SD-WANユースケースからみる、「WANのクラウド化」の必要性SD-WANとは何なのか

最近、「SD-WAN」という言葉をよく聞くようになってきた。これは企業ITのダイナミックな変化にWANが追従できるようにするため、「WANをクラウド化」することなのだという。

» 2017年05月22日 10時00分 公開
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 国内企業のWANは、専用線、NTT東日本・NTT西日本の「フレッツ」網、3G/LTEなどのモバイル網といった回線サービスを組み合わせて構築・運用されてきた。これらのサービスは他国と比較しても高い品質で提供されており、今後も企業の通信基盤として、重要な役割を果たしていくことは疑いようもない。

 とはいえ、企業ITは、ここ10年で大きく変化してきている。情報系システムをはじめとしたサーバについては、社外のパブリッククラウドへの移行が加速し、クラウドアプリケーションの利用も活発化してきた。また、モバイル活用も進んでいる。社外から業務情報にアクセスすることが増えており、今後も働き方改革との関連で、この傾向が強まる可能性が高い。つまり、10年前は接続元(拠点や人)と接続先(サーバ)を固定かつ限定的に捉え、堅牢性の高いWANを構成してきたが、モバイルやパブリッククラウドの登場・利用増により、変動的かつ拡張的な接続先や接続元へと、性質が変化している。

 「拠点やモバイル端末とクラウドを結ぶWANにも、従来とは異なるレベルの即時性や柔軟性が求められるようになってきました」とNTTPCコミュニケーションズの三澤響氏は話す。同社は2017年1月17日、SD-WANを活用する「クラウド型ネットワークサービス」を発表したが、これは企業ITのダイナミックな変化に、WANが適応し続けられるようにするものだという。

 あらためて、SD-WANとは何か。SD-WANの定義ではなく、三澤氏はSD-WAN技術からもたらされる「WANのクラウド化」の必要性を語った。

 SD-WANでは、さまざまなアクセス回線サービスを活用し、これらにかぶせるようにして、各企業のITニーズに適した論理的なWAN構成を実現できる。

 SD-WANには、さらに「アプリケーションレベルでのWAN効率化を実現できる」という魅力がある。つまり、特定のアプリケーション毎に回線や経路を設定できる。設定内容に応じ、ある業務システムの通信は必ずセンター側の拠点へ流し、別のアプリケーションの通信は、各拠点から直接インターネットへ流すといった細やかな経路設定が可能。もちろん、通常利用している回線に障害が発生した場合には、アプリケ―ション毎に設定した別の回線へ自動的に切り替わる設定もできる。

SD-WANは、どのような用途で使うとメリットがあるのか

 SD-WANは、次のような具体的用途で大きなメリットを発揮すると三澤氏は語った。

 第1に、クラウド利用時の通信経路の最適化だ。例えばOffice 365。各拠点からOffice 365を利用する際、一般的にはセンター側の拠点にあるインターネット接続のポイントを経由してアクセスさせるが、利用量によってはセッション不足が生じ、設備増強などの対応が求められ、課題となっている。SD-WANの場合には、Office 365などのクラウドのセッションだけを特定して、各拠点からインターネットに直接接続させることができ、通信の効率化が可能になる。

 第2に、「フレッツ」と電力系回線のように、異なる事業者の回線を併用し、これらにかぶせるようにして仮想ネットワークを構築することで、WANの可用性を高めることができる。SD-WANでは遅延やパケットロスをモニタリングして自動的に適切な経路に変更できるので、通常時は両方の回線を使い、どちらかがダウンしたら片方に寄せるといった運用が可能になる。アクティブ−アクティブの構成となり、バックアップ回線を保持するよりもコスト効率が良くなるケースも多い。

 第3に、グローバル展開をする企業では、一般的に国内WANと海外WANが別ネットワークで構成されている。国毎に個別ネットワークを構成しているため、日本国内での一元管理・監視へのニーズは多い。SD-WANでは、国内と海外のWANをコンパネ上で統合管理・運用でき、運用負荷軽減に貢献できる。

 第4に、アプリケーション可視化による、通信環境の向上がある。WANには、ビデオ会議やIP音声通話のように、容量が大きく遅延に弱いアプリケーションのトラフィックも流れている。SD-WANはアプリケーションレベルで、トラフィックの優先度や経路を設定でき、快適な通信環境維持に役立てられる。

 第5に、M&Aや事業統廃合では、異なるネットワークを統合する必要が生まれる。SD-WANで異なるネットワーク上に、仮想ネットワークを構築すれば、各拠点の設定変更やセキュリティポリシーの一括適用などが容易に行える。

 第6に、1つのネットワークを複数の論理的なWANに分ける使い方も可能だ。例えば工事現場などで、複数の企業が企業毎に個々の回線を利用し各々のネットワークを構築しているケースはよくある。しかし、SD-WANを利用すれば、物理的な1本の回線を複数企業でシェアし、複数の仮想ネットワークを論理的に構築することができる。

NTTPCコミュニケーションズがWANのクラウド化を支援

 NTTPCコミュニケーションズは、法人向けネットワークサービス「Master'sONE」の新メニューとして、「クラウド型ネットワークサービス」を2017年1月17日に提供開始した。同サービスでは、機能の豊富な米ViptelaのSD-WAN製品を活用し、アプリケーションの可視化と制御、各拠点から直接インターネットに接続する「インターネットブレイクアウト」などの機能を提供。

 今後は、シンプルかつ安価なメニューやモバイル端末向けメニュー、さらにこのサービスを独自ブランドで展開したい事業者に向けたホワイトラベルサービスの追加を予定していると、三澤氏は語った。

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提供:株式会社エヌ・ティ・ティピー・シー コミュニケーションズ
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年6月21日

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