「主役」になったオールフラッシュストレージ、2018年はどう考え、どう選ぶ?IDC Japanの森山正秋氏が指南

オールフラッシュストレージの存在感が、この1年余りで急速に高まってきた。SSDの価格低下に伴って用途も広がり、ストレージにおけるメインストリームに近づいてきたと言える。では、オールフラッシュストレージを、ユーザー企業はあらためてどう考え、どう選ぶべきか。IDC Japanの森山正秋氏に聞いた。

» 2018年01月23日 10時00分 公開
[PR/@IT]
PR

 オールフラッシュストレージの存在感が、この1年余りで急速に高まってきた。当初は高価だということもあり、市場における認知度が低く、用途もユーザーも限られていた。だが、その後SSDの価格低下や高機能製品の登場に伴って、用途は大きく広がった。「ストレージにおけるメインストリームに近づいてきた」と言えそうだ。

 では、このように「当たり前」になってきたオールフラッシュストレージを、ユーザー企業はあらためてどう考え、どう選ぶべきか。ストレージに詳しいIDC Japanのエンタープライズインフラストラクチャ/PCs グループディレクター、森山正秋氏に話してもらった。

IDC森山氏が語る、オールフラッシュストレージにとっての2017年とは

 オールフラッシュストレージにとっての2017年を一言でいうと、「ストレージの主流として認知され始めた年」と表現できます。

 4、5年前に、ベンチャー企業が次々に日本市場へ製品を投入した頃は、高パフォーマンス、つまり低レイテンシを高いレベルで要求する一部の用途に限定して使われました。しかしその後、SSDの価格が大幅に低下してきました。また、新しい記憶媒体であるSSDに対する、可用性などの点での懸念が徐々に払拭されてきました。さらに、この2、3年で大手ベンダーが本格的に参入し、既存のストレージと同様な機能を備えた製品を投入しました。これらの動きにより、オールフラッシュストレージは従来のストレージと同様な用途で使われるようになってきました。

 データベースおよびVDI(仮想デスクトップ)は、一般企業において最初にオールフラッシュストレージの採用が進んだ用途ですが、こうした用途に限っても、この1年程度でユーザーが大きく広がりました。

オールフラッシュアレイは汎用ストレージへ《画像をクリックすると拡大》

 オールフラッシュストレージは汎用化が進み、多くのユーザー企業にとって「ストレージといえばまず検討する選択肢」になってきたといえます。

 フラッシュというと、以前は「書き込み回数の制限が心配」という声がありました。しかし、ベンダーの対策が理解され、先進ユーザーにおける実績が蓄積されてきたことで、こうした懸念を抱く企業は減少しました。IDC Japanによる最近のユーザー調査でも、「フラッシュの記憶媒体としての信頼性や寿命に問題はない」という認識が示されています。

 フラッシュ/SSDの価格が下がったとはいっても、ハードディスクドライブに比べ、まだ高価であることは否定できません。しかし、ユーザー調査からは、フラッシュの採用を積極的に考える組織が増えている傾向が見て取れます。

 ハードディスクドライブの台数を増やす代わりに、オールフラッシュを導入することで、効率的にアプリケーションパフォーマンスの向上が図れるという理解は進んでいます。データベースのチューニングについても、オールフラッシュに乗り換えることで、スペシャリストに依存しなくて済むケースが増えると思われます。

 残念なのは、日本ではまだ、オールフラッシュストレージの省エネ効果や設置面積縮小効果が十分に注目されていないことです。理由は、日本の一般的な企業では、ITインフラ製品の選定・導入担当者とデータセンターコスト管理担当者が別だということにあると考えています。

 しかし、フラッシュ採用の究極的なメリットは、消費電力の低さ、設置面積の縮小、故障率の低さで、全体的な運用コストを減らせることにあります。

 今後は、IT部門だけでなく、データセンターコストを管理している人も関与して、フラッシュを評価し、データセンター全体を変える努力をしていくことが大事だと考えます。

特に注目したい、ハイエンド機種のオールフラッシュ対応

 この1年の動きで、私が特に指摘したいのは、ストレージ製品のハイエンド機種でオールフラッシュに対応したものが登場し、採用が進んできたという点です。

 ハイエンド機種は、基幹システムを支える必要があります。このため、非常に高いパフォーマンス、信頼性、運用性が求められます。忘れてはならないのは、既存製品におけるハードディスクドライブを、全てフラッシュに置き換えるだけでは済まないという点にあります。

 フラッシュは、データの記憶媒体であるという点では、ハードディスクドライブと同じです。しかし、特性が異なる部分があり、特に信頼性やパフォーマンスについては、この特性を踏まえた対策が求められます。

 また、重複排除やデータ圧縮、バックアップ、ディザスタリカバリー(DR)などといった機能は、基幹システムについては非常に重要です。これらの機能を、これまでのハイエンドストレージに慣れた運用担当者が、戸惑うことなく使えるようにした製品が出てきています。

オールフラッシュアレイの用途拡大《画像をクリックすると拡大》

 オールフラッシュのハイエンドストレージ製品が、例えば金融機関のミッションクリティカルな用途に採用された例が出てきたことで、保守的な考え方を持った人たちの考えも変わってきています。リスクを取りたくない人たちも、積極的に検討するようになってきているのです。

 こうしたことから、オールフラッシュストレージは全体として、企業のあらゆる用途で、既存ストレージをリスクなしに置き換えられる存在になったといえます。まさにあらゆる場面で検討すべきものになったわけです。

そうはいっても選択肢は多い。どんなときに外付けオールフラッシュストレージ?

 一方で、ストレージの世界では近年、「ソフトウェアデファインドストレージ(SDS)」や「ハイパーコンバージドインフラ(HCI)」といったキーワードが聞かれるようになってきました。これらについても、記憶媒体を全てフラッシュ/SSDで構成するケースが増えています。従って、外付けオールフラッシュストレージ製品と事実上競合する部分が出てきました。

 つまり、フラッシュ/SSDを起点として考えると、その使い方にはさまざまな選択肢が出てきています。「選択肢が増えすぎて、比較しにくい」と思う方もいらっしゃるでしょう。

 大まかにいえば、使い分けは次のようになります。

 SDSは、スケーリングしやすいというのが最大の特徴です。従って、データ量が急速に増大する可能性がある、あるいはデータ量の増加ペースを見通せないといった場合に、まず検討すべき選択肢です。

 HCIは仮想化環境を前提として、コンピュータとストレージを統合したものです。一般的に、ストレージ機能を統合した仮想化ソフトウェアの機能を最大限に活用する設計となっており、データ管理関連の機能についても、仮想化ソフトウェアに依存するのが普通です。

 外付けオールフラッシュストレージは、一体型の装置として利用できるため、設計と運用がしやすいという点が特徴です。ストレージ装置としての性能は明確に示され、計測もできます。このため、アプリケーションに求められる性能と照らし合わせたサイジングがしやすく、運用開始以降も、ストレージが設計上のパフォーマンスを安定的に発揮してくれることを期待しやすいといえます。

 最後に、「フラッシュが、ビジネスを変えることができるかもしれない」という点を強調したいと思います。フラッシュの採用による大幅な性能向上は、例えば決算を月次から日次に変えられる可能性を秘めています。

 フラッシュの利用に関しては、ぜひ「データセンター全体を変えていく」という軸で考えていただきたいと思います。

森山氏による解説をまとめると……

  • オールフラッシュストレージにとっての2017年は、「ストレージの主流として認知され始めた年」
  • 既存のストレージと同様な機能を備えた製品が増加、用途を限定しなくてすむようになった
  • 特に、ハイエンド機種でオールフラッシュ対応が進んだことに注目
  • 外付けオールフラッシュストレージは、性能が担保され、設計と運用がしやすい
  • まだ日本では、フラッシュの省エネ効果や設置面積縮小効果が十分に注目されていない
  • 今後はデータセンター全体を変える努力をしていくことが大事

オールフラッシュストレージはどう選ぶか

 フラッシュは記憶媒体であるという点では、ハードディスクドライブと変わらない。従って、「ハードディスクドライブをSSDに入れ替えればいいだけではないか」と考える人もいるだろう。

 だが、森山氏も述べているように、フラッシュはハードディスクドライブと異なる特性も備える。このため、相対的なパフォーマンスとしてはハードディスクドライブを大きく上回るものの、このパフォーマンスを安定的に発揮できるかについては、製品によって大きな違いがある。また、搭載するデータ管理関連の機能にも、かなりの違いが見られる。

 外付けオールフラッシュストレージの選択は、アプリケーション、および運用体制によって異なることは明らかだ。

 システム更改などをきっかけに、基幹システムを含めた既存のストレージをフラッシュへ移行していきたいなら、既存の運用手法やこれまで使ってきた機能をあきらめなくて済むような製品を選ぶべきだ。

 幸い、ハイエンドストレージについて触れたように、フラッシュの特性を踏まえながら、企業としてストレージに求めるデータ管理関連の機能を豊富に備えた製品が登場している。森山氏が指摘しているように、こうした製品を検討できるようになったことこそ、企業向けオールフラッシュストレージの世界における最大の変化だ。

性能、信頼性、機能を全て備えたオールフラッシュストレージを選ぶなら

 富士通が2016年10月に発売したオールフラッシュストレージ「ETERNUS AF series」では、SSDという記憶媒体の特性を踏まえ、これを最適化することで、性能と信頼性の向上を図っている。また、既存のETERNUSシリーズ DX seriesが搭載している企業向けのストレージ/データ管理機能を豊富に搭載している。

 例えばSSDのブロックサイズに、ストレージI/Oのブロックサイズを合わせる機能や、性能の不安定化を引き起こす「ガベージコレクション」と呼ばれる作業を行っていないSSDへの書き込みを優先する機能がある。また、重複排除やデータ圧縮は、業務単位で有効/無効を設定できる。

 既存ストレージ機能の継承では、DRのための遠隔バックアップを含めた筐体間コピー/複製機能や、データベースソフトウェアとの連携によるオンラインバックアップ、業務の種類に応じたQoS設定などの例がある。

 上記のような機能により、ETERNUS AF seriesは、基幹システムを含めた企業内の多様な用途に、包括的に対応できるものとなっている。

資料ダウンロード

【導入事例】学校法人 工学院大学様

工学教育の歴史と伝統を誇る工学院大学は、いつでもどの端末からでも高度なグラフィック処理を実現できる学修環境をオールフラッシュアレイ「ETERNUS AF series」+vGPUを軸に新VDIシステムで実現。授業開始時など学生の利用が集中した際のパフォーマンス低下といった課題を解決し学修機会の拡大を行っています。


資料ダウンロード

【White paper】使いこなそう! FUJITSU Storage ETERNUS AF series

デジタルトランスフォーメーションが企業のビジネス展開の差別化の一大要件となっている今、大量データを高速にさばく基盤として、多くの企業でフラッシュストレージの導入が進んでいます。では、フラッシュストレージを企業はどう考え、どう選べばいいのでしょうか。本コンテンツでは構成例や実測値を基に企業にとって最適で効果的なフラッシュストレージの選び方のポイントを紹介します。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2018年2月22日

資料ダウンロード

工学教育の歴史と伝統を誇る工学院大学は、いつでもどの端末からでも高度なグラフィック処理を実現できる学修環境をオールフラッシュアレイ「ETERNUS AF series」+vGPUを軸に新VDIシステムで実現。授業開始時など学生の利用が集中した際のパフォーマンス低下といった課題を解決し学修機会の拡大を行っています。

デジタルトランスフォーメーションが企業のビジネス展開の差別化の一大要件となっている今、大量データを高速にさばく基盤として、多くの企業でフラッシュストレージの導入が進んでいます。では、フラッシュストレージを企業はどう考え、どう選べばいいのでしょうか。本コンテンツでは構成例や実測値を基に企業にとって最適で効果的なフラッシュストレージの選び方のポイントを紹介します。

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。