日本の企業システムが変化の速いビジネス環境に適応できない理由基幹系システム刷新失敗の思わぬ要因とは

基幹系情報システムのリプレースが思うようにいかない理由としては、企業合併や長年の機能追加などにより、システムがスパゲティ化してしまっていることが挙げられる。その中で、リプレースの足を引っ張る大きな要因の1つとなっているものとは何なのだろうか。

» 2018年04月09日 10時00分 公開
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「基幹系情報システム」リプレースの思わぬ足かせ

 日本企業における「IT活用」が浸透して久しいが、「基幹系情報システム」では、リプレースを行うタイミングごとに多大な工数と時間を要し、変化の速いビジネス環境にシステムが適応できていない現実がある。またリプレースによって、運用コストの削減が期待されながら、その効果がなかなか得られていないのも実情だ。

 基幹系情報システムのリプレースが思うようにいかない理由としては、企業合併や長年の機能追加などにより、システムがスパゲティ化してしまっていることが挙げられる。その中で、リプレースの足を引っ張る大きな要因の1つとなっているのが、帳票システムの存在だ。

日鉄日立システムエンジニアリング 営業統括本部 シニアマネジャー 倉持岳大氏

 日本の企業は、基幹系情報システムを刷新する際、個別に業務システムを導入したり、一部を導入したりと、本来のERP(Enterprise Resources Planning)のコンセプトのように、全てをオールインワンで導入するケースは少ない。そのため、各業務システムで帳票システムが個別最適化されており、リプレースの際にはシステムごとに帳票システムの移行作業が発生することになる。

 「実は、ここがリプレースの思わぬ足かせになることが多く、メインである業務システムの移行作業よりも工数やコストがかかってしまうケースも珍しくありません」と指摘するのは、日鉄日立システムエンジニアリング 営業統括本部 シニアマネジャーの倉持岳大氏。

 その背景には、リプレースのプロジェクトの中で、帳票システムは後回しにされやすいという実情がある。リプレースの本来の目的は、基幹業務システムの再構築であり、ここにリソースが集約され、最優先でプロジェクトが進められる。一方、帳票システムは、あくまでサブ的な位置付けで、最後に残った予算で移行作業が行われるケースが多い。しかし、これが結果的に帳票システムにかかるコストの増大を招き、リプレースの長期化や停滞につながってしまうのだ。

 「日本の企業は、帳票システムの重要性をもっと認識する必要があります。リプレースで帳票システムを後回しにしていては、ビジネス環境の変化に適応することは難しいのではないでしょうか」(倉持氏)

 特に、最近では、働き方改革によるペーパーレスの推進や、電子商取引の拡大といった商慣習の変化、電子帳簿保存法の改正などによる環境変化を背景に、帳票を電子データとして扱う流れが加速している。また、これに伴い、帳票データに含まれる個人情報の保護や情報漏えい対策など内部統制の強化も重要になっている。

 「そこで、今、企業に求められているのが、戦略的な帳票基盤を構築することです。これからの基幹系情報システムのリプレースでは帳票基盤の導入が必要不可欠になります」(倉持氏)

基幹系情報システムのリプレースにおける帳票基盤構築のベストプラクティス

 こうした課題を解決すべく、同社では、基幹系情報システムリプレースにおける帳票基盤構築のベストプラクティスとして、次世代型帳票基盤ソリューション「Paples(パピレス)」を提案している。

 Paplesは、帳票に関わる全ての業務を1つのパッケージで行えるオールインワンソリューションだ。帳票の作成・デザインから印刷、保管・運用、廃棄までのライフサイクルを一元的に管理し、帳票業務の効率化を図ることができる。また、個別最適化された従来型の帳票システムから、全体最適化された次世代型の帳票基盤へのシフトを実現する。

日鉄日立システムエンジニアリング 産業・流通ソリューション第一事業部 帳票ソリューショングループ グループリーダー 丸山太一氏

 従来の帳票システムは、それぞれの業務システム内で密結合しているため、リプレースの際には全て再開発する必要があった。「これに対してPaplesでは、各業務システムが帳票基盤上に疎結合されているため、リプレースによって業務システムが変わっても、帳票基盤には手を加えることなく柔軟な対応が可能となります。また、『従来まで紙で郵送していた請求書を、PDFのデータ送信に変更する』といったビジネス環境の変化にも、新たにシステムを開発することなく、帳票基盤の設定を変えるだけで迅速に対応できます」と説明するのは、日鉄日立システムエンジニアリング 産業・流通ソリューション第一事業部 帳票ソリューショングループ グループリーダーの丸山太一氏だ。

 「意外と認識されていないことですが、『システム開発工程の中でも手間がかかるのは、帳票開発だ』といわれています。この帳票開発を効率化するニーズは実は大きいと感じています。特に、日本の帳票文化には各企業のこだわりが強く、けい線が必須で、その種類や太さ、表現位置にも気を配ります。『枠の角を丸める』『紙のサイズも異なる』など数多くの要望があるため、システムに付随する標準帳票をそのまま利用することはまれです」

 Paplesは、「日本のビジネス文化そのもの」といえる“帳票”内に凝縮された表現内容はそのままに、社内、社外ともにコミュニケーション基盤として活用できる。

Paplesの機能一覧(請求書など、あらかじめ定義した帳票形式で出力が可能)

さまざまなインタフェースに対応

 特に、各業務システムから帳票データを取り込む部分については、他社製帳票システムからオープン系システム、独自設計の帳票システム、さらにはホスト・メインフレームまで多彩なインタフェースを用意しており、スムーズなデータ連携を実現している。

 具体的には、他社製帳票データについては、デザイン機能「PaplesReports」を利用して帳票レイアウトを再現し、CSV・DB連携によってデータを取り込むことでさまざまな帳票を生成可能となっている。また、オープン系のERPや帳票設計ツールで作成した帳票データについては、仮想プリンター「Paplesドライバー」から印刷することで、Paplesに取り込むことができる。そして、ホスト・メインフレームとの連携では、各社ホストの帳票データを専用コネクターでマイグレーションし、Paplesに取り込む。これにより、ホスト専用プリンターで印刷する必要もなくなる。

帳票にある「データ」を守りながらビジネスに生かす

 Paplesは、単に帳票データを取り込んで保管・管理するだけではなく、そのデータを活用して帳票検索やExcel出力ができる点も大きな特長だ。

 帳票検索では、帳票文字列に対してインデックスを生成することで、業務システムを横断して、「いつ誰にどんな帳票を送ったのか」を検索可能となり、再発行の要請にも素早く対応できるようになる。また、Excel出力では、取り込んだ帳票データからExcelファイルを生成できる。

 「例えば、売上データの集計や分析など、帳票データをビジネス活用につなげることも可能になります」(丸山氏)

 一方で、請求書や契約書など帳票データに含まれる情報は機密度が高いため、データ活用に当たっては、情報漏えい対策が欠かせない。この点についても、Paplesは万全の対策を施しており、保管されている帳票データは、「誰がいつどのページを見たのか」という監査証跡を全て確認できる。また、検索された条件や履歴、印刷した情報も把握できるため、内部不正による情報漏えいを抑止することが可能となっている。

「オールインワン+拡張機能」を1社で提供するため、コストを削減できる

 さらに、Paplesの活用メリットとして、従来の帳票システムから大幅なTCO削減を図れる点も見逃せない。まず、イニシャルコストについては、最小構成が保存用サーバー1台のみのシンプル構成で、DBは独自形式を採用。帳票データの取り込みと保管・管理を基本機能として、その他の拡張機能はオプションライセンスとなっているため、スモールスタートから、利用形態に合わせて段階的に機能を拡張することができる。

 保守コストについては、従来の帳票システムでは、業務システムごとに複数ベンダーからの保守サポートを受ける必要があり、コストがかさむ原因になっていた。また、トラブルが発生した際も、原因の切り分けが非常に困難だった。これに対してPaplesは、帳票ライフサイクルをオールインワンでカバーしており、保守サポートも日鉄日立システムエンジニアリングが一元的に対応するため、保守コストを大幅に削減することができる。

 「実際に、560万円かかっていた帳票システムのランニングコストが、Paplesの導入によって6分の1にまで低減したお客様もいらっしゃいます」(丸山氏)

費用対効果の試算表も作成

 Paplesの導入に当たっては、顧客企業のニーズに合わせて「ペーパーレス」「法令対応」「システム連携」「帳票出力」「帳票開発」「製造業向け」など、多彩なソリューションを用意し、コンサルティングサービスも含めて帳票基盤の導入検討からシステム構築、本番稼働までをフルサポートする。

 「特に、コンサルティングサービスでは、導入前にお客様の情報システム部門と一緒に現状の帳票システムの問題点などを洗い出し、Paplesの導入目的や機能要件を整理します。そして、経営層に上申される際には、費用対効果の試算表を提供する他、社内プレゼンにも同席して、Paplesの導入メリットをお伝えします」(倉持氏)

大手通信関連企業、日産化学工業、第一屋製パンの導入事例

 ここで、その他の代表的なPaplesの導入事例を幾つか紹介しよう。

 まず、大手通信関連企業の事例では、複数社の複数製品で構成されていた既存の帳票システムを、Paplesによって上位システムを改修することなく新規帳票環境にリプレース。帳票参照、帳票印刷、帳票作成、帳票保存、印刷管理、PDF作成・出力の6つの帳票関連システムを1つに統合することで、サーバーの大幅削減、保守負荷の軽減、ランニングコスト低減を実現した。また、低減できたコストをコンテンツ創作などへの投資に充てるとともに、帳票業務の効率化によりクリエイティブな業務に専念できる環境を整えている。

大手通信関連企業の事例

 化学メーカーの日産化学工業では、紙ベースで行っていた請求書発行業務を効率化することを目的にPaplesを導入。請求書の作成、発行から送付に至るまでの業務プロセスのトータルな電子化を実現し、郵送コストの大幅削減を図った。また、電子化によって請求書の封入・封かん作業をなくし、郵送業務の負荷を軽減したことで、業務の効率化にもつなげているという。

 第一屋製パンの事例では、5つの生産拠点で分散稼働するメインフレームの統合に合わせて、マイグレーションプロジェクトを支える帳票基盤としてPaplesを採用。各メインフレームで管理していた帳票をPaplesに集約するとともに、帳票開発についてもPaplesから一元的に行えるようにした。これにより、帳票開発のために利用してきたCOBOLやExcel、Accessなどの多様なスキルを、Paplesの設計ツールのスキルに統一することができ、技術者の確保や教育といった観点でもコスト削減メリットが大きかったという。

統合帳票基盤から、コラボレーションを支援する“統合コンテンツ基盤”へ

 このように、従来型の帳票システムから戦略的な統合帳票基盤へのシフトは、帳票業務の効率化にとどまらず、基幹系情報システムの最適化やTCO削減を図りビジネススピードのさらなる向上につながることも期待できる。

 Paplesの今後の展望について、丸山氏は次のような方向性を示した。

 「これまでは、社内帳票・文書のマネジメントを支援してきましたが、今後は企業全体のコンテンツを統合的に管理する基盤製品へ拡張させていく計画があります。これにより、社内のみならず社外から受領するコンテンツ全体に対して、企業の情報統合やコラボレーションを支援します。統合帳票基盤から“統合コンテンツ基盤”へと進化させていくつもりです」

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提供:日鉄日立システムエンジニアリング株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2018年11月23日

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