ヴイエムウェアの「vCloud Air」って、どんなクラウドサービス?「明日から使える」はウソじゃない

ヴイエムウェアが、待望のクラウドサービス「VMware vCloud Air」を、日本でとうとう提供開始した。このサービスには、一般的なパブリッククラウドサービスと異なる、一般企業のクラウドに関する不安を積極的に解消してしまう、さまざまな特徴がある。

» 2014年11月06日 10時00分 公開
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 ヴイエムウェアがクラウドサービス「VMware vCloud Air」(以下、vCloud Air)を日本で提供開始した。このサービスは、一言でいうとどのようなものなのか。ヴイエムウェア ハイブリッドクラウドサービス本部 本部長の巨勢泰宏氏は、「トレードオフに悩むことなく明日から使えるサービスです」と表現する。

ヴイエムウェア ハイブリッドクラウドサービス本部 本部長の巨勢泰宏氏

 一般企業は、IaaSと呼ばれるインフラレベルのクラウドサービスをどのように活用していくか。その答えは企業によって異なるし、同じ企業でも時と場合によって異なる。

 ある企業は、当面、一部のアプリケーションの事業継続や災害対策(BCP/DR)のためだけにクラウドサービスを用いたいと考えるかもしれない。別の企業は、できるだけ早期に多くの既存アプリケーションやデータをクラウドサービスに移行することを考えるかもしれない。また別の企業は、一部のより重要度の低いアプリケーションやデータをクラウドサービスに移して、様子を見たいと考えるかもしれない。クラウドサービスへの移行を積極的に進めた後で、ある時点で何らかの理由により一部のアプリケーションやデータを社内に戻したいと考えるかもしれない。

 一般企業にとってのクラウドサービスは、以上のように多様で、時とともに変化するITニーズに無理なく適応し、将来にわたって幅広い選択肢を提供し続けられるものでなければならない。ほとんどの企業は、少なくとも一部のアプリケーションを社内で運用し続けることになるため、いわゆるハイブリッドクラウド環境にならざるを得ない。クラウドサービスは、こうした環境を積極的に支援できなければならない。

 一部のクラウドサービス事業者は、「可用性はアプリケーションで確保しなければならない」とか、「仮想マシンの運用の仕方を根本的に変えるべきだ」などと、サービス事業者側の都合を利用者に押し付けようとする。アプリケーションを修正する作業には、時間とコストが掛かる。社内で運用し続けるアプリケーションとは別に、クラウドサービスのために新たな運用体制を確立するのも、大きな負担だ。特定のクラウドサービスのためのアプリケーション修正や運用体制の確立は、そのサービスの事業者にロックインされるということでもある。

 一般企業は、IT資産をできるだけ所有したくないとか、クラウドサービスの即時性やコスト効率を生かしたいと望むだけなのに、上記のような犠牲を払わなければならないというのは、本末転倒ではないのか。こうした矛盾やトレードオフを解消するために生まれたのが、vCloud Airだ。

クラウド事業者に合わせる必要はない

 「vCloud Airは、仮想化ソフトウェア市場で約8割のマーケットシェアを持つヴイエムウェアが、責任を持ってお届けするサービスです。VMware vSphereをお使いのお客さまは、社内のインフラと全く同じようにお使いいただけます」(巨勢氏)。

既存、新規を問わず、アプリケーションを社内とクラウドサービスで共通の管理、サポート体制の下で運用できる

 「アプリケーションで可用性を確保しろ」というのは、利用者の視点で考えれば、そのクラウドサービスが十分なインフラサービスを提供できる設計になっていないということだ。ヴイエムウェアの仮想化ソフトウェア「VMware vSphere」を基盤とするvCloud Airでは、仮想化に対する不安を払しょくしてきたvSphereの豊富な可用性向上機能、リソース運用自動化機能を積極的に活用し、安定したインフラサービスを提供している。

 突然、物理サーバーの障害が発生したとしても、vSphere HAが自動的に別のサーバーで仮想マシンを再起動するため、ダウンタイムは最小限で済む。このフェイルオーバーのために追加料金や複雑な設定は不要だ。フェイルオーバー時には、MACアドレス/IPアドレスは自動的に引き継がれるようになっている。アプリケーションに対して透過的でありながら、その安定的な運用を積極的に支援するインフラサービスが提供されるのだ。

 vCloud Airにおける物理サーバーのメンテナンスや仮想化環境のパッチ当ては、vSphere vMotionを使って実施するため、計画停止は発生しない。ダウンタイムゼロだ。

 可用性とともに企業がクラウドサービス利用で気にするのは、パフォーマンスだ。vCloud Airでは、「vSphere Distributed Resource Scheduler (DRS)」機能を用い、特定の物理サーバーのリソースが枯渇しそうになると、その物理サーバー上で動いている仮想マシンを他の物理サーバーへ自動的に移動する。これによって、安定的な性能を期待できることになる。

 これらのvSphere HA, vSphere vMotion, vSphere DRSの機能は、基本サービスとして提供され、vCloud Air側で設定・管理されている。利用者は、意識せずに堅牢性・高可用性を得ることになる。

 vCloud Airは社内でまだVMware vSphereを使っていない企業でも、Webにさえアクセスできれば利用できるようになっており、インテリジェントなインフラサービスのメリットを享受できる。

 すでにVMware vSphereを活用している企業にとっては、さらに大きなメリットがある。社内ITインフラとの統合的な運用だ。VMware vSphereの管理コンソールを提供する「vSphere Web Client」というツールで、vCloud Airをあたかも自社のデータセンターの延長であるかのように、社内環境とともに管理できる。利用者は、今までと変わらない設計と管理ができるので、何か特別なことを学ぶ必要はない。彼らは、すぐにこのパブリッククラウドを使うことができる。

 日本国内における仮想化ソフトウェア市場で、ヴイエムウェアが8割のシェアを握っているということは、日本の企業の大部分が、VMware vSphereの価値を認めていることを意味する。この価値を、利用に専念できるクラウドサービスとして提供し、一般企業におけるクラウドサービス利用の敷居を引き下げるのが、vCloud Airだ。

仮想サーバーでなく、ITリソースを使ってもらうという発想

 vCloud Airの料金体系は、仮想サーバー(仮想インスタンス)単位ではない。仮想CPU性能、メインメモリ量、仮想ディスク容量の3つで構成される「リソースプール」(ITリソースの塊)を、月額課金で利用するようになっている。

 この課金モデルには、少なくとも2つの大きなメリットがある。

 1つ目は、仮想インスタンスタイプの選択で悩む必要がないということにある。アプリケーションによっては、例えばCPU性能はそれほど要らないが、メモリは大量に利用するものがある。こうした個々のアプリケーションのニーズに合わせ、仮想CPU性能、メインメモリ量、仮想ディスク容量を、リソースプールから自由に切り出して使えるようになっている。このため、仮想インスタンスタイプが多数存在するため、選択に迷うとか、オーバースペックな仮想インスタンスタイプの選択を余儀なくされるといった無駄が発生しない。

 2つ目は上記の仮想インスタンスの構成を、後でいつでも自由に変更できるという点だ。vCloud Airでは、いったん稼働を開始したアプリケーションであっても、その仮想インスタンスを止めることなく、仮想CPU性能、メインメモリ量、仮想ディスク容量のいずれについても、任意に増減できる。このため、仮想インスタンスのサイジングで失敗するということがない。あるアプリケーションを稼働してみると、事前の予想に反して負荷が低かったという場合には、いつでも仮想CPU性能、メインメモリ量、仮想ディスク容量のいずれかを減らせる。月末や年度末など、特定の時期だけ負荷が高いことが分かっているなら、その時だけスペックを強化するといった運用が可能だ。

vCloud Airは、どう使われていくか

 vCloud Airは、2013年第4四半期より欧米で提供されてきた。この実績を基に、巨勢氏はユーザー企業がvCloud Airを利用するきっかけとして、下記を挙げる。

  1. 開発・テスト
  2. オンプレミス環境のクラウドへの移行
  3. 災害復旧(DR)
  4. 国際的な地域拡散型のアプリケーション

 vCloud Airは、特に災害復旧で、興味深いサービスメニュー「vCloud Air Disaster Recovery(災害対策サービス)」を提供している。一言でいえば、幅広いアプリケーションの災害対策を、低コストで迅速に実現するサービスだ。

 ヴイエムウェアは災害復旧製品として「vCenter Site Recovery Manager(SRM)」を提供してきた。これは複雑な業務システムに要求されるきめ細かな復旧作業を、大幅に自動化するツールだ。だが、2つのデータセンター拠点を運用する必要があり、多くの場合は同一の商用ストレージ製品を2拠点に設置して使わなければならない。どうしてもコストが高くなってしまう。従って、この製品で保護する業務システムは、非常に重要な基幹系のシステムに限定されてしまうケースが多い。

 このうち特にvCloud Air Disaster Recoveryは、上記のような災害復旧に関する考え方を大きく変える、画期的なサービスメニューだ。

 バックアップデータセンターの構築は不要。商用ストレージ製品を対向で使う必要もない。SRMのライセンスも要らない。ユーザー企業はこのサービスを有効にし、保護したい社内の仮想インスタンスを指定することで、即座に災害時の復旧が実現できる。これにより、重要な業務システムであっても災害復旧対策のための予算が下りないとか、少数のシステムしか保護できないといった、多くの企業が抱える問題を解決できる。VMware vSphereユーザーなら、準備作業は最低限で済む。

クラウドを活用して、DRを効率的に構築できる

 vCloud Airでは、今後も多様なサービスメニューが登場する予定だ。そのなかには仮想インスタンスのバックアップサービス、非構造化データを大量に保管できるオブジェクトストレージサービス、社内IT環境の運用を高度化できるツールをクラウドサービスとして使えるサービス、仮想デスクトップサービス、データベースサービス、モバイル端末管理サービス/モバイルアプリケーション開発支援サービスなどだ。業務アプリケーションベンダーとの提携により、アプリケーションレベルのサービスも、今後急速に拡大していくという。

安心できなければ、クラウドサービスじゃない

 一般企業は、ITベンチャー企業とは異なる。多数存在する既存の業務システムを、特定のクラウドサービス事業者の仕組みに合わせて修正するとか、運用体制を大幅に変更するといったことはあり得ない。

 上記のサービス機能に加え、ヴイエムウェアでは当社の認定リセラーであるシステムインテグレーターがvCloud Airを再販し、社内の仮想化環境と合わせてサポートを提供できるようにしている。「クラウドサービスを利用するに当たって、信頼できるシステムインテグレーターがいない」といった声もよく聞かれるが、こうした点でもクラウド利用の不安を軽減している。

 vCloud Airはユーザー企業に犠牲を強いることのない、クラウドらしいクラウドサービスだ。冒頭に引用した巨勢氏の「明日から使えるサービス」という言葉は、このことを意味している。

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提供:ヴイエムウェア株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2014年12月5日

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