自分の可能性と限界を知る2週間――世界最先端の技術・企業・研究者に触れるリクルートのワークショップで、学生たちは何を得た?泣いた、笑った「2WEEKS アメリカ横断Workshop2014」

2014年3月、日本全国の大学生・大学院生を対象に、ワークショップ「2WEEKS アメリカ横断Workshop2014」(主催:リクルートホールディングス)が開催された。2週間の本ワークショップは、“テクノロジーの未来”に触れる「MIT Media Lab」(ボストン)や、“クリエイティブの未来”を体感するため映像クリエイティブ・ラボ「PARTY」およびVICE社(ニューヨーク)を訪問し、最後に最先端の技術で社会に貢献する“スタートアップの未来”を経験すべく、アクセラレーター「500 Startups」およびベンチャー企業(サンフランシスコ)をめぐるもの。世界トップレベルの人々と直に接し、これまで培ってきた知識と経験の“殻”を破る新たな学びの機会を提供する。最後の5日間では、現実のWebサービスをグロース(成長・飛躍)するための戦略をグループごとに提案してもらうグローサソンを開催。このワークショップ開催について、リクルートホールディングスでは「日本の学生は技術も知識も非常に豊富だが、グローバルに向けて自分をアピールする機会が少ない。そこで現在世界のトップレベルの人や企業と生で触れ合い、自分の知識や考えをオープンにすることで厳しいフィードバックを受け、今後の成長の糧にしてもらいたいと考えた」と述べている。同社の斬新な試みといえるこのワークショップに関し、実際の参加者は何を感じ、学んだのか。グローサソン優勝者の3人が語る。

» 2014年04月14日 10時00分 公開
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ネット業界の最先端に触れる機会はめったにない。このチャンスを絶対モノにしたかった。

―― 「2WEEKS アメリカ横断Workshop2014」に参加したきっかけは?

高橋 諒さん

高橋諒(高橋) 僕は就職活動でリクルートホールディングスにプレエントリーしており、その時に知りました。将来はデータサイエンティストという仕事に就きたいと思っているのですが、データ解析の世界が現実のビジネスとどのように結びついているのか良く分からないので、何かきっかけになればいいな、と。また、きちんと自分の頭で物事を考えられるようになりたいとも思って応募しました。

河合航平(河合) 僕は企画者から「こういうワークショップがあるよ」と紹介されたのがきっかけです。話を聞いてみると、MIT Media Lab(以下、MIT)や500 Startupsとか、一つ一つのコンテンツが僕に刺さるものだったんですよね。もう「絶対行きたい!」って思いました。

初鹿敏也(初鹿) 僕はFacebookのシェアがきっかけでこのプログラムを知りました。僕、ずっと映像制作をやってきたので、PARTYの川村真司さんにお会いしたかったんです。あと、世界的なVICEで映像を撮れる機会なんてそうそうないから、絶対モノにしたいと思いました。

河合 僕、ずっと「サンフランシスコで働きたい」と思っていたんですよ。サンフランシスコって、記事とか写真でしか見たことがなかったけど、500 Startupsの方と話したら、やっていることは日本のベンチャーとそんなに変わらないんですよね。どの企業も愚直なほどきちんと顧客と向き合っているし、チームを大切にしているし、ベーシックな部分は日本もアメリカも同じ。そのベーシックな部分を、自分の目で確かめられたことがよかった。

ビジネスの根幹は日本もアメリカも差はない。ただ最先端研究の環境や、創造力のモチベーションは明らかに違う!

―― なるほどね。ワークショップに参加して、新たな発見やギャップはありましたか?

初鹿敏也さん

河合 MITにはびっくりしました。日本の大学の理系の研究室といえば、机があるだけですが、MITはどこでもデモができるように、いろいろなガジェットや機器がそろっています。別の研究室の人が「これ何?」って聞いたら、その場ですぐデモや説明が始まります。日本だとクローズな環境なので、MITがとてもうらやましかったですね。ああいう環境なら、研究も楽しくなりそうな気がしましたね。

高橋 うん、あれはすごかったですね。他の研究室がどんな研究をしているか分かるように、全面鏡張りなんです。MITは、何かを開発してからそれを売り込むまでのプロセスを全て「研究」と捉えていて、所長の伊藤穰一さんもデモをとても重視しているということが分かる環境でした。

初鹿 MITで印象的だったのは、Buddy Cupのデモですね。デモというより、それを開発した人や創造モチベーションにショックを受けました。Buddy Cupは、アカウント情報が入ったチップを底に入れたカップを使って乾杯するとFacebookの友達になれるという仕組みなのですが、そもそも開発した人自身がとてもフレンドリーなんです。そんな仕組みを作らなくても、「お前なら誰とでも普通に友達になれるだろ」とツッコミを入れたくなるほど気さくな人でした。クリエイターは、「コンプレックスやマイナス部分を力に何かを創る」という人が多いし、実際自分もそのタイプなんです。でも彼は、プラスなことをもっとプラスにしようというパワーがモチベーションになっていて、それがとても衝撃でした。

2週間のワークショップで、180度視点が変わった、自身の限界を知った。

―― ワークショップ全体を通して、最も印象的だった出来事は何でしょう? 感動したこと、自身の限界を感じたことを教えてください。

河合航平さん

河合 僕は、ニューヨークで自分自身の力の無さに落胆しました。PARTYとVICE社の共同企画プログラムだったのですが、それまで映像企画経験が無かったので、全然自分の力を発揮できないまま終わったんですよ。でも初鹿くんは、話聞く前から「俺、できた!」って宣言して、自分ですぐ作ってしまって……。

初鹿 自分としては、考えていることをうまく言語化できず、もどかしい思いをすることも多かったんですけどね。

高橋 今回の参加者は皆とても個性的で、自分の頭でモノを考えるクリティカル・シンキング能力が高かったですね。僕は話を聞くとすぐ納得しちゃってそれ以上は浮かばないこともあるのですが、他のメンバーは話を理解した上で、自分の視点からいろいろな疑問を出してくるんですよ。僕はそういうスキルがまだまだなので、やっぱり悔しく思いました。

 ボストンでのアレックス・サンディ・ペントランド博士の講演も印象的でした。博士は「新しいアイデアやイノベーションは、データから証明できるはず」と考えて、実際に一国を巻き込むほどのビッグデータ解析をしていると話していました。自分のこれまでのアプローチと正反対なので、本当に新鮮で……。僕は「データは自分の作ったモデルの優位性を確かめるもの」と思っていましたが、博士は「データから新しい知見を得る」「データから仮説の正しさを証明する」というアプローチなので、自分の視点が180度変わるほどの衝撃を受けました。

河合 僕は、サンフランシスコで価値観がガラッと変わりました。それまで自分は、「実際に動くモノをどれだけ速く開発し、公開して、はやくユーザに触らせることでどう感じるかのフィードバックを得ることが重要」と思っていました。ところが、サンフランシスコでお会いした「AppSocially」の高橋雄介さんは、紙1枚の企画書で500 Startupsの厳しい審査をパスしたんです。そのことに、雷に打たれたようなショックを受けました。高橋さんはモノの後ろにいるカスタマーを見て、その人たちを巻き込んでいくアプローチで、自分なりのフレームワークにのっとって、自分の言葉でカスタマーの思いをかみ砕けるんですよね。カスタマー・デベロップメントという新たな価値観を得たことは、大きな成果でした。

初鹿 結局、“人”なのではないでしょうか。今回のワークショップの基礎となるリーンスタートアップの思想もそうですが、全ての後ろに存在するのは“人”です。データの奥にも、ユーザーエクスペリエンス・デザインの後ろにも人がいます。いろいろな人と会って、「何でそんなしぐさをするんだろう」「なぜそんな目の動きをするんだろう」と興味が湧いてきましたし、人を見て、何かを創りたいと思いました。

高橋 僕は、ビジネス分野の人々と交流を持てたことも大きな成果でした。サンフランシスコのスタートアップの方々とお会いして、みんなが環境変化に対して非常に柔軟性がある感性を持っていることに感動しました。正直な話、研究畑の人間だったので考えたこともなかったのですが、「カスタマーの視点からサービスを考えるのが大事」ということを、初めて実感できました。

初めて知ったチームの大切さ、異種分野融合の可能性。うれしかった。

ワークショップの様子 みんな楽しそう!

―― 最後にサンフランシスコで開催されたグローサソンでは、スタッフもびっくりするほどの集中力で、見事優勝を果たしましたね。その原動力は?

河合 僕はニューヨークでまったく自分の力を出せなかったので、サンフランシスコでは優勝したかったという思いがありました。それが原動力の1つです。また、ワークショップはサンフランシスコに照準を合わせたいうのもあります。ボストンとニューヨークでは、むしろ自分の興味の赴くままに、いろいろな施設や企業を見学し、「この機会だから、いろいろ見てやろう」とできるだけさまざまな経験をしたかったんです。

初鹿 最初は、ディスカッションやワークはかったるいと思っていましたが、そのうち、だんだんじらされてくる感じになりました(笑)。そしてワクワクして、ワークショップの時間が待ちきれなくなりました。

高橋 他のチームが4人組だったのに対し、僕たちは3人で、しかもデータサイエンティストは僕1人だったから「他のチームの2人分の働きを、僕ひとりでもやってみせる!」って燃えましたね。

―― グローサソンを経験して何か変化がありましたか?

初鹿 データ分野の人と組んで1つのものを創ったことがすごく新鮮でした。感性だけでは、「どのフォントやデザインがいいか」という判断が難しいけれど、データの視点で見ると、例えば「高齢者の人にはこのフォントがいい」とか判断できますよね。これからもデータ分野の人と組んで、何か創るチャンスがあればいいな、としみじみ思いました。僕は、何か作品を創るときはだいたい一人で、増えてもせいぜいペアでやってきたのですが、チームなら、特にこの3人なら、Aを聞いたらZまで分かるんじゃなく、α(アルファ)のかなたまで行っちゃうような気がしました。本当にワクワクする体験で、すごくうれしかったです。

河合 僕もチームをつくり上げることが好きなんだなと感じました。グローサソンでは微力ながらチームリーダーとしてプロジェクトを動かして、チームが成長した“瞬間”を感じたんです。あの瞬間は、一生、忘れたくない。これから何か新しいプロダクトやサービスを作るとき、今回みたいなチームを作りたいと思いました。次はゼロからグロースするサービス、それをやりたいですね。そして社会に対するインパクトを作りたい。目標は、コミュニケーションサービスを作ることです。

―― 次回このワークショップに参加する方に、メッセージをお願いします。

高橋 こういうワークショップに参加する人は、ビジネス感度の高い人も多いかもしれませんが、僕は逆に、何も分からない人こそ、得るものが大きいと思います。僕自身がWeb業界のことやビジネスのことを何も知らなかったけど、周りの人に刺激を受けて、あのまま日本にいるだけでは成し得なかった成長を遂げました。「分からないから行かない」ではなく「分からないからこそ参加する」のが大事だと思います。

河合 参加するなら、自分でどんどん吸収していって欲しいですね。実は僕、ワークショップに参加する前にいろいろな悩みがあって、何となく行き詰まりを感じていたんですけど、ワークショップに参加するうちにいろんなものがほどけていって、最後の1週間は信じられないほど集中できました。最後の晩餐の席では、思わず号泣しちゃったんですよね。なぜかは分からないのですが、これに参加して限界を超えて頑張れて……。それで、自分のこれまでの価値観や大切にしたい思いを見つけられたんです。一歩踏み出せない人ほど、参加してほしいですね。

高橋 スタッフも、いろいろな知識や経験が豊富で、「すごいな、リクルート!」って感じでしたね。

初鹿 うん、変わろうとしている動きがあって、実際に変化していると実感しました。

河合 「営業力の会社」というイメージでしたが、実際はユニークな人が多いですね。変わったアイデアや哲学を持っている人がたくさんいて、実際そういう人が重要な役職に就いています。そういうのを見ていると、「この会社、次に何をやるんだろう」ってワクワクしますね。そのワクワクを、いい方向に裏切ることをやるんでしょうね。

お揃いのパーカーを着て、レッツ スマイル!

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提供:株式会社リクルートホールディングス
アイティメディア営業企画/制作:@IT自分戦略研究所 編集部/掲載内容有効期限:2014年5月13日

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