“世界最高クラス”の性能を実現した「FUJITSU Storage ETERNUS DX S3 series」の中身とは?富士通ストレージ開発のキーマンに聞く

富士通の最新ストレージシステム「FUJITSU Storage ETERNUS DX S3 series」と基盤ソフトウェア「FUJITSU Storage ETERNUS SF 16」に込められた開発者の狙いとは何か? アイティメディア エグゼクティブエディターの三木泉が、“世界最高クラス”の性能の中身に迫った。

» 2013年11月25日 10時00分 公開
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 ビッグデータ時代を迎え、急速にデータ量が増大していく中で、企業のストレージシステムは今、さまざまな課題を抱えている。こうした背景を受け、富士通から最新のストレージシステム「FUJITSU Storage ETERNUS DX S3 series」(以下、ETERNUS DX S3 series)とストレージ基盤ソフトウェア「FUJITSU Storage ETERNUS SF 16」(以下、ETERNUS SF 16)が登場した。

 「ETERNUS DX S3 series」の最大の特長は高性能の追求だ。SMP(Symmetric Multiprocessing)対応の高性能プロセッサやフラッシュテクノロジの採用などにより、従来機比で最大約5倍という世界最高クラスのランダムアクセス性能を実現している。

ALT 図1 従来機比で最大約5倍という世界最高クラスのランダムアクセス性能を実現

 また、アーキテクチャの刷新により、SANとNASという異なるストレージ領域を同一筐体内で共存。同時リリースした基盤ソフトウェア「ETERNUS SF 16」を組み合わせることで、SANストレージ領域とNAS領域を、一元的に運用管理することができるという。同ソフトウェアでは、ストレージ自動階層制御やQoS自動化など、システム管理者の使いやすさを向上させる機能も大幅に強化している。

ALT 図2 SAN領域とNAS領域の一元管理が可能

 こうした革新的なディスクストレージシステムは、どのようにして開発されたのか? ――富士通ストレージ事業のキーマン3人に、アイティメディア エグゼクティブエディター 三木泉が話を聞いた。

世界最高クラスのパフォーマンスを追求したハードウェア

三木 ディスクストレージシステム「ETERNUS DX S3 series」では、「世界最高クラスの高性能を達成した」とうたっています。まずはその内容について教えてください。

ALT 富士通 ストレージシステム事業本部 ストレージシステム事業部 システムハード開発部 マネージャー 大山貞之氏(ハードウェア担当)

大山氏 「ETERNUS DX S3 series」では、既存のハードウェア設計の中で最大限の性能を引き出すことにチャレンジし、最新のテクノロジを複数採用しました。中でも性能向上に大きく寄与したのが、複数のCPUに全データを均等化して処理するSMP(Symmetric Multiprocessing)対応です。コントローラのソフトウェアをマルチスレッド化したことで、最先端のマルチコアCPUの性能をフルに発揮することが可能となりました。また、コントローラではキャッシュメモリ容量を従来機比で最大4倍に拡張しています。

 これに加えて、最新のSAS3.0ドライブインターフェイスやPCIe 3.0、16Gbit/s ファイバチャネル接続への対応などによって、足回りも大幅に強化しました。

 これらより世界最高クラスの性能を持つ従来機に比べて、ランダムアクセス性能を最大約5倍、シーケンシャルI/O性能を約3倍、内部バス性能を約2倍に向上し、さらなる性能の向上を実現しています。

三木 複数コアの性能を引き出しながら、システムの安定性を保ち、最適な分散処理を行うためのファームウェアの書き直しは膨大な作業だったのではないですか?

ALT 富士通 ストレージシステム事業本部 ストレージシステム事業部 ファンクションファーム開発部 前田親志氏(ファームウェア担当)

前田氏 そうですね。特にSMP技術への対応がファームウェアにとって最大の難関でした。SMPに最適化するためには、リクエストを受けてから返すまでの内部処理を行う中で、どの単位で区切って、どの部分を排他すればよいのかを見極め、コードを大幅に変えていく必要がありました。また、モデルによってコア数が異なるので、モデルごとにコア数に最適化した並列処理を設計する作業にも苦労しました。

三木 ストレージシステムの高速化では、フラッシュという新たな記憶媒体をどう活用するかが課題になっています。今回の新製品では、フラッシュをどう活用しているのですか?

前田氏 従来通り、SSDをハードディスクドライブの代わりに搭載し、記憶媒体の高速化を図っています。 今回はそれに加えて、コントローラ直結型PCIe SSDキャッシュ「Extreme Cache」を搭載しています。エンクロージャではなく、コントローラ内部のホストとのインターフェイスカードに大容量SSDを搭載し、二次キャッシュ的に利用することで、ディスクのリード性能を大幅に向上しました。要求性能を少数のディスクで実現できるようになるため、コストや消費電力の低減にも貢献します。

ALT 図3 ディスクのリード性能を大幅に向上させるFUJITSU Storage ETERNUS DX S3 seriesのフラッシュテクノロジ

三木 「ETERNUS DX S3 series」の特長として、SANとNASのストレージ領域を共存させるユニファイドストレージを実現している点も注目されますね。

大山氏 柔軟で拡張性のあるアーキテクチャに刷新することで、従来は別装置での運用が必要だったSANとNASという異なるストレージ領域を、同一の筐体内で共存させることを可能にしました。NASゲートウェイを導入する必要もなく、イーサネットインターフェイスカードを筐体内に追加するだけで、SANストレージからユニファイドストレージに移行することができます。SANとNASの機能を、1つの装置で同時並行的に提供できることがポイントです。

水野氏 ユニファイドストレージの実現に当たっては、運用ソフトウェア側の対応も不可欠でした。ハードウェアレベルでSANとNASが共存できても、運用がバラバラではシステム管理者の業務負荷は増加する一方です。そのため、新たに開発したストレージ基盤ソフトウェア「ETERNUS SF 16」では、共存したSANとNASのストレージ領域を統合し、一元管理できるインターフェイスを提供します。これにより、システム管理者は、ユニファイドストレージを効率的に運用することができるわけです。

自動化により運用管理者の負荷を大幅に軽減

三木 確かにエンタープライズストレージの分野では、ソフトウェア機能を強化する動きも強まっているように思えます。最新の「ETERNUS SF 16」の場合、具体的にはどのような機能強化が行われているのですか?

ALT 富士通 プラットフォームソフトウェア事業本部 第一プラットフォームソフトウェア事業部 第二開発部 マネージャー 水野純一氏(ソフトウェア担当)

水野氏 従来の管理ツールは、ハードウェアの基本設定や異常のチェックを行うのが主な役割でした。これに対して「ETERNUS SF 16」では、システム管理者の業務負荷を軽減するための機能強化を追求しています。特に、ストレージシステムのチューニングや最適化など、複雑な運用業務を自動化する機能に注力しました。

 その1つがストレージ自動階層制御機能です。異なる種類のドライブが混在する環境において、データのアクセス頻度を検出し、アクセス頻度に応じて最適なデータ再配置を自動的に行います。具体的には、アクセス頻度の高いデータはSSDなど高速な記憶媒体に配置して性能を確保し、アクセスが少ないデータは安価で大容量のニアラインディスクに配置することで保管コストを最適化します。データの再配置は、多様な業務、データへの適用実績を元にした従来よりも細かい単位で実施することで、処理の効率化と高速化を図っています。

ALT 図4 アクセス頻度に応じて最適なデータ再配置を自動的に行う自動階層制御機能を搭載

三木 なるほど。ただ、ビジネスユーザーの視点に立つと、アクセス頻度の少ないデータが必ずしも重要でないとは限りませんよね。

水野氏 はい。その点にも配慮し、システム管理者が再配置ポリシーをあらかじめ設定しておけば、個別のシステム運用に最適化したデータの再配置を行うことができます。例えば「普段のアクセス頻度は高くないが、アクセスがあったときは必ず高い性能が要求されるデータは常にSSDに配置する」といった設定も可能です。

三木 もう1つのポイントはQoSの自動化ですね。

水野氏 はい。QoS自動化機能では、業務の優先度に合わせてボリュームに目標レスポンス性能を設定しておくことで、優先度に応じてストレージ内部の帯域を自動的に制御し、性能を目標に近づけるようにチューニングします。これにより、業務優先度に応じたストレージリソースの割り当てが簡単に可能となります。今後、これらの技術をより強化し、システムの使用効率の向上とシステム管理者の大きな負担であった複雑なストレージ運用を軽減することに力を入れていきます。

ALT 図5 業務優先度に応じたストレージリソースの割り当てを簡単・確実にするQoS自動化機能

三木 ストレージではバックアップやレプリケーションなど、データ保全にかかわる機能も重視されています。特にディスク容量が肥大化したことで、リビルド時間が長期化してしまう傾向がありますが、この点にはどう取り組んでいるのですか?

大山氏 「ETERNUS DX S3 series」では、リビルド時間の長期化を解消するための機能として「高速リビルド」を提供する予定です。この機能では、RAID 6の冗長セットを用意し、論理ボリュームを複数の区画に分割して、複数のディスクに予約領域を分散配置します。そして、万が一ディスク故障が発生した場合には、故障が発生したディスク上に格納されているデータを、他の正常なディスクに高速に再配置することで迅速な復旧を実現します。これにより、ディスク故障時のリビルド時間を50〜80%短縮することができ、業務停止リスクも低下させることができます。

前田氏 さらにもう1つ、災害対策の新機能として「透過的フェイルオーバ」を提供する予定です。通常、災害が発生すると、筐体間でアクセスができなくなり、再設定に多大な時間がかかっているのが実状です。そこで「透過的フェイルオーバ」では、ストレージシステムの可用性をさらに高めるため、筐体間ミラー機能を活用した無停止システムを構築します。例えば、災害発生によってプライマリディスクが故障した場合、サーバがセカンダリディスクのボリュームを認識して継続運用を行います。サーバに、ボリューム情報を意識させないことで、「透過的フェイルオーバ」を可能にしました。

ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア開発が一体となって実現した“世界最高クラス”の性能

三木 今後、富士通のストレージはどう進化していくのでしょうか?

大山氏 より柔軟に、運用を意識せずに使えるストレージに進化していくと考えています。多様化するユーザーニーズに対応して、性能や機能をより使い勝手の良い形で拡張していきたい考えです。

前田氏 SANストレージだけでなくNASにも対応したことで利用シーンが広がっていきますよね。他の製品とうまく組み合わせてアプライアンスとして使われる可能性も考えられます。

水野氏 ソフトウェア開発の立場から言えば、弊社のストレージはどのレンジの製品でも機能および管理ツールを統一している点も1つの特長です。つまり、ユーザーインターフェイスから機能まで、どのレンジの製品でもほぼ同じものが提供できる。今後も、この点でのユーザーの利便性を追求していきたいと考えています。

三木 「ETERNUS DX S3 series」の高性能は、ハードウェアとファームウェア、そしてソフトウェアの強みが融合して初めて実現できたことといえそうですね。

水野氏 そうですね。おっしゃる通り、今回の「ETERNUS DX S3 series」はまさにハードウェア部門、ファームウェア部門、ソフトウェア部門が垣根を超えて密に連携し、三位一体になって開発した製品です。世界最高クラスの性能と管理性の高さは、それぞれが持つ技術を結集した結果といえます。今後も部門間の連携をさらに強め、多様化するストレージニーズに最適化した製品を開発していきたいと考えています。



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提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2013年12月24日

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