4K/8K、IoT、AIの時代、映像が社会に与えるインパクトと悩ましい問題映像活用新時代

映像の、デジタルデータとしての管理は急速に進んでいる。さらに最近では、デジタル管理に加え、AIの適用も始まりつつある。映像の高精細化とAIが合わさると、従来はできなかったこと、想像もしなかったようなことが次々に実現、社会に大きなインパクトを与えるようになる。こうした映像活用の新時代には、新たな課題が生まれる。

» 2017年11月13日 10時00分 公開
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 映像の、デジタルデータとしての管理は急速に進んでいる。さらに最近では、デジタル管理に加え、AIの適用も始まりつつある。映像の高精細化とAIが合わさると、従来はできなかったこと、想像もしなかったようなことが、次々に実現していくことになる。

 テレビ放送番組の制作プロセスは、ほぼデジタル化されている。だが、過去の放送素材については、テープのままであるケースも多い。

 米国の、ある主要テレビ放送局は、約40年続く著名コメディ番組について、過去放送分のアーカイブを全て、テープからデジタル保管に移行した。同時に各回の番組データファイルに、番組内容や出演者などについての詳細なテキスト情報(メタデータ)を付与し、検索によって必要な映像を瞬時に呼び出せるようにした。

 その成功を知った同放送局のニュース部門などが今、過去映像のデジタル保管への移行を進めている。ニュースでは、膨大な過去映像素材からできるだけ早く、必要な映像を見つけ出し、放送で使いたい。従来のようなテープ保管と、硬直的・限定的な索引システムの組み合わせでは、もはや時間のロスが大きすぎる。

 そして映像のインパクトは、テレビ放送の範疇を超えて大きく広がりつつある。しかも、屋外で映像を流すだけではない。逆に監視カメラやネットワークカメラを分析し、マーケティングや販売促進に役立てようという取り組みが本格化している。「監視カメラ」はこれまで後ろ向きの目的にしか使われてこなかった。コストでしかなかったのだ。だが、こうしたカメラの映像は、利益を生み出すための支援ツールと考えられるようになりつつある。

 例えば、取得した映像にAI処理を組み合わせ、新たな広告メディアの可能性を探る動きもある。東京・六本木で行われたある実証実験では、高速道路を走る自動車の車種を、監視カメラ映像からAIで注目を集めるディープラーニングを使い識別。この情報に基づき、高速道路沿いに設置されたビルボードに、車種に応じたターゲティング広告を表示した。

六本木で行われたターゲティング広告実証実験の構成

 駅や交通ターミナル、道路における交通量調査も、監視カメラとAIの生きる部分だ。AIの適用により、人を1人ずつ識別して、重複のないようにカウントすることができる。人がカウンターを使って数えるよりも、よほどエラーが少なく、役立つ情報が得られる。

 店舗でも交通量調査を活用し、例えばカーディーラーの前の道路を走る自動車の総数、メーカー別、車種別の数を曜日や時間帯別に計測することで、マーケティングや販売促進活動に生かせる。小売店舗内では、客層(男女、年齢層など)の正確な把握、店舗内での利用客の動きを分析することによる店舗最適化なども考えられる。

 宝石店における宝石類が窃盗は、実のところ内部犯行であるケースもかなり多いという。映像を犯行の証拠とするには、高精細な映像が必要になることが多い。

映像・画像の活用に必要なデータ管理とは

 上記の具体例のほとんどに関わっているのが、クラウディアンのストレージソフトウェア「CLOUDIAN HYPERSTORE」だ。同社の太田洋社長は、これらの使い方では通常、次のような課題が生じるという。

クラウディアンの太田洋社長

 映像はサイズが大きい。多くの映像保管では、高価なストレージ装置を使っているが、これではますます高まる長期保存および再利用のニーズに対応しきれない。特に映像の高精細化は、ディープラーニングの適用などによる新たな可能性を生み出すが、データ保存コストはますます大きな問題になる。また、データ量は急速に増大する。容量拡張が柔軟に行えるようなデータ保存の仕組みでないと、導入時に無駄な容量を用意しなければならなくなる。特にデータサイズが大きい場合、できるだけデータ発生源に近い場所で、ディープラーニングなどの処理をしなければならなくなる。これに対応するには、大容量ストレージに加え、アプリケーションから利用しやすい標準的な仕組みが必要になる。

 一方、HYPERSTOREは「汎用的なコンピューターをハードウェアに活用するので、コスト効率が良い」「ソフトウェアストレージであり、自在にスケールできる」「クラウドの標準的なファイル保存・利用手順(アクセスプロトコル)のため使い勝手が良く、アプリケーション対応がしやすい」「オンプレミスなど、データ発生源に近いところでのデータ保存と処理が可能」「各データに柔軟にメタデータを付与できるため、検索やディープラーニングがしやすい」といった要素を備えていると話す。

 ネットワークカメラでは、映像を管理、保存するクラウドサービスがよく見られる。これで何が問題なのだろうか。こうしたサービスの場合、高い解像度の映像に対応していないことも多く、保存期間が限定されているケースがよく見られる。また、監視以外の目的で利用できないことがほとんどだ。

同社事業開発室シニアエキスパートの万代豊氏

 また、映像管理サービスを使わずに、Amazon Web Services(以下、AWS)などのパブリッククラウド上にデータを保存するという選択肢もある。この場合、映像の再利用はしやすいが、パブリッククラウドではデータを閲覧したりダウンロードしたりすると、下りのネットワークトラフィックが発生し、これに課金されるので、利用するほどコスト高になる。こうしたことから、クラウドではなく、監視カメラに近いところで映像を保存できることが望ましい。

 従来型の監視カメラシステムなどでは、通常カメラの近くに映像保存装置を置くようになっている。だが、映像はデータ量が予測しづらい。このためもあって、保存可能容量を多めに見積もって導入することが多い。また、専用装置であるため、コスト高になりやすい。

 結局、クラウドでも従来型の専用システムでも、コストは高めになってしまう。これでは、映像データの活用がしにくい。

 一方、HYPERSTOREは一般的なコンピューターにソフトウェアとして導入するものであり、容量が不足しそうになった場合には、コンピューター(ノード)を追加してゆくだけだ。それを何台に増やしても単一のストレージとして構成できる。監視カメラのように、録画をほぼ休まずに継続する場合、解像度が上がるほど、急速に容量が消費される。HYPERSTOREのように、ノードを追加するだけで容量を柔軟に増やすことのできるストレージなら、最初は小さく始め、必要に応じて容量を追加することで、無駄の少ない運用が実現する。

 標準的なプロトコルの利用という点では、HYPERSTOREはもともと「Amazon S3プロトコル」という、AWSのストレージアクセスAPIを採用している。これはAWSという一サービスで使われ始めたものだが、現在ではさまざまなツールが対応し、事実上の標準となっている。標準のプロトコルを使っていれば、データの再利用がしやすくなる。また、S3プロトコルには、データを分割して管理することにより、低速の通信環境での安定したデータ転送を可能にする「マルチパート・アップロード」通信機能がある。

同社事業開発室 プリンシパル・ソフトウェア・エンジニア 佐藤剛宣氏

 クラウディアンでは特に、ネットワークカメラの最大手であるスウェーデンのAXISカメラ用のアドオンソフトウェアを開発することで、同カメラから直接S3 APIでHYPERSTOREに保存できるようにした。業務用カメラにおけるS3 API対応は、これが初めてだ。

 一方、クラウディアンでは、エヌビディアが提供するAI開発ツール「DIGITS」にS3 APIを追加し、HYPERSTOREとの直接接続を可能にしている。

映像+AIで、さまざまな世界が変わる

 既に自動車の車種別ターゲティング広告などの例で紹介したように、取得した映像や画像にディープラーニングを組み合わせることで、さまざまなことが実現できる。

 難しいのは、どういう構成でディープラーニングを行うべきかという問題だ。

 ディープラーニングのトレーニングには、センター側に大量データを高速処理し大量保存できるシステムが必要になる。しかし、ディープラーニングを実行する際、都度センター側と通信していてはリアルタイムのアプリケーションには使えない。一方、ディープラーニングを実行するエッジそれぞれに、センター側と同様の高価なシステムを配置しているようでは、大きく普及できない。

ディープラーニング処理をどこで行うかは、設計において重要なポイントになる

 クラウディアンは、無線通信機能付きの小型ディープラーニング装置「AI BOX」を開発している。これを使うと、エッジでリアルタイムにディープラーニングの実行処理ができる。AI BOXには全天候型と屋内型があり、用途に応じて使い分けることができる。

小型ディープラーニング装置「AI BOX」。手前が屋内型で、奥が全天候型

 ディープラーニングをエッジ側で実行するか、データセンターで実行するかにかかわらず、HYPERSTOREにはもう1つの特徴があり、これがディープラーニングのトレーニングで生きてくる。

 映像・画像を使ったディープラーニングでは、ほとんどの場合、人間が「アノテーション」という作業を行う必要がある。自動的に認識して欲しい物体などを画面上で指定し、どのように認識して欲しいかを情報として登録する。この作業を積み重ねた情報が教師の役割を果たし、コンピューターはこれに基づいて自動認識や自動識別を行う。

 HYPERSTOREには、データ1つ1つに「メタデータ」と呼ばれるテキスト情報を付与できる。そこで、アノテーションの結果を、ツールから直接、それぞれの映像・画像のメタデータとして登録することで、作業は大幅に効率化できる。

 IoT、ビッグデータ、AIと映像は絡み合い、これまでになかった用途を開拓していこうとしている。だが、これらのトレンドを生かした現実的なソリューションを構築するには、HYPERSTOREのようにインテリジェントで柔軟な、新しい使い方を直接支援することのできる機能を備えたストレージソリューションが必要だ。

 クラウディアンは、11月15〜17日、幕張メッセで開催されるInterBEE 2017で、上記を含む多様なIoT/AIソリューションを展示する。

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提供:クラウディアン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年12月12日

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