Webアプリケーション開発を中心に成長が続くLinux/オープンソース市場。導入企業が直面している問題は、複雑化するシステムに対応するためにx86ハードウェアを増やすことで起きるコストの肥大化だ。こうした課題に対し、日本アイ・ビー・エムが解決案として提案しているのが、IBM PowerLinux、そしてPowerVMだ。同社の提供する製品の強みは、ハードウェアの充実したラインアップと、企業に広く普及したLinux/OSS技術の双方を活用できる点にある
Linux/オープンソースソフトウェア(以下、OSS)はシステムソフトウェア市場で成長を続けている。
OpenLogic社の2011年の調査によれば、企業が従来のソフトウェアと同様にOSSを検討する、割合は73%に達している。また、2015年にはLinuxのWebアプリケーション開発におけるワークロード管理の採用は、2011年に比べて約12%増加すると予測されており、今後も企業システムにおいて重要な地位であり続けると見られている。
こうした予測の示す通り、企業は以前にも増してLinux/OSSに対する態度を好意的なものとしており、企業システムにLinux/OSSを採用する姿勢を積極的に示している。豊富なLinux/OSSが企業にもたらす恩恵は大きく、従来のプロプライエタリなソフトウェアと同列のものとして評価の対象とする傾向がある。
Linux向けのソフトウェアは今後も増え続けると見られており、Linux/OSSの採用シーンは、さらに広がりを見せている。
一方で、Linux/OSSを導入して成功した企業は現在、次の問題に直面している。増え続けるサービスへの要求をこなすためにLinux/OSSを搭載したハードウェアを増やしていった結果、数十台、数百台、時には数千台といったx86サーバをデータセンターに納入することになり、管理コストが膨大で、システムは複雑になり、これ以上のスケールが難しくなりつつある。システムやサービスごとにWebサーバやアプリケーションサーバが乱立し、台数が非常に多いといった問題も起きている。
こうした問題を解決するために注目された技術が仮想化技術だが、仮想化技術は導入に成功するケースと成功しないケースで明暗が分かれている。x86はアーキテクチャ的にもともと仮想化が難しい。x86アーキテクチャの特徴を把握したうえで仮想化に取り組むケースでは成功するが、むやみに仮想化し、物理ハードウェアを仮想化環境へ移行させると「思った以上にスケールしない」、結果として「パフォーマンスが移行前よりも低下した」といった事態に陥る。
増え続けるx86ハードウェアはLinux/OSSの活用において厳しい問題になっており、運用コストの削減を考えても、うまい方法でよりスケールするプラットフォームへの移行が切実に求められる状況にある。Linux/OSSがビジネスシーンでさらに活躍するために乗り越えるべき課題だ。
こうした課題に対し、日本アイ・ビー・エム(以下、IBM)は「PowerLinux」をもって解決案を提案している。IBM PowerLinuxは「IBM Power Systems」ファミリのうち、x86からの移行をターゲットに据えたLinux専用モデルだ。市場でよく採用されている1〜4ソケットのx86ラックマウントサーバと同一の価格帯で、より高い性能、高い信頼性、高い保守性を提供している。
また、増え続けるx86ハードウェアを集約するためにIBMが提供するもう1つの柱が「IBM PowerVM」だ。Linux専用モデルでも使えるPowerVMは先進的な仮想化技術で、高パフォーマンス、かつ高集約な仮想化環境を構築でき、非常に高いコスト効果が期待できる。x86と同じソケット数でより多くのスレッド(論理コア)が実行される。よって、PowerLinuxでは、強力な仮想化の仕組みがそのままユーザーのコスト効率向上の武器となるのである。
サービスを支える基盤として、CPUやメモリ、I/Oといったコンピューティングリソースを無駄なく活用できることは、サービスの品質上もTCOやROIといった観点からも非常に重要なポイントとなる。
実際に、従来Apache TomcatとWebSphereをx86サーバとKVMで仮想化し利用していた企業が、PowerLinuxとPowerVMで仮想化したシステムに乗り換え、圧倒的に少ないサーバ台数で倍近い仮想空間数を構築し、10倍以上のパフォーマンスで利用している例がある。PowerLinuxとPowerVMを活用した仮想プールを基盤としたシステム・テクノロジー・アイのeラーニング・サービス「iStudy Dynamic Cloud」だ。Apache/TomcatとWebSphereのベンチマーク評価も含めたホワイトペーパーがあるので、参考にしてほしい。
ここからは、PowerVMとPowerLinuxの特徴を3つ紹介しよう。
PowerVMは「VMware ESXi」「Linux KVM」に相当する仮想化技術だ。類似の技術と比較した最大の特徴は、ハードウェアと密に連携して仮想化機能を提供していることにある。PowerVMはIBMの提供する「Power Systems」「PowerLinux」のハードウェアレベルで仮想化機能を実装し、x86上での仮想化技術と比較して圧倒的にパフォーマンスとスケーラビリティが高く、セキュリティにも優れている。
POWERプロセッサはx86と比較してスレッド(論理コア)数が多いため、多くのx86サーバを1台のハードウェアに統合できるようになる。また、PowerVMはハードウェアのリソース管理と密に結び付いており、ピーク時と閑散時で使用するリソースを動的に切り替えたり(追加だけでなく、削除も可能)、筐体間で仮想環境を丸ごと移動させるといったことがサービスを停止することなく実現できる。
PowerLinuxは、そのコストパフォーマンスも大きな魅力だ。IBMは「System x」「System z」「PureSystem」「Power Systems」など同社の提供するハードウェア製品のすべてにおいてLinuxをサポートしている。その中でも、コストパフォーマンスが高いのが、「PowerLinux 7R1」「PowerLinux 7R2」だ。
特に、PowerLinux 7R2は、同価格でx86サーバが32スレッドを提供するところ、64スレッドを提供する。これは、先述した仮想化技術とともにスケールアウトさせてしまったシステムの統合に非常に有用である。
特筆するべき例は、スケールアウトを前提としたHadoopのシステムですら、PowerLinuxで統合し、台数やコスト(購入、運用、電力などなどのコスト)の削減が可能であったことだ。下記要約図を参照してほしい。驚愕の集約率と電力コスト削減が実現しているのがお分かりいただけると思う。
IBMの提供する製品の強みは、こうしたハードウェアの充実したラインアップと、Linux/OSSという企業に広く普及した技術の双方を活用できる点にある。
Linux/OSSのシステムでは、Apache/TomcatといったWebサーバやアプリケーションサーバをはじめとして、増え続けるx86サーバをいかに統合するかが喫緊の課題となっている。
PowerLinuxは価格がx86サーバと同一価格帯となっており、実験的な取り組みも開始しやすい。PowerVMやPOWERプロセッサといったLinuxでは、新しい技術を上手に使い、メリットを享受できるだろう。Linux/OSSを活用したシステムを次のフェイズに進めて、増えすぎたサーバの統合を進めるためには、PowerLinuxは検討に値するプロダクトだ。
実案件でx86サーバーのApache Tomcat/ IBM WebSphereを統合した際のベンチマーク結果と考察
現在、392社29万人(2102年6月末時点)におよぶ官公庁はじめ大手金融機関や大手製造業を顧客に持つ、eラーニングサービスの先進企業である株式会社システム・テクノロジー・アイでは当初、iStudyのアプリケーション基盤にはx86 Linuxが採用されていました。このたび、そのサービス基盤を「IBM PowerLinux」と仮想化機能「PowerVM for PowerLinux」に置き換えることにより、ピーク時の性能はもちろんのことクラウドサービス化に必須な安定性の向上とコストの削減を実現できました。「IBM PowerLinux」採用にあたり、徹底した検証を行い、この白書ではそのベンチマーク結果と考察をご紹介します。
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提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2013年1月29日
企業向けクラウド型eラーニングサービス「 iStudy Dynamic Cloud EE 」でIBM PowerLinuxを採用し、インフラのコストパフォーマンスが劇的に10倍以上向上。