大手システムインテグレーター勤務、駐在妻――ユニークな経歴を持つ大畠怜奈氏。リクルートテクノロジーズ入社後は、リクルートIDに関わる大型プロジェクトに携わり、エンハンス開発や品質改善チームのマネジメントに携わっている。自分以外は全員パートナー、しかも既に動いているプロジェクトに後からジョインした大畠氏は、いかにして結束力の高いチームを作り上げたのか――。
常に動いていないと気がすまない。キャリアの役に立つものはもちろん、あまり役に立たなそうなものでも吸収したいし、新しいことを体験したい。海外にも行きたい。
そんな大畠怜奈氏は現在、「リクルートテクノロジーズ」でさまざまなパートナー(協力会社)と力を合わせてプロジェクトを推進する立場にある。一度は家族の海外転勤を機に仕事を辞め、駐在妻も体験した大畠氏は、なぜ今の仕事を選んだのだろうか。
大畠氏は大学と大学院で情報科学を専攻し、画像診断システムの研究に取り組んでいた。自然とIT系の仕事に目が向き、2004年に国内の大手システムインテグレーターに就職。今でさえ女性はIT業界で少数派だが、当時はなおさら。だが、周囲のメンバーにも顧客にも恵まれ、本人いわく「何か分からないこと、疑問に思ったことがあると何でも聞く性格」なこともあり、充実した仕事ができたという。
コンサルティングから保守サービスまで一貫して提供するその企業で大畠氏は、プログラミングに始まり、詳細設計、上流設計、さらにはパートナーとの共同作業をまとめるプロジェクトマネジメントに至るまで、ITシステムコンサルタントとして一通りの業務知識を身に付け、経験を積んだ。
決して楽な仕事ではなかった。当時の顧客が大手流通業だったこともあり、開発と並行して保守運用を担当していた時などは、たとえ夜中であろうとも電話対応を求められたこともあった。だが、大きなプロジェクトに携わる中で、きちんと段階を踏んで設計して障害を防ぎ、いざ問題が起きたときに適切に対応する力を付けていったという。
その大畠氏に転機が訪れたのは、夫の海外赴任が決まったことだった。「昔からずっと海外に行きたいと思っていました。『行こう。帰国してからどうするかは、そのときにまた考えればいい』と考え、日本を出ることにしました」ときっぱり決めたという。
仕事が嫌になったわけではない。常に動いていたい、新しいことに触れたい――そんな大畠氏らしさが現れた決断だった。
「残業も含めると普通の人の何倍かは働いてきたので、休息だと捉えて思いっきり『駐在妻』を楽しみました」と述べる大畠氏。夫の赴任先であるシンガポールでは、同じような境遇にある駐在員家族同士の交流を楽しんだり、テニスなどスポーツに打ち込んだりする日々を過ごした。こうして1年ほどの駐在妻生活はあっという間に過ぎていったという。
夫の海外赴任期間が終わり、共に帰国することになった大畠氏は考えた。「やっぱり仕事が好き」――そこで以前の職場に復帰することにした。もともとチームメンバーや顧客との関係が良好だったことから、すんなり復帰できたという。
だが、復帰後しばらくすると、新しいこと好きの血が騒ぎ出した。
「ずっと同じチームで同じことをやっているので、仕事の内容が、やや『マンネリ化』しているなと感じました。もちろん作るシステムは新しいものですが、プロセスや進め方は全部同じ。最初の設計段階では頭を使いますが、その後のプロジェクトを回す部分は基本的にずっと同じです。そこで、またむずむずしてきちゃったんですね、新しいことをやりたいな、新しい仕組みを勉強したいなって」
思い立ったら、即行動。またもきっぱり「転職しよう」と決断し、転職活動を開始した。
「IT系で、サービスが見えやすくて、B2Cでいろいろな人に影響がある事業をしている会社がいいなと考えました。人材紹介会社に登録して最初に紹介してもらったのがリクルートテクノロジーズです。『ここが合っているんじゃないですか』と薦められて面接に行ってみたところ、採用担当から今の仕事を紹介されて。数千万人のユーザーに影響する仕事で、責任も大きいけれども非常にワクワクしたのを覚えています。最新技術への対応も積極的に行っているということで、とてもチャレンジングだと思いました。さらに、面接官や現場の方の雰囲気や話し方がすごくフィットして。最初からフランクに接していただいて、『あ、ここならいいかな』って直感的に決めました」
勤務管理がしっかりしており、ワークライフバランスを取れる職場であることも重要なポイントだったという。
履歴書を送り、面接を受けたのはリクルートテクノロジーズだけ。初めての転職だったがトントン拍子に話が決まり、2016年10月から働き始めた。
「自分で設定した日に休暇を取れる『サンクス休暇』制度があるなど、やるべきことができていれば休みが取りやすく、皆も普通に休んでいるので、最初はびっくりしました」と大畠氏は述べる。柔軟に休暇が取れるため、2018年3月時点で早くも2回、海外旅行に行ってきたそうだ。
大畠氏は今、リクルートグループ各社が提供するサービスのIDを統括するシステムの開発プロジェクトを担当している。数千万人に上る会員のIDやポイントを管理し、認証にもひも付く全サービス横断の部分を任された形だ。関連するプロジェクトや時期によって異なるが、数十名に上るパートナーを1人で率い、プロジェクトの方向性や方針を決めていく。
「基本的にはパートナー内で進捗(しんちょく)を管理していますが、何かあったときはエスカレーションしてもらい、決めるべきところを決めたり、ステークホルダーとの調整を行ったりする役回りです」
だが、入社当初からこうした形だったわけではない。
「このプロジェクトは、以前はフローがきちんと決まっておらず、社員も少なかったため、基本的にパートナー中心で運用されていました。そこに私がいきなりポンって入ったわけです」
そのころプロジェクトは頻繁に障害が発生し、緊急事態待ったなしだった。火中に飛び込んだように見えるが、これが逆に「やりやすかった」と大畠氏は振り返る。
「問題が明確になっているタイミングで加わったので、むしろ活動しやすかったです。あらためてシステムの中を開き、『プロセスを改善していきましょう、品質のここに問題があるから解決していきましょう』とトラブル起点で入り込んでいきました」
前職で生かした「質問するスキル」は、ここでも役に立った。
「なるべくステークホルダーの話を聞くように心掛けました。こちらから『こうやってください』『こうあるべきじゃないですか』と押し付けるのではなく、『今はこういう状況になっています、どうした方がいいと思いますか?』と尋ねるようにしました」
プロジェクトのリーダーから若手まで、時には一緒に飲みにいって仲良くなりつつ、相手に応じていろいろな形でコミュニケーションを取りながら信頼関係を築いていったそうだ。リクルートIDやポイント管理の品質はどのサービスとも関係があり、障害が起きる状態は看過できないこともあり、ステークホルダーも協力してくれたという。
こうして入社後1年ほどかけて、各工程がどうなっているかの「As Is」と、品質を担保するためにどう変えていかなければならないかの「To Be」を描き、現場の人も巻き込んで話を聞きながら整理し、1つずつ解決していった。
2017年9月でプロジェクトは一区切りつき、障害数は80%減、重大障害も0件となった。しかしプロセスを作って終わりではなく、さらなる「改善」にも取り組んでいる。
「入社後1年かけて改善し、フローを整備して運用していますが、12月には『今定着しているプロセスに課題はありませんか』とWebでアンケートを取りました。出てきた声に対しては1つ1つ回答して、改善しています」
自分のように勢いよく話す人間が苦手で、対面ではなかなか言いたいことを言えない人がいるかもしれないという配慮からWebアンケートにするなど、相手の特性を見ながらコミュニケーションすることを心掛けているという。
新しいことに触れるのが好きな大畠氏にとって、ボトムアップでやりたいことを決め、進めていくリクルートテクノロジーズの社風は、肌に合ったものだった。
「以前の会社はクライアントのシステムを扱っていたので、『この時点までにリリースしなくてはいけないから、逆算してここまでにこれをやって』とスケジュールが自ずと決まり、その目標を達成していかなければいけませんでした。今は逆に、『いつまでにこういうことをしたい』と決めて、それに向けたステップを自分の裁量で組み立て、『今期はこんなことを自分のミッションにします』と宣言し、それを達成する形態です」
技術力はもちろんだが、それ以上にコミュニケーション力、調整力が求められる今の仕事に、大畠氏はやりがいを大いに感じているという。
「部下から『こういうことをやってみたい』って言われたら、自分が言われたのと同じように、『じゃあやってみよう』って言いますね。もちろん、あまりにも方向性が違う場合はアドバイスしますが、まずはやりたいことがあるなら、失敗を恐れずやってみたらいいんじゃないかって思います」
また「直近ではAlexaでログインできる仕組みを実装するなど、技術的な面でも新しいところ、先端のところをやっていけるのが面白いです。セキュリティもそうですね。単純に運用しているのではなく、いろいろなサービスの話も聞きながら新しいことに関われるので、面白いです」と語る。
もし再び夫に海外転勤の話が出たら「……また行ってしまうかもしれません」と笑うが、少なくともそれは、今自分で決めた目標を達成してからにしたいという。まだまだ大畠氏のチャレンジは終わらない。
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提供:株式会社リクルートテクノロジーズ
アイティメディア営業企画/制作:@IT自分戦略研究所 編集部/掲載内容有効期限:2018年4月27日