ギークスでゲーム開発エンジニアの採用面接を受けた池澤あやかさん。現実的なことが、どうしても気になるようで……。
もしも、ギークタレント池澤あやかさんが実在の有名IT企業に転職するとしたら?――エンジニアなら、誰しも興味がある話題ではないだろうか。
本連載はそんな架空の設定の下、池澤さんにさまざまなIT企業で「エンジニアとして」採用面接を受けてもらう。
第1回「ヤフー編」は、池澤さんの志向と同社のニーズがすれ違い、不採用という結果につながった。奮起した池澤さんは、第2回「ユカイ工学編」で猛烈アピールし、仕事をやり遂げる「腕力」を評価されて採用を勝ち取った。その後、第3回「リクルートスタッフィング編」では、週に3日だけ派遣エンジニアとして働き、タレント業と両立する働き方を模索した。
これまでは基本的に、池澤さんの得意分野といえるWeb系の開発やロボット開発を想定して採用面接を受けてきた。しかし、ソフトウェア開発の仕事を考える上で、肝心なものを忘れていないだろうか?
そう、ゲームである。
一口にゲームといっても、アーケードゲーム機やコンシューマーゲーム機、PC、スマートフォンと、ターゲットとなるハードウェアプラットフォームはさまざま。その中でも、今、勢いがあるのはスマートフォンだろう。
そこで今回、池澤さんは、スマホゲーム開発エンジニアへの転職をめざして「ギークス」を訪れた。同社は2017年、新たなスマホゲームタイトル『カクテル王子(プリンス)』をリリースする予定だ。
ギークスは、ゲーム事業、IT人材事業、動画事業、インターネット事業などを展開する総合インターネットカンパニーである。
今回、池澤さんが転職を目指すのは、ゲーム事業でのゲーム開発エンジニア。面接してくださったのは、同社執行役員ゲーム事業本部長の桜井敦氏と、同じくゲーム事業本部でエンジニアとして活躍する中西敦之氏だ。
例によって面接開始のあいさつからスタートかと思いきや、池澤さんが突然、「名刺作ったんです」と、面接官と名刺交換を始める。
一連のやりとりを終えると、池澤さんからの質問タイムになった。これは、今まであまりなかったケースだ。今回の池澤さんは、いつもと違うぞ。
「私、Unityは少ししか経験がないのですが、それでもゲーム開発エンジニアになれますか?」(池澤さん)
Unityとは、現在、ゲーム開発分野で主流となっているゲーム開発統合環境だ。Windows、macOS、Android、iOS、Webブラウザ、プレイステーション、Wii Uなど、さまざまなプラットフォームに向けた3Dゲームの開発が行える。
ゲーム開発にあこがれるけれど、Unityの経験があまりない……という多くのエンジニアの気になる点を、池澤さんが代表して質問してくれた。よくやった池澤さん!
ところが「なれますよ」と、答えはいともあっさり返ってきた。
桜井氏によると、現在、主流のスマホゲームも、その多くはバックグラウンドでサーバと通信を行っている。ギークスでは、フロントサイドはUnityを使って開発されるが、サーバサイドはPHPを使って開発するので、サーバサイドの開発ならばWeb系の開発経験がそのまま生かせるということだ。
でも、池澤さんがフロントサイドの開発を手掛けることは、できないのだろうか。それについては、現在Unityでバリバリと開発を行う中西氏から心強い発言があった。
「私も、もともとはWeb系の開発エンジニアだったんです。5年ほど前、フリーランスとしてソーシャルゲームの開発に携わり、そこからフロントサイドの開発を学び、今に至っています。意欲があれば大丈夫です」(中西氏)
今どきのゲームはフロントエンドだけでなく、バックエンドのサーバとの連携が不可欠。Unity経験が少なくても、ゲーム開発を諦めることはありません
ここで「池澤さんは普段、ゲームはされますか?」と桜井氏から質問された。
「スマホのゲームはあまりやりませんが、ゲーム専用機では、『モンハン(モンスターハンター)』や『大乱闘(大乱闘スマッシュブラザーズ)』をやります」(池澤さん)
次は「入社したら、どのようなゲームを作りたいですか?」という質問だ。
「恋愛シミュレーションゲームを作りたいです」(池澤さん)
池澤さんの意外(?)な答えに2人の面接官は最初ビックリしたが、すぐにニンマリとした。
「実は、2017年に女性向けのゲーム『カクテル王子(プリンス)』をリリースするんです。恋愛ではありませんが、シミュレーションゲームですよ」(桜井氏)
「カクテルをイケメンに擬人化したキャラクターが登場し、その1人1人のキャラ設定――趣味、性格、嗜好――をブレストしながら決めています。いわゆるイケメンだけでなく、さまざまなタイプの男性が登場します」(中西氏)
「そのブレスト、私も参加してみたいです(笑)」(池澤さん)
「あ、いいですね! ぜひ参加して、ユーザーの立場で妄想して開発に生かしてください(笑)」(桜井氏)
ゲームの開発者がゲーム好きである必要はありませんが、ゲームが好きな人の方がプレイヤー目線でアイデアを出せることが多いかもしれません。好きなゲームがあれば、積極的にアピールしてください
エンジニアが転職をするときに注目するポイントは業務内容だけではない。ずっと働くことを考えると、社風や理念、就業環境など、会社そのものについても興味があるだろう。そこで中西氏から「池澤さんは、どんな基準で会社を選びますか?」という質問が投げ掛けられた。
「通勤アクセス、デスク周り、ディスプレイ、照明、リフレッシュできるフリースペースなどでしょうか。ゲーム開発は初めてなので、教育体制も気になります」(池澤さん)
「意外と現実的ですね(笑)。でも照明とは、どういうことが気になるのですか?」(桜井氏)
「白熱灯だと気がめいってしまうんです。落ち着けるような、ややオレンジ色の照明がいいですね」(池澤さん)
池澤さんが挙げた会社選びの基準は、いずれもそこで働くことをイメージしたもので、長く活躍していくためには大切なことばかりだ。現実的と捉えられるのも無理はないが、「オフィスで毎日働いた」経験のない池澤さんにとっては、気になるポイントなのだ。また、初めてのゲーム開発ともなると、不安もあるだろう。
それを察してか否か、中西氏からこんな質問も出された。
「先ほどUnity経験は『少し』とお話しされていましたが、具体的にはどのぐらいご存じなのですか?」(中西氏)
池澤さんによると、Unityは少し習っていたので触った経験はあるけれど、業務で使ったことはないそうだ。
「それならば、勉強会に参加してみませんか?」(桜井氏)
社内のフリースペース「21cafe(ニイイチカフェ)」で初心者向けのUnity勉強会などが月に4~5回開催されているので、そこに参加すると良いのでは、とのアドバイスだ。さらに、社内の勉強会やハッカソンで先輩社員に教えてもらうこともできるし、もちろん日々の業務の中でも学んでいけるとのこと。
「先輩社員から学べるのももちろんですが、ギークスの開発現場には、高いスキルを持ったフリーランスのエンジニアもいます。彼らのスケジュールの立て方や品質へのこだわりなどは、現場の社員も多いに学ばせてもらっています」(桜井氏)
ギークスはIT人材事業で創業しており、フリーランスエンジニアネットワークに強いという特徴を持っている。自社のゲーム開発でも、そのネットワークを活用しているようだ。
一通りの質疑応答が済み、面接は終了。いよいよ結果発表となった。
結果は………
「採用です!」(桜井氏、中西氏)
気になる雇用形態は「正社員」とのことだ。なぜなのだろう? 採用理由を聞いてみた。
桜井氏は、「池澤さんにポテンシャルを感じたから」だという。
正社員採用は、即戦力を期待することもあるが、ポテンシャル採用を行い、じっくり育成しつつ、ゆくゆくはマネジメントなども任せていくパターンもあるという。
2人は、池澤さんのどういった部分にポテンシャルを感じたのだろうか?
「今回は主に『人物』を見ました。ゲーム開発の現場はメンバーの年齢が若いため、そこにうまく溶け込めるかは1つのポイントです。一緒に働く空気感を共有できるかですね。池澤さんは、会話の端々から『素直さ』が感じられました。池澤さんなら、わが社のチームの一員として大いに活躍してくださるのではないかと思いました」(桜井氏)
「即戦力という意味では、ゲームの公式サイト構築など、すぐに力を発揮していただける仕事もけっこうあります。未経験の分野は、業務の中で学んでいっていただければ問題ないと思います」(中西氏)
技術力も素直さも認めてもらえて、うれしい池澤さん。ゲーム開発にも少し(かなり?)興味を持ちました。
ゲーム開発未経験者も経験豊富な即戦力の人も、幅広い受け入れ体制を持つギークス。教育体制も充実しているので、安心して働けますね!
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提供:株式会社リクルートスタッフィング
アイティメディア営業企画/制作:@IT自分戦略研究所 編集部/掲載内容有効期限:2017年3月31日