ビノン株式会社(以下、ビノン)は、住宅リフォーム分野の企業団体「リーン・スタートアップの会」の運営母体として2012年10月に設立されたばかりの会社だ。リーン・スタートアップの会は、最先端のIT技術の研究・活用で中小リフォーム関連企業のビジネスを支援し、ひいてはリフォーム業界全体の発展に寄与することを目的に発足した組織。まだ発足から間もないにもかかわらず、既に全国各地のリフォーム関連企業が加盟しており、月1回の研究会を中心に活動を展開している。
ビノンで取締役副社長を務め、自身も新潟県発田市でリフォーム会社「株式会社大堀商会」を経営する大堀正幸氏によれば、そもそも住宅リフォーム業界は歴史が浅いこともあり、顧客の側にもリフォーム会社の側にも、課題がまだ多く残る世界だと言う。
「お客さまにとっては、工事の仕上がりイメージがなかなか湧かなかったり、あるいは見積もりに時間が掛かったりと、不便をかけることがまだまだ多い。そもそも、リフォーム会社が提示した見積もり内容が適正なのかどうかを判断するのも難しい。一方の関連企業側も、『担当者の営業スキルや施工技術にばらつきが大きくサービスの品質を均一化できない』という問題を抱えている。また、他社とのサービス差別化を図ることができずに価格競争に巻き込まれ、収益が悪化する関連企業も多い」
リーン・スタートアップの会では、ITの力を活用してこれらの課題を解決する方策について、日夜ディスカッションし研究を重ねていると言う。そして、ここで重要な役割を果たしているのが、マイクロソフトのモバイルデバイスとクラウド技術だ。
リーン・スタートアップの会に入会して、真っ先に会員に支給されるのが、マイクロソフトのタブレットデバイス「Surface Pro」だ。
同会ではITを活用したリフォームビジネス変革の柱に、このSurface Proによるモバイルワークを据えている。商談の場や施工現場にSurface Proを持ち込み、うまく活用することで、業務改善や商機獲得の可能性が一気に開けてくると言う。
「現在は、特に見積もりの現場でSurface Proを活用することで、商談成約率を向上させる取り組みを研究している」
こう説明するのは、ビノンの取締役を務める大堀商会 取締役部長 大堀信幸氏。大堀商会では現在、商談や見積もりの現場に出向く営業担当者全員に、Surface Proを携帯させている。
「見積もりや現地調査で得た情報、現地の写真などは、Surface ProからOneNoteを通じて社内の担当者と即座に共有される。また、VDIのデスクトップ環境にSurface Proからアクセスし、CADソフトで詳細な設計資料を顧客とその場で共有することもできる。こうして、現場で精度の高い見積もりを即座に提示できるようになったことで、労働時間1時間当たりの売上高が17%向上した。つまり、時間当たりの生産性が17%向上したとも言える。また、値引きゼロにもかかわらず、受注率は80%以上もアップした」
そしてもう1つの大きな武器が、Surface Proとセットで提供される「Office 365」だ。Exchange Onlineのメール環境や、Sharepoint Onlineのデータ共有機能に対して、社外からSurface Proを通じてアクセスすることで、客先や施工現場から必要なリソースにすぐにアクセスでき、さらなる生産性向上が期待できると言う。
さらにリーン・スタートアップの会では、Office 365に含まれるLync Onlineのビデオ会議機能も積極的に活用している。
同会の会員は全国に散らばっているため、定例会には原則的にビデオ会議を通じて参加する。それも、単に音声とWebカメラの画像を共有するだけでなく、会議の資料やデスクトップ画面もLync Onlineを通じて共有することで、全国規模の組織ながら移動や宿泊コストを抑えた効率的な運営が可能になった。
さらにビノンでは現在、「リフォパッド」と呼ばれる独自アプリの開発も進めている。これはSurface Pro上で動作するアプリで、リフォームの提案と見積もりを支援する機能を提供する。
具体的には、間取りや商品、寸法といった情報を入力すれば、客先でも即座に見積もりが算出されるというものだ。ビノンのCEOを務める、株式会社ビバハウス 代表取締役 西川敏行氏によれば、このアプリを見積もり現場で活用することで、顧客と関連企業の双方にとって商談の安心感が高まる効果があるという。
「リフォームに当たってお客さまが最も気にされるのが、やはりリフォーム会社選び。『このリフォーム会社は本当に信頼できるのか、提示された見積もり額は適正なのか』といった点をとても気にされるが、リフォパッドを使えば、その場で即座に見積もりが提示され、かつその内容を明確に把握できる。そのためお客さまには安心感を提供できるし、企業側にとっても、ITツールを使うことで経験の浅い担当者でも高い精度の見積もりが提示できるようになり、商機が増えることになる」
今後は各会員企業でリフォパッドのプロトタイプを運用しながら、その機能をブラッシュアップしていく予定だという。リフォパッドの開発を担当する、株式会社ティーケーネットサービスの代表取締役 武田勇人氏は、こうした一連の試みが住宅リフォーム業界に与えるインパクトについて次のように述べる。
「これまで中小企業の多くは、予算や人員の不足からリフォパッドのようなITソリューションの導入は困難だったが、Office 365のようなクラウドサービスが普及したおかげでベンダーはインフラ投資を大幅に減額できるため、その結果、中小企業が気軽に導入できるような安い価格帯で魅力的なソリューションを提供できるようになった。リフォーム業界では今後、施工技術だけでなく顧客サービスの質が問われるようになってくるだろうが、モバイルデバイスとクラウドをうまく活用して業務を効率化し、浮いた時間を、顧客対応に回すことで、競合他社に一歩先んじることができるだろう」
※本記事は日本マイクロソフトにより提供されたコンテンツを一部編集の上、掲載したものです。
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