お客さまの期待値を超える提案力や、お客さまのおぼろげなイメージを具体化するきめ細やかな対応力がポイント
株式会社ブレスは、熊本県を中心に注文住宅を手掛ける住宅メーカーだ。
熊本は地場の小回りがきく住宅メーカーが強く、大手住宅メーカーのシェアが比較的小さい“住宅メーカー激戦区”だという。同社 代表取締役 相馬俊樹氏は、「注文住宅を検討・購入するお客さまは、ある程度型の決まった家を購入したくない、こだわりを持った方が多いのです。デザインや建材などの選択肢は無限大です。そのため、選択肢の中からどうやってお客さまの要望を具体化するのか、他社と差別化するためには、お客さまのこだわりをきちんと聞き出しつつ、“お客さまの期待値を超える提案”や、お客さまのおぼろげなイメージを具体化する、“きめ細やかな対応による信頼感の醸成”が必要なのです」と同社の戦略を説明する。
いま、住宅メーカー市場を盛り上げているのは、2014年4月1日に5%から8%への引き上げが検討されている「消費税増税」だ。購入金額の大きい注文住宅の場合、この増税分3%の差が数十万円〜数百万円と大きいため、駆け込み需要が増えることが予測されている。注文住宅の場合、請負契約が2013年9月30日までに完了するか、住宅の引き渡しが2014年3月31日までに完了すれば消費税が5%となる。このため、9月30日の契約へ向けた“駆け込み需要”に応えるための営業活動が、当面の正念場だという。
“きめ細やかな対応”を実現するにはOffice 365が必須
このように増税前の駆け込み需要の取り込みに躍起になっている住宅メーカー業界だが、その営業活動には随分と変化が現れている。注文住宅の場合、お客さまがイメージする通りに住宅を建築するため、膨大な数の建材からイメージに合ったものを選択する必要がある。そのため、お客さまとのコミュニケーションの取り方が要となる。
従来であれば、「まずはメーカーの担当者が自宅を訪問して要望をヒアリングし、見積もりを提出する」といった流れがほとんどだった。しかし、現在ではホームページからの問い合わせ後、数回の打ち合わせと、メールに図面や写真を添付して何度かメールのやりとりをすることで、イメージを具体化していき、そのままメールで見積もりも提出する、といったケースもあるという。
「最近では共働き世帯も多く、平日は訪問しても留守のことが多いんです。すると対面だけだと週末しか打ち合わせできず、なかなか話が進まないケースもあります。その点、メールであれば、いつでも送受信できる上に図面や写真も添付できるのでイメージも湧きやすいのです」(相馬氏)
このことから、以下のようにする流れが増えたそうだ。
「メールでのコミュニケーションは、なるべく早く丁寧な返信をすることがサービスや信頼感の向上につながります。しかし、当時使っていたメーラーがPOP形式のメール環境だったので、外出先からタブレット端末などでメールを閲覧できないという状況でした。また、図面や写真など、サイズの大きな添付ファイルをやりとりすると、すぐにメールボックスの保存容量の制限に達してしまい、送受信ができなくなることも問題でした」(相馬氏)
このように、ブレスのビジネスでは「お客さまとのメールでのコミュニケーションを素早く行えるよう、どこからでもメールを送受信したい」というニーズと、「図面や写真を添付する機会が多いので大きなメールボックスがほしい」というニーズの2つが、顕在化していた。
そこで相馬氏が検討したのがクラウドサービスだ。同氏は積極的にさまざまな勉強会に参加。そこで出会ったのが、現在のパートナーとなる株式会社システムフォレストだ。同社の紹介によってOffice 365に出会い、まさに相馬氏のニーズと合致していたため、導入を決断した。
どこでもやりとりできるメール環境と、ファイルがいつでも取り出せる環境で効率が上がった
Office 365採用の決め手の1つとして「使い慣れたユーザーインターフェイス」だと相馬氏は説明する。ブレスでは、以前よりメーラーにOutlookを利用していたため、Office 365に移行しても、操作性に全く違和感がなかったという。
「Office 365を導入してから外出先からタブレット端末を用いていつでも情報を閲覧できるようになった点が、とても大きいですね。いつでもどこからでもメールが確認できる上に、メールボックスの容量も25GBあり、図面や写真など、サイズの大きな添付ファイルをやりとりするには十分な容量です」(相馬氏)
このように、Office 365を導入したことで、当初の目的は完全に解決した。
また、従来の注文住宅の打ち合わせでは分厚いカタログや見積資料を持ち歩く必要があったが、Office 365導入後は打ち合わせ先へ行っても、Office 365に登録しているPowerPointやWordなどのファイルをタブレット端末から簡単に確認できるようになり、効率も非常に上がったという。
「Office 365とタブレットの組み合わせは想像以上に効果が大きかったですね。外出先でファイルを確認するだけでなく、簡単なファイル編集であれば、タブレット端末でできてしまいます。この効果を社内に広げるために、わたし以外にも外回りの多い社員にタブレット端末を持ってもらうようにしました」(相馬氏)
さらにきめ細やかな顧客対応を実現するためにOffice 365の機能を使い切りたい
相馬氏は今後、Office 365の機能の1つである「SharePoint Online」を活用した顧客とのファイル共有を検討しているという。
注文住宅では顧客との情報共有が重要だが、メールに図面や写真を添付するのにも限界がある。そこで、将来的には“建設状況などが気になっているけど、なかなか現場へ足を運べない顧客”に対して、図面や現場の写真などをクラウド上で共有し、より顧客ニーズを汲み上げたいとのことだ。
同社のシステム導入を手掛けるシステムフォレスト ソリューション営業部 中野恵氏は、「ブレスさまの“お客さまに、よりきめ細やかな対応をしたい”というニーズを満たすためには、ビデオ会議やチャット機能を持つ『Lync Online』によるコミュニケーションや『SharePoint Online』を活用した情報共有を提案しています。例えば、『SharePoint Online』であれば、クラウド上に『Aさま邸』という顧客専用のWebサイトを作ってお客さまと共有することで、お互いにそこにファイルや写真をアップしてイメージを共有できます。そこにAさまの情報を集約することでデータの一元管理も実現できます」といった提案をしている。
相馬氏は、「家づくりは顧客とのやりとりが多い上に、間違いや連絡ミスが発注ミスとなり、再度設計や作り直しとなってしまうので、これらミスをなくすことはお客さまとの信頼関係を築く上で非常に重要です。今は1人の担当者が最初から最後まで担当することでミスを減らしていますが、属人的な現在の方法では限界が出てくるかもしれません。このような点も踏まえて、システムフォレストさまから提案いただいたようなデータの共有や一元管理を実現して、当社の差別化ポイントである『きめ細やかな対応による信頼感を醸成』し、着実に売り上げ増に貢献していきたいですね」と今後の抱負を語った。
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