Hyper-V 3.0のスペックを最大限に生かすハードウェアをリリースしたデル。長年のマイクロソフトとの技術交流があるからこそできるハードウェア提供、コンサルティングサービスの強みを聞いた
デルはx86サーバ「PowerEdge」の第12世代製品群に「Windows Server 2012」をプリインストールしたモデルを2012年10月16日から販売開始した。PowerEdgeサーバの第12世代製品自体はWindows Server 2012のリリース以前の2012年3月から販売しているが、Windows Server 2012の性能向上や機能強化を見越して、全世代よりも大幅にスペックを上げてある。
例えば、Windows Serverの仮想化プラットフォーム「Hyper-V」は、従来のバージョンでは物理メモリ容量が最大1Tバイト、今回の3.0では2Tバイトである。これに合わせて、PowerEdgeも搭載可能メモリの容量を拡大している。4ソケットのサーバで最大1.5Tバイトのメモリが積める。また、大容量のデータ転送に備え、I/Oのスループットを高めた。PCI Expressソケットに直接つながるフロント・アクセスのSSDを搭載しており、標準的なSAS/SATA利用のSSDを使う場合に比べてデータ転送速度が最大で約3倍になっているのもポイントだ。
PowerEdgeとWindows Server 2012との親和性にデルは絶対の自信を持っている。「米国のデル本社と米マイクロソフトは20年以上の協力関係にある。デルグループの社内で使う14万台を超えるPCのほとんどでWindows OSなどのマイクロソフト製品を利用しており、マイクロソフトにとってはわれわれ自身が“巨大な実験場”のようなものだ。逆にマイクロソフトのデータセンターではデルのサーバが使われている」(デル マーケティング統括本部 サーバ・ストレージ・ネットワークマーケティング部 サーバブランドマネージャ 木村一仁氏)。こうした緊密な協力関係に基づき、PowerEdgeや関連ソリューションについては特にWindows Server 2012との連携を強く意識し、両社で協力して開発を進めてきた。
こうした共同開発の成果物の1つが、例えば、CDN(consistent device naming)機能である。従来はOS上のネットワーク・インタフェース・カード(NIC)のポートが背面のラベルと一致しない問題がユーザーをたびたび悩ませてきたが、PowerEdgeサーバにWindows Server 2012をインストールした場合、そうした問題は発生しないことを確認している。
また、PCI Expressデバイスの仮想化をハードウェア側で実現する「SR-IOV(Single Root I/O Virtualization)」機能もサポートする。この機能は米インテルが長年にわたって提唱してきたもので、Intel x520 NICとの組み合わせで実現する。Hyper-V 3.0を搭載したPowerEdgeサーバを使ってマイクロソフトが行ったデモでは、CPUの利用率が約1/2に、ネットワークの遅延も約1/2になり、スループットは30%向上したという。
Hyper-V 3.0が提供するストレージ間のデータ移動機能「Offloaded Data Transfer(ODX)」も、マイクロソフトとデルが共同で開発したものだ。Windows Server 2012 でODXを使えばデータコピーの速度がWindows Server 2008 R2 SP1との比較で最大で従来の5倍程度に向上するという実験結果が出ている。
デルが自社製品向けに提供しているシステム管理ツール「Dell OpenManage」もマイクロソフトのシステム管理ツール「System Center 2012 SP1」との融和を図っている。「Operations Manager」や「Virtual Machine Manager」などSystem Centerの各種コンポーネントに対し、デル側の機能をプラグインやパッケージの形で早期に用意しており、効率よい管理ができるようにしている。
例えば「System Center Configuration Manager(SCCM)」に「Dell Server Deployment Pack 2.0」を適用すれば、システム管理を担う専用の組み込み管理コントローラ「iDRAC7 Enterprise」を介してBIOSおよびファームウェアをSCCMから自動遠隔更新できるなど、運用者の利便性を高める機能が盛り込まれている。
デルといえば、ハードウェア製品のメーカーとしての印象が強いが、実は過去10年以上にわたってシステムの導入設計・コンサルティングのサービス事業を展開している。このサービス事業においてもWindows Server 2012の登場はインパクトが強い。
「クラウド基盤の要求に応えるOSになった。特にHyper-V 3.0の性能向上が大きい。一気に競合製品と同等もしくはそれ以上の域に達した」(デル ソリューション・サービス・デリバリー統括本部 コンサルティング第2部 プラクティス・マネージャー 大川庄一郎氏)
性能の向上に加え、機能が充実したことが顧客層を広げるとデルは見ている。
「Windows Server 2012には安価で簡単な機能が多数実装された。例えば『Live Storage Migration』機能を使えば、ストレージ間でデータを移す際に高価な共有ストレージを必要としなくなる。また、データの重複排除機能を備えたことで、ディスクの使用効率も大幅に上がる。高価なストレージが不要になるため、特に中小規模の顧客に喜ばれそうだ。性能の向上で大規模なシステムに適用できる力をつけ、機能の充実で中小規模のユーザーに対する訴求ポイントも増えた。Windows Serverの市場はいままでより格段に広がっていくだろう」(大川氏)
もちろん、デル製品との相性の良さもデルのサービス事業にとっては大きな優位点となる。
「System Centerとデル製品の連携などで、運用担当者の負担を軽減できる。運用に関してはノウハウの有無や多寡が大きく影響してくるが、当社が蓄積してきたノウハウをもとに、高度なコンサルティングが提供できる」(大川氏)
仮想デスクトップ・インフラ(VDI)の機能が拡充したことにもデルは注目している。「情報漏えい対策の意味で、医療・ヘルスケア分野をはじめ、VDIのニーズが高まっている。一方で、場所やデバイスを問わず、システムと連携して業務ができるというリモート・デスクトップの需要も増している。セキュリティと利便性の2つの需要を満たせるVDIの機能が充実したことで、Windows Server 2012を提案できる場面が増えた」(大川氏)という。
2012年末から2013年始にかけて、「Lync Server」の新版がリリースされれば、デルはWindows Server 2012と組み合わせた提案を推し進め、この分野での拡販に注力していく考えだ。
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2012年12月23日