エンジニア移住、増加中!――島根県はコミュニティー事情がスゴいスキルを高め、プライベートも楽しめ

「地方に移住するITエンジニアが増えているらしい」。情報としては聞いたことがあっても、「いざ自分が」と考えると、不安や疑問がたくさん湧いてくるだろう。スキルアップの機会が少ないのでは? 不便で暮らしにくいのでは?――IT企業が続々と進出している島根県松江市に移住し、実際に働いているITエンジニアやIT企業社員のリアルな声を聞いてみよう。

» 2016年07月05日 10時00分 公開
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ITエンジニア30人でつないだタスキ

 2016年4月24日、松江市の宍道湖岸を走る「松江しんじ湖温泉グルメリレーマラソン」に、島根県で暮らす30人のITエンジニアやIT企業社員が参加した。3チームに分かれ、湖面を吹き抜ける風を感じながら、45キロのコースを10人のリレーでつないで駆け抜けた。

リレーに参加したITエンジニアたち

 30人ものITエンジニアたちをまとめたのは、東京から松江市に移住してきたIT企業の社員、メディア事業を手掛ける「イード」松江ブランチのブランチマネジャー山崎浩司さんだ。

 「ここでの暮らしは、めちゃめちゃ楽しいですよ。友達はできたし、ご飯もお酒もうまい」(山崎さん)

 山崎さんは、2015年8月に新設された松江ブランチに責任者として着任。ITエンジニアの採用も担当することになった。ITエンジニアの採用は日本中どこでも競争が激しい。その状況は島根でも同じだ。

 「IT企業が島根にたくさんあるのに、島根県内の学生と話しても認知されていない。知らないから東京や大阪に行ってしまうのです。島根県にもいろいろなIT企業があることをとにかく知ってもらうには、どうしたらいいかと考えました」

 そこで、同じ問題意識を共有するIT企業に呼びかけ、まずは認知度を上げることにした。島根県が開設したレンタルオフィス「テクノアークしまね」のテナント仲間を中心に声をかけ、島根IT企業初の9社合同会社説明会が実現した。

 会場の「松江オープンソースラボ」には、高校生や大学生、専門学校生など38人が来場。机をはずしてイスだけを置いてもぎゅうぎゅう詰めという大にぎわいのイベントになった。

 山崎さんたちが気を付けたのは、企業の人事が一方的にしゃべる堅苦しい説明会にはしないこと。そこで、各社のITエンジニアが前に座り、仕事や暮らしについてざっくばらんに話した後、質問を受け付けるスタイルを取った。会は5時間にわたったが、来場者から次々と質問が寄せられて盛り上がり、手応えを感じたという。

 「(採用という意味では)企業同士がライバルですが、イベントに来た学生たちが将来仕事を探すときに「そういえば島根にもIT企業があったな」とイベントのことを思い出してくれたらいい、と思っています。自社だけで完結するのでなく、中長期的な視点で各社の知名度を上げていくために楽しく取り組むことを心掛けました」(山崎さん)

コミュニティーからコミュニティーへとつながるタスキ

松江しんじ湖温泉グルメリレーマラソンで激走する山崎浩司さん

 山崎さんは松江に移住して1年足らず。それなのになぜ、マラソンで30人を集め、企業をまたいだ合同説明会を開催できたのだろうか。

 そこは島根に根付いている「つながり力」を抜きにしては語れない。

 2015年末に、島根県に進出したIT企業の関係者が一堂に集まる交流会が開かれた。もともとは県の担当者が企画した交流会だったが、参加者たちもこの機会を捉え、オリジナルのネットワークを作るようになった。山崎さんの合同説明会も、このときの出会った人たちが多くかかわっている。

 運動好きの山崎さんは、オフタイムには「ボルダリング」のコミュニティー「松江壁のぼりたい」に所属している。SNS「Facebook」でグループをつくり、平日の夜や週末に誘い合ってボルダリングを楽しんだ後に、食事をしたり、遊びに出掛けたりする仲間だ。松江市内のIT企業社員を中心に20人が参加しているという。

 「島根での生活がここまで楽しいとは、想像していませんでした。今、東京に戻れと言われたら、困るというか、まだまだ戻りたくないですね(笑)」(山崎さん)

 このボルダリングコミュニティーを作ったのは、地元出身のITエンジニア、坂本史由樹(ふみゆき)さんだ。今ではバリバリと開発をこなす坂本さんだが、実は2年前はまったくのプログラミング初心者だった。

 松江高専を卒業後、広島県内の製造業に就職した坂本さんがUターンを考えた際に紹介されたのが、松江市にあるソフトウェア開発会社だった。「ITの経験はありませんでしたが、意欲だけはあったので採用してもらいました」と、2年前を振り返る。

 入社当初は「何が分からないかも分からない」ほど超初心者だった坂本さんは、社内の先輩にOJTで仕事を教えてもらいつつ、社外の勉強会にも参加することにした。そこで彼を待ち受けていたのは、松江発のプログラミング言語「Ruby」コミュニティーに所属する先輩たちだった。

「恩返し」のタスキをつなぐ

坂本史由樹さん

 先輩たちは、手取り足取り優しく親切に教えてくれた。新しい知識や技術をどんどん吸収した坂本さんは、RubyはもちろんJavaも習得し、2016年には「Java Programmer, Gold」を取得するまでになった。

 会社を超えたつながりに育ててもらった坂本さんは、恩返しをしたいと考えるようになった。そこで周りを見渡してみると、島根出身者とIターン者との間に微妙な隔たりがあることに気が付いた。

 「私はUターンなので、両方の気持ちが分かります。そこで、地元の人と外から来た人たちの橋渡しをするのが自分の役割かもしれないと考え、みなが交わる場として『松江壁のぼりたい』を主宰するようになりました」(坂本さん)

 5月のゴールデンウイークには、坂本さんの祖父母が出雲市で開いている民宿を会場にしたハッカソンが行われ、8人のITエンジニアがアプリ開発を競った。

 「エンジニア生活の基盤として、コミュニティーの存在は大きいです。松江はRubyのエンジニアが集結しているイメージがありますが、『Rubyでなければダメ』ということはなく、『多様な技術についてみんなで高めあっていこう』という雰囲気を感じます」(坂本さん)

最初のタスキ

 時計の針を10年前に戻してみよう。

 2006年、Rubyを通じたまちづくりを進めようと「Ruby City MATSUE」を掲げた松江市が、JR松江駅前に交流スペース「松江オープンソースラボ」を開設した。

 同じころ、Ruby開発者のまつもとゆきひろさん、まつもとさんが所属する「ネットワーク応用通信研究所(NaCl)」などの地元企業、島根大学や松江高専の研究者、松江市や島根県などが手を組んで「しまねOSS協議会」を立ち上げ、講師を招いてセミナーを定期的に開催してきた。これが核になり、IT実務者が集まる「山陰ITPro勉強会」やRubyコミュニティーが次々と育っていった。

 NaClの研究員、黒谷明大さんは「島根のコミュニティーは、みんなで連携を取り、交流しながら広がってきました。今ではしまねOSS協議会が頑張らなくても、自分で勉強会を主宰する人が増えました」と振り返る。

 東京生まれ東京育ちで、2015年に松江市に引っ越してきた、「エクスウェア」島根支社のチーフエンジニア、伊東智彦さんも、島根のコミュニティーに助けられた1人だ。

 東京では勉強会に参加することはほとんどなかったが、島根に来てからは松江オープンソースラボで開かれるコミュニティーの勉強会に顔を出すことが多い。ロボット「Pepper」のアトリエサテライトに認定された同社オフィスの企画で、Pepperの基本機能と活用事例を紹介する勉強会を開催したときも、コミュニティーでつながった仲間をまねき、多くの方に参加してもらった。

 「島根は人のつながりが強い。コミュニティーがあるかどうかは、知らない土地に移住するときのポイントになると思います」(伊東さん)

 エンジニアたちのタスキは、今日も島根のコミュニティーをつなぎ続けている。

Pepper勉強会で登壇する伊東智彦さん

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提供:島根県
アイティメディア営業企画/制作:@IT自分戦略研究所 編集部/掲載内容有効期限:2016年8月4日

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