日本オラクルが2013年5月14日に東京、秋葉原UDXで開催予定の「Java Day Tokyo 2013」。Java技術者の間で、このイベントが話題になっている。本記事では、日本オラクルのJavaエバンジェリストである寺田佳央氏と、Java Embeddedシニアセールスコンサルタントの笹沼満氏に、この注目イベントの見どころについて話を伺った。
「Java Day Tokyo 2013のテーマはズバリ“Make the Future Java”です。Javaは着実に進化を続けていますが、今年、2013年はJavaプラットフォームにとって重要な年になると考えています」と寺田氏は語る。
「今年はJava SE、Java EEそれぞれのプラットフォームにおいてメジャー・バージョンのアップデートがありますが、Java Day Tokyo 2013は、これらのアップデートで提供される新機能を学ぶために、とても良い機会になります」(寺田氏)
基調講演では、オラクルのJavaプラットフォーム開発部門のトップであるNandini Ramani氏とCameron Purdy氏が登壇し、各プラットフォームにおける最新動向を紹介する。またJavaコミュニティのリードで、JavaOneプログラム委員会の委員長でもあるSharat Chander氏の登壇も予定されており、オラクルとしてJava開発者、もしくは開発者コミュニティとのかかわり方を紹介する予定だ。
午前の基調講演の内容を踏まえ、午後から始まるテクニカル・セッションで、さらに深い技術を吸収できる。「Java Day Tokyo 2013は日本における今年最大の、Javaのテクニカル・カンファレンスで、数多くのJavaの開発者に参加してほしい」と寺田氏は語る。
また今回のイベントについて寺田氏は、「まもなく登場するJava EE 7には4つの重要な技術が取り入れられます。そのうち、3つの技術について詳しく紹介する予定です」と語る。
特に期待してほしいとしたのは、WebSocketへの対応だ。テクニカル・セッション「ここからはじめる、JSR-356 WebSocket」(A-1)は、Java EEコンテナ上でWebSocketを動作させる方法や、既存のアプリケーションに対してWebSocketを適用する方法などを詳しく紹介する。
このセッションについて寺田氏は「WebSocketはHTML5の周辺技術として、今世の中で注目を浴びる技術の1つだが、Java EE 7では標準フレームワークとして、とても簡単に実装できるようになる。WebSocketを既存サービスに対して適用を検討中の開発者には、お勧めしたい講演」と語る。本セッションは、本場JavaOne San Franciscoでテクニカルの基調講演も務め、世界的に有名なJava EEのエバンジェリスト、Arun Gupta氏が担当する予定だ。
Gupta氏は、WebSocketのセッションのほか、もう1つのJava EE 7の新機能、バッチ処理についても、「JavaプラットフォームにおけるBatchアプリケーション(JSR 352)」(A-3)で講演する。Java標準のバッチ処理機能ということで、こちらも注目だ。
その他、Java EE 7新機能の魅力を語るセッションとして注目なのが「エンタープライズ環境における並列処理の実装方法について」(C-4)で、並列処理の技術であるConcurrency Utilitiesを紹介する。このセッションは寺田氏本人が担当する予定だ。
「これは本当に興味深い機能なんです」と寺田氏は語る。Concurrency UtilitiesはJava SE 5からスタンドアロン環境では利用可能でした。しかしWebコンテナ、EJBコンテナといった、サーバサイドでの利用は非推奨でした。本セッションは歴史的背景から、具体的な実装方法、さらにはサーバサイドの設定もデモを交えながら紹介します。ご期待ください」(寺田氏)。
今回のイベントでも多くのセッションで組み込み系Javaが取り上げられている。Java Embeddedに携わる笹沼氏に、気になるセッションをいくつかピックアップしてもらった。
笹沼氏が期待してほしいと語るセッションの1つは、技術者の間でも話題のデバイス「Raspberry Pi」を取り上げた、「Raspberry Pi NightHacking(Java SE/JavaFXを楽しもう)」(B-1)だ。
「小さくて格安なデバイス、Raspberry PiでJavaFXを体験してもらうためのセッションを用意しました。プレビューリリース版ではありますが、これで何ができるかぜひ試してみてください」(笹沼氏)
注目が集まるタブレットデバイスについても、セッション「タブレット用のJavaFXアプリケーション開発」(A-4)において、組み込み分野におけるJavaの取り組みを紹介するようなデモが行われる。
もう1つ注目したいのは、オラクルの新たなビジョン「Device to Data Center」と、それを具現化する新製品である「Java ME Embedded」(リソースに制約のあるデバイス向け)、Java SE、Java DB、GlassFishをパッケージ化した「Java Embedded Suite」、そのオプション「Oracle Event Processing (OEP) for Java Embedded」だ。
Java ME Embeddedを中心としたセッション「Internet of ThingsにおけるJava: Small, Smart, Connected」(B-2)では、機器/モノがインターネットに接続するという新しいビジョンとJavaがどうつながっていくのかが解説される。
笹沼氏本人もセッション「Device to Data Centerを実現するJava Embedded Suite」(C-3)を担当する。組み込みデバイスからデータセンターに接続する際に、すべてのデータをデータセンターに送るのではなく、デバイス上であらかじめフィルタリングし、重要なデータだけを集約するという考え方が広まりつつある。例えば、ヘルスケア分野において血圧や血中酸素濃度を小型デバイスで取得、異常な数値があったときに中央センターにその情報を集約するといったものだ。
「Java Embedded SuiteとOEP Embeddedによって、従来はサーバでのみ実現していたようなロジックが、小型デバイスで実行できます」(笹沼氏)
そのほかにも、セッション「InvokeDynamicからNashornのご紹介」(B-4)は、とても興味深い。Java SE 7で新たに「InvokeDynamic」と呼ぶJava VMのバイトコード命令が追加された。これは、Java VM上で動的型付け言語を高速に動作可能にする命令で、Java SE 8では、このバイトコード命令を用いて実装されたJavaScriptのエンジン「Nashorn」が提供される予定だ。
Java VMはハイ・パフォーマンスで運用管理性も非常に高い実行環境として知られているが、この実行環境上でJava以外のプログラミング言語であるJavaScriptが動作するようになることは、とても興味深く、JavaScript開発者も注目すべきところだろう。
昨年のJavaOne Tokyo 2012でも、Node.jsの内部JavaScriptエンジンをNashornに置き換え、Javaのライブラリを呼び出すというデモがあったのも記憶に新しい(参考)。Nashorn版Node.jsはオープンソースで公開予定とのことだったが、JDK 8とともにリリース予定のNashorn自体の開発の進み具合とともに気になるところだ。
このセッションはInvokeDynamic対応言語や、JavaScriptの開発者にとっても見逃せない内容になっているとのことだ。
会場では、Java関連のグッズを販売する「Java Store」コーナー、Java Embedded関連の展示コーナー、さらには新しくなったJavaの認定資格体系「OCJ-P」(Oracle Certified Java Programmer)に関するセッションや資格スキルチェックコーナーも予定されている。また、夜のお楽しみイベント「Java The Night」などさまざまな企画も用意されている。
Javaのイベントというと、同じくオラクルによるJavaOneが思い出されるかもしれない。今回はJavaOneとはまた違う魅力を持つイベントになるだろう。Javaの最新情報を欲する、すべてのJava技術者にお勧めしたいイベントだ。
日程: 2013年5月14日(火)
会場: 秋葉原UDX(アキバ・スクエア、UDX GALLERY、UDX GALLERY NEXT)
対象: すべてのJavaエンジニア、およびJava技術に関心のある方、アーキテクト、企業情報システムに携わる方、組み込み型ソフトウェアエンジニア、学生、等
参加費:無料(事前登録制)
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2013年5月14日