東洋ビジネスエンジニアリングは、企業間連携を実現するアプリケーション「Business b-ridge」をクラウドサービスとして提供している。基盤となるクラウドとしてMicrosoft Azureを選んだ理由は、高品質のPaaSであったこと。昨今ではビジネス分野でも協業体制を強化し、さらなる販売促進やサービス向上を協力して推進している。
東洋ビジネスエンジニアリングは、前身の東洋エンジニアリングの産業システム部時代から長きにわたり、製造業を中心にERP(Enterprise Resources Planning)などのITシステムを提供してきた。独自に技術を磨き上げ、コンサルティングからシステム構築、運用、パッケージシステムの開発、提供に至るまで、幅広い企業のグローバル化や成長を支えている。
同社の「Business b-ridge(ビジネスブリッジ)」は、クラウド黎明期でもある2011年に企画され、2013年にローンチされた企業間の業務連携を強力にサポートするクラウドサービスだ(図1、図2)。Microsoft Azureを基盤とし、安全性の高いSaaS(Software as a Service)として提供されている。
多くの企業では、営業や開発、品質保証などの各領域で、複数のプレイヤーが各種調整を行い、その結果であるデータを社内システムへ登録している。この種の業務は、メールや電話を通じて行い、Excelファイルなどに清書してから登録するといったように、手作業で行われていることも多い。その結果、ミスや差し戻し、最悪はファイルが古いデータに置き換わるなどのトラブルが発生して、時間を無駄にしたり、余計な業務負荷がかかってしまったりしているケースもある。
Business b-ridgeは、複数の企業の各担当者が調整し確定したデータを、そのまま自動的に社内システムと連携するための仕組みをクラウドサービスとして提供するものだ。
東洋ビジネスエンジニアリングの荒井克久氏(ソリューション事業本部 クラウド&テクノロジー本部 b-ridgeサービス部 部長)によると、相見積、仕様購買、企業調査などの購買管理、苦情管理、予防措置、逸脱管理などの品質イベント管理、配送状況モニタリング、委託先管理など、さまざまな分野の幅広い業務で活躍するという。
例えば、医薬品製造業の日本メジフィジックス株式会社 物流部様では、「配送状況提供サービス」で、Business b-ridgeを利用している。日本メジフィジックス株式会社の製品である放射性医薬品は製品の特性上、生産後一定の時間内に配送先である医療機関に届ける必要がある。悪天候、事故による配送トラブル発生時には、製剤の配送状況を迅速に関係者と共有し、的確に意思決定することが求められる。Business b-ridgeを通じて、運送会社から収集した配送状況、予定納入時刻情報を、医薬情報担当者(MR)へリアルタイムで確実に伝わり、MRは医療機関へ確実にフォローアップが行え、顧客へのサービス向上を図ることができた(図3)。
また、ANAグループの販売事業会社であるANAセールス株式会社様では、修学旅行における業務効率化と旅行会社へのサービスレベル向上施策として、Business b-ridgeを活用している。旅行会社での申し込み受付から旅行出発までの業務において、従来は、旅行会社がExcelシートに入力し、それをマニュアルでシステム登録していた。また、便・座席の取得回答は、支店ごとに様式が不統一で、写し変え作業が発生する地域もあった。
このため、手配業務の効率化と必要なデータ蓄積を1つのプラットフォームで実現できるシステムの装備のため、Business b-ridgeを採用した。
Business b-ridgeを通じて、全国の代理店に予約システムの情報を共有することで、ANAセールス株式会社内では社内調整・承認リードタイムの短縮、旅行代理店はタイムリーに進捗状況を確認でき、両者ともに効率的に予約業務を遂行できるようになった(図4)。
Business b-ridgeのインフラとして、東洋ビジネスエンジニアリングが選定したクラウドサービスが、Microsoft Azureだ。選定の理由は幾つかあるが、「第一にSLAがあるPaaSであったことです」と、西村佳男氏(ソリューション事業本部 クラウド&テクノロジー本部 b-ridgeサービス部 コンサルタント)は述べる。
「Business b-ridgeはビジネスの根幹に関わる重要なサービスのため、SLAは極めて重要でした。私たちが2011年にBusiness b-ridgeを企画したとき、他のクラウドサービスの検討も行いました。Microsoft Azureのようにエンタープライズ向けのSLAを提示しているところは、Microsoft Azureの他は、AWS(Amazon Web Services)の一部だけでした」(西村氏)
2つ目のポイントは、Azureの技術である。2011年当時、Business b-ridgeはSaaS(Software as a Service)として提供することを前提とし、従来のエンタープライズ向け基幹業務アプリケーションよりも、ずっと多くの方々に使って頂けるサービスを目指して企画・設計・開発した。このため、スケールアウトや運用の自動化など、クラウドのメリットを最大限に生かすことができ、運用コストの大幅な削減が期待できるPaaS上にサービスを構築することを決めた。
また、PaaSを選択したことにより、Business b-ridgeサービスの開発と運用に専念することもできたという。
Microsoft Azureが、クラウドとオンプレミスのハイブリッドシステムへの対応が強力という点も、Business b-ridgeには重要なポイントだった。ユーザーの社内システムと連携して、ワークフローを回す仕組みを提供している例もあるという。
東洋ビジネスエンジニアリングは、技術的な優位面からMicrosoft Azureを活用し始めたものの、最近では日本マイクロソフトとの協業によるビジネス面でのメリットを強く感じるようになってきたという。
例えば、医薬品・医療機器製造業界の法規制対応においては、マイクロソフトの世界的なネットワークが役に立ったとのことだ。
「Microsoft Azureは、2011年当時から、ISO 27001、SOC 1、SOC 2などの国際的な業界固有のコンプライアンス基準に対応しており、公式のドキュメントが公開されており、クラウド環境評価のための情報として活用しています。セキュリティに継続的に対応するマイクロソフトの先進的な取り組みにより、安心して利用し続けることのできるサービスだと感じています」(荒井氏)
現在、同社と日本マイクロソフトは、営業販促と技術支援、ビジネス開発の3面で強い協業体制を敷いている。
営業販促の分野では、日本マイクロソフトの営業担当者がBusiness b-ridgeを学ぶ場を設けており、近く両社からサービスを案内できるようにするとのことだ。東洋ビジネスエンジニアリングにとって、営業チャネルが大幅に広がることは、大きなメリットである。
また、同社の技術者は、日本マイクロソフトが開催する各種イベントへの優待参加を通じて、最新の情報を入手することができる。ビジネス環境が激しく移り変わる現在、最先端の技術を定期的に学べる貴重な場であると西村氏は述べる。
「これまでシステムコンサルティング/インテグレーションサービスやパッケージを提供してきた弊社に、Microsoft Azureの活用によって“サービス”という新しいビジネスが生まれました。特にPaaSの活用は新しい取り組みで、b-ridgeサービス部は、社内でもアドバイザー的な立場となっています」(西村氏)
東洋ビジネスエンジニアリングが強みを持つ製造業は、デジタライゼーションやインテリジェント化といったIT活用の波が非常に活発だ。そして、それを強力に支援していきたいという思いが同社にはある。
「特に昨今は、深層学習を含めた人工知能(AI)やビジネスインテリジェンス(BI)、など、データ活用のための先端技術に対するニーズが高まっています。マイクロソフトは、優れた技術を多数保有し、サービスとして提供しています。私たちも、これまでと同様に強力な協業体制を維持し、最先端の技術を活用し、新たな価値をサービスとして提供していきたいと考えています」(荒井氏)
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