ベンダーニュートラルな認定資格を提供するCompTIAのグローバル担当者によれば、資格取得の理由は3つあるという。1つ目はグローバルな転職や採用にも役立つこと。残りの2つのメリットも強調した。今後は、Linuxを活用するITプロフェッショナルに必要なスキルを網羅した認定資格「CompTIA Linux+日本語版試験」を2019年中に開始する他、パフォーマンスベーステストも開発中だという。
CompTIA(コンプティア、Computing Technology Industry Association)は、ベンダーニュートラルな認定資格やトレーニングを提供するIT業界団体だ。2000社以上のIT企業、3000以上の教育機関の他、トレーニング関連企業が所属する。最前線で活躍する各分野の専門家たちが、翻訳だけでなく最新事情や地域別の事情に合わせた試験内容のローカリゼーションを担当することから、より実務に則したスキルセットを習得できる認定資格として、グローバルで評価が高い。
CompTIA認定資格を選択するメリットは、大きく「グローバルに通用する資格」「役職と実務に結び付いた、最新事情に合った試験」「試験対策コンテンツの充実」の3つだ。
1つ目は、国内はもちろん、グローバルにも通用する認定資格である点だ。
国内企業ではソフトバンクがセキュリティ部門におけるスキル底上げのため、CompTIA Security+の資格取得を推奨している他、コニカミノルタではセールス部隊が顧客先で基本的なテクノロジーの会話ができるよう取得を推奨するなど、社員のスキルアップ支援のために採用されるケースも多い。
NTTコミュニケーションズのようにグローバルで採用基準として取り入れている企業も多い。例えば国外の支店で現地スタッフを採用する場合だ。海外のパートナー企業とプロジェクトで提携することになった場合、国内でのみ通用する認定資格ではエンジニアのスキルレベルを相手に伝えることが難しい。その点、世界各国で展開するCompTIA認定資格であれば、どの程度の知識や技術力を備えているのか、双方で理解できる。採用、就職したものの期待されるスキルセットが不足していたという不幸も回避できる。まさに”IT業界の共通言語”的な存在と言える。
「実はCompTIA認定資格の取得者は給与が高い傾向にあるという統計が出ている」(CompTIA、グローバルサーティフィケーション担当エグゼクティブバイスプレジデント、ジョン・マグリンチィ氏)。認定資格専門誌「Certification Magazine」では、毎年「The Salary Survey 75」を公開している。これは毎年実施されるアンケート調査で、900以上の認定資格の中から認定資格所持者の基本給の上位75をランキングするというものだ。
2018年の結果では、11のCompTIA認定資格がランクインする結果となった。全ての企業で必ずしも役職と認定資格が合致するわけではないが、新規雇用やベースアップ、昇格で人材を評価する際に有益な判断材料になっていることは間違いない。
2つ目は、役職と実務に結びついた、最新事情に合わせた試験であることだ。CompTIA認定資格は、それぞれの分野でのキャリアップを想定し、役職に結び付いた内容の試験を提供している。例として、特にニーズの高いサイバーセキュリティ分野とインフラ分野について、推奨されるキャリアパスと資格試験の関係は次の通りだ。
試験問題の作成には、各分野のプロフェッショナルが携わる。専門ベンダーからユーザー企業まで満遍なく作問者を選び出しているため、問題傾向が偏ることはない。さらに、問題の配分をWebアンケート結果に基づいて決定する点もユニークだ。
「最近は、CompTIAの資格試験も30〜40%はセキュリティ関連の設問になっている。これは分野横断的にセキュリティの知識やスキルが必須という共通認識が高まっているからだ。試験には、そうした”今”の声をくみ取って反映させている」。CompTIA アジア太平洋地域担当バイスプレジデント、デニス・クォック氏は協調する。
時代に合った試験になるよう、改訂版も順次投入している。2018年は、ITセキュリティ全般の知識とスキルを問う「CompTIA Security+」を改訂。2019年に入ってからはITシステム運用管理者としての基本的なスキルを問う「CompTIA A+」の改訂版をリリース。これまではハードウェアやソフトウェアにフォーカスした設問が中心だったが、クラウドやセキュリティなどの要素も取り入れた新しい設問を増やしたという(日本語版は2019年半ばごろにリリース予定)。
一部試験はサンプルをWebで公開しているので、レベル感を確かめるために活用してほしい。
また、従来の選択式の問題に加えて「パフォーマンスベーステスト」を組み込んでいることも特徴だ。パフォーマンスベーステストとは、機器の設定やトラブルシューティングなどをシミュレーション環境で実施する試験だ。習得した知識を、実際に手を動かして応用する力があり、現場の即戦力として活躍できる人材であることを証明する。
パフォーマンスベーステストが含まれる認定資格試験は、CompTIA A+の他、CompTIA Network+、CompTIA Security+、CompTIA Cloud+、CompTIA CySA+、CompTIA PenTest+、CASP(CompTIA Advanced Security Practitioner)だ。
CompTIA認定資格を選択する3つ目のメリットは、学習コンテンツの充実だ。現在、米国市場では、書籍やeBook、ハンズオンラボ、動画などのコンテンツを公式に提供している。今後、日本市場でも同様に公式コンテンツの提供を検討している。
既に教育向け出版社などから試験対策本などが提供されており、国内パートナーからハンズオンを含むトレーニングが提供されている。受験者はより幅広い選択肢から、自分に合った勉強方法を選ぶことが可能となる。
日本市場においては、2010年の休止から約8年ぶりに、待望のLinux認定資格がCompTIAへ帰ってくる。Linuxを活用するITプロフェッショナルに必要なスキルを網羅したものだ。
2019年4月に、改訂試験の英語版をリリース。2019年中に日本語版「CompTIA Linux+」の提供も開始する予定だ。
CompTIA Linux+では、システム構成やコマンド、ネットワークの設定やサービス、セキュリティなどの基本的な知識の他、gitリビジョンや仮想化といった、現代のLinuxシステム運用者に必須のスキルを網羅する。Linuxはクラウド環境からセキュリティアプライアンス、スマートフォン、IoTデバイスなど、幅広い分野で採用されており、取得することで奥行きのあるキャリアパスを描くことができる。
「日本は、米国に次いで2番目に大きな市場」と述べるマグリンチィ氏は、CompTIA Linux+の翻訳作業で最初に着手したのも日本語だと付け加える。「Linux+が翻訳されれば、全てのCompTIAの試験を日本語で受験できることになる」
CompTIAはこれからも新しい分野に向けた試験を開発していく。1年後のリリースをめどに開発を進めているのが、全問がパフォーマンスベーステストの認定資格試験であるとマグリンチィ氏は明かす。CompTIAでは、現場のニーズや時代の変化を読み取りながら長期的な視点で試験を開発しているのが特徴だ。
エントリーレベルからプロフェッショナルレベルまで取りそろえたCompTIA認定資格。エンジニアの今に寄り添った試験開発や改訂に挑む。
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提供:CompTIA
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2019年3月24日