レノボ・ジャパンの「ThinkServer」シリーズのエントリーモデル「ThinkServer TS140」は、省スペース、静音設計でありながら、エンタープライズクラスの性能と信頼性、管理性を併せ持つタワー型サーバーです。その実力を@IT編集部が独自に検証しました。
レノボ・ジャパン(以下、レノボ)の「ThinkServer TS140」は、デスクトップPCクラスの省スペースな筐体と導入コストで、エンタープライズクラスのサーバー機能を実現するタワー型サーバーです(写真1)。
ThinkServer TS140は、4コア/8スレッドのインテル® Xeon® プロセッサー E3 ファミリー、または2コア/4スレッドのインテル® Core™ i3 プロセッサー ファミリーを1基と、信頼性の高いECCメモリを標準で4GB搭載し、最大32GB(8GB×4枚)まで搭載することができます。
幅175×奥行き431×高さ375ミリの筐体内には、3.5インチのSATAディスクを4基まで搭載可能で、最大16TBの大容量ストレージを提供できます。
また、RAIDコントローラーをオンボードに搭載しており、RAID 0/1/5/10のストレージでデータ保護とI/Oスループット向上を実現しています。ポート類はUSB 3.0×6ポート(前面2ポート、背面4ポート)、USB 2.0×2ポート、VGA×1ポート、ディスプレイポート×2ポート、ギガビットイーサネット×1ポートを備えています。
以上のように、ThinkServer TS140は高い性能と拡張性を提供しながら、優れた静音設計も施されています。筐体内部にはプロセッサー、電源、前面と背面の4箇所にファンを備えていますが(最小構成時)、電源投入時を含め、稼働時の振動や動作音は全く感じさせません。筐体内部には大きな空間が確保されているため、微弱なエアフローでもしっかりと冷却できているのでしょう(写真2)。
レノボの計測によると、ThinkServer TS140の稼働音は26デシベル程度。郊外の深夜の静けさや、ささやき声で30デシベルとされているので、静かなオフィスのデスクサイドに設置したとしても、電源のLEDランプを確認しないと、稼働していることに気が付かないかもしれません(図1)。
ThinkServer TS140には「Windows Server 2012/2012 R2プリインストールモデル」と「OSなしモデル」が用意されています。Windows Server 2012/2012 R2は、自社の要件に合わせて複数のエディションから選択することができます。
また、OSなしモデルを選択した場合でも、付属の「ThinkServer EasyStartupプログラム」を使用することで、RAIDのセットアップとWindows Serverおよび主要なLinuxディストリビューションのインストール、ドライバーのインストールをスムーズに行えるようになっています(画面1)。
サポートは「1年間 オンサイト翌営業日対応修理」と「3年間 オンサイト翌営業日対応修理」がそれぞれ標準で付属するモデルがあります。万が一、トラブルが発生しても迅速な対応を受けることができます。
ThinkServer TS140は多くのハイエンドサーバーに標準搭載されているベースボード管理コントローラー(BMC)は搭載していませんが、インテル® Xeon® プロセッサー搭載モデルのThinkServer TS140は最新の「Intel AMT(Intel Active Management Technology)9.0」に対応しています。
Intel AMTはサーバーの電源オン/オフ状態に関係なく、リモートからさまざまな管理機能へのアクセスを提供します。この機能を利用すれば、専任のITスタッフがいないリモート拠点に設置したサーバーのトラブルシューティングのために、現場に出向く必要性は大きく減るでしょう。
Intel AMT標準のWebユーザーインターフェースでは、サーバーの電源状態(オン/オフ)やハードウエアコンポーネントのインベントリ情報、ハードウエアレベルで収集されるイベントログ/監査ログにアクセスしたり、リモートからの電源オン/オフや再起動を実行したりできます。
Intel AMT対応のユーティリティ(例えば、Intel Manageability Developer Tool Kit(無償)のIntel Manageability Commander Toolなど)を使用すれば、リモートからBIOSセットアップユーティリティを起動して、BIOS設定を参照したり、変更したりすることもできます(画面2)。
ThinkServer TS140の小さな筐体や、筐体内部へのアクセスの容易性を考えると、オフィスやリモート拠点に設置するサーバーとしては、物理的な不正アクセスや盗難が心配になるかもしれません。筐体内部へのアクセスや筐体ごとの盗難に対しては鍵付きのケーブルでロックすることも可能ですが、ThinkServer TS140のハードウエアに標準で組み込まれたセキュリティ機能により、さらに強固なシステムおよびデータの保護が可能になります。
ThinkServer TS140は、セキュリティチップ「トラステッドプラットフォームモジュール(TPM)1.2」を搭載しています。このTPMとUEFIセキュアブートに、「BitLockerドライブ暗号化」をはじめとするWindows Serverが備える高度なセキュリティ機能を組み合わせることで、システムの起動プロセスを悪意のあるソフトウエアから保護し、ボリュームの暗号化でディスクからの情報漏えいを防止することができます(画面3)。
個人情報保護法案に続き、2016年からは「マイナンバー制度」が施行されることで、ビジネスの規模を問わず、データ保護の重要性がさらに増します。これら重要なデータを扱うサーバーには、ハードウエアを含めた多重のセキュリティ対策が求められます。
@ITでは、ThinkServer TS140の基本性能を検証するために、Windows Server 2012 R2の「BitLockerドライブ暗号化」機能によるファイルI/O性能への影響を検証しました。
BitLockerドライブ暗号化で暗号化されたドライブは、ユーザーやアプリケーションからは通常のファイルシステムと全く同じように読み込み/書き込みができますが、データは全てディスク上で暗号化されて保存されています。ディスク上の暗号化されたデータは、Windows Server OSのカーネルレベルで読み取り時に複合、書き込み時に暗号化されるため、少なからず処理のオーバーヘッドが発生することになります。
今回のThinkServer TS140の検証に使用したツールは、マイクロソフトが無償提供しているストレージテストツール「DISKSPD」です。このストレージテストツールを使用すると、WindowsファイルサーバーやSQL Serverといった、さまざまな種類のI/O負荷の常用状態をシミュレートしてファイルのI/O性能を計測することができます。また、ストレージのI/O性能に加えて、プロセッサーの使用率も計測できます。
今回の検証では、ThinkServer TS140の「ベーシックパッケージ」(インテル® Core™ i3-4150 プロセッサー 3.50GHz、4GBメモリ、500GB SATAハードディスク)を使用し、以下のようなコマンドラインを実行して、CドライブのBitLockerドライブ暗号化の前後でストレージの性能を計測しました(画面4、画面5)。
Diskspd.exe -b8K -d60 -h -L -o2 -t4 -r -w30 -c100M C:¥test¥io.dat
上記のコマンド例は、「ブロックサイズ8K(-b8K)」「テスト時間60秒(-d60)」「キャッシュ無効化(-h)」「遅延の計測(-L)」「スレッド当たり2つのIOを同時実行(-o2)」「4スレッド(-t4)」「ランダムアクセス(-r)」「読み取り操作と書き込み操作の比率が7対3(-w30)」「テストデータのファイルサイズ100MB(-c100M)」で、Cドライブにテストデータ(C:¥test¥io.dat)を自動作成して検証します。
同様のコマンドラインを、ブロックサイズ「8KB」「64KB」「256KB」、テストデータのファイルサイズ「100MB」「1GB」「10GB」の組み合わせで実行し、BitLockerドライブ暗号化の前後の計測結果を比較しました。
本来は、データ専用のドライブに対してテストを実施するべきですが、評価機の都合上、OSと同じCドライブを計測対象としています。複数台のディスクで適切なRAID構成を組めば、ディスク性能はさらに向上するはずです。そのため、検証結果のディスク性能は相対的なものとして読み取ってください。
以下のグラフ1は、読み取りと書き込みの合計のスループットの値(DISKSPDのTotal IO MB/s)を、BitLockerドライブ暗号化の前後で比較したものです。
BitLockerドライブ暗号化によるパフォーマンスのオーバーヘッドは10%未満(*1)とされていますが、今回の検証では、オーバーヘッドは1つのパターンを除いて、誤差の範囲といってよいほどごくわずかでした。
(*1)出典:マイクロソフト TechNet > BitLockerに関してよく寄せられる質問(FAQ)
[URL]https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/hh831507.aspx
また、以下のグラフ2は、I/Oテストに使用されたプロセッサーの平均使用率(DISKSPDのCPU Usage、User、Kernelのavg.値)を比較したものです。
BitLockerドライブ暗号化が有効な場合、全ての検証パターンにおいて、明らかにカーネルモードのプロセッサー使用率が高くなっています。ディスクI/Oの性能への影響がほとんど見られなかったのは、この高性能なプロセッサーの能力によるものであることが容易に想像できます。
今回の検証では、ThinkServer TS140の優れた静音性を確かめることができました。BitLockerドライブ暗号化を有効化する際のドライブ全体の暗号化処理中や検証テストの実行中に、耳を澄ませていても、稼働音の変化は特に感じられませんでした。あえて言えば、ときどき聞こえることがあるディスクアクセスの音がThinkServer TS140が発する最も大きな音でした。その静音性は、一般的なノートPCと同程度という印象でした。
ThinkServer TS140が備えるさまざまな特性は、スモールビジネスのためのサーバー、専任のITスタッフがいないブランチオフィスのサーバーに最適です。充実したリモート管理機能は、本社のITスタッフがサーバーをリモートでメンテナンスしたり、トラブルシューティングしたりするのに適しています。
マイクロソフトによると、BitLockerドライブ暗号化によるパフォーマンスへの影響は、通常、10%未満の性能低下とされています。今回の検証では、高性能なプロセッサーの恩恵により、性能低下は無視できる範囲か、大きくても数%に収まりました。この検証結果と高いコストパフォーマンスから、ThinkServer TS140はスモールビジネスやブランチオフィスにおいて、個人情報を扱う業務システムやマイナンバーを扱う経理システムのデータ保護に最適なサーバーといえるでしょう。
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●Lenovo ThinkServer キャンペーン
[URL]http://www.lenovojp.com/server/campaign/ThinkServer/
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年12月29日