NetApp HCIは、他のHCIで足りない部分をカバーする、「本格派」のための製品国内採用ユーザーも誕生

ネットアップの「NetApp HCI」は、ユニークなハイパーコンバージドインフラ(HCI)製品だ。この製品の魅力について、ネットアップと、同製品を扱うディストリビューターであるソフトバンク コマース&サービス(以下、ソフトバンクC&S)のエキスパートたちが語り合った。

» 2018年04月03日 10時00分 公開
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 ハイパーコンバージドインフラ(以下、HCI)製品が国内市場に多数登場しているが、中でも2017年11月にネットアップが国内販売を開始した「NetApp HCI」はユニークな存在だ。

 NetApp HCIは、他のHCIとは明確な違いがあり、興味深い。この製品の特長と、適した用途について、ネットアップと同社のディストリビューターパートナーであるソフトバンク コマース&サービス(以下、ソフトバンクC&S)のHCIエキスパートたちが語り合った。

 登場するのはソフトバンクC&SのICT事業本部 MD本部技術統括部 第1技術部3課の小川正一氏、同ICT事業本部 MD本部技術統括部 第1技術部1課の土肥達郎氏、そしてネットアップのシステム技術本部 プリンシパルクラウドアーキテクト、松浦敦氏。

他のHCIでは埋められないニーズがある

ソフトバンクC&S ICT事業本部 MD本部技術統括部 第1技術部1課 土肥達郎氏

土肥氏 ソフトバンクC&Sは、主要HCIメーカー製品のディストリビューターパートナーという立場で、この数年日本国内におけるHCI市場の成長に向けて邁進してきましたが、この1年ほどでHCI製品をご提案させていただく案件数が急激に増え、ユーザー企業およびリセラーにおけるHCI製品の認知度が広がっていることを日に日に強く感じるようになりました。

 HCI製品の導入を検討されるユーザー企業は共通して、ITインフラを一括して導入・運用でき、その後もニーズに応じてスケールできるという点を高く評価されています。一方で、ユーザー企業のHCIニーズは必ずしも同じではないことが分かってきました。そこで弊社では、他のHCI製品では埋められないニーズをカバーできるネットアップのNetApp HCIに注目し、リセラーと共に推進しています。実際に、幣社を通じた国内での初導入も決まりました。

松浦氏 ありがとうございます。NetApp HCIは、ネットアップ製品の既存ユーザー企業はもちろんのこと、他のHCI製品の導入を検討したものの断念した、もしくはHCI製品の導入を検討しているが不安を感じているユーザー企業などにも、ぜひお勧めしたいです。

NetApp HCIが他のHCI製品と異なるポイント

ソフトバンクC&S ICT事業本部 MD本部技術統括部 第1技術部3課の小川正一氏

小川氏 他のHCI製品ではソフトウェアデファインドストレージ(SDS)を採用し、ストレージの機能をサーバに取り込むことで、簡単に導入・運用でき、スケールしやすいITインフラを実現してきました。最近ではエンタープライズストレージ相当の機能を追加した製品も出てきました。その点、NetApp HCIはストレージメーカーが作ったHCI製品のため、初めからエンタープライズストレージの機能が充実していますね。

── 読者の方々に向け、NetApp HCIがどのような製品なのかを、簡単に説明していただけますか?

松浦氏 はい。NetApp HCI は、オールフラッシュストレージとして定評のある「SolidFire」のアーキテクチャを採用したHCI製品です。SolidFireは、大規模なインフラを運用するユーザー企業に多数ご採用いただいており、国内でも多くの導入実績があります。

ネットアップ システム技術本部 プリンシパルクラウドアーキテクト 松浦敦氏

 NetApp HCIはSolidFireテクノロジーをベースとし、複数アプリケーションのパフォーマンス保証、データファブリックを基盤とした優れた柔軟性と拡張性、そして自動化や統合機能など数多くのメリットを提供し、他のHCI製品が抱える制約を解消します。

 サーバ上でストレージコントローラーの機能も動作させるアーキテクチャを採用する他のHCI製品では、どうしてもコンピュートリソースの奪い合いが生じてしまいます。これに対して、NetAppのアプローチとしてはコンピュートリソースとストレージリソースを分離することにより、リソースの奪い合いを原因としたストレージ性能の不安定さを避けるアーキテクチャを採用しました。

 初期導入設定に関しては、NetApp HCIに標準搭載の「NetApp Deployment Engine(NDE)」を利用します。NDEは、サーバ、ストレージ、ストレージネットワークを用いた3階層の仮想化環境(以下、3Tier構成)のようにそれぞれのコンポーネントを別々に設定するのではなく、VMware vSphere ESXiおよびVMware vCenter Serverのインストール、ネットワークの設定、ストレージ設定など一連の作業を自動で行います。NDEにより、仮想マシン作成までに必要な400以上の入力項目を30未満に削減し、45分程度で仮想マシンの運用を開始できます。

NDEでは、一連の設定作業を自動化できる

 また、NetApp HCIはVMware vCenter Serverを通じて運用します。ストレージ部分もvCenterプラグインで統合的に管理できます。この点は、大部分のHCIと同じです。

 その上で、I/O性能保証(QoS)、およびハイブリッドデータ基盤にもつながるさまざまなデータサービス機能が利用できます。

土肥氏 コンピューティングノードとストレージノードが分離しているというのは、明確な優位点ですね。ストレージソフトウェアを専用ノードで動かすことで、ストレージが安定的な高性能を発揮できるようにしているわけですね。また、ニーズに応じてコンピューティングノードとストレージノードを個別に追加することで、コスト効率の高い拡張ができるのも大きなメリットですね。

松浦氏 他のHCI製品では、処理能力、ストレージ容量のどちらが不足する場合にも、同じようにサーバを増やしていく必要があります。要するに、コンピュートリソース、ストレージリソースの双方を足さなくてはなりません。その点、NetApp HCIでは、ストレージ容量のみが不足する場合、ストレージノードだけを追加すれば済みます。各ユーザー組織のニーズに応じた構成が、より柔軟にできるという言い方もできると思います。

NetApp HCIは、コンピューティングノード、ストレージノードを個別に拡張可能

 また、外部のホストからNetApp HCIのストレージリソースを利用することもでき、柔軟なインフラ設計を可能としています。一部のデータベース製品などでは、該当ソフトウェアが(仮想マシンのライブマイグレーションにより)移動して稼働する可能性のあるCPUコア(あるいはCPUソケット)の総数に応じたライセンスを購入しておく必要がありますが、このような場合、NetApp HCIであればライセンスコストの抑制が期待できます。

 それから、他のHCI製品の多くはハードディスクとフラッシュのハイブリッド構成に留まっていますが、一方でストレージシステムの世界では、オールフラッシュシステムがスタンダードになりつつあります。ネットアップはこうした世界で培ってきたノウハウをNetApp HCIでもそのまま持ち込んでいます。低い容量単価で、フラッシュの高速性、低遅延といったメリットを享受できます。

きめ細かなQoSは、明確な差別化ポイント

小川氏 QoSが設定できるということも、NetApp HCIの特徴的な機能といえます。ユーザー企業の要件に合わせて、例えばアプリケーション単位でQoSを設定することもできますね。

松浦氏 元々SolidFireは、I/O性能のSLAでサービスの差別化を図っているようなクラウド事業者に数多く採用していただいています。QoSによって集約度も向上します。つまり、少数のストレージノードに、より多くの仮想マシンを収容でき、ストレージ関連のコスト効率をさらに高められます。

土肥氏 FASシリーズをはじめとした、他のネットアップストレージとの連携ができるようになっているのも、ありがたいですよね。

松浦氏 NetApp HCIでは、「ONTAP Select」という、仮想環境に構築できるSDS製品にも対応しています。これを使うことにより、これまでのFASシリーズと同じようなNAS機能を仮想環境上に構築することができます。

 HCI環境でファイルサーバをはじめとしたNAS機能を利用する場合、追加でハードウェア製品を用意するケースもあります。この場合、追加ハードウェア製品の設置場所、電源のコストを考慮する必要があります。こういったケースでONTAP Selectを利用することにより、必要となるコンポーネント全てを、HCI環境上に展開することが可能となります。

 また、NetApp HCIはFASシリーズに搭載されているデータレプリケーション機能である「SnapMirror」にも対応していますので、ネットアップのFASシリーズへ、スナップショットデータの遠隔複製が行えます。ONTAPをクラウドサービス上で動かす「ONTAP Cloud」を使って、オンプレミスとパブリッククラウドとの間でのデータ保護を実現することも可能です。

 そしてもちろん、NetApp HCIでは既存の一般的なデータ保護/バックアップソフトウェアも利用できますので、バックアップ運用を変えたくない場合などにも柔軟に対応可能です。

NetApp HCIは、どんなユーザーに向いているか

松浦氏 NetApp HCIは、さまざまな用途の仮想基盤として使用できますが、マルチテナント環境を構築する際にもお勧めです。マルチテナント化が進むほど、IT基盤の運用担当者は、安定かつ高性能な環境の提供をユーザーに約束できなければなりません。しかも、高いコスト効率で、これを成し遂げなければなりません。

 これまでの仮想環境は、「リソースを増やせば問題は解消できる」という考え方に基づくものが多いと思いますが、明確な評価軸の下でITインフラを可視化し運用したい、あるいは運用しなければならない方々に、この製品は向いていると思います。

土肥氏 弊社としては、他のHCI製品を検討しつつ導入に至らなかったユーザーにとって、NetApp HCIは新たな選択肢の1つとして提案できる製品であると考えています。とりわけ「ストレージパフォーマンスをコントロールできるHCI」を求める人にはぜひお勧めしたい製品ですね。

松浦氏 ネットアップはデータをマネジメントするストレージを長きにわたって提供してきた立場から、仮想マシンという考えだけでなく、仮想マシン自体を構成するデータ、またその他のさまざまなデータを中心に考え、データファブリックというビジョンの下に、オンプレミス/パブリッククラウド、レガシー型ストレージ/SDS、3Tier/HCIといったインフラの違いを超えて、シームレスにデータをバックアップしたりマイグレーションしたりすることができるソリューションを提供しています。

 運用上、複数のパブリッククラウドとオンプレミスのストレージ間でどうやってデータを移動するか、共有させるかが重要な課題となります。

 ネットアップ データファブリックは、データがどこにあっても移動や共有ができ、パブリッククラウドとオンプレミスのストレージ全体でデータ管理を簡易化できます。

NetApp Data Fabricでは、パブリッククラウドとオンプレミスのストレージ全体で、データ管理を簡易化できる

 NetApp HCIも、SnapMirrorをはじめとする機能群によってデータファブリックの一部となり、ハイブリッドな環境を構築していくことができます。

 これからもHCIとしての導入・運用の簡単さを追求し、NDEのさらなる機能拡張などを行っていきます。

小川氏 ソフトバンクC&Sは、仮想化環境を含めたITインフラ全体に関わる製品、ソリューションを、リセラーを通じてユーザー企業に提供しています。今後もそのような立場から、ネットアップをはじめとしたメーカー、リセラーと共に、ユーザー企業に対して有益なICTインフラの導入に向けた提案・支援を行っていきます。

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提供:ソフトバンク コマース&サービス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2018年7月5日

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