど業務生産性に影響を及ぼすかが実例を上げて紹介した。
韓国の金融機関A社において、カスタマーセンターで利用されていた業務アプリケーションは、設計時にユーザビリティが深く考慮されずに開発されたため、教育にも、ユーザーの習熟にも時間がかかり、利用ストレスによる離職率も高かったという。確かにユーザーインターフェイス(以下、UI)は、情報がバラバラに配置され、次の動線予測がまったく不可能なほど複雑だった。
そこでTOBESOFTが、下図のような4つのUIコンセプトキーワードを基に根本的な改善を提案、この業務アプリケーションのUXを再開発した。この図において、作業効率性とは操作の動線を意味しており、情報アクセシビリティとは情報へアクセスする速さ、情報有用性とは個人の生産性向上を考えた変更柔軟性を意味しているという。
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再開発の結果、この業務アプリケーションの操作時間は平均-22秒減少し、顧客の電話を平均6コール多く取れるようになったという。崔氏は、「UX、UIは、単なる美しさを意味するものではありません。企業の業務効率性、業務生産性を高める重要な機能です」と語った。
ここから再び崔氏(日本支社長)がマイクを握り、この日発表となった新製品RIA開発環境「XPLATFORM 9.2」を紹介した。これは、RAD開発ツール UXStudioと、これによって開発されたアプリケーションの実行環境を表示するブラウザで構成されるWebアプリ開発・運用プラットフォームである。バージョンが大きく3つある。
XPLATFORMの概念図 |
1つめが、同社開発のブラウザ環境で動くランタイムバージョン、2つめが、Ajax Compiler Engineを有し、専用ブラウザを配布できない場合に、もとのWebアプリケーションをAjax環境のWebアプリケーションに変換するAjaxバージョン、3つめが、Webアプリケーションと、スマートデバイス向けネイティブアプリケーションの“いいとこどり”ができるモバイルバージョンだ。
XPLATFORMの特徴−3つのバージョン |
モバイルバージョンは具体的に、Webテクノロジーでアプリケーションの内部構造とUIを開発し、カメラ機能などWebテクノロジーが支援しない機能だけ端末機のAPIを使用する。UXStudio内で多様なデバイスAPIが支援されている。
XPLATFORMハイブリッドバージョン |
崔氏は説明の中で、ユーザー配布という事前準備は伴うものの、ランタイムバージョンの高い性能を訴求、ランタイムバージョンとAjaxバージョン、それぞれのブラウザを使って10,000件のデータを取得するデモで速さの違いを見せながら、「呼び出して受け取るまでは条件はまったく同じ。しかし、情報を見せるレンダリング技術レベルがまったく異なり、当社はこの分野に関して特許も持っています。ビッグデータが増える中、Webブラウザに性能を求める企業が増えています」と訴えた。一方、性能の点ではランタイムバージョンに優位さを譲るものの、Ajaxバージョンは多彩なブラウザで同じ見た目を実現するための変換機能を有しており、開発負荷を大きく抑制するメリットがあるという。
XPLATFORMの特徴−AJAXバージョン |
XPLATFORM 9.2のもう1つ大きな特徴は、UXStudioに搭載されたMLM
(Multi Layout Manager)と呼ばれる画面レイアウト適応機能だ。これは、多様なデバイスの画面サイズに合わせて、あらかじめ用意したレイアウトを適応する機能である。
レイアウトはベースとなるUI画面をプログラムコードを書き換えることなく、ドラッグ&ドロップで編集できる。
あらかじめ主要なデバイスとバージョンの画面サイズ情報が格納されており、それを選択すれば、その画面サイズ情報がRAD開発ツール上にイメージとして展開される。そして、既存のUI画面とどこが合っていないかが表示されるため、それを適用する画面サイズに合わせて、切り取って張り付ければ新たな画面が出来上がるというわけだ。崔氏は、“これが今日一番強調したい機能”と胸を張った。
XPLATFORMの特徴−モバイルバージョン(Hybrid App) |
この機能も示すように、RAD開発ツール UXStudioには開発生産性向上を実現する支援機能が搭載されている。崔氏によると、韓国と日本ではシステム開発手順に1点違いがあるといい、それは、韓国ではシステムの詳細設計を行うとき、エンジニアだけでなくデザイナーも一緒に入り、UXのあり方について議論・検討する習慣が根付いていることだという。機能要件のみならず、ユーザーが使いやすく操作できるということも開発要件の中にしっかり織り込まれているのである。
「しかし、デザイナーが入る習慣の少ない日本でも、UXStudioがデザイン実装を支援するとともに、開発経験の少ない初級、中級のエンジニアも支援できるため、UXレベルが高く、生産性も高い業務アプリケーション開発体制を整備できます」(崔氏)
ユーザーエクスペリエンスの本来の姿とは? |
業務システムのデザインは贅沢ではなく効率化
崔氏は、日本に来た当初、メインフレームシステムやC/S型システムのWeb化で、そのままコンバートするケースがあると聞いて驚いたという。それでは1時間かかる仕事はずっと1時間かかる。次々登場する新技術を使ってシステムを改善すれば、処理時間は50分、40分に短縮できるかもしれないのにである。
「ITに関しては変化へのキャッチアップは必須で、業務システムにこそデザインは重要。時代は急激に変わっています。生き残るためには対応せざるを得ないのではないでしょうか。当社はUX専門企業として業務システムの生産性向上を全面的に支援し続けます」 と参加者に力強く訴えかけた。
この後、野村総合研究所 金融・資産運用サービス統括部 上級コンサルタント 岡本章伺氏が、社内の業務システムにXPLATFORMを適用した事例を、日立ソリューションズ 金融システム第1本部 第2部 RIAグループ 主任 奥山祐介氏が、明治大学との共同研究で進める農場の見える化&制御ソリューションをXPLATFORMで開発した事例を発表した。
スマートデバイスという観点からは、ソフトバンクモバイル プロダクトマーケティング本部 副本部長 安川新一郎氏が、ビジネスシーンにおいてモバイル機器がメインデバイスとしての地位を築きつつある“モバイルファースト”という同社のビジョンを示した。
セミナーの最後を締めくくったのはパネルディスカッションだ。@IT担当編集長の三木泉氏をモデレータに、TOBOSOFTの崔日本支社長、野村総合研究所 渋谷伸氏、日立ソリューションズ 境丈利氏、ソフトバンクモバイル 安川新一郎氏が登壇、“業務アプリケーションのUX改革、スマートデバイス対応で、スマートエンタープライズは実現できるか”をテーマに活発な議論を展開した。
関連情報:
XPLATFORMの詳細資料、デモムービー、動作環境などは以下のサイトで確認できる。
http://www.tobesoft.jp/
- TOBESOFT 代表取締役 金 衡坤(キム ヒョン・ゴン)
プレゼンテーション動画
- TOBESOFT 日本支社長 崔 彰桓(チェ チャンファン)
プレゼンテーション動画
- 日立ソリューションズ 奥山 祐介氏
プレゼンテーション動画
- 放送大学教授 黒須 正明氏
プレゼンテーション動画
提供:TOBESOFT CO.,LTD.
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2011年12月25日