欧米を中心に普及が進んでいる「モバイル パフォーマンス マネジメント」(MPM)とは?セキュリティを維持しながらモバイルユーザーの生産性を飛躍的に向上させるヒント

働き方改革や、業務の機動性向上を目的に、今、多くの企業がモバイルデバイスを活用している。だが、通信環境や社内のセキュリティポリシーなどの事情を受けて、「いつでもどこでもストレスなく業務ができる」とは言い難いのが現実ではないだろうか。では一体どのようにモバイル技術を活用すれば、業務のパフォーマンス向上を実現できるのだろうか? モバイルパフォーマンスマネジメント(MPM)分野のリーディングカンパニー、NetMotion Softwareに話を聞いた。

» 2017年06月26日 10時00分 公開
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モバイルを活用しても、なぜ「パフォーマンスが低い」のか

 働き方改革に向けた企業の取り組みが活発化している。労働人口が減る中で、いつどこからでも業務をこなせるような環境を作ることは、人材確保や事業成長の点からも欠かせない取り組みだ。これを受けて、スマートフォンやタブレット、ノートPCといったモバイルデバイスを使って、業務アプリケーションを快適かつ安全に利用できる環境の整備が求められている。

 ここでカギになるのが、モバイルからのネットワークアクセスだ。日本では4GやLTEといった広帯域のモバイルアクセス回線が整備され、都市部では公衆Wi-Fi網の整備も進んでいる。世界的に見ても、モバイル先進国と言っていい状況だ。だが、いつでも業務アプリケーションを快適にこなせるかというと、必ずしもそうとは言い切れないケースに遭遇する。

 例えば、首都圏において鉄道で移動している際、モバイルアクセスが不調になった経験はないだろうか。Wi-Fi網の整備が進んだことで、移動中に4G回線からWi-Fi回線への切り替えが頻繁に発生し、それまで見ていたWebサイトに突然つながらなくなることがある。インターネットへのIPアドレスが切り替わり、HTTPのセッションが切れてしまうからだ。

 Webサイトの閲覧だけなら再読み込みすればいいが、業務で使うファイルのダウンロードやCRM、SFAといったクラウドアプリケーションを利用している場合は深刻だ。セッションが切れることによって、ファイルが不完全な形でダウンロードされたり、フォームに入力していた内容が全て消失してしまったりする。

 利用する時間帯や場所によって、アクセス速度や品質が大きく変わるという問題もある。例えば、同じオフィスでも出社時間帯や昼休み中など、ネットワークが混み合う時間帯はWi-Fiネットワークの速度が極端に落ちることがある。Wi-Fiネットワークの帯域が逼迫するためだ。自社だけではなく、別フロアや隣のビルのWi-Fiが影響を与える場合もある。4GやLTE回線も同様で、それまで快適に利用できていたのに、時間帯や場所によってはほとんど使えない状態になったりする。

 そもそもモバイルからのネットワークアクセスは、人や建物、キャリアの対応状況などによって刻一刻と変化する。そのため、リモート環境で行う作業を自主的に制限したり、安定した回線のあるスポットを求めて時間を無駄にしたりすることも多くなりがちだ。モバイル先進国でありながら、リモートワーク、モバイルワークにおける“業務のパフォーマンス” (作業効率や生産性) はまだまだ低いのが現状なのだ。

警察、病院、軍隊……クリティカルなモバイルシーンで開発されたNetMotion

 こうした課題を解決するために、「モバイルビジネスのパフォーマンスを向上させる」という観点でソリューションを提供しているのがNetMotion Softwareだ。日本での展開は2016年からのため国内ではなじみが薄いが、アメリカでは15年の実績を持つ「モバイルパフォーマンスマネジメント(MPM)」分野のリーディングカンパニーだ。CEOのChristopher Kenessey氏は、同社の成り立ちについて次のようなエピソードを明かす。

ALT Christopher Kenessey氏 NetMotion Software CEO 

 「アメリカでは、パトカーや消防車、救急車などの緊急車両にインターネットにアクセスするさまざまなデバイスを搭載しており、本部、医療機関などとリアルタイムに情報をやりとりしています。すなわち、回線が不安定になったり切れたりすれば、人命にかかわるわけです。そうしたクリティカルな課題解決を念頭に、製品開発を続けてきたのがNetMotionなのです」

 事実、NetMotionの初期ユーザーは警察だったという。時速75マイル(120km)で走るパトカーの中から車のナンバーをスピーディーに照会するにはどうすればよいか。そんな相談を受けたことが製品開発の端緒になった。

 「絶対に通信が途切れてはならないクリティカルなシーンで求められる要件は、大きく4つあります。トラフィックの最適化、ポリシーによる制御、セキュリティと保護、パフォーマンス分析です。つまり、どんな状況でもネットワーク接続を安定的に維持し、情報漏えいなどが起こらないよう安全性も確実に担保する。さらに通信データを分析することでモバイル活用の状況を可視化し、ミッションのパフォーマンス向上に役立てる。こうした要件を満たすために、さまざまな独自技術を開発し、製品として仕上げてきたのです」

 警察車両への導入で高い評価を受けて以降、全国の警察から消防、救急、鉄道会社、陸軍、医療機関などへユーザー層が拡大。現在はアメリカの警察機関の約80%がNetMotionのユーザーだという。その後も、「ビジネスのコアとしてモバイルを活用している企業」を中心に急速に採用が広がり、政府機関からヘルスケア、フィールドサービス、輸送、エネルギー、ワークスタイル変革に取り組む各業種の企業まで、グローバルで約3500社に採用されている。

通信環境が変わっても、電波が途切れても、アプリケーションはそのまま使える

 NetMotionは、「NetMotion Mobility (モビリティ)」と「NetMotion Diagnostics (ダイアグノスティックス)」という2つのソフトウェア製品で構成している。NetMotion Mobilityは、前述した4つの要件のうち、「トラフィック最適化」「ポリシー制御」「セキュリティ」を担保する機能群を提供。一方、NetMotion Diagnosticsは、モバイルデバイスのログデータを収集・分析することで、リモートアクセスの状況を一元的に監視し、障害時の迅速な原因特定を支援する「パフォーマンス分析」機能を提供する。これら4つを順に見ていこう。

 まず「トラフィック最適化」は、ネットワークトラフィックを制御することで、優れた通信品質を担保するための機能群で実現する。具体的には、モバイルデバイス上の全ての通信、または特定のアプリーションだけを選択的にトンネリングすることにより、モバイルデバイスから社内ネットワークへの安全・安定的な通信を維持する。

 大きな特長は、ネットワークのステータス変更をアプリケーションに意識させないように、仮想化の仕組みを実装していることだ。たとえ移動中に回線が切り替わったり途切れたりしてもアプリケーションエラーを防ぎ、セッションを維持したまま作業を継続できる。例えば、移動中に業務アプリケーションのフォームなどに入力し、いったんノートPCを閉じても、帰社後に再びPCを開ければ即座に復帰してフォーム入力を継続する、といったことができる。

 あらゆるネットワークにセッションを引き継ぎながら自動的に切り替える、「スムースローミング」という機能も持つ。例えば移動中にファイルをダウンロードしている際、IPアドレスが切り替わっても、ダウンロードが途中で途切れることがない。

 同社独自のデータ/画像圧縮技術や、自動QoS機能、エラー訂正技術も特長の1つだ。一般に、モバイルを使ったビデオ会議では、帯域が変動したりパケットロスが発生すると、映像や音声の品質が極端に低下したり、途切れたりして会議が困難になるが、NetMotionはパケットロス率が40%を超えてもロスがないかのようにスムーズな映像・音声を維持した状態で継続できる。さらに、重要なアプリケーションに優先的に帯域を割り当てることでパフォーマンスを担保することも可能だ。

ALT モバイルを使ったビデオ会議では、映像や音声の品詞が低下したり途切れたりしやすいが、NetMotionはパケットロス率が40%を超えても快適に利用できる《クリックで拡大》

 「すなわち、NetMotionの機能をオンにしておけば、通信環境やスループットが変わってもユーザー側はそれを全く気に掛けることなく、業務に集中して、モバイルを快適に利用できるわけです。これによってモバイルワークのパフォーマンスは劇的に向上します」

  動画で見ると違いは一目瞭然だ《クリックで再生》

「ポリシー制御」で業務効率とセキュリティを両立

 「ポリシー制御」は、ユーザーやデバイスごとにポリシーを定義し、モバイル端末の振る舞いを制御する機能群だ。これにより、使用するネットワークを制御したり、任意のアプリケーションの社内ネットワークへのアクセスをブロックしたりすることができる。これにより、業務のパフォーマンスとセキュリティを両立できる仕組みだ。

 「例えば、Windows Updateが始まった際、通信帯域の優先順位を下げて、より重要なアプリケーションのパフォーマンスを担保するだけではなく、『Windows Updateはデータ通信料金が発生しないネットワーク上でのみ実行させる』『特定の時間の、特定の場所でのみ実行させる』など、ポリシーに基づいて自動的に制御することができます。一般的に、会社が認めたアプリケーション以外は社内ネットワークへのアクセスを禁じているケースが多くあります。ポリシー制御機能では、会社としてのルール、時間、場所など、コンテキストに応じて柔軟に通信を自動制御できるため、真の意味でユーザーが業務に集中できる環境を整備できるのです」

 3つ目の「セキュリティ」を支える機能としては、前述した「デバイス全体、または特定のアプリーションだけを選択的にトンネリングすることで、社内ネットワークへの安全なアクセスを実現する」セキュアな接続をはじめ、アプリケーションごとのアクセス制御、暗号化、事前に設定した地理範囲へのモバイル端末の出入りを認識するジオフェンス機能、SIEM(セキュリティ情報イベント管理)との連携機能などが挙げられる。

 Kenessey氏は、「一般に、セキュリティは業務効率を下げるものと考えられがちですが、NetMotionの場合、前述したトラフィック最適化、ポリシー制御と併せて使うことで、ユーザーエクスペリエンスはむしろ向上します」と話す。

 例えば、暗号化は通信速度を低下させることが多いが、NetMotionはUDP(User Datagram Protocol)をカプセル化する独自のフロー制御と、楕円曲線暗号化方式を組み合わせているため、セキュリティレベルを落とさずに、他社の一般的な接続方式より高速な通信を実現できるという。また、スムースローミングとジオフェンス機能の組み合わせにより、ユーザーが移動しても場所・建物などユーザーの位置を認識し、その場に最適な回線に自動的に切り替えることで、安全・安定的な通信を維持することができる。前述のように、回線が切り替わってもアプリケーションエラーが起こることはない。

 「例えば病院内で、医師や看護師が患者データを端末に入力しながら移動している最中に入力中のフォームデータが消えてしまうといった問題があっても、NetMotionを使えば、患者の個人データを守りながら、医師や看護師がスムーズに診療することができるようになるのです」

 そして4つ目の「パフォーマンス分析」は、前述のようにNetMotion Diagnosticsによって実現する。各種ネットワークを一元監視できる他、モバイルデバイスのログデータや位置情報を、オンデマンドで収集・分析することでモバイル活用の状況を可視化。問題が起こった際の原因特定を支援する。

ALT NetMotion Diagnosticsによる、デバイスの自己診断レポートのサンプル。各種ネットワークを一元監視し、モバイルデバイスのログデータや位置情報を、オンデマンドで収集・分析できる《クリックで拡大》

 「モバイルデバイスの調子が悪いといっても、いつの間にか直っていることも多いと思います。再現しないため、ヘルプデスクも対処のしようがない。しかし、NetMotionはその原因を過去にさかのぼって特定することができます。トラブルをかかえたユーザーがヘルプデスクに電話すれば、その場で問題を特定するといったことも可能なのです」

ビジネス視点でモバイル活用の変革を

 以上のように、NetMotionはモバイル活用で日常的に遭遇する問題やストレスを大幅に解決する機能をそろえている。Kenessey氏は、「NetMotionは、働き方改革や業務効率向上に取り組む日本企業にとって大きな価値になります」とあらためて強調する。

 というのも、モバイルデバイスが業務に深く浸透した昨今、社外から基幹システムにアクセスする、社外から決済承認を得るなど、まさしくミッションクリティカルな活用シーンがますます増えている。その点、警察や消防など、非常にシビアな要件の下で開発されてきたNetMotionの機能や信頼性も大きな安心材料となるためだ。事実、そうした点が高く評価されていることも、グローバルで導入企業を伸ばしている要因の1つだという。

 企業での利用拡大を受けて、2017年5月には新製品「Mobile IQ」も米国で提供を開始した(日本語版の提供予定は2017年9月)。Mobile IQは、NetMotion Diagnosticsのデータをビッグデータ解析やAIを使って分析し、その結果をビジュアルに把握できるようにした製品だ。例えば、「どのデバイスが、どこにあるか」を地図で示したり、「特定の条件で、特定の通信を行っている端末」をグラフで可視化したりすることができる。

ALT Mobile IQの管理画面。「ファイアウォールの外側を可視化」できる点が最大の特長だ《クリックで拡大》

 「モバイルの利用実態をさまざまな切り口で詳細に可視化することで、利用していない端末の契約をやめてコスト削減につなげたり、帯域の割り当てを変えて生産性の向上につなげたり、といったことが可能になります。MobileIQは、ファイアウォールの外側をプロアクティブに監視し、モバイルワーカーの生産性を最大化する大きな足掛かりとなる製品なのです」

 日本のモバイル人口や、ネットワークセキュリティに対する投資額も引き続き増加傾向だと言われている。だが、モバイルユーザーの生産性向上という点では、欧米に比較して数年遅れているのが現実だ。Kenessey氏は、「ただ単にモバイルデバイスやWebアプリケーションの動作パフォーマンスを向上させようと考えるのではなく、いかにそれらを通じて業務のパフォーマンス(作業効率)を上げるかと考える視点が大切だと思います。ぜひビジネスの観点を持って、“モバイルを使った業務のパフォーマンス向上”を狙うことで、真に意義のあるワークスタイル変革、業務効率向上につなげてほしいと思います」とアドバイスする。

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提供:NetMotion Software 日本支社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年7月25日

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