「SIerとして勝ち残る」ための、販売代理店の選び方・使い方映像系など苦手案件の取りこぼしは、SIビジネス崩壊の象徴?

クラウドの浸透、企業ニーズの高度化などを受け、「運用保守とセットにした製品販売」を軸にした従来型SIビジネスは崩壊するといわれて久しい。今、企業がSIerに求めているのは、共にビジネスを考え、共にシステムを作ってくれる“パートナー”としての役割だ。だが、それを認識していても、実績がない苦手案件は外部に丸投げしてしまうSIerが多い。ノウハウや実績がない以上、仕方のない部分もあるが、SIerの生き残りが問われている中で、苦手領域を放置しておくのも得策とはいえないのではないだろうか。では一体どうすればよいのか?――映像系製品を扱う販売代理店に、客観的見地からSIer生き残りのポイントを聞いた。

» 2017年01月23日 10時00分 公開
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社会、ビジネスで広く求められつつある“映像の力”

 モバイルやクラウドが普及し、ネットワーク帯域が大幅に増加したことも受け、ビジュアルコミュニケーションが活発化している。外出先や別フロアからWeb会議を使ってミーティングに参加したり、Web上で動画メディアを使ってマーケティングやプロモーション活動を行ったりと、“映像の力を活用した効率化”が多方面で進んでいる。

 こうしたビジュアルコミュニケーションに対する企業ニーズの増加は、多くのSIerにとって無視できない動きになりつつある。多くの企業でひと通りのIT設備投資が済んでいる現在、SI市場はリプレース需要の刈り取りが主。こうした中で、ニーズが高まっている映像系案件を避けて通ることは、「収益拡大」「新事業への進出」という面で得策とは言えない。

 ただ、KVMスイッチ/業務用映像関連製品のメーカー「ATEN」を取り扱う販売代理店のプリンストンによると、「映像系の案件がここ数年で急速に増えてきているのはもちろんだが、これまでとは傾向が変わってきている」という。プリンストンの営業統括本部 コーポレート業務担当 石井祐介氏は次のように話す。

ALT プリンストン 営業統括本部 コーポレート業務担当 石井祐介氏

 「ビジュアルコミュニケーションというと、従来は役員室に設置するビデオ会議システムや、一般顧客に情報を伝えるデジタルサイネージといった具合に用途は限られていました。しかし昨今は、一般的な会議室に大型ディスプレーを設置してWeb会議を行ったり、オフィスや駅構内、病院の待合室に大型ディスプレーを設置して必要な情報を提供したり、学校でも電子黒板やタブレットを利用したりと、ビジュアルの活用シーン・用途が大幅に拡大しつつあります。実際、身近なところにビジュアルコミュニケーションの波が訪れていることを、多くの人が実感できるのではないでしょうか」

 実は、そうした変化は、サーバルームやデータセンターの監視センターといったITインフラの領域でも進んでいる。サーバ管理というと、情報システム担当者がサーバラックの前でサーバを設定したり状況を監視したりするシーンを想起する向きも多いのではないだろうか。

 だが、最近は企業側のセキュリティ意識の向上などに伴い、サーバルームへの入室が厳しく制限されている場合も多い。例えばサーバの状態のみを顧客に見せる場合、サーバルームへ入室させず別室で監視を行う用途も増えている。そのような中、HDMI/DVI/VGAなどの映像信号を切替・分配・延長し、映像信号の劣化を最小限に抑えながら、必要とされる場所に、必要とされる情報を、確実に届けることが求められている。

 「“映像の力”を使って業務を効率化したり、関係者や顧客に必要な情報を直観的な形で伝えたりする“広い意味でのビジュアルコミュニケーション”のニーズは、従来SIerが得意としていた分野にまで、着実に広がってきているのです」

一般的なSI案件とは異なるノウハウが求められる映像系案件

 しかし多くのSIerにとって、“映像系のシステムが入る案件”はやっかいなものであるようだ。石井氏は、「映像系のシステムは一般的なSI案件とは異なる知識とノウハウが求められることが多い」と指摘する。

 例えば、従来のようなサーバ管理でも、管理画面の表示などのシーンで映像表示は必要であったが、あくまで映像を“正しく映す”ことが主目的だった。つまり、システムに求められるのは、あくまで「情報が正しく表示され、サーバの管理が滞りなくできる」という点であった。

 しかし昨今のビジュアルコミュニケーションでは、“映像を使った確実な訴求/直観的なコミュニケーション”が目的となる。「映像は画面に正しく出力されていればよい」といったレベルではなく、できるだけ精細かつ品質の高い映像が求められるようになりつつある。

 分かりやすい例としては、医療現場での活用が挙げられよう。外科手術の様子を、医局にいるスタッフに見せるという機会がある。ところが、これまでの映像品質では解像度が低すぎて必要な情報がほとんど伝わらない。それが4Kなどの映像に高解像度化することで、モニター越しに鮮明な映像を確認し、現場で目視するのと同じ情報量を、別室で確認することができる実現性も高まりつつある。

 先に紹介したサーバルームの監視用途についても同様だ。かつてと比べてグラフィカルで、インタラクティブなインタフェースになり、顧客が必要とする情報が、より大型化されたディスプレーに、映像の劣化なく、きちんと表示されることが求められるようになった。また最近は、Webサービス企業のアジャイル開発やDevOpsなどの取り組みにおいて、開発部屋に大型ディスプレーを設置し、システム障害やアラート表示といったサービスの稼働状況をメンバー間で即座に共有・確認するといった用途も増えつつある。そうしたケースでは、「映像やコンテンツの視認性を高めることで、関係者間で問題を迅速に発見・共有できるような仕組み」をいかに作るかというノウハウが必要になってくる。

 こうした映像系案件における映像品質の重要性について、石井氏は「信号の劣化なく、見やすく、分かりやすい“絵づくり”が必要です。こうしたノウハウは一般的なシステムインテグレーションとは畑が違うこともあり、これまでのSIではさほど重視されてきませんでした。その結果、ノウハウの蓄積も進まなかった。SIerにおいても映像関連の案件が増えている中、SIの現場ではこの点が大きな課題になっていると感じます」と指摘する。

映像系案件の取りこぼしは、“SIer崩壊”の象徴的な事象

 課題の1つは、「SIerが顧客のニーズを正しくつかみ切れていない、実現できていない」ことだ。例えば、「映像はとにかく正しく出力できればいい」という発想でインテグレーションに取り組んだ結果、「出力される映像品質が顧客の求めているニーズを満たせていない」ことがある。

 ノウハウがないために、映像に関するインフラや制御プログラムの実装部分を外部の協力会社に丸投げしてしまうケースも多い。この場合、顧客企業が望む映像品質を担保する上で、委託者の管理や、顧客ニーズとのすり合わせ、委託部分のテストなどが課題になってくる。

 また石井氏は、「最も大きな課題は、自社に映像系ノウハウが蓄積されないことで、既存ビジネスの縮小につながる可能性もあることです」と指摘する。

 「企業のデジタル化の取り組みにおいて、“広い意味でのビジュアルコミュニケーション”は今後ますますニーズが拡大していく分野だと思います。“案件のうち、映像に関わる部分”や、映像系案件そのものを外部に丸投げしたり、対応できないからと受注を見送ったりすることで、ノウハウの蓄積、収益獲得の両面で、機会損失が増大してしまうのではないでしょうか」

 こうした点で、あらためて想起されるのがSIerにとって重要とされている「顧客企業に寄り添う」スタンスだ。近年はクラウドの浸透を受け、リプレース需要も減っている中で、「保守運用と組み合わせたハードウェア販売」を主軸としたビジネスモデルでは、SIビジネスが立ち行かなくなると盛んに指摘されている。特にITがビジネス差別化の源泉となっている今、顧客企業はSIerに対し、“共にビジネスを改善・革新するパートナー”としての役割を期待する傾向が強まっている。

 石井氏はそうした状況を挙げ、「“どのような案件でも顧客に寄り沿うスタンス”はとても重要です。ではノウハウがない領域の場合はどうすればよいのでしょうか? そうした際に活用してほしいのが、メーカーとSIerの仲介となる販売代理店なのです」と指摘する。

 「販売代理店には、取り扱う特定製品に対する選定・実装方法に知見があります。そして、SIerにはITシステムに関する優れた知見と技術力があります。販売代理店と組むことで、必要な知見・ノウハウを獲得できれば、他の一般的な案件同様、製品選定や実装方法も含めて主体的に考えられるようになる――すなわち、映像案件も“自社の強み”として提案できるようになるのではないでしょうか」

パートナーとして選ぶべき販売代理店、3つのポイント

 実際に、プリンストンではさまざまな形でSIerを支援する体制を整えているという。もともと同社はATEN社製KVMスイッチやドロワーなど、エンタープライズITで欠かせない製品を数多く取り扱ってきた実績がある。また、ATEN社では近年、これらの製品で培ったノウハウを生かし、プロフェッショナルAVソリューション製品に力を入れており、映像の切替・分配・延長といった、映像をより効果的に送り届けるための製品群が充実してきている。

 プリンストンは、こうした製品群に対する知見を生かし、「従来のエンタープライズITと映像が融合した領域で、あらゆるニーズに応えられるノウハウ」をもってSIerを支援する。すなわち、ただ単に製品を取り扱うのではなく、「製品をより有効に使うノウハウ」とともに提供できることが、同社の差別化要素となっているわけだ。

 石井氏は、多数のSIerの支持を獲得してきた実績を基に、「代理店選びは『知識』『サービス』『サポート』の3つがポイントになります」と解説する。同じ製品を扱っていたとしても、製品選定・導入に当たり、それらのポイントは大きな違いとなって表れてくるという。

 まず「知識」とは、映像機器の特徴、効果的な適用領域などを判断する総合的な知識だ。

 「例えば、『データセンターにおいて、多数のサーバの稼働状況をリアルタイムに監視したい』という案件があったとします。その際には、『モニターをどこにどう配置するか』『どのサーバの、どのデータを、映像として出力するか』『遠隔監視はどう実現するか』『モニター電源はどう確保するか』など、あらゆる検討事項が出てきます。そうした際に、KVMスイッチやドロワーといったサーバ管理に必要な製品群だけでなく、ビデオ切替器、ビデオ分配器、ビデオ延長器、各種ビデオコンバーターなどの各種製品をどう使いこなすか組み合わせるかによって、映像の品質やコスト、実装期間などが大きく異なってくるのです。こうした製品選択・実装のノウハウをその代理店が持っているかどうかの見極めが重要です」

 「サービス」とは、単なる機器の販売だけではなく、必要なシステムや制御プログラムのプログラミングなども含めて「ソリューションとして提供できるかどうか」を指す。プリンストンは、機器の提供だけにとどまらず、機器をよく知る專門エンジニアを有し、SIのパートナーとして協力することができる。

 「弊社とSIerが協力して、ミニシアターシステムの設備を4K解像度対応に更改し、制御プログラムのプログラミング実装を弊社で請け負った事例があります。ミニシアターシステムでは、主にお客さまが開発した新製品のプレゼンやイベントでアーティストが作品を上映する際に使用していましたが、既存の設備を活用して制御プログラムを更新する場合、わずかな機能変更でもシステムの全面的な改修が必要となり、費用面が高額になることが課題でした。そこで弊社では、1台のタブレットでシアター内設備や映像機器の操作を行える『ATENコントロールシステム』を活用し、導入機器とその配線の提案から制御プログラムの構築まで実施しました。SIerには配線や機器の設置設定など、従来のシステムインテグレーションで知見のある分野を担当いただくことで、外部へ丸投げしていたら膨れ上がっていたであろうシステム構築費用を抑えながら、ユーザー様の予算に合わせた形でシステムを構築することができました」

ALT プリンストンの知見とSIerの知見を組み合わせ、ATEN製品を効果的に適用することで、「わずかな機能変更でもシステムを全面改修しなければならなかったミニシアターシステム」の運用効率、コスト、ともに改善した

 「サポート」は、機器導入後のアフターサポートが充実しているかどうかを指す。特に映像関連機器は、購入後も導入環境の変化などにより、映像品質に変化が出るなど、問題が生じることがある。プリンストンでは、ATEN製品専門エンジニアに購入後相談が可能な独自のコールセンターを有し、購入後のトラブルに対しても迅速な対応ができる体制を整えているという。

販売代理店は「外部ブレーン」。代理店の価値はSIerの価値につながる

 また、石井氏はATEN製品を扱う理由として、昨今の映像系案件ニーズにきめ細かく対応できる「品質」と「ラインアップの豊富さ」を挙げる。

 「ATENのプロフェッショナルAVソリューション製品は、HDMIやDVI、VGAなどの映像信号を、切替・分配・延長することで自由な映像表現を実現することができます。また最近では、1枚の映像を複数ディスプレーに分割表示させ、巨大な映像表示を実現させる『ビデオウォール』を安価に実現するマトリックススイッチャー、会議室やシアターの設備・機器をタブレット端末で集中制御可能な『コントロールシステム』、そしてAV向けに特化した『AV用PDU』の発売など、ラインアップが大幅に強化されています」

ALT プリンストンが扱うATENのプロフェッショナルAVソリューションシリーズ「VanCryst」の一例。左は、16入力16出力モジュール式マトリックススイッチャー(ビデオウォール対応)「VM1600」。1つの筐体からローカルやリモートにある複数のAV入力機器とディスプレイにアクセスし、リアルタイムで操作できる。右は、8系統のHDMI信号を8系統にシームレス切替・分配できる、8入力8出力HDMIマトリックススイッチャー(ビデオウォール対応)「VM5808H」《クリックで拡大》

 ATENでは、こうしたプロフェッショナルAVソリューションを「VanCryst」というシリーズで展開している。言うまでもなく、ATEN製品を扱う販売代理店は複数あるが、プリンストンは他の代理店と同じ商材を扱いながら、前述のような“SIerの領域に一歩踏み込んだスタンス”で提供することによって、“同社ならではの付加価値”を載せて提供しているわけだ。

ALT 「販売代理店を、単なる製品の仕入れ先ではなく、外部ブレーンとして使っていただきたいですね。弊社ではSIerの領域にも踏み込んだ、さまざまな提案を強みとしています」

 SIerにとって、顧客ニーズに柔軟に応えられる体制作りや、新規領域の開拓は喫緊の課題だ。そのために、実際に新たな行動に乗り出しているSIerも増えつつある。その点、「知見・ノウハウがないために敬遠してきた苦手分野を減らす」というアプローチは、変革のための非常に現実的な第一歩となり得るのではないだろうか。

 「実際、販売代理店の立場からSIerを客観的に見ていると、代理店を外部ブレーンとして使うことは、SIerが知見やカバー範囲を拡大する上で非常に有効だと思います。代理店としても、単に製品を仲介するだけではなく、最終顧客のニーズに応えるご支援をすることこそが本来的な役割だと考えています。その点で、システムの構成提案をお手伝いするのはもちろんですが、弊社サポートサービスを大いに活用いただきたいですね。SIerにとって見逃していたビジネスチャンスはまだまだあると思います。弊社としては、取りこぼしていたニーズを共にくみ上げ、共に実現することに、今後も注力していきたいと考えています」

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提供:株式会社プリンストン
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年2月22日

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