デルの最新サーバーPowerEdge 13Gシリーズ第1弾は「ただものではない」「第3のプラットフォーム」に向けた課題を解決

デルは、9月9日にPowerEdgeの第13世代(13G)製品4機種の販売を開始した。インテルの最新CPUを搭載するとともに、サーバーに関する企業の課題を解決するためのさまざまな機能強化を行っている。ポイントは、今後の「第3のプラットフォーム」の進展に備えるべく、拡張性、サーバー管理、アプリ高速化を、ただものではないレベルにまで高めていることだ。

» 2014年10月17日 10時00分 公開
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「第3のプラットフォーム」に向けた企業の課題

 サーバーの世界では、常に技術革新が進められている。昨今では、ビジネスニーズの多様化やワークロードの進化により、インフラの柔軟性向上が必要になってきた。また、従来に比べ幅広い分野における仮想化の普及や、クラウドなどの従来と異なるIT投資の活発化が見られる。もちろん、コスト削減はITにおける継続的な課題である。

 デルは顧客企業の声に基づいて、サーバーの技術革新を常にリードしてきたが、グローバルで8000社におよぶ企業から具体的な課題を聞いたところ、以下のような、満たされないニーズがあることが分かった。

  • アプリケーションの遅延を何とかしたい
  • 大量のクライアントが自社Webサイトに同時アクセスするため、サイトの表示が遅く「7秒ルール」を守れない
  • 無数のセンサー、IoT(Internet of Things)デバイスからのアクセスに対応した新システムを構築したい
  • Microsoft Exchangeのメールボックスサイズに制限があり メールフォルダーがすぐに一杯になる
  • ビデオデータ、画像データなど、大量のビッグデータを安価に蓄積したい
  • メニーコアプロセッサーを活用し、高速解析を行いたい
  • セキュリティーの観点から、医療画像や3D CAD/CAEデータのグラフィック仮想化を導入したい
  • VDI(仮想デスクトップ)を導入したが、ユーザーのアクセスが同時刻に殺到し、ブートストームなどでシステムがパンクする
  • 現場サーバーの管理のために、PCをいちいちLAN経由でサーバーに接続しなければならないため手間が掛かる
  • 通常のサーバールームより過酷な環境(外気冷却、高温環境など)でサーバーを運用する必要がある

 これらは、総じて調査会社IDCのいう「第3のプラットフォーム」(クラウド、モバイル、ソーシャル、ビッグデータを軸としたITのパラダイムシフト)の進展に伴い、今後ますます深刻化していくことが考えられる。

 これらの課題を解決するための最新モデルが、Dell PowerEdge 13Gサーバーである。第1弾として9月9日に販売を開始したのは、小規模データセンター向けの高密度1Uサーバー「PowerEdge R630」、高拡張性が特長の2Uラックサーバー「PowerEdge R730/R730xd」、そしてスモールビジネスやリモートオフィス向けのタワー型サーバー「PowerEdge T630」の4機種だ。いずれも、「拡張がよりスマートに」「管理がより簡単に」「最新技術でアプリをより速く」の3つのポイントを押さえている。

「拡張がよりスマートに」「管理がより簡単に」「最新技術でアプリをより速く」が新製品の特徴

拡張がよりスマートに

 拡張性を実現するのは高集積の高密度サーバーだ。新製品では、技術進歩によりストレージ容量が大幅に増大した。28本のドライブを搭載可能なR730xdでは、2Uサーバーで何と100TBという高密度を実現している。高密度サーバーにより大規模Exchange Serverの運用が可能になり、メールフォルダがすぐに一杯になるといった問題は解決できる。

PowerEdge R730xd

 またR730xdでは、SSDとハードディスクを組み合わせたハイブリッドストレージの構成により、ストレージ階層化のニーズに応えるのも特長だ。1.8インチのSATA SSDを18本と、3.5インチの HDDを8本という組み合わせが可能で、スタンドアロンデータベースなど、フラッシュと大容量ローカルストレージを組み合わせる必要のあるワークロードに最適な設計となっている。SanDisk DAS Cacheというソフトウェアを利用すれば、SSDをキャッシュ層としてアクセス頻度の高いデータを自動的に配置し、HDDはストレージ層としてアクセスのスピードをそれほど必要としないデータを保存するといった使い方が可能だ。これにより、OLTP性能が向上してトランザクションを10倍高速化できるケースもあるほか、同時アクセスで負荷が高くなるVDI環境の性能問題へのソリューションにもなる。

 インフラストラクチャの柔軟性を実現するのはソフトウェアデファインドという手法だ。仮想化をベースにし、ソフトウェア定義することで物理的な筐体のしばりから解放される。サーバーやネットワークの分野で取り組みが進んできたが、最近ではストレージでもSDS(Software Defined Storage、ソフト定義型ストレージ)という言葉が聞かれるようになった。PowerEdge 13Gでは、VMware Virtual SAN、Microsoft Storage Space、Cephなど多様なテクノロジーのサポートを強化し、SDSを実現する。これにより、ジャストインタイムのプロビジョニング、ディスク使用率の向上、高可用性、マルチテナントサポートを提供する。

管理がより簡単に

 企業においてIT分野のOPEX(運用コスト)やCAPEX(資本コスト)の抑制は引き続き課題だ。サーバー管理は台数が増えるほど運用負荷が増え、手間が掛かるだけでなく、ミスにも繋がる。サーバー管理にはリモートと現場での管理があるが、グローバルではリモートが40%、現場管理が60%といわれている。日本では、グローバルよりもさらに現場での管理が多いだろう。そこでPowerEdge 13Gでは、現場での管理のための機能を特に強化した。

 PowerEdgeでは、1対1の管理にはiDRAC、1対多の管理にはOpenManage Essentialsという機能を使用するが、13GではiDRACの新しい技術が2つある。1つめは「iDRAC Quick Sync」。これは、NFC(Near Field communication:近距離無線通信)を利用して、Androidの携帯端末をかざすだけでサーバーのログなどを取得できる機能だ。利用のためには、iDRAC Quick Sync対応ベゼル(前面パネル)をラックに搭載し、Android端末でGoogle Playから対応アプリをダウンロードする。端末をサーバーにかざすだけで、そのサーバーの情報を見られるため、LAN経由でIPアドレスを指定してから情報取得する従来の方法と比べると約70%程度の時間短縮が可能になる。また、どのサーバーの情報かは一目瞭然であるため、勘違いによるミスもなくなる。

 もう1つは「iDRAC Direct」。サーバーの設定ファイルをUSBメモリに入れ、それをサーバーに挿していくことで自動セットアップする機能だ。これも、LAN経由で1台ずつ設定していくのに比べると、格段に時間を短縮できる。また、管理や診断は、ノートパソコンをUSBケーブルで直接サーバーに繋いで行うことができる。iDRACでは障害通知の機能も強化されている。

 その他、多数のサーバーに一気に設定ファイルを展開する機能として「Zero Touch」がある。iDRACの設定ファイルやBIOS、RAIDなどの設定を一括で、複数のサーバーに自動展開できる。同じ構成のサーバーを大量にセットアップする場合、手動で構成するのに比べ、導入時間が1/10に短縮され、入力ミスも防げるのがメリットだ。

 サーバーを設置する環境の制限が緩められているのも、運用管理性大きなメリットをもたらす。PowerEdgeの動作保証温度は、これまで10〜35℃だった。それが13Gでは5〜40℃に拡張されている。このため、外気冷却を使ったデータセンターでも利用がしやすくなっている。また、年間の運用時間の約1%である85時間までならば、−5〜+45℃での運用が可能となった。例えば店舗などでサーバーが設置される場所は、高温になることも多い。こうした良好とはいえない環境でも、誤動作が起こりにくくなる。また、携帯基地局など、通常は人間がいないような場所での使用もしやすくなる。これは、米国ネット企業のデータセンターへの納入経験などからノウハウを得たもので、デルは「Fresh Air 2.0」と呼んでいる。

最新技術でアプリを速く

 パフォーマンス向上のためには、フラッシュの最新技術を活用している。アプリケーションのパフォーマンスを向上させるためのコスト効率に優れる方法は、ハードディスクとSSDを組み合わせるというものだ。頻繁にアクセスするデータをリードの速いSSDに置いて、高速化を図るのである。しかし、SSDのアクセスもハードディスクを前提に設計されたコントローラーを経由するため、最終的には転送速度がボトルネックとなって高速なSSDの特性を生かせないケースが出てきた。そこで、標準化団体によりPCI ExpressベースでSSDの高速性を生かすための規格として策定されたのがNVMeである。そのNVMeに対応した「Express Flash NVMe PCIe SSD」が、R630、R730xd、T630で最大4台まで搭載できる。これは前面からアクセスが可能で、管理性にも優れている。

 また、R630では1.8インチのSSDをいち早くサポートした。1Uシャーシに24個のSSDを搭載できる。業界最高密度のオールフラッシュ構成でI/O性能を高速化し、Microsoft SQL ServerやOracle RACなどの環境に最適だ。また、データI/Oボトルネックを解消するためサーバー使用率を向上でき、バックエンドストレージを性能ではなく容量重視で活用することができる。

PowerEdge R630

 フラッシュのプール化/階層化によるシステム高速化の技術としては、複数サーバー上のフラッシュメモリを共有プール化する「Dell Fluid Cache for SAN」が以前からあった。デルのSANストレージ「Compellent SC8000」との連係で利用する技術である。この機能が強化され、デルによれば、新13Gサーバで「Dell Fluid Cache for SAN」を使った場合、使用しない場合に比べて毎秒当たり4倍のトランザクション処理を行うことが可能になったという。また、サンディスクとデルの協業の中で13Gサーバーでリリースされた新たな技術が「SanDisk DAS Cache」である。SSDをサーバー内蔵フラッシュあるいは外付けDASと組み合わせて高速化するサーバーキャッシングソリューションで、ERPやファイルサーバーなど、遅延の影響を受けやすいワークロードの処理を高速化する。

 もちろん、インテルのアップデートに伴った新製品であり、新CPUと新メモリを搭載している。Intel® Xeon® Processor E5-2600 v3は最大18コアをサポート、メニーコアプロセッサーとVDI環境を実現するGPUカードもサポートする。

13Gのポートフォリオは今後さらに拡充

 「拡張がよりスマートに」「管理がより簡単に」「最新技術でアプリをより速く」の3つのポイントで機能強化されたPowerEdge 13Gは、スモールビジネスから超大規模データセンターまで、さまざまなニーズに応える製品を用意している。

PowerEdgeに強力な新製品が加わった

 今回紹介した4機種は第1弾として9月に発表されたが、今後、スマートなシステム拡張を実現していくために、さらに新製品を市場に投入することが予定されている。また、物理的な共有ストレージを持たずサーバーの内蔵ディスクを利用するハイパーコンバージドインフラストラクチャへの取り組みが進んでいく。

 「ただものではない」デルのPowerEdge 13Gシリーズには、ますます期待が高まらざるを得ない。

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提供:デル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2014年11月16日

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