伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)に、主要各社のフラッシュストレージをまとめて購入前検証ができるサービス「Flash Storage LAB」があるのをご存じだろうか。開設以来、ひっきりなしに企業が訪れているという人気ラボのヒミツは何か。実際にラボを訪れ、その「強み」と「価値」をひもとこう。
今、企業によるフラッシュストレージの導入意欲が高まっている。
CPU能力が高まり、大容量のメモリも搭載できるようになった今、企業システムではストレージのI/O性能がボトルネックとなり、それを課題とするケースが増えている。その効果的な解決策の1つである「フラッシュストレージ化」は、これまでのHDDと比べたI/O性能の高さはもちろん、近年のフラッシュ低価格化や大容量化に伴って、ますます存在感を増している。
しかし、一言で「フラッシュストレージ」とまとめたとしても、その特徴やポイント、強みは各社さまざまだ。「速ければいい」「安ければいい」──。新世代のビジネス基盤として導入するITシステムを、このように簡単に決められるものではないことも皆さんはご存じのはずだ。各社のストレージ製品を取り扱うマルチベンダーSIerである、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の製品・保守事業推進本部 ITインフラ技術推進第1部 プラットフォーム技術推進課 課長の小野友和氏によると、「価格の安さやIOPS(Input/Output per Second)の高さといったスペック値だけで製品を選定した結果、“期待した効果が得られなかった”と失敗に嘆くケースがあり、そのことが最近、顕著に見られるようになっている」のだという。
確かに、フラッシュ化の効果はある程度分かっているつもりでも、選択肢が豊富にあるがゆえ、「どの製品が、自社のどのワークロードに最適なのか」の判断が、以前にも増して難しくなっている。こんな状況で、私たちはどのように製品を選べばよいのだろうか。何より、今後のITシステムがこれまでのように保守やコスト、効率性だけでなく、総じて「デジタル時代のビジネスを着実に成長させていくために必要な基盤」としての資質が求められている中で、どんなソリューションを選択すべきだろうか。
その悩みを解決する答えがCTCにあるようだ。
今回は、CTCの統合検証センターである「Technical Solution Center」内にある、フラッシュストレージ製品の導入効果や実証実験などを行える「Flash Storage LAB(フラッシュストレージラボ)」を訪ね、この施設が企業の抱える課題をいかに効率的な方法で解決してくれるのかを紹介する。
フラッシュストレージ市場は2016年現在、技術開発と新製品投入でしのぎを削るベンダーと、旺盛な導入意欲を持ったユーザーとで活況を呈している。一方で、製品の選択肢と適用領域が広がったことで、「どの製品が、自社のどのワークロードに最適なのか」の判断が難しくなっている。
例えばこんなシーンだ。
企業別/業種別、同じ企業でも部署単位で、ストレージに求める機能や目的はそれぞれ違う。フラッシュだからと言って、価格の安さや最大IOPSといったスペック、実績といったカタログ要素だけで「これだ」と決め打ちで選定できるほどの人は多くないだろう。百花繚乱の製品群の中から、「どれが自社に向いているのか」と悩むことになる。
先の小野氏は、そんな多くの企業の声を代弁してこう総括する。
「フラッシュストレージは、ベンダーごとに異なるアプローチで技術開発を行っています。同じカテゴリーの製品に見えても、実際に自社環境への導入を想定して検証してみると、得意分野と、そうでない分野が明確になってきます。例えば、“データベースの高速処理にはめっぽう強いが、ワークロードの混在環境には適さない”といった場合などです。自社のワークロードに適さない製品を選んでしまい、製品をリプレースせざるを得なくなった事例も、最近はよく聞かれます。これは一層の迅速さが求められるデジタルビジネス時代において、コストはもちろん、何よりスピード感が失われてしまうのがビジネス観点で大きな損失です。
ですから、これからのフラッシュストレージ製品選びは、自社のシステムやワークロードの状況、将来の展望などを踏まえて、製品それぞれが持つ強みを最大限に発揮できるように選定と導入を進めていくことが肝要です」(小野氏)
国内有数のマルチベンダーSIerであるCTCは、国内外の有力ストレージベンダーと協業した強固なパートナーシップの下、ストレージにおいても、ユーザーのニーズに応える多彩なソリューションを展開している企業だ。
小野氏は、フラッシュストレージが登場する以前から、フラッシュストレージが法人向けストレージ市場の表舞台に立つほどにまでなった現在も、どのストレージを、どう選択すべきかに悩むユーザーを多数支援してきたストレージ製品のエキスパート。選択を誤ってしまったユーザーが、駆け込み寺としてCTCに支援を求めてくる事例も間近で見てきた。「やはり、スピードを求める現在だからこそ、“いろいろあります。さあどうぞ”ではユーザーは選べない。製品選定を正しく導く、新しい選定支援策とサポート体制が必要」と感じていたという。
「フラッシュストレージの選択に悩むユーザーの状況を理解するには、実際にわれわれがユーザー目線で試して、情報を蓄積し、その結果をお客さまへ正確に伝えるのが一番です。併せて、これまでの販売活動で蓄積してきたノウハウを、製品の選定から導入までを体系化したサービスとして提供することこそが近道になると考えます。そうすることではじめて、ユーザーは製品選びに必要な情報を得られると言えます。特定のベンダーに偏らない、ベンダーニュートラルな視点で、情報提供やアセスメントなどフラッシュストレージの導入に必要なサービスを提供する手段を模索しました」(小野氏)
このように、顧客のビジネス価値創造を最大限に支援することを追求して誕生したのが、CTCの新たなフラッシュストレージ専門の比較/選定サービス「Flash Storage LAB」である。
Flash Storage LABは、CTCが2015年12月に開設したフラッシュストレージ選定のための統合検証/選定支援サービスだ。マルチベンダー環境でのシステム検証を可能にするCTCの総合検証センター「Technical Solution Center」内に設けられ、2016年8月現在、主要8社のフラッシュストレージを対象に、「それらの製品がどんなワークロードに適しており、実際にどんな効果を期待できるのか」を実環境で評価/検証できる。
小野氏とともに、Flash Storage LABの取り組みを推進してきたCTC 製品・保守事業推進本部 テクニカルソリューションセンター TSC企画課主任の日野ひとみ氏は、Flash Storage LABの特徴をこう話す。
「Flash Storage LABでは、マルチベンダー環境で評価・検証していただく環境を用意し、“お客さまの環境に最も適するストレージ製品を、迅速に提案”できることが一番の特徴です。対象ベンダーは2016年8月現在、IBM、EMC、オラクル、ニンブルストレージ、ネットアップ、日立製作所、ピュアストレージ、ヒューレット・パッカード・エンタープライズの8社(50音順)ですが、他のベンダーも随時提供する予定です。CTCならではのポイントとして、“ベンダーニュートラル”な視点で、製品比較情報やアセスメントなどの製品選定支援サービスを提供できることです。
まずFlash Storage LABには、特定の製品に隔たりなく、選定のための情報を提供できるよう、さまざまな最新環境を常設しています。フラッシュストレージ環境のポイントや仕様を比較するにしても、比較項目がバラバラで統一されていなければ、比べにくいですよね。Flash Storage LABでは、各製品の性能情報に加え、機能/可用性・メンテナンス性/保守性/拡張性/運用管理という統一した6つのカテゴリーで評価した情報を提供し、お客さまの業務内容やニーズに沿って重視すべきカテゴリーを整理します。これらの希望をヒアリングし、要件を考察した上で、お客さまの環境にとってCTCが最適と判断した項目をご提案します」(日野氏)
日野氏によると、Flash Storage LABを利用するユーザーは日に日に増しており、当然、そのニーズはユーザーそれぞれ、多岐にわたるという。それだけに悩む企業が多く、「的確な回答」を参考にして、「迅速」に導入を進めたいと考える需要が増していることが伺える。
では、Flash Storage LABはどんなサービスを提供してくれるのか。そのサービスメニューを確認しよう。大きく「見学ツアー」「ワークショップ」「デモンストレーション」「アセスメント」「PoC検証支援」の5つのステップ別で構成されている。ステップ別の内容とともに、その「サービス展開の早さ」に注目してもらいたい。
見学ツアーでは、Flash Storage LABの説明を受け、Technical Solution Centerを見学することで、Flash Storage LABや機材の紹介、CTCの取り組みを理解するステップだ。所要時間は、説明から見学、質疑応答まで約30分である。
ワークショップは、フラッシュストレージの選定に向けて、製品情報や比較情報などの各種情報を提供するステップとなる。CTCがこれまで蓄積してきたノウハウ、各社の製品の特徴をまとめた「CTCフラッシュストレージポートフォリオ」を使って説明するとともに、自社への運用イメージをつかむための各社の性能検証情報も掲示してくれる。所要時間は約1時間となる。
デモンストレーションでは、Technical Solution Centerの常設デモ環境で、実際にフラッシュストレージの性能や運用の優位性を「体感」できるステップとなる。HDDとの性能比較、ストレージ管理画面の使い勝手、可用性/耐障害性のデモなどが行われる。
このステップ1〜3までを、1日(数時間)で行う。製品紹介から情報提供、実機の体感までを効果的かつ迅速に理解できるプランとしているのが「スピード」を求めるユーザーにとっても適している。
なお、この1日ツアーの前に自社の要望を聞き、「ユーザーのニーズに合う推奨製品を提案する」体制も整えているとのことだ。こういったことも「いろいろあります、さぁどうぞ」と選ばせるのではなく、選定するユーザーの目線に立って、一緒に選定していく体制を確立している。
続いて、製品を「具体的に検討する」段階に入る。「アセスメント」と「PoC検証支援サービス」のステップを踏むことで、「最終的な製品選定」までの近道を示してくれる。
自社環境でHDDからフラッシュにリプレースしたら「具体的にどれほどの効果があるか」について、既存環境の調査を実施し、レポートするのが本ステップだ。データベースや各種OSのI/O負荷情報から、フラッシュストレージの効果を測定したレポート作成なども請け負う。レポートの提供まで、1〜2週間で行うという。
最後のステップ5「PoC検証支援」で導入までの総仕上げを行う。PoC(Proof-of-Concept)とは、導入する予定のフラッシュストレージ製品が望む効果や有用性があるかを確かめる、プロトタイプ(試作)前段階の検証のことだ。
ここでは、Technical Solution Centerに本番と同等の環境を再現し、導入コンセプトの実証確認が行える。また、その後に行う性能検証についても「どのように実施すればよいか」の手法や情報を提供してくれる。ここまで、最短で2週間、複雑な環境でも1カ月ほどで済ませられる。
そもそも、フラッシュストレージ製品はなぜ製品選定が難しいのだろうか? 例えば、ストレージシステムの性能を示す値の1つに「IOPS」がある。しかし、その値を示す条件は各社で統一されていない。あるベンダーでは異なるブロック単位で検証した値であり、またあるベンダーでは、そもそも値が公表されていないこともある。ベンダー別に製品の「強み」が異なり、アピールしたい性能や機能が違うためだろう。
また、製品の候補が幾つもあるならば、その製品ごとに自社のワークロードを模した環境で評価し、検証するのも大変だ。コストや手間が掛かれば、スピード感が失われる。「今後のビジネス躍進のため」ではなく、製品を選定することが最終目的になってしまってもいけない。そう、私たちは「今後のビジネスを加速させるため」に製品を導入するのであって、選定のプロセスは、できるだけシンプルにしたいのが本音だ。要は、「正しい/効果があると判断できる材料」があればよい。
「そうしたお客さまの声に応えるために、Flash Storage LABでは、導入に向けたワークショップ、既存環境のアセスメント、製品の体感デモ、実証実験を一連のサービスとして提供するのが大きなポイントです。各社の製品を取りそろえ、ベンダーニュートラルな視点で、情報収集から検証環境を用いた効果検証に至るまで、要望に即したサービスを利用できます。ここが“ビジネスのスピード感”を重視するお客さまに、特に評価をいただいている部分です」(小野氏)
中でもFlash Storage LABで高く評価されているのが、ステップ2の「ワークショップ」だ。
「ワークショップでは、ベンダー各社のフラッシュストレージ製品を、ワークロード別の“タイプ”に分類することで、お客さまの理解が明解かつ迅速に進むように工夫しています。それぞれのベンダーの製品が、どのタイプに当てはまるか、どのような特性を持つか──などを解説します」(日野氏)
それぞれの製品が、既存のHDDからの置き換えや幅広いシステムに適用可能なストレージ製品なのか、データベースやアプリケーションをとにかく速くしたいニーズに向くのか、クラウドなどのサービス基盤での利用を想定した大規模環境へのニーズに向くのかといったように、どのタイプに属する製品かを具体的な検証データに基づいて紹介する。
こうした多岐にわたる機能を持つ、複数ベンダーの製品を統一したパターンに当てはめていく作業は、経験とスキル、実績がなければ困難だ。そんな作業が必要なのに、製品知識のないユーザーに「いろいろあるので、選んでください」では、分からないと困惑するのは、やはり当然のことだ。「ワークショップ」は、マルチベンダーSIerであること、さらにベンダーニュートラルな視点で提案できる実績を兼ね備えることで、顧客のビジネス躍進を見据えた提案を主に提案する、CTCの強みを存分に発揮するサービスメニューといえる。
もう1つ、実装に近い段階でCTCの強みを伺い知れるのが、ステップ4の「アセスメント」だ。
ここで提供されるデータベース(主に、Oracle Database)環境のパフォーマンス改善レポートでは、例えば「Oracle AWR(Automatic Workload Repository)レポートを調査・分析し、ディスクベースからフラッシュに置換えた場合の効果などを詳細にレポートしてくれる。
この他、全体のイベントからディスクI/Oによる遅延/待機イベントを調べ、単にフラッシュへ置き換えた効果だけでなく、I/Oボトルネックが解決されることによる「ライセンスコストの削減」といった改善提案も受けることができる。
「自社へ本当に価値をもたらしてくれる」フラッシュストレージは、どの製品か。その選定までの道のりは想像以上に険しい。このことは、今、フラッシュストレージの選定を考察したことのあるユーザーであればお分かりいただけるだろう。
しかし、それを正しく導き、しかも迅速に選定できる「近道」がある。これからフラッシュストレージを選定するユーザーは恵まれている。Flash Storage LABを利用すれば、正しい道筋ができ上がるからだ。
「フラッシュストレージは、従来のストレージの考え方がそのまま適用できるわけではありません。1つご提言したいことは、機種を選定することを目的にするのではなく、“ビジネスを加速させるために、フラッシュストレージをどう生かすかという視点”を持っていただくことです。われわれは、そうしたビジネスニーズに即し、これまでもお客さまのシステムに最適な製品を提供してきたという自負があります。そのスキルとノウハウを結集したものがFlash Storage LABです。ぜひFlash Storage LABを利用していただき、自社のビジネスを加速するお手伝いをさせていただければと思います」(日野氏)
フラッシュストレージの「理解が進む」「選定が楽になる」製品比較セミナー『違いの分かる人のための主要フラッシュストレージ徹底解剖』が2016年9月14日に開催される。
このセミナーで得た知識とともに、本稿で紹介した「Flash Storage LAB」を活用すれば、「フラッシュ選定の道」が一層近くなるはずだ。
なお、セミナー参加は「Flash Storage LABの利用申し込みを優先的に受けられる」特典*付き。今、フラッシュストレージの選定中のユーザーは、こぞって参加を!(*:申し込み多数の場合は抽選となります)
第2回 @IT製品比較セミナー 違いのわかる人のための主要フラッシュストレージ徹底解剖 |
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開催日時 | 2016年9月14日(木)13:30〜(12:30 受付開始) |
場所 | コングレスクエア日本橋(東京都中央区日本橋1-3-13 東京建物日本橋ビル2階) |
プログラム(予定) | 基調講演:「ヤフーを支えるフラッシュストレージ」 セッション:「多様化するフラッシュストレージ その背景と選定のコツ」 ライトニングトーク:登壇ベンダー7社の「ウチの強みはコレ!」 公開インタビュー:@IT編集部がベンダー7社を公開取材〜ここでしか聞けないフラッシュストレージ、「本当の」選択基準 |
参加費 | 無料 |
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年9月21日