「Dell EMC Business Partner Forum 2017」が4月18日に開催された。新生Dell EMC初のパートナーイベントとあって、500人超が参加し、新しいパートナープログラムの解説やパートナーアワードの表彰などが盛大に行われた。「HCIは“本物”」「オールフラッシュは“常識”」──。今後の企業に必要とされている「4つ」のトランスフォーメーションについて、Dell EMCとそのパートナーはその解決策をどう示し、どのように提供していくのだろうか。
2016年度に優れた実績を上げたパートナー企業を表彰し、2017年度の製品・ビジネス戦略をパートナーへ示すイベント「Dell EMC Business Partner Forum 2017」が開催された。新生Dell EMC初のパートナーイベントとあって、500人超が参加し、新しいパートナープログラムの解説やパートナーアワードの表彰などが盛大に行われた。
開幕に先立ち、Dell EMCの松本光吉氏(執行役員副社長 インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括)があいさつに立ち、「インフラの大半をカバーできる多岐にわたる製品群と先端技術を持ち、1社で顧客のニーズに適切に対応することができます」と、新生Dell EMCの明確な強みをあらためて訴えた。Dell EMCは、Dell Technologiesをはじめとするグループ各社のフェデレーションにより、顧客の4つのトランスフォーメーションを推進するビジョンを掲げる。
それは、ITインフラを変革する「ITトランスフォーメーション」、クラウドやアプリケーションを変革する「デジタルトランスフォーメーション」、エンドユーザーの働き方を変革する「ワークフォーストランスフォーメーション」、セキュリティを変革する「セキュリティトランスフォーメーション」だ。そして、これらのソリューションを率先して提供していくために「パートナーシップ」が欠かせないと強調。販売パートナー企業各社に対する密接な協業体制をさらに強化し、手厚くしていくとパートナー戦略を述べた。
最初のセッション「パートナー様と共に〜Dell EMC パートナービジネスの新たな幕開け〜」では、Dell EMCの渡部洋史氏(執行役員パートナー事業本部長)が登壇。2017年2月4日に開始された新パートナープログラムの紹介と今後の展望を示した。
渡部氏はまず、日本のビジネスの動向について、ストレージ、サーバ、クライアント、ディストリビューションの全分野で前年から飛躍的に伸びたことを紹介し、パートナー各社へ感謝の意を示した。今後、Dell EMCとしてのパートナー比率の目標を70%に設定するという。
新パートナープログラムは「TITANIUM」「PLATINUM」「GOLD」という3つのランクで構成される。
渡部氏は「バートナービジネスは株式非公開化後33%増加し、350億ドル(約3.9兆円)規模に成長しています。さらに1億5000万ドル(約170億円)の追加投資を行い、パートナーの収益拡大を支援します」と、新しいパートナープログラムのもとでビジネスを強力に推進していくことを宣言した。
続いて、インテルの長瀬淳氏(セールス・チャネル事業本部)、Dell MECの渡辺浩志氏(プライマリーストレージ事業本部 本部長)、Dell EMCの瀧谷貴行氏(インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 法人営業本部 本部長)の3氏が登壇し、オールフラッシュをテーマにしたセッション「フラッシュストレージが変える次世代インフラ〜Flash is NEW Normal」が行われた。
まず、長瀬氏がSSDやフラッシュ技術の「今と未来」を解説。ストレージはHDDに代わり、もうSSDが「常識」であり、成長し続けると背景を説明した。それを受けて渡辺氏と瀧谷氏も、2017年のテーマは「Flash is NEW Normal(フラッシュは新たな常識)」を挙げ、多彩なポートフォリオで顧客のITトランスフォーメーションを支援していくと訴えた。
Dell EMCのオールフラッシュポートフォリオは「VMAX All Flash」「XtremIO」「Unity All Flash」「SC Series」の4つがある。渡辺氏は、事例として、XtermIOを使って4万5000ユーザーのVDI(デスクトップ仮想化)環境を構築しているメディア企業や、Unityを使ってストレージ27台を6台に集約した金融会社の事例を挙げ、「中堅中小から大規模まで対応できます。オールフラッシュのパフォーマンス、可用性、障害率の低さを経験していただくと、HDDはおろか、ハイブリッド(HDDとSSDの混在環境)にも戻る気がなくなったというお客さまがほとんどです」と解説した。
Dell EMCが2016年末から2017年初頭にかけて行った顧客向け調査「ITトランスフォーメーション成熟度調査(*)」によると、「ITトランスフォーメーションが実現できている大手企業は5%程度。まだ少ない」という結果だった。「まず何から始めればいいのか」と悩む日本企業に対して渡辺氏は、「無償で提供するオールフラッシュアセスメントサービスをパートナーと一緒に提供していきたい」と、魅力的な新サービスの提供も示唆した。
続いて「新しいインフラストラクチャの在り方」をテーマに2つのセッションが行われた。
1つ目は「いま最も成長しているDell EMCインフラストラクチャソリューション」と題するセッションだ。Dell Technologiesファミリーを構成するヴイエムウェア、SecureWorksの取り組みと、SDS(Software-Defined Storage:ソフトウェア定義型ストレージ)で重要になるサーバインフラの特徴が紹介された。
まず、Dell EMCの松本氏が、Dell Technologiesの構成や、クラウドITインフラストラクチャ分野で売上高世界シェアトップである現状を解説。それを受けて、ヴイエムウェアの雪竹潤氏(ゼネラルビジネス営業本部 ストラテジックパートナー営業部部長)が登壇し「Any Cloud、Any Application、Any Deviceをテーマに、デジタルトランスフォーメーションを実現する統合アーキテクチャを提供している」と説明。また、SecureWorks Japanの古川勝也氏(日本&北アジア・マーケティング・リード)も「セキュリティ運用のアウトソーシングを中心に、マルチベンダー対応、高い品質、競争力のある価格が特徴」と自社製品を紹介した。
続いて、Dell EMCの上原宏氏(インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 執行役員 製品本部長)が登壇。「Dell EMC PowerEdge 成長の理由」と題して、PowerEdgeサーバの強みと、インフラ設計に果たす大きな役割を解説した。PowerEdgeの強みは、「多様なラインアップ」「最新技術トレンドの取り込み」「信頼性の高い管理」「万全のサポート」の4つ。さらにグローバル展開することで、規模の経済性を最大限に生かしていることにある。
上原氏は、「2027年には、ほとんどがサーバSANストレージになる」との市場予測を紹介し、「コンピュート、ネットワーク、ストレージがオープンで標準のx86サーバをベースとしたソリューションで構築される。PowerEdgeはDell EMCソリューションの礎で、業界全体を通じてイノベーションを推進できるコンバージドインフラポートフォリオをそろえています」と話した。
インフラに関する2つ目のセッションは、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)をテーマにした「ハイパーコンバージドは本物か?」と題したパネルディスカッションだ。パネリストは、Dell EMCの馬場健太郎氏(インフラストラクチャ・ソリューションズ事業 パートナー営業本部長)、Dell EMCの三邉祥一氏(コンバージドプラットフォーム&ソリューション事業部 vArchitect シニアマネジャー)、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の安藤俊氏(情報通信事業グループ 情報通信事業企画室長)、ネットワールドの石塚智規氏(SI技術本部 ストレージ基盤技術本部 課長代理)の4氏。モデレータはDell EMCの松本氏が務めた。
Dell EMCのHCIのラインアップは「VMware VSAN Ready Node」「VxRail」「VxRack SDDC」「Dell XCシリーズ」「VxRack FLEX」など、さまざまなSDS環境、ハイパーバイザー環境に対応する、業界全体を通じてイノベーションを推進できる幅広いラインアップが特長だ。馬場氏は「HCIは全世界、国内ともに高い成長率で成長を続けています。2016年頃から大きな導入事例が出始めています」と報告。また、三邉氏は「検証済みソリューションのBuild(構築)から、ハイブリッドクラウドフォームのBuy(購入)まで、あらゆるワークロード、環境、エクスペリエンスに対応できることがメリット」と解説した。
また、CTCの安藤氏は「金融機関での導入など信頼性が求められる案件が増えています。ラインアップが豊富なので、アプリケーションの要件を見て適材適所で製品を選択することを心掛けています」と現場からの評価を紹介。ネットワールドの石塚氏も「簡単に導入、管理、拡張ができることを求める顧客が多い。定期的に行っている検証センターでのワークショップも人気です」と話した。さらに、登壇したパネリストは「HCIの流れは本物だ」と口をそろえた。
続いて、ワークスタイル変革をテーマにしたクライアントソリューションのセッションが行われた。Dell EMCの山田千代子氏(常務執行役員 クライアント・ソリューションズ統括本部長)は、ソリューションを提供する上でのアプローチとして「従業員の働き方に合わせたソリューション」「人々が使いたくなるデバイス」「セキュリティ、サービス、サポート」の3つを挙げた。
働き方については、人々の働き方を「Desk Centric」「Remote Worker」など、7つのペルソナに分け、働き方にあったデバイスの開発に努めている。また、人が使いたくなるという点では、革新的な新製品を次々に投入。さらに、Dell EMCグループのシナジーを生かしたセキュリティ、サービス、サポートを提供する。
特にデータ保護については、「Dell EMC Data Domain」を中心に、PCデータの保護から、フラッシュアレイ上のデータの保護、HCI環境のデータ保護など、企業のビジネスをトータルで保護できることが特徴だ。Dell EMCの今井浩氏(DPS事業本部長)は「フラッシュやHCIのデータ保護でも利用されているエンタープライズクラスの技術をクライアントPCにも適用できます」とアピールした。
続いて登壇した日本マイクロソフトの高添修氏(常務執行役員 クライアント・ソリューションズ統括本部長)は、「Dell EMC & Partner & Microsoftで作るこれからのプラットフォーム」と題し、Dell EMCのハードウェア上でWindows Server 2016を使用したハイパーコンバージド環境を構築するソリューションや、Azure Stackを使用したプライベートクラウド環境を構築するソリューションを紹介した。
全てのセッションが終了した後は、「Dell EMC Business Partner Award 2017」が発表された。今回は、統合前の2016年の実績に基づいたEMCジャパンアワード、デルアワードが設けられ、それぞれ「Partner of The Year」アワードは、ネットワールドとネットワンシステムズが受賞した。受賞各社は以下の通り。
受賞社 | アワード名 | |
---|---|---|
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 | All Flash of the Year 2017 | EMCジャパンアワード |
Flash by Solution - VMAX賞 - | ||
Solution - EHC, Virtustream賞 - | ||
東京エレクトロン デバイス株式会社 | Scale-Out - Isilon賞 - | |
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ | Pivotal賞 | |
兼松エレクトロニクス株式会社 | Data Protection Solution賞 | |
日本電気株式会社 | 自営保守サービス賞 | |
株式会社ブロードバンドタワー | インプリサービス賞 | |
株式会社ネットワールド | EMC Business Partner of the Year 2017 | |
Flash by Solution - XtremIO賞 - | ||
Converged Infrastructure of the Year 2017 | ||
SMB賞 | ||
日商エレクトロニクス株式会社 | Hyper Converged Infrastructure賞 | デルアワード |
株式会社アルゴグラフィックス | High Performance Computing賞 | |
新日鉄住金ソリューションズ株式会社 | Client Solution賞 | |
Cloud Service Provider賞 | EMCジャパンアワード | |
ユニアデックス株式会社 | Workstation Solution賞 | デルアワード |
ダイワボウ情報システム株式会社 | Distributor賞 | |
ソフトバンク コマース&サービス株式会社 | Distributor賞 | |
RSA賞 | EMCジャパンアワード | |
ネットワンシステムズ株式会社 | DELL Business Partner of the Year 2017 | デルアワード |
Virtual Desktop Infrastructure賞 | ||
*当日の表彰順 |
業界全体を通じてイノベーションを推進できる幅広いラインアップで顧客を支援するDell EMC。統合後初となるパートナーイベントとあって、会場は終始熱気に包まれていた。
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提供:デル株式会社、EMCジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年6月28日