2016年6月8日〜10日に東京の幕張メッセで「Interop Tokyo 2016」が開催される。シスコシステムズが展示する最新製品、ソリューションの中から見どころを紹介する。
2016年6月8日〜10日に開催される「Interop Tokyo 2016」。シスコシステムズ(以下、シスコ)は「始まる、デジタルビジネスとの融合」をテーマに掲げ、最新製品とサービスを展示する。ブースは「セキュリティ」「エンタープライズネットワーク」「データセンター」「IoT」「コラボレーション」「Cisco Start」などに分かれ、各領域でデジタルビジネスを支えるシスコの技術やソリューションを披露する予定だ。
シスコは、デジタルビジネスによる変革を目指す企業をどう支援するのか。シスコシステムズ マーケティング本部 アーキテクチャ&ソリューションズ マネージャー 水谷雄彦氏とソリューションズ システムズ エンジニアリング データセンターソリューション シニアSEマネージャーの葛貫信次氏に、同社の展示の見どころを聞いた。
全てのインフラ技術や製品、サービスを支える基盤としてなくてはならないのが、「セキュリティ」だ。ネットワーク機器からサーバ、ストレージ、クラウドサービスまで、多種多様なソリューションを展開するシスコも、セキュリティ分野に注力しており、包括的な製品とサービスを取りそろえている。同社によれば、Interop Tokyo 2016においても、「セキュリティブース」に最も注目してほしいとのことだ。
「今後、あらゆる領域でデジタルビジネスが加速していくことを踏まえると、ネットワークからエンドポイント、さらには内部対策まで、一貫性を持ったセキュリティソリューションが必要です」(シスコシステムズ マーケティング本部 アーキテクチャ&ソリューションズ マネージャー 水谷雄彦氏)
ブースでは、「BEFORE(攻撃前の対策)」「DURING(攻撃中の対策)」「AFTER(攻撃発覚後の対策)」の各フェーズに注目して、サイバー攻撃や内部不正などの脅威に対抗するためにシスコが提案する製品群を展示する。また、ファイアウォール製品「Cisco ASA」やIPSの「Cisco FirePOWER」、マルウェア防御製品である「Cisco AMP」といった製品のデモも行う。
中でも、NetFlowプロトコルによるネットワーク監視を拡張し、ネットワーク機器を自律的なセンサーと見なして脅威を検知する「NaaS(Network as a Sensor)」と、自動隔離「NaaE(Network as a Enforcer)」のアプローチは要注目だ。ネットワークトラフィックの振る舞いから感染端末を特定し、処置するシスコ独自のセキュリティ対策として大いに期待される。
「エンタープライズネットワーク」ブースで注目すべきは、2016年3月に日本国内で発表された「Digital Network Architecture(DNA)」だ。DNAとは、企業のデジタルビジネスを支援するために新たに作られた「オープンで拡張可能なソフトウェア指向のネットワークアーキテクチャ」を指す。シスコのSDN(Software-Defined Networking)戦略の中核を担うACI(Application Centric Infrastructure)を補完しながら、ポリシーベースの管理アプローチやソフトウェア化戦略を、キャンパスからブランチ、有線から無線、コアからエッジに至るまで、ネットワーク全体に広げていこうとするものだ。
「DNAを構成する技術要素は、大きく『仮想化』『自動化』『アナリティクス』『クラウドによるサービスマネジメント』『オープンで拡張可能なプログラマビリティ』の5つです。これら全てを一体化するための、さまざまな製品やソリューションを展示します」(葛貫氏)
2016年3月にシスコは、機器管理やQoS(Quality of Service)設定自動化のためのプラットフォームやネットワーク仮想化向け新OSなどを発表している。ブースでは、DNAを構成するこれらの新製品や新ソリューションに直接触れることができる。企業ネットワークが抱える課題を解決する新たなアーキテクチャとして、ぜひ注目しておきたいところだ。また、エンタープライズネットワークブースではこの他にも、DNAに対応したアクセスポイントなどのネットワーク機器が展示される。
「アクセスポイントは、『Cisco Meraki』のようなユニークな製品に隠れがちですが、他の部分でも着実に進化を遂げています。例えば、DNAのAPIC-EMプラットフォームを構成する『Cisco Plug and Play』や『Easy Quality of Service(EasyQoS)』に対応したことで、ネットワーク設定やQoS設定に掛かる手間は劇的に改善しています」(葛貫氏)
「データセンター」ブースでの見どころは、2016年4月に日本国内でも発表があった「Cisco HyperFlexシステム」(以下、HyperFlex)の展示だ。HyperFlexは、サーバ製品「Cisco Unified Computing System(UCS)」上に構築する、シスコ初のハイパーコンバージドインフラストラクチャ製品だ。
「HyperFlexにより、エンタープライズ領域のさまざまなアプリケーションにおいて、ネットワーク、コンピューティング、ストレージをポリシーベースで取り扱うことができ、設定の自動化や作業の簡略化を実現できます」(葛貫氏)
シスコは、UCSでサーバ市場に参入し、ACIでSDN戦略を進めてきたが、今回のHyperFlexの投入により、コンピューティング、ネットワークに加え、ストレージ分野にも踏み出した。なお、UCSについては、高密度サーバ「Cisco M シリーズ モジュラ サーバ」が展示される予定だ。
また、ネットワーク製品では、新ASICを搭載し、25/50/100Gbpsに対応した新しい「Nexus 9000」スイッチに注目だ。葛貫氏によれば、同製品により「10/40Gbpsネットワークと同等のコストで、25/50/100Gbps対応スイッチに移行でき、帯域幅を最大10倍に拡大できた」という。ラック当たり100万以上のコンテナをサポートする拡張性を是非実際に確認してほしい。
IoTブースの見どころは、何と言ってもファナックなどと協業で行っている産業ロボットの故障予知、工場の生産性向上に向けた取り組みの“ロボット実機”の展示だ。
シスコとファナックは、2016年1月に産業用ロボットのゼロダウンタイム(ZDT)を実現する遠隔監視サービスを発表し、さらに3月にファナック製ロボットやCNC(コンピュータ数値制御装置)、センサーなどの各種産業用機器をネットワーク接続し、データ分析や機械学習を用いて工場の生産性向上を実現するアプリケーション開発用プラットフォーム「FIELD(FANUC Intelligent Edge Link and Drive)system」を発表している(プレスリリース)。
ブースでは、これらの取り組みの中で「シスコのさまざまなソリューションがどのように統合されているか」「今後、他メーカーとIoTでどのような協業を行っているか」といった詳細が明かされる。IoTでは、さまざまなデバイスが連携していく際に、これまでになかった新しい課題が次々と発生するが、シスコの持つソリューションがこれらの課題にどう対応するのか、要注目だ。
初披露といえば、2016年2月にシスコが買収発表を行ったJasper Technologiesの製品も展示される。
「Cisco Jasper Control Centerは、IoTサービスやエンドポイントを管理するクラウドベースのプラットフォームを提供しています。このプラットフォームを導入すれば、自動車からジェットエンジン、体内に埋め込まれたペースメーカーに至るまで、あらゆるデバイスをクラウドで管理可能できます。ぜひ実際にブースに足を運んで、こうしたIoT関連のソリューションが自社にどう生かせるか確認してください」(葛貫氏)
「コラボレーション」ブースでは、2015年4月から提供されているクラウドベースのコラボレーションサービス「Cisco Spark」が要チェックだ。Cisco Sparkは、1対1やグループでのメッセージング機能、ファイル共有、1対1のビデオ会議、モバイルカレンダー、連絡先の統合、オンラインセルフサービス機能などを提供する。
もともとビジュアルコミュニケーションやライブコミュニケーション製品に強みがあったシスコだけに、Cisco Sparkも、ユーザーのフィードバックを取り入れた完成度の高いサービスに仕上がっている。デジタルビジネス時代のビジネスコラボレーションの在り方を確認できるだろう。
「Cisco Start」ブースでは、4月から拡充されたサービス内容を確認しておきたい。Cisco Startは、2015年9月からシスコが開始した、中小企業に対して「シンプルでスマートでセキュアな」ネットワークソリューションを提供するブランドだ。当初はルーターやスイッチ、無線AP、セキュリティサービスの提供からスタートしたが、2016年4月には、さらに内容を拡充している。
新たに加わったのは、「Cisco WebEx」「CiscoクラウドWeb セキュリティ」といったクラウドサービスだ。また、日本市場に向けた機能拡充として「Cisco 841M J」の日本語GUIにアプリケーションの可視化、ブロック機能を追加した。さらに、サポートコミュニティーの立ち上げやECサイトの展開など、サボート体制も強化されている。
ネットワークやセキュリティの管理は、限られた予算で取り組みを進めざるを得ない中小企業にとっては課題の多い分野だ。強化されたCisco Startが自社にどう役立つのか、ぜひ自身の目で確かめてみてほしい。
最後に、Interopではおなじみの会場内デモンストレーションネットワーク「ShowNet」の見どころも紹介しておこう。ShowNetは、「コアネットワーク」「データセンターネットワーク」「ワイヤレス」「セキュリティ」などのカテゴリに分かれている。シスコは、ShowNet参加企業(コントリビューター)として、ShowNetのネットワーク構築を支える「NOC(Network Operation Center)」「STM(ShowNet Team Member)」「CTM(Contributor Team Member)」の3つのチームに、スペシャリストから若手まで多数のメンバーで参加する。
「コアネットワーク」は、最新チップを搭載し100Gpbsに対応した「Cisco ASR 9000」シリーズや、仮想化対応のIOSを搭載した仮想ルーター「Cisco IOS XRv 9000」シリーズを使って構築する。コアネットワークが40Gbpsから100Gbpsへと高速化していく中で、シスコがVLANに替わる「MPLS(Multi-Protocol Label Switching)」や「EVPN(Ethernet VPN)」にどう対応しているかといった点に注目だ。
「データセンターネットワーク」でも、VXLAN(Virtual eXtensible LAN)などの従来のVLANを拡張する技術の使い方がポイントになると葛貫氏は言う。製品としては、「Cisco Nexus 9200/9300/7700」シリーズを使って構築していく。
「ワイヤレス」では、新規格「802.11ac Wave 2」に対応したアクセスポイント「Cisco Aironet 3800」シリーズや、「mGig/NBASE-T」にも対応したスイッチ「Catalyst 3850」シリーズを使い、802.11ac Wave 2の最大2.6Gbpsの伝送レートを効率的に実現するという。また、急な立ち上がりが求められる部分では、「Cisco Meraki」のワイヤレス機能を活用する。
「セキュリティ」では、シスコならではの「DDoS対策」が見どころだ。Cisco FirePOWERを使ったDDoS対策に加え、ASR 9000内部のプロセッサにDDoS対策機能を実装した“コアルーター内でのDDoS対策”の2つを構築するという。さらに、2015年に買収したOpenDNSのソリューションも活用する。
「シスコでは、展示ブースも含めて、延べ150人規模のエンジニアがInteropに参加する予定です。これは、首都圏にいるシスコのネットワークエンジニアの7割が参加する程の規模です。“マニアックな”質問にもすぐに応えられる陣容を整えていますので、ぜひ会場で遠慮なくお声がけください」(葛貫氏)
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提供:シスコシステムズ合同会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年6月24日
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