IoTのさらなる普及拡大に向けて、乗り越えるべき壁とは? 無線技術・LPWAなら低コストでIoT環境の整備もできる

IoT分野の重要なキーテクノロジーとして注目を集めている「LPWA(Low Power Wide Area)」。これは、その名のとおり「省電力・広域通信」を可能とする無線技術だ。なぜこの技術が注目を集めるのか。それはIoT普及の壁となっている電源・コスト・エリアの課題を解消し、IoTの適用範囲を格段に広げる可能性を秘めているからだ。すでに日本でも2018年1月に、「KDDI IoT 通信サービス LPWA(LTE-M)」の提供が、通信キャリアの先陣を切って開始された。これによりどんなユーザーメリットが生まれるのか、ここではその特長や適用例などについて紹介したい。

» 2018年03月19日 10時00分 公開
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この記事はKDDI株式会社の許諾を得て「be CONNECTED.」(2018年2月19日から掲載)の広告を抜粋したものです。無断転載を禁じます。©KDDI株式会社


IoTは、どうしたらもっと普及するのか

 クラウド、ビッグデータ、IoTといった先進技術は、今やグローバルビジネスの進化を支えるテクノロジーとして不可欠な存在となっている。中でも、モノのインターネットと呼ばれるIoT(Internet of Things)は、工場や倉庫の生産・物流・品質管理などに加え、スマートメーター、災害発生の予兆検知、建設・土木工事現場の遠隔監視など、さまざまなシーンで新たな価値を生み出している。

 だが、IoTのさらなる普及拡大に向けては「乗り越えるべき壁もあります」と、KDDI ビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏は指摘する。

原田 圭悟氏 KDDI株式会社 ビジネスIoT企画部長 原田 圭悟氏

 「従来のIoTデバイスは、消費電力が大きいため、電源を確保できる場所に設置することが前提でした。またLTEに代表される携帯電話網は通信コストが高いため、一定の費用負担に見合うビジネスモデルでしか活用されていないのが現状です」

 通信エリアに関しても、既存の携帯電話網は山間部などの非居住地、地下室やマンホールといった場所では使えないケースが多く、IoT活用には適していないとされていた。そこで、こうした課題を解決するために登場したのが、新たな無線技術「LPWA」である。LPWAが従来の技術と大きく違うのは、少ない電力消費で長距離のデータ通信が行える点にある。LPWAは世界中で複数の規格が策定されているが、IoT向けのLPWAとして本命視されているのが「LTE-M(Long Term Evolution for Machines)」である。

 既存のLTEの空いた帯域を使うLTE-Mは、広域なエリアカバレッジに加え、上り/下りとも最大1Mbpsの通信速度を持ち、扱うデータ量が少ないIoT通信としては必要十分な実力を備えている。また、無線免許を必要としない周波数帯を利用する他のLPWAとは異なり、日本でLTE-Mのサービスを提供するのは、総務省から免許を交付された通信キャリアに限定される。各キャリアに割り当てられた専用の周波数帯で通信を行うため、電波干渉が起こりにくく、安定した接続環境が整えられるのである。

 世界標準規格として制定されたLTE-Mは、既に海外でサービスが開始されているが、日本でも2018年1月よりKDDIが初の商用サービスを開始した。それが「KDDI IoT通信サービス LPWA(LTE-M)」である。

月額40円からのIoT通信サービスを国内初リリース

 「『KDDI IoT通信サービス LPWA(LTE-M)』は、単3電池2本で10年稼働する『省電力』、非居住地や地下なども含めて今以上に広く届く『広域エリア』、月額40円からの『低コスト』という3つの特長を兼ね備えています」と原田氏は言う。

 そうした特長を同社ではどのように実現したのだろうか。

「KDDI IoTコネクト LPWA(LTE-M)」サービス
2018年1月から国内で初めて開始された。単3電池2本で10年稼働する「省電力」、非居住地や地下なども含めた「広域エリア」、月額40円からの「低コスト」という特長を兼ね備えている

 まず「省電力」では2つの低消費電力技術に注目したい。1つは待受時の電波サーチの頻度を下げる「eDRX(extended Discontinuous Reception)」。もう1つは指定した期間の電波サーチを止める「PSM(Power Saving Mode)」だ。この2つの技術によって、単3電池2本で10年稼働する低消費電力を実現。電源のない環境でも電池駆動によって、さまざまな機器のIoT化が可能となり、適用シーンや柔軟性を格段に広げるのである。

 次に「広域エリア」では、データを複数回再送することでIoTデバイスと基地局間のデータの送受信成功率を向上させる「カバレッジ拡張技術(Coverage Enhancement)」を適用。基地局から端末までの伝送距離を従来のLTEより5km以上延ばすことが可能となり、非居住地や地下駐車場、マンホールなどでもIoTの活用が可能になるという。

 「低コスト」については、「LPWA10」、「LPWA100」、「LPWA500」という、データ容量に応じた専用料金プランを策定。LPWA10で契約回線数が500万回線超の場合、1回線あたり月額40円という破格のコストとなる。

 こうした3つの特長に加え、KDDI IoTコネクト LPWA(LTE-M)では、回線(SIM)管理に必要な「SIM制御」や「SIM発注」、「各種ログ情報(トラフィック量、課金データ、回線状態一覧など)の提供」を、Web上のサービスポータルから利用可能。またKDDI独自の「SIMセキュリティ」や「インターネットVPN」機能をオプションサービスとして提供している点も大きなポイントだ。

 「あらゆるモノがインターネットにつながるIoTでは、どうしても脆弱性を抱えたIoTデバイスがサイバー攻撃で悪用されたり、情報が流出したりするリスクが発生します。そこで、お客さまサーバと機器間を閉域網で接続する『インターネットVPN』と、暗号鍵で不正アクセスを防止する『SIMセキュリティ』を独自に提供し、お客さまが安心してIoTビジネスを展開していただけるようにしました」と原田氏は説明する。

 KDDIが提供するのはこれだけでない。増え続けるIoTデバイスを容易に遠隔管理できるよう、通信サービスにあわせて「KDDI IoTクラウド デバイス管理」の提供も開始した。これはIoTデバイス管理プロトコルの世界標準「OMA Lightweight M2M」に、KDDI独自の機能をアドオンしたもの。顧客ニーズにきめ細かく対応した機能が作り込まれている。

「KDDI IoTクラウド デバイス管理(LTE-M)」サービス
Open Mobile Allianceで策定されたIoTデバイス管理プロトコル「OMA Lightweight M2M」をベースに、KDDI独自の機能をアドオンしたもの。デバイスの状態管理や遠隔設定、ファームウェア更新などが行えるようになる

 例えば「デバイス状態管理」では、IoT機器ごとのバッテリー残量や電波受信状態を見える化するほか、設定した閾値をキーとして、アラーム通知を受け取れる。また「デバイス遠隔設定」では、省電力モードの設定変更や通信間隔の値をリモートで簡単に行うことができる。ネットワークの混雑状態を自動判断し、最適なタイミングで「ファームウェア更新」ができる機能も用意した。

 こうした先進的なサービスをKDDIがなぜ提供できるのか、それは、同社が15年以上も前から、当時「M2M」や「ユビキタスネットワーク」と呼ばれていたIoTに関する技術とノウハウを、実践的なサービス提供の中で蓄積してきたからにほかならない。

原田 圭悟氏

 「長年にわたってM2M/IoTのビジネスを展開してきたことで様々な気付きを得られました。その1つが、膨大なデバイスを1カ所で集中管理したい、できるだけ現場に行かずに設定変更やアップデートを行いたいという、お客さまの強いご要望でした。今回提供するデバイス管理機能でも、それらのご意見をしっかりと反映させています」(原田氏)

過去15年のIoTサービス実績から顧客ニーズを創出

 これらの特長を備えた「KDDI IoT通信サービス LPWA(LTE-M)」を利用することで、顧客にはさまざまなメリットが生まれる。

 まず、LPWAを使えばこれまでセンサー・デバイスの設置が難しかった山間部や農作地、河川や地下エリアにもIoTの適応範囲を広げることができる。

 実際にKDDIは、日立システムズ、トミス、イートラストなどのパートナー企業と、マンホール内の水質・水量の把握、有毒ガスの発生有無、開閉状態などの遠隔監視をLPWAで実現する「防犯・安全対策ソリューション」の提供を開始。また日油技研とは、水位監視センサーとLPWAで、河川の氾濫などを早期に検知し、地域住民の安心・安全確保に向けたソリューション開発にも取り組んでいるという。

 適応領域が広がるだけでなく、従来IoTを適用していた領域でも、LPWAならより低コストでIoT環境が整備できる。このため、同じコストでデバイスの設置密度を高め、一段ときめ細かなデータ収集や制御を実現できるようになる。例えば、商用電源が確保しにくい屋外やメーターボックス内に設置されるガスメーターでも、LPWAなら電池動作が可能となりますし、マンホールの下に入った水位センサーからでもデータ送信が可能となり、水位検知が行えるようになるわけだ。

 さらに荷物追跡への適用では、より低価格な荷物追跡サービスの開発が可能となる。段ボール箱ごとに位置をリアルタイムに特定し、到着を待つ顧客へWeb上から詳細なステータスを知らせるサービスなどが実現できるだろう。

 「LPWAによる今後の成長領域としては、既に実用化が進んでいるテレマティクスやスマートメーターに加え、産業機器やビル設備、農業向けの遠隔監視、車両・宅配・物流向けの追跡・管理、セキュリティ・見守り、ヘルスケアによる体調管理などが想定されています。IoTの領域が広がることで、ウォーターサーバーの水が少なくなれば配達に来てくれるサービス、ゴミがあふれる前に検知して回収するサービスなど、普段の暮らしの中でも新しい体験が広がってくるでしょう」(原田氏)

 確かにLPWAの用途は枚挙にいとまがない。ビジネスから公共サービス、産業活動、個人の生活に至るまで、あらゆるシーンで多くの応用例が想定されている。

 豊富な実績をベースに開発された「KDDI IoT通信サービス LPWA(LTE-M)」は、こうした従来のビジネスモデルと同様、単純な回線サービスの提供ではなく、用途に応じたセンサー・デバイスからデータ活用クラウドまでをワンストップに提供することで、パートナー企業と一体となったソリューション開発や、データ活用による新たなノベーションを支援するエコシステムを志向したものといえる。

 KDDIはこれからも、さまざまな顧客企業がそれぞれのユーザーに新たなカスタマーエクスペリエンス(顧客体験価値)を生み出していけるよう、IoTビジネスを全力でサポートしていくという。IoT分野でのKDDIのプレゼンスは、これからもますます高まっていくことは間違いない。

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提供:KDDI株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2018年4月15日

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