経験を積み、エンジニアとして脂がのり始め、「もっと技術を極めたい」という欲が出てきたころ、エンジニアを襲う会社からの打診「マネジメントをやってみないか?」――今、マネジャーにならないといけないんですか?
「ラクス」は、中小企業が導入しやすい「楽楽精算」「メールディーラー」「働くDB」といった自社サービスを提供して数多くの顧客企業をIT面からサポートしている実力派企業。
同社に「技術を突き詰めたい」と“スペシャリスト”という職位を選び、活躍しているエンジニアがいる。川並裕さん(31歳)が選んだ道はどのようなものだろうか?
小学生のころから家にPCはあったものの、川並さんとITの本格的な出会いは大学生時代。一人暮らしを始めて、YouTubeで話題の動画を見たいとノートPCを購入したのがきっかけだった。
就活が始まるころにはPCを使って、当時流行っていた携帯電話向けのWebサイト制作などを行うようになっていた。
「アフィリサイトを作って、お小遣い稼ぎをしたり(笑)」(クラウド事業本部 開発部 ファイナンス・クラウド開発2課 スペシャリスト 川並裕さん)
就活で川並さんが目指したのは、そんな自身のスキルを生かせる仕事に就くことだった。
「テーブルなどを多用して、エンターテインメント性の高い“ド派手なWebサイト”制作をしたいと思い、そうした仕事ができる会社を選んで応募しました」(川並さん)
そんな川並さんが実際に働くことになったのが「ラクス」だった。
同社の顧客は中小企業――いわゆる「B2B」の分野。しかも、最初に配属されたのは企業向けメールグループウェア「メールディーラー」を開発する部署。「ド派手なサイトを作りたい」という夢に、最初からつまずいてしまった。
「『エンターテインメント系』と『業務系』とで対象は異なるので最初は戸惑いました。しかし、『自分は何かを作るのが好きなんだ』と気が付いて、やりがいの向き先が変わりました」(川並さん)
その後、海外向けのクラウドサービス構築を担当するようになり、新しい開発手法や流行を知る“とがった”エンジニアたちに触発されたことで、OSS(オープンソースソフトウェア)のコミュニティーに参加し情報発信を行うなど、プライベートでのエンジニア活動も始めた。
また、常にアンテナを張り巡らせ、最新技術をチェックし「これは!」と思うものを社内に提案。「楽楽精算」の担当になってからも、実力を買われて先進的なミッションを任されるなど、力を発揮していった。
そんな技術大好きな川並さんだが、経験を積むうちに、将来のキャリア選択という課題が迫っていた。「マネジメントか、スペシャリストか」というエンジニアにとって悩ましい選択である。
ラクスは、早くからエンジニアの働きやすい環境、成長できる環境作りに注力しており、これまでにも新人教育、社内の技術ノウハウ継承、ワークライフバランスの最適化などに取り組んできた。残る課題が、エンジニアの評価と、将来のキャリアパスだった。
物づくりに憧れ、エンジニアの道を志したはずなのに、年齢が上がると、チームや組織のマネジメントを求められる。たとえ会社から直接的にそう言われなくとも、マネジメント力が評価項目に加わり、給与を上げていくにはマネジメント職へ進まざるを得なくなるという話は、よく耳にする。
事実、同社でも、マネジメントが嫌で辞めていったエンジニアがいたという。
そこで同社では、4年ほど前に社内の人事評価制度や給与テーブルにまで大胆にメスを入れ、大幅な改革を断行。「スペシャリスト」と「エグゼクティブスペシャリスト」という新たな2つの役職を設けた。
リーダー、マネジャーという職位と並列に、スペシャリスト、エグゼクティブスペシャリストという職位を設け、マネジメントをせずとも職位を上げ、給与を上げていくことができるようにした。
そんな環境で2017年5月、社内の昇格基準を満たした川並さんは、迷うことなくスペシャリストを選んだ。
「私は、マネジメントが嫌だったわけではありません。それまでもプロジェクトによってはリーダー的な動きをしていましたので。でも“今は”技術を追い求めたいんです」(川並さん)
「今は」という言葉には理由がある。同社の人事制度では、一度決定したコースを変更することが可能なのだ。つまり、スペシャリストを選んでから後になってリーダーを選び直す、あるいはその逆もできるということだ。
川並さんにスペシャリストになった実感や、就任後の仕事の変化などを尋ねてみると、意外な答えが返ってきた。
「努力目標が達成目標になり、成果を出す意識付けが大きく変わりました。ただ実は、スペシャリストに昇格した後、3カ月ほど会社を休んでいたため、スペシャリストとしての仕事は、実質数カ月なんです(苦笑)」(川並さん)
なんとスペシャリスト就任直後から3カ月間、育休を取得していたのだという。川並さんは3年前に結婚しており、今回は第二子の誕生。上のお子さんもいるので、妻をフォローするために積極的に育児に参加しようと、昇格が決まるずっと前から決めていたそうだ。
ラクスでは、産休・育休取得実績も多数あり、男性の育児休暇取得も川並さんが初めてのケースではない。こうしたライフイベントがあっても、キャリア形成が途切れることなく続けられる。これは、同社の大きな魅力といえるだろう。
しかし、3カ月間休んでいる間にさまざまなプロジェクトが進み、取り残されてしまうのではないかという不安はなかったのだろうか?
「技術面で後れを取ることはないという自信はありました。むしろ、不安にさせてほしいと思ったほどです(笑)」(川並さん)
社内の技術をリードするスペシャリストならではの、自信に満ち溢れた答えが返ってきた。
川並さんにとって、まだスタートしたばかりのスペシャリスト職だが、今後の取り組みについて、上司はどのように考えているのだろうか?
「スペシャリストは、マネジメントをしない分、技術的な難易度の高い課題を、いかに解決していくかという手腕が問われます。技術をきちんと把握し、KPIを設定して、PDCAサイクルで回して目標達成をしていく必要があります。現在、川並が担当している『楽楽精算』も競合サービスが増えてきていますので、機能改善や新機能の実装などを推進していかなければなりません」(執行役員 クラウド事業本部 開発部 部長 公手真之さん)
現在は、AIの自社サービスへの応用といった新たな技術のリサーチ、モダンな開発手法の導入なども進めているという。
「率先して新しいことや難易度の高い課題にチャレンジして他プロダクトに順次展開するなど、開発部門全体をけん引していくことが、川並のようなスペシャリストの重要ミッションです」(公手さん)
ラクスでは、もともと社内のいたるところで勉強会が開催されているが、今後はそうした場で技術を伝道していく役割もこれまで以上に担っていくことになるだろう。
自身の10年後、20年後の活躍のイメージを川並さんはどのように描いているのだろうか?
「しばらくは技術を追い求めていきたいと考えています。前述のように、私はマネジメントが嫌でスペシャリストを選んだわけではありません。時期を見てマネジメント職も経験し、将来的にはCTO(最高技術責任者)になっていたいですね」(川並さん)
志向や目標、あるいはライフスタイルに合わせてキャリアを自由にデザインできるラクスは、「エンジニアにとって、本当に働きやすい環境とは何か」という問いに対して、同社としての新たな答えを提示してくれた。
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提供:株式会社ラクス
アイティメディア営業企画/制作:@IT自分戦略研究所 編集部/掲載内容有効期限:2018年6月20日