派遣社員でも、正社員でも、最初から理想の仕事に巡り合えるとは限らない理想に出会えた13社目

新卒時からやりたい仕事が明確に分かっている人は実は少ないのではないだろうか。いろいろな職場や仕事を経験し、その先に理想の仕事を見付ける。そんな働き方も世の中にはある。

» 2015年06月25日 10時00分 公開
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 「理想の仕事」は人それぞれだが、最初からその「理想」に出会える人は少ない。

 エンジニア歴約20年の谷川れいさんは、一度派遣社員から正社員になるも、再び派遣社員に戻り、13社目にして理想の仕事に出会ったという。

 「仕事がつまらない」「自分に向いていない」と考えている人は、谷川さんがいかにして理想の仕事に巡り会えたのかを参考にしてはいかがだろうか。

派遣でスタートしたプログラマーへの道

谷川れいさん

 谷川さんは三重県の出身。学校を卒業する前に、家業である進学塾とパソコンスクールを継がねばならなくなり、1996年から2年間にわたり、小学生向けの算数、中高生向けの数学、そして一般向けのプログラミングの講師を務めた。

 その後ご兄弟が家業を継ぐことになり、1998年に就職のため東京へ。なぜ東京だったのか、谷川さんはその理由をこう語ってくれた。

 「ゲームプログラマーになりたいと思っていたのですが、就職する方法が分からず、ゲーム会社が集まる東京に出たらチャンスがあるのではないかと思い、上京しました」

 とはいえ、そもそも就職したことがない谷川さんは、どのように就職活動をすればよいかも分からず、まずは人材派遣会社に登録した。それが、リクルートスタッフィングの前身であるリクルートシーズスタッフ(1999年7月にリクルートスタッフィングに社名変更)だった。

 当時はリクルートシーズスタッフがプログラマーの派遣にも力を入れていこうとしていた時期でもあり、谷川さんの登録はお互いにとって絶好のタイミングだった。

 「こんな仕事があります」と谷川さんに提示されたのは、ゼネコン系列企業のソフトウエア開発の仕事だった。ゲームプログラミングではなかったものの、実務未経験にもかかわらずプログラマーデビューすることになった。

 以降、谷川さんが就業することになる13社のうち、実に10社の仕事がリクルートスタッフィングからの紹介であり、確実に経験を積んでいった。

一度正社員になるも、再び派遣社員へ

 1社目で働き始めてから数カ月後、谷川さんは派遣先の会社から正社員にならないかと誘われる。

 プログラミングの仕事が気に入っていたし、安定性という魅力もあり、正社員として働くことにした。「その時は、ラッキーという感じ」だったという。

 しかし、正社員として働いていくうちに、いくつかの困難に直面する。その一つは、上司が作成する設計書通りにプログラムを作成しても失敗しがちなことだった。

 「上司の設計能力が特別劣っていたということではありません。その会社では、コードを書かずにいきなりSEになる人も多く、どこに問題があるのか設計した本人にも分からないということは珍しくありませんでした」

 当時は谷川さんも設計の知識がなかったため、問題点を正すことができなかった。作っては失敗、作っては失敗の繰り返しが続き、次第に疲弊していった。

 趣味の柔道に時間が割けなくなったことも、計算違いだった。谷川さんは高校時代から柔道を始め、社会人になってからも週に2回は道場に通い、年に4〜5回は大会に出場している柔道家の側面も持つ。

 このままでは生産性がいつまでも向上しない上に、大好きな柔道もできないと考え、5年ほど勤めた後、退職した。

 そして谷川さんは、再び派遣社員に戻った。

上流工程よりも技術を生かしたい

 谷川さんはその後2012年12月まで、数カ月から2年程度のスパンで12社の派遣先を経験した。幾つかの派遣先からは、またしても「正社員にならないか?」という誘いもあったそうだ。

 しかしいずれも辞退し、派遣で働き続けることを選んだという。

 「自分に合った理想的な職場を探していたのかもしれません。正直、心が動きかけた派遣先もありましたし、新しいことに取り組んでいる会社にはワクワクして魅力を感じたこともありました」

 派遣先が変わるたびに、新たなプログラミング言語やデータベースなどの知識習得にも励んだ。業務用システム開発の主流が、C/S型からWebアプリケーションに移行していった時期でもあった。谷川さんが扱う言語はBasicやVBからASPやPHPに、最近はJavaScriptやRuby on Railsへと変化した。

 プロジェクトによっては設計フェーズや要件定義フェーズなどの上流工程を手掛けることが増え、仕事の幅も次第に広がっていった。そんなこともあり、2009年から従事した人生通算11社目の派遣先では、ユーザーからのヒアリングやベンダーとの仕様調整、受け入れ試験などの上流工程が中心となった。

 「自分で手を動かさずにシステムができ上がっていくのは、それはそれで楽しかったのですが、自分には向いていないかもしれないと感じました」

 谷川さんは「仕様を練りコードを工夫して、困難なことを実現しているという自負があった」という。その部分をベンダー任せにしてしまうことに歯がゆい思いを覚えたのは当然かもしれない。

 それでも2年半にわたり11社目の派遣先で経験を積んで、2011年から12社目へ。そこでは環境の構築からSNSサイトの開発まで、一手に引き受けた。

理想に出会えた13社目

 そして2013年、谷川さんは通算13社目で理想的ともいえる仕事に出会う。

 その派遣先は、ネットオークションやネットショッピング、モバイルゲームなど、幅広いビジネスを展開し、成長中の大手IT企業だった。

 谷川さんの仕事は、その企業のバックオフィスを支える業務システムの全面リニューアルプロジェクト。社内の売上管理やプロジェクト管理のシステムをグローバルで統一するためのもので、規模も大きい。

 「バックオフィスのシステム開発はこれまでにも数多く手掛けてきましたが、システムの開発にとどまらず、ユーザーの業務改善をシステムレベルから提案できるところが気に入っています」と、仕事の魅力を語ってくれた。

 職場環境や開発体制も理想的だ。

 壁一面がホワイトボードになっていて、思いつくままアイデアを書きとめられる。開発スタッフたちは一様に頭の回転が速く、技術的なアイデアも打てば響くように伝わる。

 意見が対立することもある。「みんな真剣で主張も強いので、ケンカになることもあります」とのことだが、あくまでも技術論での白熱した議論。そこがまた良い刺激になるのだという。今まで経験してきた職場でこれほど活発に技術的な意見交換をしたことがなかったこともあり、谷川さんは毎日が楽しくて仕方がない。

理想の仕事に巡り合うチャンスを広げる

 長年派遣社員として働いてきた谷川さんに、派遣という働き方を検討している人たちへのアドバイスをもらった。まず「就職活動中の学生に派遣という働き方を勧めるか」という問いを投げ掛けたところ、消極的な答えが返ってきた。

 「社会人のスタートを派遣社員からというのはあまりお勧めしません。派遣社員は即戦力としての能力を期待されるので、まずは正社員として最低限の社会人スキルを身に付けた方が、その先の選択肢が広がると思います」

 では、すでに社会人経験がある程度あって、転職を考えている人はどうだろうか?

 「転職を考えているならば、派遣社員として外の世界の価値観を知るのは良い経験かもしれません。その経験は次の転職先でも生かせるはずです」

 さらに、自分の理想とする仕事のイメージが固まっているなら、派遣という働き方は「あり」だという。

 「誰しも最初から理想の仕事に就けるわけではありません。それは正社員であっても派遣社員であっても同じことです。それならば、いろいろな仕事を経験したり、いろいろな職場で働いたりできる派遣というスタイルだったら、理想の仕事に巡り合うチャンスが広がるのではないでしょうか」

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提供:株式会社リクルートスタッフィング
アイティメディア営業企画/制作:@IT自分戦略研究所 編集部/掲載内容有効期限:2015年7月24日

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