このスイッチが、データセンターのプロを喜ばせる理由Best of Show Awardグランプリを受賞

Interop Tokyo 2016のBest of Show Awardで、ジュニパーネットワークスの「QFX10008 データセンター スパインスイッチ」がグランプリを獲得した。独自開発チップ「Q5」を搭載するこのスイッチは、データセンターのプロをどう喜ばせるのか。

» 2016年09月01日 10時00分 公開
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image Interop Tokyo会場のジュニパーブース

 2016年6月8〜10日に幕張メッセで開催されたInterop Tokyo 2016。優秀展示製品/サービスを決める「Best of Show Award」で、クラウドプラットフォーム部門のグランプリを受賞したのは、ジュニパーネットワークスの「QFX10008 データセンター スパインスイッチ」だ。Interop TokyoのShowNetでは、アグリゲーションスイッチとして活躍。100Gbpsイーサネット接続を駆使し、出展各社の製品を、WANルータやCGN(Carrier Grade NAT)とつなぐ役割を果たした。

 QFX10008は、文字通りクラウドプラットフォームとして利用するのにふさわしい、数々の魅力を備えている。以下では、今後のデータセンターになぜこのような製品が必要なのかを含めて、その魅力の一端を紹介する。

独自チップを搭載したスイッチが求められる理由

 QFX10008は、本格データセンターのスパインスイッチとしてジュニパーが推進する、「QFX10000シリーズ」の主力機種だ。独自開発の高性能なカスタムシリコン「Q5」を搭載し、高い密度とパフォーマンスを実現している。

 これを聞くと、一部の読者は、「なぜカスタムシリコンを搭載したスイッチが必要なのか」と思うだろう。データセンターネットワーキングの世界では、『マーチャントシリコン』などと呼ばれる汎用のネットワークチップを搭載したスイッチが増えている。独自チップの搭載は、こうしたトレンドに逆行するものなのではないか。

 だが実際には、1.大規模・大量トラフィック環境への移行、2.安定的なパフォーマンスの実現、3.柔軟なネットワーク構成、の3点で、カスタムシリコンを備え、ソフトウェア機能の充実したデータセンタースイッチが高い価値を発揮する。特にスパインスイッチ(あるいはコアスイッチ)にこれが当てはまる。以下では、この3点を説明する。

大規模・大量トラフィック環境への対応

13Uで8スロットを搭載するQFX10008

 QFX10008をはじめとするQFX10000シリーズは、インターフェースとして10Gbps、40Gbps、100Gbpsに対応するとともに、多数のポートを収容できるスパインスイッチだ。

 QFX10008は13Uサイズで8スロットのシャーシ型スイッチ。各スロットで7.2Tbpsのスイッチ容量を実現、システム全体のスループットは最大48Tbpsに達する。

 このスイッチは10Gbpsイーサネットを最大1152ポート、40Gbpsイーサネットなら最大288ポート、100Gbpsイーサネットは最大240ポートを収容できる。

 また、QFX10000シリーズの現在における最上位機種であるQFX10016は、収容ポート数が全てQFX10008のちょうど2倍となっている。

 「データセンターサービスの円滑な運用における要はネットワーク」という認識は、急速に広がっている。具体的にデータセンター運用担当者が気にしているのは、トラフィックの増大と接続サーバ台数の増加だ。QFX10000シリーズは、この2つのポイントへの対応を通じ、データセンター運用を見通しの良いものにしてくれる。

 まず、データセンター内のネットワークトラフィック(いわゆるEast-Westトラフィック)は増大する一方だ。分散ストレージやビッグデータ基盤の利用が増加することで、この傾向はますます強まっている。そこで、リーフスイッチ(トップオブラックスイッチ/アクセススイッチ)とスパインスイッチ(コアスイッチ)との接続を、10Gbpsイーサネットから40Gpbs、そして100Gbpsへと段階的に移行していきたいユーザーが増えている。

 QFX10000シリーズのユニークさは、単一のラインカードで、これら3種のポート速度に対応していることだ。このため、上記のような移行のシナリオを柔軟に描くことができる。このスイッチは、400Gbpsイーサネットにも対応できるアーキテクチャとなっており、将来に向けても安心だ。

 では、なぜこれほどまでのポート数が必要なのか。例えば大規模なデータセンターネットワークをClosトポロジー(スパインスイッチとリーフスイッチの2段で構成されるレイヤ3ネットワークトポロジー)で構成する場合、高密度なスパインスイッチが必須となる。Closトポロジーでは、全スパインスイッチを全リーフスイッチと接続するため、リーフスイッチの数だけのポートを、スパインスイッチが搭載する必要がある。

 QFX10000シリーズでは、リーフスイッチとしてQFX5100を組み合わせることで、約5万台のサーバを収容するネットワークが構築できる。

 後述するが、QFX10000シリーズはClosトポロジー以外のネットワーク構成にも対応している。どのような構成でも、これだけ多数のポートを収容できることが分かっていれば、データセンターの拡張に、余裕を持って対応できることになる。

安定的なパフォーマンスの実現

 安定的なパフォーマンスは、高速なポートを使って十分な帯域を確保すれば確保できるわけではない。

 QFX10000シリーズでは、最大50ミリ秒の深いバッファを備えている。これにより、ミリ秒単位の短時間に、瞬間的にトラフィックが増えて遅延が増大する「マイクロバースト」にも対応できる。

 また、QFX10000では、TCPパケットの再送が発生すると後続パケットが待たされる「ヘッドオブラインブロッキング」を回避するための、新たな工夫が組み込まれている。

 ヘッドオブラインブロッキングは、従来のスイッチ設計では避けることができない。これまでのスイッチにおけるパケット転送では、スイッチの入力ポートに入力キュー、出力ポートに出力キューと、2種のキュー(バッファ)が介在する。そして、全ての出力ポートに向けたパケットが、入力ポートの単一の入力キューで管理される。このため、出力ポートのいずれかで輻輳が発生すると、その通知を受けた入力ポートは、全てのパケットの送信を止めてバッファリングを実行する。すなわち、輻輳していない出力ポートに向けたパケットも止まってしまう。

 QFX10000シリーズでは、まず出力ポートの出力キューを廃止、これに替えて入力ポートに、各出力ポート専用の出力キューを設けている。これを「Virtual Output Queue(仮想出力キュー)」と呼んでいる。これにより、パケットを2度バッファリングするリソース利用の無駄を省く一方、ある出力ポートでの輻輳が、他の出力ポートへの送信処理に悪影響を与えないようにしている。

柔軟なネットワーク構成

 上述のように、QFX10000シリーズはClosトポロジー(スパインスイッチとリーフスイッチの2段で構成されるレイヤ3ネットワークトポロジー)の構成をサポートしている。

 それだけでなく、ジュニパーはデータセンターにおけるClosトポロジーでのIPファブリック構築を容易にするプロジェクトを推進している。

 これは「OpenClos」と呼ばれるもの。Github上でオープンソースとして提供されているPythonスクリプトで、これによってIPファブリックの構築を自動化できる。データセンターの大まかな構成と規模をこのツールに入力すれば、スイッチの構成ファイルやケーブル接続図が手に入る。AS番号、IPアドレス構成、ルーティングポリシーといった詳細にかかわる複雑さから、運用担当者を解放できる。

 もちろん、誰もがネットワークをClosトポロジーで構築したいわけではない。QFX10000シリーズでは、ジュニパーの他のデータセンタースイッチ製品と同様、自社のニーズに合わせてネットワーク構成方式を柔軟に選択できる。

 まず、大きなレイヤ2ドメインを運用したい組織は、「マルチシャーシLAG(リンクアグリゲーション)」が使える。マルチシャーシLAGでは、例えばアグリゲーションスイッチとしてQFX10000を用いると、2台をアクティブ―アクティブで利用でき、片方に障害が発生した際には、STP(Spanning Tree Protocol)のような収束に時間を要する問題なしに、フェイルオーバーができる。

 また、ジュニパーのイーサネットファブリック技術では、中規模から大規模のレイヤ2とレイヤ3を統合したネットワークを運用できる。イーサネットファブリックの良さは、複数のスイッチで構成されるネットワークを、あたかも単一のスイッチであるかのように運用できることにある。

 ジュニパーのデータセンタースイッチは、さまざまなオーバーレイ(ネットワーク仮想化)手法に対応できる。VXLANをJuniper Contrailでコントロールできる他、VMware NSXに関してはVXLANを終端するゲートウェイとして動作、物理ネットワークの制約を超えた柔軟な構成が可能になる。

超大規模データセンター運用者でなくても分かるジュニパーの良さ

 QFX10000シリーズは、非常に大規模なデータセンターにも対応できるスパインスイッチだ。「そこまで大規模なデータセンターを運用する予定はない」という読者でも、これまでご紹介してきた将来に向けた投資保護、低遅延、安定したパフォーマンス、柔軟なネットワーク構成などのメリットは、お分かりいただけるだろう。

 もちろんジュニパーは、QFX5100など、より小規模なネットワークに適したスイッチも豊富に用意している。同社は顧客のニーズに合わせて、コスト効率と柔軟性を確保できる選択肢を提供しながら、安定的な高パフォーマンスの実現については、カスタムシリコンや先進的なソフトウェアメカニズムを駆使して、徹底的に追求する姿勢を崩していない。

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提供:ジュニパーネットワークス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年9月30日

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