Dell EMCのハイパーコンバージドは、各企業が最適解を見いだすためのツールを目指すDell EMCが本気で推進するHCI/CIの全貌

Dell EMCはなぜハイパーコンバージドインフラとコンバージドインフラで、豊富な選択肢を提供しているのか。これは、企業の社内ITをほぼ例外なく、クラウド化しなければならないと考えているからだ。

» 2017年04月10日 10時00分 公開
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photo EMCジャパン CSPD事業本部 事業本部長の浮田竜路氏

 「ハイパーコンバージドインフラ(以下、HCI)」の注目度がますます上昇している。例えば、調査会社ガートナーは2016年に、「今後5年以内にHCIは主流の存在になる」と予測している。

 HCIは、一般的には「SDS(Software Defined Storage)を使った統合インフラシステム」「SANのようなストレージ専用装置を使わず、サーバだけで構成される統合インフラシステム」などのことだといわれる。

 基本的な物理構成でいえばその通りだ。だが、HCIにはもっと重要なテーマがあるとDell EMCは考えている。「HCIは企業のITインフラを全般的にクラウド化するものです」と、EMCジャパンのCSPD事業本部 事業本部長である浮田竜路氏は話す。Dell EMCが、HCIだけでも大まかにいって3種類、統合システム(以下、CI)を入れると4種類の製品ラインアップを展開しているのはそのためだという。

HCIとITインフラのクラウド化はどう結び付くのか

 企業では、パブリッククラウドの利用を検討することが当たり前になってきた。既存システムの一部を実際に移行したところも増えている。

 企業がパブリッククラウドに期待したくなる理由は明確だ。パブリッククラウドはコストの低い汎用的なIAサーバでインフラを構築し、多くの場合はこれを仮想化して共有する仕組みを提供している。

 ユーザーは、これを即座に調達して利用できる。インフラ自体を運用する手間はかからない。もし、自社のリソースニーズが増大したとしても、その時点ですぐに追加調達できる。常に使いたい分だけ使えばいいので、理論的にはコスト効率が高いはずだ。

 要するに、企業は無駄が少なく効率的で、運用負荷が低く機動的なインフラを使いたいと考えている。これは当然のことだ。企業ITは、予算が限られている中で、ビジネスへの貢献度を高める必要に迫られている。既存システムの運用コストはできる限り削り、ビジネスの成長に直接貢献する可能性の高い技術やツールに対し、戦略的な投資を進めていかなければならない。この観点からすると、従来型の社内業務システムのインフラは、無駄や運用負荷が大きく、機動性や柔軟性に欠けている。

 このような、情報システム部門の差し迫ったニーズを満たしてくれる選択肢は、パブリッククラウドしかない――。こうした思いが、ますます多くの企業を、パブリッククラウドに向かわせている。

 だが、実際にパブリッククラウドを活用し始めた組織が、全てのケースで満足しているわけではない。用途によっては、パフォーマンスが安定しないなど、サービスレベルが担保できない、あるいはストレージやネットワークの利用料が高すぎて、従来の社内運用と比べて大幅なコスト増になってしまったといった声は、よく聞かれる。

 パブリッククラウド以外にも、機動的で柔軟、効率的で負荷の低いITインフラの選択肢はある。それがHCIだ、というのがDell EMCの基本的な考え方だ。情シス部門の差し迫ったニーズを考えれば、パブリッククラウドに移行しにくい、あるいは移行することをためらうような業務アプリケーションは、既存のITインフラから可能な限りHCIに移行すべきだとする。

 Dell EMCのHCIが、なぜパブリッククラウドと同様な選択肢になり得るのか。個々の製品ラインの概要はひとまず置いておくとして、全体的なメリットを紹介する。

 まず、Dell EMCのHCI製品は主に、サーバハードウェアとしてデルのインテル® Xeon® プロセッサーを搭載したPowerEdgeサーバを活用している。デルはオープンでコスト効率に優れたサーバを提供し続けている。グローバルでサーバ出荷台数No.1(出典:IDC’s WW Quarterly Server Tracker 2016Q4)のITベンダーならではの検証や技術サポートを提供している。Dell EMCではこれを使い、ハードウェア、そして多くの製品ラインではソフトウェアも自社グループの製品で構成することにより、HCI製品をワンストップでサポートできる。つまり、パブリッククラウドのように汎用サーバに近い製品を活用しながら、これまでユーザー企業がITベンダーに期待してきたレベルのサポートを享受できる。

 また、HCIアプライアンス製品「VxRail(インテル® Xeon® プロセッサーを搭載)」の場合、スモールスタートが可能である。最小構成は3ノードだ(ノードとは、VxRailを構成するサーバユニットのことを指す)。また、いったん導入した後もニーズ次第で筐体を追加することにより、容易に拡張できる。当面使う分だけインフラを調達するというのに近い世界を実現し、IT投資の無駄を極力抑えている。これは、「Vblock」「VxBlock」といったSANストレージを利用したCI製品では実現の難しい点だ。CI製品ではSANストレージ専用装置を使うため、スモールスタートはしにくい。また、導入後の拡張を、HCIほど細かな単位で段階的に行うことはできない。

 さらに、Dell EMCのHCIでは、迅速にITインフラを調達できる。HCI製品自体は即座に調達できるとまではいかないが、VxRailでは発注から1カ月程度で納品され、納品されれば、本体のセットアップは15分程度で完了し仮想環境を使い始めることができる。いったん使い始めれば、その後はいつでも即座に仮想マシンを作成し、活用できる。

photo EMCジャパン コンバージドプラットフォーム&ソリューション事業部vArchitectシニアマネージャーの三邉祥一氏

 EMCジャパン コンバージドプラットフォーム&ソリューション事業部vArchitectシニアマネージャーである三邉祥一氏は、「これまで多くの企業は、レファレンスアーキテクチャなどを利用し、約1年かけて業務システムをカットオーバーするスケジュールを組んでいました。一方、VxRailでは、3カ月で業務システムを立ち上げられます。この期間短縮効果は、ビジネスへの貢献という意味で、大きな違いをもたらします。言い換えれば、システムの投資対効果やROIの改善にも直結します」と話している。

 上記のように、HCIでは、社内ITの運用スタイルを、従来のやり方から脱皮させ、パブリッククラウドに大きく近づけることができる。その上でサービスレベルについては安心でき、ネットワーク、ストレージを含めたトータルコストは、多くの場合パブリッククラウドに比べて割安になる。

 読者の中には、「それでもパブリッククラウドのような従量課金は実現できないではないか」と指摘する方がいるかもしれない。Dell EMCのHCIでは、消費したリソースの分だけ月額で支払っていただくファイナンスプログラムの開発を進めている。数カ月後に物理的なリソースを追加調達しなければならないことが分かっていれば、これを早めに発注し、追加コストなしに準備しておくことができる。これを活用すれば、支払いモデルの点でも、パブリッククラウドにかなり近づけることができる。

Dell EMCはなぜ、HCI、CIで豊富な選択肢を提供しているのか

dell EMCのHCI製品ポートフォリオ Dell EMCは業界で最も幅広い製品ポートフォリオを通じ、多様なニーズに応えている

 それでは、Dell EMCが提供するHCI、そしてCIの選択肢を簡潔に紹介する。それぞれについて詳しくは、別記事で解説する。

 HCIでは、インテル® Xeon® プロセッサーを搭載したVxRail、VxRack、XCの3種類がある。

 VxRailは2Uの筐体に4ノード(サーバユニット)、または1Uの筐体に1ノードを搭載可能な、アプライアンス形式のHCI製品。1クラスタで3ノードから64ノードまで拡張できる。仮想化ソフトウェアとしてヴイエムウェアのVMware vSphereを搭載し、ストレージソフトウェアにはVMware vSANを組み込んでいる。ヴイエムウェアとDell EMCが共同で開発し、提供している市場で唯一のHCIアプライアンスだ。

 Dell EMCでは、企業の社内におけるアプリケーションの大部分にVxRailが適用可能と考え、推進している。VDI(デスクトップ仮想化)からMicrosoft Exchange、基幹業務のためのデータベースまで、VMware vSphereで稼働してきたアプリケーションは全て、VxRail上で稼働している実績がある。

 これに対し、VxRackシリーズ(インテル® Xeon® プロセッサーを搭載)は「ラックスケール」と呼ばれるように、基本的にはラック単位で構築・拡張していく規模のインフラに向いている。実際、クラウド事業者のインフラとして活用されている他、大規模なプライベートクラウドインフラとしても使われている。提供されるハードウェア構成にはスイッチまでが含まれていて、NSXやACIといったSDN(Software Defined Networking)も利用できる。VxRackを構成するサーバとスイッチについては、ファームウェアの更新を含め、そのライフサイクルを一括管理できる機能を備えている。

 HCIというとアプライアンスのイメージが強いため、なぜVxRackのような製品が必要なのかと聞かれることがある。答えは、「HCIは企業のITインフラを全般的にクラウド化するもの」だからだ。稼働できるアプリケーションの種類でいえば、VxRailでほとんどのものをカバーできる。だが、ITインフラがある程度の規模以上になると、ネットワークを含めたデータセンターとしての全体的な運用管理という、新たな側面が加わってくる。規模の拡大によるデータセンター運用の複雑さを、シンプル化する。これがVxRackの役割だ。加えて、VxRack FLEXでは、仮想化環境だけでなく、ベアメタルサーバも同一基盤に組み込める。これにより、どうしても仮想化したくないようなアプリケーションを含め、統合的にインフラを管理することが可能になる。

 また、XCは1Uあるいは2UのPowerEdgeサーバに、米NutanixのHCIソフトウェアおよびストレージソフトウェアを搭載したHCI製品。仮想化技術はVMwareに加え、マイクロソフトのHyper-Vに対応。さらにオープンソースソフトウェアのKVMを基にした仮想化技術を利用できる。同製品では運用ツールに力を入れていて、直感的に利用できるGUIを提供することで、運用管理の効率化を提供できることが、重要なセールスポイントになっている。

 XCは特に、マルチハイパーバイザー環境を統合運用したい企業や、シンプルに日常の運用ができるようなITインフラを求めている人たちのために、提供されている。

 企業によって、業務ITの規模やこれまでの経緯、運用体制はさまざまだ。Dell EMCは、どのようなケースでも、社内ITをクラウド化し、自社のIT運用スタイルを構築から利用へと変革していくことができるように、HCIで豊富な選択肢を提供している。

 一方、CI製品の「Vblock」という製品を提供してきたグループ企業VCEはDell EMCに組み込まれ、同製品ラインは継続して提供されている。

 上述の通り、HCIはCIに比べてスモールスタートしやすく、拡張もしやすいなど、よりクラウド的な特徴を備えている。また、大部分のアプリケーションに適している。「それなら、もうCI製品は要らないのではないか、なぜVblockの提供を継続しているのか」という疑問をお持ちの読者もいるだろう。

 答えは、ストレージ専用装置の機能が、まだまだ求められているからだ。

 ストレージ専用装置は、安定的に高性能を発揮するべく最適化がなされており、その稼働にはこれまで約20年にわたる実績がある。また、万が一障害が発生したときの対応についても、製品・サポートの両面で、ノウハウが蓄積されている。

 また、「データサービス機能」と総称される、データの重複排除や圧縮、筐体内クローン、遠隔複製などの機能についても、豊富に搭載している。HCIのストレージソフトウェアにも重複排除やデータ圧縮などの機能が備わるようになってきたが、成熟度の点ではストレージ専用装置に軍配が上がる。

 確実な安定稼働を最優先したいユーザー組織や用途では、依然としてCIが選択されることが多い。HCIに比べれば柔軟性には欠けるが、それでも社内ITインフラ運用のクラウド化に貢献できる。Vblockでも、主要パブリッククラウドよりもコストを低減できるケースが多いという。Dell EMCグループのVirtustreamが運営するクラウドサービスでは、プラットフォームとしてVblockが多く使われている。

ITサービスとしてのハイブリッドクラウド提供を実現

 Dell EMCのHCI/CIは、パブリッククラウドの利用を排除することを目的としているわけではない。消費リソースが激しく増減するアプリケーションをはじめ、パブリッククラウドで稼働するのが適切だと思われるものは存在する。ユーザー企業が最終的に望んでいるのは、「クラウドライクなオペーレーション」であり、それを実現できるHCI/CIとパブリッククラウドの統合運用だ。

photo Enterprise Hybrid Cloudは、製品とサービスで企業ITのクラウド化と、パブリッククラウドとのハイブリッドな運用を支援する

 HCI/CIにより、社内ITインフラのクラウド化を進められる。一方で企業は、さまざまな理由で一部のアプリケーションをパブリッククラウド上で展開していくだろう。双方の利用を単一のツールで可視化し、統合的に運用できれば、それぞれの企業にとって最適な利用の組み合わせを、自ら見いだしやすくなる。利用状況とコスト、サービスレベルなどを勘案し、自社にとっての最適解を確保すべく、常時調整を続けていくことができる。

 同時に、HCI/CIによる社内ITインフラと、パブリッククラウドの双方について、ユーザーが同様な手続きで簡単に利用できるポータルが用意できれば、これを通じて、「パブリッククラウドの利用を含めたITのセルフサービス化とガバナンスの両立」という、あらゆる企業にとってこれから最も重要な目標を達成できることになる。

 これを実現するため、Dell EMCはHCI/CI製品と組み合わせて利用できる、「Enterprise Hybrid Cloud」というソリューションに力を入れている。

 同ソリューションは、これまでの経験を基にDell EMCが作成したブループリントを活用して、ハイブリッドクラウドの統合運用と社内ITプロセス自動化のためのターンキーシステムを構築し、提供するものだ。これにプロフェッショナルサービスを組み合わせ、継続的な運用を支援している。

 Enterprise Hybrid Cloudの第1の目標は、ITをサービス化し、社内のユーザーにとって、社内のHCI/CI、パブリッククラウドの双方を、使いやすくすることにある。

 このソリューションでは、ユーザーに対してセルフサービスポータルを提供。ユーザーは、サービスカタログから、自らの要件と照らし合わせた上で最善なサービスを選択し、利用できる。社内の利用申請プロセスは大幅に自動化され、これまでよく見られたように、使いたいと思っても申請で長期間待たされるといったことがなくなる。ユーザーのためのダッシュボードでは、各種リソースについて、サービスレベルやコストなどの情報を提供し、ユーザー自身による比較・判断を促せる。一方情シス部門は、ユーザーによるサービスカタログの利用に、自社のポリシーを反映させられる。

 さらに、EHCでは、Dell EMCが持つ豊富なデータプロテクションの製品を組み合わせることにより従来型のアプリケーションに必要な、バックアップやディザスタリカバリー、仮想マシンレベルの暗号化など、データ保護およびセキュリティの選択肢をも一元的に提供し、これを自動的に適用することができる。

 また、情シス部門は、自社のクラウド環境全体にわたり、稼働状況およびパフォーマンスを常時確認できる。これにより、問題の発生をいち早く察知し、対策を講じることができる。

パブリッククラウドもプライベートクラウドも、手段でしかない

 大部分の既存業務アプリケーションは「塩漬け」にしたままで、どのアプリケーションをパブリッククラウドに移行できるのかと悩む情シスの方々を時折見かける。それは適切なアプローチとはいえないとDell EMCは考えている。なぜなら、パブリッククラウドは手段の1つであり、目的ではないからだ。

 目的は、社内ITの運用スタイルを抜本的に変革することであるべきだ。そうでないと、増えないIT予算とITに高まる期待のジレンマを解決できない。社内ITの運用スタイルを抜本的に変革するためには、ほぼ例外なしに、全ての業務アプリケーションやITサービスをクラウド化しなければならない。その上で、社内と社外の適切な使い分けを見いだす取り組みを始めることができる。

 ユーザー企業のIT事情はそれぞれ異なる。単一のサービスあるいは単一の製品を押し付けても、多くのユーザー企業にとっての最適解にはつながらない。ITインフラ製品ベンダーは、各企業が自らの最適解を見つけるための手助けをすることしかできない。Dell EMCがHCI/CIで幅広い選択肢を提供し、さらにパブリッククラウドを含めたハイブリッドクラウドのための統合運用ツールを提供しているのはこのためだ。

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提供:EMCジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年5月9日

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