サーバ仮想化技術を導入したものの、期待していたコスト削減、運用管理負荷の低減に効果が出ず悩む企業が多い中で、昨今急速に導入企業数が伸びているのがハイパーコンバージドインフラ(HCI)だ。その一方で、仮想化導入時と同様に期待していた効果が得られるのかなど、HCIに対して不安を持つ企業も少なくない。その背景には何があるのか。
サーバ仮想化技術を導入したものの、期待していたコスト削減、運用管理負荷の低減に効果が出ず悩む企業が多い中で、昨今急速に導入企業数が伸びているのがハイパーコンバージドインフラ(HCI)だ。「簡単、シンプル」をウリに、多くのIT管理者の悩みを解消するソリューションとして、期待が寄せられている。その一方で、仮想化導入時と同様に期待していた効果が得られるのかなど、HCIに対して不安を持つ企業も少なくない。その背景には何があるのか。SIerなどのパートナーと共に再販ビジネスを行い、ITインフラについて多くの知見を持つネットワンパートナーズに話を聞いた。
サーバ仮想化を導入したものの、期待していたコスト削減が達成できなかったり、運用負荷が軽減できなかったりというケースが増えている。この背景にあるのはシステム構成の複雑化だ。サーバ仮想化によってシステム構成に柔軟性が生まれる一方で複雑にもなるため、障害の切り分けや原因特定、システムのパフォーマンス担保が難しくなる。
また、仮想環境に対応した新たなツールや管理機能も必要になった。ベンダーの対応状況によっては複数のツールを使い分ける必要がある。ツールによってトレーニングを受けなければ使いこなせないケースも出てきた。
こうした仮想環境の運用管理の課題に対して1つの解決策を提示したのがHCIだ。HCIは、ソフトウェアデファインドストレージ(SDS)技術を使って、サーバ内蔵ディスクをプール化し共有ストレージを構成する。サーバ仮想化の管理ノウハウでストレージも管理できるようになり、運用負荷を大幅に下げることが可能になった。ネットワンパートナーズの宇都政樹氏(ビジネス開発部 第3チーム)は、HCIのメリットをこう解説する。
「まず、コンピューティング機能とストレージ機能が統合されるため、システム構成がシンプルになります。定形作業の運用自動化機能なども充実しており、運用管理負荷の大幅な低減や、コスト削減、インフラや運用管理の標準化に役立ちます。SDSを採用することでサーバ管理者にとって、管理しやすいインフラになっているのです。また、最小限のリソースでスモールスタートして、必要に応じて拡張できることもメリットです。中小規模の企業にとっても、既存の仮想環境を改善するための現実的な選択肢となっています」
このように従来の仮想環境の課題を解消し、企業に多くのメリットをもたらすHCIだが、導入を進める際に不安を抱える企業も少なくないという。宇都氏によると、HCIに対する不安は大きくパフォーマンス、ネットワーク、運用管理ツールの3つに分けることができる。これらはHCIの導入を検討する企業のほとんどが悩む課題だ。要件に見合わず採用を見送る要因になっているという。
こうした3つの課題は具体的にどうユーザー企業を悩ませているのか。ネットワンパートナーズの深沢海斗氏(セールスエンジニアリング部 第3チーム)は、3つそれぞれについて特有の事情を説明する。
1つ目のパフォーマンスは、専用のストレージ装置を持たないというHCIのアーキテクチャそのものに由来する不安だ。HCIでは、SDSによってストレージ機能を実現する。従来、ハードウェアにさまざまな処理をオフロードしていたものが、コンピューティング側で処理されることになる。このため、ストレージの機能を使いこなしてきたユーザーほど、「コンピューティング側だけでこれまでストレージの機能をきちんと提供できるのか」といった不安を抱きやすい。
「例えば、高いストレージIOを伴うワークロードが発生すると、処理が追いつかなくなるのではと懸念されます。実際、HCI製品の中には、高負荷な混在ワークロード環境で著しくパフォーマンスが劣化するケースが報告されているものもあります。また、スナップショットやリストア、レプリケーションといったストレージ機能をソフトウェアだけで処理できるのかに不安を抱く方も少なくありません」(深沢氏)
2つ目のネットワークというのは、HCIはネットワークの運用負荷の軽減につながらないという悩みだ。一般的なHCIはストレージ機能をコンピューティング機能に統合したものであり、ネットワーク機能までは完全に統合されていない。ネットワーク機能の仮想化(NFV)やソフトウェアデファインドネットワーキング(SDN)技術を用いて、ネットワークを管理することはできるが、物理的なネットワーク装置に備わる機能までを完全に制御できるわけではない。
「一般的なHCIでは、ネットワーク機器の管理は別立てです。ネットワークの構成変更やQoSサービス、各種セキュリティサービスといったネットワーク機能の管理は、HCIに接続しているネットワーク機器から行います。このため、ネットワークについての運用負荷はHCIを導入してもほとんど変わりません。むしろサーバ側から管理できる一部のネットワーク機能と、ネットワーク装置から管理するネットワーク機能に分かれることで、運用負荷が増す場合もあります」(深沢氏)
3つ目の運用というのは、HCIの運用管理ツールが、ハイパーバイザーや仮想化管理ツールとは別に必要になり、管理が煩雑になることを指している。VMwareの仮想環境なら、ハイパーバイザーである「VMware ESXi」の管理コンソールや、管理ツールの「VMware vCenter」(以下、vCenter)だけで管理できた。
「HCIは、これら以外にSDSの管理ツールが必要になるケースが多くあります。製品によっては、SDSの管理ツールだけで運用管理が行えますが、まったく異なる操作体系となり、これまでのノウハウが生かせないのです」(深沢氏)
こうしたHCI導入や運用の悩み、課題を解消するのが、ネットワンパートナーズが展開するCisco Systems(以下、Cisco)のHCI製品「Cisco HyperFlex」(以下、Hyper Flex)だ。
「HyperFlexは、『Cisco UCS』サーバ上で『VMware vSphere』を使ってサーバを仮想化し、CiscoのSDS技術を使ってUCSサーバの内蔵ディスクで共有ストレージを構成します。ネットワークにはCiscoのネットワーク管理基盤『Fabric Interconnect』が搭載され、ネットワーク機能をvCenterから統合管理できます。一般的なHCIとは異なり、ネットワークも統合したHCI製品なのです」(宇都氏)
では、HyperFlexは一般的なHCIの3つの課題をどう解決するのだろうか。
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2018年6月29日