予算もかけられなければ、専任者も付けられない。「そこまで手が回らない!」という中堅・中小企業でも、いざという時に「開店休業」を避ける方法はある。
2011年3月11日に発生した東日本大震災を境に、多くの企業がBCP(事業継続計画)に対する意識を一変させた。それまで、BCPの策定やITの災害対策をさほど重要視していなかった企業も、いつ何時訪れるかも知れぬ災害によって、いとも簡単に自社の貴重な資産が失われてしまうリスクについて深刻に考えざるを得なくなった。
大企業ではBCPと災害対策の見直しが進む中、事業規模が小さく予算を割けない中堅・中小企業では同様にはいかないのが現状だろう。大企業とは異なり、自社でITの専任要員を用意することが困難な場合も少なくない。
しかし、IT 関連のBCP対策は、何も災害に備えるためだけのものではない。機器の故障により、ある日突然、貴重な業務データが消失してしまうかもしれない。あるいは、予期せぬシステム停止によって業務遂行が長期間に渡って滞ってしまった結果、多大な損失を被ることになるかもしれない。先の震災では、3月末の決算期直前だったこともあり、多くの企業が決済や納品、関税などの手続きに手間取った。
今や中堅・中小企業といえども、業務の多くの部分はITに依存している。そのITが、不測の事態に対して何の備えも講じていないというのは、企業を極めて危険な状態に置いていると言っても過言ではない。とはいえ、「無い袖は振れない」のも厳然たる事実だ。ITの災害対策の必要性は十分認識しつつも、コストや社内スキルの壁に阻まれて、泣く泣くリスクを抱えたままITを利用し続けている中堅・中小企業は決して少なくないはずだ。
確かに少し前までは、ITのBCP対策を導入するには多額のコストが必要だったのは、紛れもない事実だ。しかし近年では、こうした状況は確実に変わりつつある。コストやスキルのハードルを大幅に低く抑えたBCPソリューションが、徐々に提供されるようになってきたのだ。中には、サーバのリプレースとほぼ同等のコストで、災害対策や冗長化を実現できるソリューションも存在する。リース期間が満了するサーバを定期的に入れ替える際に、従来と同じコスト感で、いわば「ついでに」BCPの仕組みも実現できるのである。
そうしたソリューションの1つが、NECフィールディングが提供する「サーバ仮想化ソリューションパック Hyper-Vレプリカモデル」だ。
サーバ仮想化ソリューションパック Hyper-Vレプリカモデル(以下、Hyper-Vレプリカモデル)は、NECフィールディングが提供するサーバ仮想化のパッケージソリューション「サーバ仮想化ソリューションパック」に含まれるメニューの1つ。前項でも紹介した通り、サーバ環境の災害対策や冗長化を、サーバ仮想化技術を活用することで低コストかつ手軽に実現できるソリューションだ。
中には、「低コスト」や「手軽」といったキーワードを聞いただけで怪しむ方もいるかもしれない。サーバの災害対策や冗長化といえば、従来は高価なハードウェア・ソフトウェア製品と複雑なシステム設計が必須だったのだから、それも無理からぬことだろう。しかし、Hyper-Vレプリカモデルに関して言えば、そうした心配は無用だと言っていい。その理由は、OSの標準機能のみで災害対策や冗長化を実現しているところにある。
Hyper-Vレプリカモデルはその名の通り、「Hyper-V」というサーバ仮想化技術を使って災害対策や冗長化を実現している。このHyper-V、実はマイクロソフトのサーバOS「Windows Server 2012」に初めから搭載されている標準機能なのだ。従って、サーバ仮想化を導入するために、わざわざサーバOS以外のソフトウェア製品を購入する必要はなく、よって導入コストを低く抑えられるのだ。
もちろん、OSにもともと備わっている標準機能だけに、その信頼性や安定性も担保されている。通常、ソフトウェア製品を別途導入する際には、インストールや設定、動作検証などに多くの手間と時間とコストが必要となるが、OS標準機能であれば、そうした作業も一切不要だ。
ITにコストや人員をなかなか避けられない企業では「サーバ仮想化なんて自社には縁遠い、高級なソリューションだ」と考えているかもしれないが、Hyper-Vに関して言えば、Windows Serverの最新版を導入するだけで、後は何もせずともサーバ仮想化を使う準備が整うのである。つまり、サーバとOSをリプレースしたら、ついでにただで仮想化ソフトウェアがおまけで付いてくるようなものだ。近くサーバのリース期間が満了する時期を迎えている企業にとっては、これは朗報だと言えよう。
現在利用している業務アプリケーションがWindows Server 2003など古いOS上でしか動作しないために、なかなかWindows Server 2012に移行できないという企業もあるかもしれない。しかし、Hyper-Vのサーバ仮想化技術を使えば、Windows Server 2003の環境をそのまま仮想化基盤上で稼働できるので、使い慣れた業務アプリケーションを延命させるためにも有効だ。
古いサーバ環境をWindows Server 2012搭載サーバに入れ替えることは、コストや人的リソースが乏しい中堅・中小企業にとってこそメリットが大きいと言える。
Hyper-Vレプリカモデルは、このHyper-Vの機能を使ってどのように災害対策やサーバ冗長化を実現するのだろうか?
Windows Server 2012に標準搭載されているHyper-Vの最新バージョン「Hyper-V 3.0」には、「Hyper-Vレプリカ」という新機能が搭載されている。これは簡単に言うと、サーバ仮想化技術を応用することで、あるサーバ上で動作している仮想サーバ環境の複製を、別のサーバ上に自動的に作成するという機能だ。複製元の仮想サーバ環境に対して加えられた変更は、定期的に複製先の仮想サーバに反映される。そのため、常に最新に近い状態の複製が自動的に保存されていることになる。
このHyper-Vレプリカの機能を使えば、もし万が一サーバに故障が発生して利用不能に陥ったとしても、別のサーバの上に保存された複製の方にユーザーの利用を切り替えれば、そのまま滞りなく業務を続行できる。また、複製を置くサーバを遠隔地に設置しておけば、たとえ災害によって元のサーバが破壊されてしまったとしても、遠隔地に取ってあるサーバの複製を利用することで業務を継続できる。
Hyper-Vレプリカモデルは、こうしたHyper-Vの標準機能を使って、サーバ環境の障害対策や災害対策を効率的に実現している。具体的なシステム構成は、最小構成時で2台のサーバが提供され、各サーバにWindows Server 2012がセットアップされる。それぞれ、Hyper-Vの仮想化環境と、Hyper-Vレプリカを使って両サーバ間でデータ複製処理を行うための設定が施された上で、ユーザーに手渡される。
このように、Hyper-Vレプリカモデルに含まれるシステム要素は、簡単に言ってしまえばサーバとOS、ただこれだけだ。ほかに追加でソフトウェア製品を導入したり、あるいは別途サーバやPCを導入したりする必要は一切ない。繰り返しになるが、こうした極めてシンプルな構成で障害対策・災害対策が可能になるのは、Hyper-VレプリカがWindows Server 2012に標準機能として最初から備わっているからこそである。
さらに、Hyper-Vレプリカを使ったこうしたシステム構成は、障害対策や災害対策以外の用途にも応用できる。例えば、2つのサーバの間で相互にデータをコピーし合えば、同じサーバ環境を異なる2個所のロケーションに置いて利用できるようになる。もちろん、どちらかの環境が故障や災害によってダウンしてしまったとしても、ユーザーはもう片方のサーバ環境に利用を切り替えることで、そのまま業務を継続できるというわけだ。
ちなみにNECフィールディングでは、「複製元─複製先」という最もシンプルなシステム構成だけでなく、こうした相互コピー構成も含め、ユーザーの要望に応じてさまざまなシステム構成に柔軟に対応が可能だ。
なお、Hyper-Vレプリカモデル(および、サーバ仮想化ソリューションパックに含まれるほかのメニュー)で提供されるサーバは、NEC製の「Express5800シリーズ」から導入構成により選ばれる。「Express5800シリーズ」のサーバは NECという誰もが認める国内トップメーカーが製造し、国内シェアトップの実績を誇る信頼性の高い製品だ。
なおHyper-Vレプリカモデルにはサーバの保守サービスも含まれているが、注目すべきは、NECフィールディングが全国に展開している約400拠点のサービス網である。日本最大級の保守・サービス網を通じて、都市エリアのみならず地方にオフィスを構える中堅・中小企業に対しても、きめ細かい保守サービスが提供される。もちろん、サーバの交換部品も常にストックされており、万が一サーバに故障が生じても、最寄りのサービス拠点からすぐに保守要員が現地に駆けつけて復旧作業に当たる。
またHyper-Vレプリカモデルには、ハードウェアとソフトウェア、それらの保守サービスに加え、システムの構築サービスや現地調整作業などがすべて含まれた形で一括提供される。そのため、社内にITの専任要員がいない企業や、担当者がスキルに不安を感じているような場合でも、安心して導入できる。
オプションサービスとしても、バックアップ構築サービスやセキュリティ対策サービス、運用監視サービスなどが用意されており、さらにはNECフィールディングのほかのソリューションと組み合わせて導入することも可能だ。例えば、NECのデータセンターを使った遠隔バックアップシステムや、ネットワークの設計・構築など、NECフィールディングが提供するさまざまなソリューションを組み合わせて導入・利用できる。
以上で見てきたように、最新のサーバとOSが提供されるだけでなく、それにサーバ仮想化基盤が付いてきて、障害対策や災害対策が実現できて、さらにはこうした各種サービスまでもが利用できるHyper-Vレプリカモデル。しかもコストは、場合によっては単にサーバとOSを入れ替えるだけの場合と比べてほとんど変わらないと来れば、検討してみない手はない。特に、近くサーバのリース期間が満了する時期が訪れるという企業は、ぜひこれを機に導入を検討してみてはいかがだろうか。
本稿で紹介したソリューションの詳細は下記にお問い合わせください。
NECフィールディング ソリューション事業推進本部
Tel:03-3457-7190
Fax:03-3457-5509
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提供:NECフィールディング株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2013年6月28日
災害対策のためのレプリカ(複製)や強化されたマイグレーション機能、仮想ディスクのパフォーマンス向上対策、高機能なスイッチなど、Hyper-Vの新機能の概要を解説します。
本稿で紹介した「Hyper-Vレプリカモデル」でも採用しているWindows Server 2012の全体像を紹介しています。