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掲載内容有効期限:2003年4月25日

 
  ネットワーク環境でバックアップを一元管理
 
VERITAS Backup Exec 9.0 for Windows Servers

   Backup Exec 9.0による
 バックアップ/リストアの実作業

Index
Page 1
バックアップとリストア、「やらず嫌い」になっていないか?
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Backup Exec 9.0によるバックアップ/リストアの実作業
SQL/Exchange Serverのバックアップも万全

 それでは、実際にBackup Exec 9.0でバックアップ/リストアを行いながら、製品の特徴を紹介しよう。今回は、Windows 2000 ServerにBackup Exec 9.0をインストールして、Windowsシステムをローカル・ハードディスクにバックアップしたり、リモート・サーバをバックアップする。また、SQL Server 2000、Exchange Server 2000のバックアップについても試してみた。

図 代表的なバックアップ方法

ローカル・マシンのシステムをバックアップする

 最初に簡単な例として、Backup Exec 9.0をインストールしたマシン自身のシステムをバックアップ/リストアしてみよう。ローカル・マシンのフルバックアップを簡単に作成するには、オーバービュー画面で選択可能な「ワンボタンバックアップ」機能を使うと便利だ。これは、ボタンを1回押すだけでデフォルト設定に従ってローカル・マシンをフルバックアップするというものだ。

 今回は、Backup Exec 9.0の基本操作を確認するために、バックアップ・ウィザードを使ってシステム・ドライブ(Cドライブ)を別のローカル・ハードディスク(Eドライブ)にバックアップする例を紹介しよう。

 バックアップ・データの格納先がテープ・バックアップ装置ではなく、ハードディスクやリムーバブル・ディスク、ネットワーク・ドライブの場合は、あらかじめ「ディスクへのバックアップフォルダ」を設定しておく必要がある。未設定の場合は、デバイス画面のタスクメニューから「新規バックアップフォルダ」を実行してデータの格納先を指定する。

 準備ができたらオーバービュー画面からバックアップ・ウィザードを実行する。ウィザードが起動したら、バックアップするリソースをチェック・ボックスで選択する。

画面2 バックアップするリソースの選択。データだけでなく、システムもバックアップする場合は、ドライブのほかに「システム状態」も選択する必要がある。これには、レジストリやブート・ファイルなどが含まれている

 次に現在適用されているログオン情報が表示されるので適切であることを確認しよう。

画面3 ログオン情報の表示。バックアップするリソースへのアクセス権のあるアカウントが表示されていることを確認する。[変更]ボタンで別のアカウントを指定することもできる

 続いてリソースをバックアップする順序を指定する画面になる。特に理由がない限り、変更する必要はない。

 次の画面ではバックアップ・ジョブの名前と説明を設定する。名前と説明を設定したら、バックアップ・デバイスとメディアセットを指定する。

画面4 デバイスとメディアセットの指定。ここでは、Eドライブに関連付けた「ディスクへのバックアップフォルダ1」をデバイスとして指定している

 次はメディアへの上書き方法の設定だ。複数のバックアップ・デバイスがある場合、Backup Exec 9.0はその中から利用可能なデバイスを検索してバックアップ・データを格納する。引き続き、バックアップ方法の設定を行う。今回はCドライブのフルバックアップを行うので、設定を変更せずに進む。

画面5 バックアップオプションの指定。ファイルのバックアップ方法と、バックアップ後にベリファイを行うかどうかを指定する。特別な理由がない限り、正常にバックアップ・ファイルが作成できたか再確認するため、ベリファイを行うようにしたい

 なお、バックアップ方法には次のような種類がある。

種類
説明
フル すべてのファイルを対象とし、バックアップ済みであることを示すアーカイブ・ビットをリセットする
コピー フルバックアップとほぼ同じだが、アーカイブ・ビットをリセットしない
差分 前回のフルバックアップ以降に作成/変更されたファイルを対象とする
増分 前回のフルバックアップあるいは増分バックアップ以降に作成/変更されたファイルを対象とする
毎日 実行している当日に作成/変更されたファイルを対象とする
ワーキングセット 前回のフルバックアップあるいは増分バックアップ以降に作成/変更されたファイルと指定した日数の間にアクセスされたファイルを対象とする
表3 バックアップ方式

 なお、ウィザードでは指定できないが、ジョブのプロパティ編集で、更新日時内でのフル、増分、差分やNTFSのチェンジ・ジャーナルを使用した差分バックアップも可能だ。

 最後にバックアップ・ジョブをいつ実行するかを指定する。「今すぐ実行する」を選び、[完了]ボタンを押すと作成したバックアップ・ジョブが実行される。

画面6 バックアップの実行タイミングを指定。ラジオ・ボタンで「スケジュールする」を選ぶと、スケジュール・オプションの画面が開く

 ジョブの実行状態は、ジョブ モニター画面で確認できる。

画面7 ジョブ モニター画面でジョブの状況を監視する
実行中とスケジュールされているジョブの一覧を表示
実行済みのジョブを表示

定期的なバックアップ・ジョブの実行

 システム障害によるデータ損失のリスクを小さくするには、定期的なバックアップの実行が欠かせない。Backup Exec 9.0を使えば、バックアップをはじめとするジョブを簡単に定期実行することが可能だ。ここでは、バックアップ・ジョブを定期的に実行するための設定方法を紹介しよう。

 先ほど行ったのと同様の手順でバックアップ・ジョブを作成し、ウィザードの最後の画面で[スケジュールする]ボタンを選択すると、スケジュール・オプションの画面が開く。また、すでに実行したジョブをそのままスケジュールすることも可能だ。この場合、ジョブ セットアップ画面で定期実行したいジョブを選択し、タスク・メニューのプロパティを実行する。プロパティ画面が開いたらスケジュールを選べばよい。

画面8 スケジュールオプション画面
スケジュール方法を「今すぐ実行する」「指定時刻に一回だけ実行する」「スケジュールに従って実行する」の中から選ぶ
「スケジュールに従って実行する」を選んだら、このボタンを押してスケジュール設定を行う
テストを行う場合など、ジョブを保留するときはこのチェックボックスをチェックする
制限時間内にジョブが完了しない場合にジョブをキャンセルするには、このチェックボックスをチェックする

 ジョブを定期的に実行するには、[スケジュールに従って実行する]ボタンを選び、[スケジュールを設定]ボタンをクリックして、その後の画面で実行条件を指定する。スケジュールはジョブごとに設定できるので、フルバックアップは週に1回、差分バックアップはそれ以外の日に実行するなどの使い方が可能だ。

画面9 スケジュールの設定画面。週と曜日、毎月の特定の日、等間隔での反復実行などを指定できる

 スケジュールしたジョブを確認するには、ジョブ モニター画面のカレンダー表示を使うとよい。カレンダーの種類は1日、1週間、1カ月の3つから自由に選ぶことができる。

画面10 ジョブ モニター画面のカレンダー表示。スケジュールしてあるジョブがどのように実行されるかを概観できる。カレンダーという、日ごろから見慣れた表示であるため、直感的にバックアップ・スケジュールの把握が可能だ

 このほか、Backup Exec 9.0にはジョブが正しく実行できるかどうかを確認するテスト実行機能がある。バックアップ・デバイスの空き容量が十分にあるか、バックアップしたいリソースにアクセスするためのアカウント情報は適切かどうかなど、各種基準をチェックする機能だ。スケジュールしたジョブが正しく実行できるのかどうかを事前に調べられるので、非常に便利だ。しっかり設定したつもりなのに、実際にはバックアップ・デバイスの空き容量が足りず、バックアップが正常に終了しなかった、というのは誰でも一度は経験していることだろう。そういった失敗を防ぐことができるわけだ。

ローカル・マシンにシステムをリストアする

 こうして作成したバックアップ・データをローカル・マシンにリストアする手順を見てみよう。

 最初にWindows 2000 Serverを最小構成でインストールする。この際、マシン名はバックアップする前と同じにし、ネットワーク構成はワークグループにする。次に、Backup Exec 9.0をインストールする。Backup Exec 9.0を起動すると、初回起動ウィザードが実行されるので、バックアップ・データを格納したフォルダを「ディスクへのバックアップフォルダ」として登録する。続いて、Backup Exec 9.0がバックアップ・データを参照できるようにするために、インベントリとカタログ作成を行う。これらの作業はデバイス画面で次のように実行する。

インベントリ
デバイス・ツリーからバックアップ・データの入っているフォルダを選択し、タスクメニューのインベントリを実行。

画面11 インベントリを行う。初めて使うメディアや交換したメディアを利用する前にはインベントリを実行する

カタログの作成
目的のバックアップ・データを選択し、タスク・メニューのカタログを実行。

 以上でリストアの準備が完了したので、オーバービュー画面に切り替えてリストア・ウィザードを起動する。バックアップ・データを指定して先に進み、リストアするリソースを選ぶ。

画面12 リストア・ウィザード。システムごとリストアするためには、ドライブとシステム状態の両方を選択する必要がある

 リストア・ジョブを実行した後にマシンを再起動すれば、リストア作業は完了する。

 ここで1つご注意いただきたい点がある。今回は例としてローカル・ハードディスクをバックアップ・デバイスとしているが、実際の運用環境ではテープ・バックアップ装置を併用するべきである。また、このあと紹介する「Backup Exec for Windows Servers Remote Agent」を導入して、リモート・バックアップを行うことをお勧めしたい。

 なお、オプション製品である「VERITAS Backup Exec Intelligent Disaster Recovery Option」(以下IDR)を導入すれば、上記の同一名でのOSインストールや「インベントリ」「カタログ」といった操作を自動化できる。

■コラム ローカル/リモートシステムの障害復旧を実現するIDR
 IDRはローカルおよびリモート環境のWindowsをリカバリするソリューションであり、クラッシュしたサーバのOSをあらかじめ再ロードしておく必要はない。フロッピーディスク、CD-R/RWまたは起動可能なテープのいずれかを利用して、フル/差分/増分およびワーキングセットバックアップを含む最新の完全なバックアップセットから、サーバを素早くリストアする。

 また、Windows Server 2003およびWindows XPの自動システム回復機能(ASR)と統合可能であり、完ぺきな障害回復を実現する。

リモート・マシンを保護するには

 Backup Exec 9.0は、ネットワークを介してリモート・マシンのデータをバックアップ/リストアすることも可能だ。

 データの転送効率やネットワークへの負荷を軽減するため、ソリューションとして「Backup Exec for Windows Servers Remote Agent」(以下Remote Agent)というオプション・パッケージが用意されている。Remote AgentをリモートのWindowsマシンにインストールすることで、ネットワーク越しにシステムを含めたフルバックアップ/リストアが可能になるとともに、独自の圧縮技術などによりデータ転送の効率が向上する。また、Backup Exec 9.0はリモート・バックアップに使用するネットワーク・インターフェイスを指定できるため、バックアップ専用のサブ・ネットワークを構築することで、業務に使用するネットワークのトラフィックを増加させることなく、リモート・バックアップを高速に実行できる。

 なお、Remote AgentをWindowsサーバ・ファミリにインストールしてサーバを保護する場合、別売のライセンスが必要となる。ただし、ワークステーション版のWindowsファミリにインストールする場合、追加ライセンスは不要だ。

 近年ではOSやアプリケーション・ソフトウェアに対して多数の修正プログラムが適用されるようになっており、システムの再構築には多大なコストが掛かる。定期的にワークステーション環境をバックアップすることで、万一の事態が発生しても迅速な復旧が可能となるのだ。なお、Remote Agentはリモート・マシンにプッシュ・インストールすることが可能だ。その手順は以下のとおりである。

  • Backup Exec 9.0のインストールCDをドライブに入れ、リモート・マシンからアクセスできるように共有設定する
  • Backup Exec 9.0のインストーラを起動し、メニュー画面で「リモートインストール」チェックボックスをチェック

画面13 インストーラのメニュー画面。ここでリモート・インストールをチェックすることで、Remote Agentをプッシュでリモート・マシンにインストール可能だ

  • リモートオプション画面でRemote Agentをインストールするマシンを選び、インストールするコンポーネントとして「Remote Agent for Windows Servers」を選択

画面14 インストーラのリモートオプション画面。インストールするマシンとコンポーネントを選ぶ

 Remote Agentをインストールしてあるリモート・マシンは、ローカル・マシンと同じ手順でバックアップ/リストアできるようになる。100BASE-TXのイーサネットでつながっているWindows 2000 Professionalマシンのフルバックアップを取ったところ、約1Gbytesのデータを約6分でバックアップできた。これにはベリファイに要した時間も含まれており、データの転送速度は平均250Mbytes/分となった。リモート・バックアップも十分に高速だといえるだろう。

   SQL/Exchange Serverの
 バックアップも万全

SQL Serverのバックアップ

 在庫管理や顧客管理などで、データの保護が極めて重要であることはいうまでもない。Backup Exec 9.0には、「Backup Exec Agent for Microsoft SQL Server Option」が用意されており、これを導入することで、SQL Serverを稼働させた状態でデータベースのバックアップが作成できるようになる。

 「Backup Exec Agent for Microsoft SQL Server」オプションは、Backup Exec 9.0とシームレスに動作し、ここまでで紹介してきたのと同様のユーザーインターフェイスで利用可能だ。

画面15 SQL Serverのデータベースをバックアップする。保護するデータベースを指定する。リモート・バックアップや差分バックアップも可能だぶ

 通常、システム全体のフルリストアを行う場合、SQL ServerがインストールされたWindows環境をリストアしたのち、さらにデータベースをリストアするという2段階の手順が必要になる。しかし、IDRを利用すれば、リモート・メディア・サーバやローカル接続のテープ・バックアップ装置などから、Windows環境、SQL Server、データベースのリストアをほぼ自動化できるようになる。すなわち、データベース環境のフルリストアが必要なケースでもダウンタイムを大幅に短縮できるのだ。

Exchange Serverのバックアップ

 ビジネスを円滑に進めるコミュニケーション・ツールとしてExchange Serverを導入している企業も多いことだろう。Exchange Serverのデータを保護する場合は「Backup Exec Agent for Microsoft Exchange Server Option」を導入しよう。このオプションを利用すれば、Backup Exec 9.0で統合的にExchange Serverのリモート・バックアップ/リストアを実行できるようになる。

 「Backup Exec Agent for Microsoft Exchange Server Option」は、個別のメール・ボックスに対するバックアップ/リストア、増分あるいは差分バックアップといった機能を持ち、きめ細かいデータ保護が可能になっている。また、同一のメッセージ添付ファイルが複数のユーザーに送られている場合、重複することなく1つだけをバックアップすることもできるので、バックアップ/リストアの効率が向上する。

画面16 Exchange Serverのメール・ボックス、パブリック・フォルダをバックアップ。メール・ボックスを個別にバックアップすることもできる

 Exchange Serverをリストアするときに、ユーザー・アカウントとメール・ボックスがExchange Serverになければ、バックアップ・データをもとに再作成させることができるので、障害からの復旧に掛かる手間も軽減される。

スモール・オフィスでも導入を検討したい

 以上、基本機能を中心にBackup Exec 9.0の操作方法を解説した。非常に多機能なソフトウェアであるにもかかわらず、インストーラやウィザードが充実していることもあって、操作方法は分かりやすく仕上がっている。業務データの保護は大企業ばかりでなく、スモール・オフィスにおいても必須の事項である。バックアップの重要性は十分に理解しているにもかかわらず、適当なソリューションが見つからないために、なかなか実行に移せなかったシステム管理者の方は導入を検討していただきたい。

 また、バックアップが「やらず嫌い」となっているシステム管理者は、この機会にぜひ試用版を入手し、バックアップ/リストアの手軽さを実感していただきたい。Backup Exec 9.0を試用することで、バックアップの「やらず嫌い」はきっと解消されることだろう。

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