外国人エンジニアの採用は企業にどのような変化を生んだのか――キヤノンITソリューションズの取り組みに学ぶ外国人エンジニア受け入れの現実とは

「IT人材の不足」が各所で大きな課題となっている中、スキルを持った外国人エンジニアの採用に関心を持つ企業が増えている。では実際に、外国人エンジニアと共に働く現場とはどのようなものなのか。ヒューマンリソシアの「GIT(Global IT Talent)サービス」を通じて外国人エンジニアを派遣活用しているキヤノンITソリューションズに、サービス活用に至った経緯、活用後の現場の状況、今後の展望について聞いた。

» 2019年03月01日 10時00分 公開
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 「IT人材の不足」が各所で大きな課題となっている中、スキルを持った外国人エンジニアの採用に関心を持つ企業が増えている。法令改正などを通じて、外国人の国内での就労に関する環境も大きく変化する中で、外国人エンジニアと共に働く体制を築くにはどうしたらいいか検討を始めた企業も少なくないのではないだろうか。

 キヤノンマーケティングジャパングループの中でITソリューション事業の中心的な役割を担っているキヤノンITソリューションズは、海外ITエンジニアを派遣するヒューマンリソシアの「GIT(Global IT Talent)サービス」を通じて外国人エンジニアを派遣活用している。今回は、5人のGITエンジニアが就業している部門の担当者であるキヤノンITソリューションズの玉井肇太郎氏には、サービス活用に至った経緯、活用後の現場の状況、今後の展望について、ヒューマンリソシアの大西利夫氏には、GITサービスの概要について聞いた。

日米双方で販売する自社製品の開発業務のためにGITサービスを活用

――キヤノンITソリューションズが、外国人エンジニアを求めていた背景と、募集に当たりGITサービスを活用した経緯についてお聞かせください。

キヤノンITソリューションズ キヤノングループ事業部 技術本部 第三技術部 部長 玉井肇太郎氏

玉井氏 当社では、「Beyond Japan」というスローガンを掲げ、海外でのビジネス拡大を推進しています。そうした中、日米双方で販売する自社製品の開発業務を進めていたところ、米国のグループ会社が請負業務を受注し、プロジェクトの拡大と、それに伴う開発要員の補充が必要になりました。米国のお客さまということで、日本語だけではなく、英語でもスムーズに仕事を進められ、なおかつJavaに関する高いスキルを持ったエンジニアが急きょ必要となったのです。

 しかしながら、海外のスタッフと一緒に進めていくビジネスの経験がまだまだ豊富とは言えず、要員の募集に課題を感じていたところ、ヒューマンリソシアさまからGITサービスをご提案いただきました。

――これまで、外国人スタッフを加えてのプロジェクト経験はそれほど多くなかったとのことですが、特にコミュニケーション面などでの不安はありましたか。

玉井氏 当初、コミュニケーション面での不安がなかったかといえば「あった」というのが正直なところです。ただ、当社のプロジェクトリーダーは英語ができましたし、米国向けビジネスの拡大を目指す上で、外国人エンジニアを増強することは以前から視野に入れていました。不安よりも、ビジネス上の必要性から、外国人エンジニアの増強は進めていかねばなりませんでした。

重要なコンセプトは「日本が好き」であること

――今回、キヤノンITソリューションズで採用されたGITサービスとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

大西氏 GITは「Global IT Talent」の略です。日本で働きたいと考えている、海外の優秀なエンジニアを採用し、日本のクライアントに常用雇用型派遣として活用いただくサービスです。

――GITエンジニアの構成はどのようになっていますか。

大西氏 男女比で言えば、現在は男性7割に対し女性3割といった比率です。以前は、男性エンジニアが圧倒的に多かったのですが、ここ1年ほどで「日本で働くこと」に対する、女性エンジニアの関心も高まっているようです。話を聞いてみると、日本の治安の良さを代表とした「安心、安全」をメリットとして挙げてくれる方も増えており、そうした認知が高まっていることもうかがえます。

 出身国としては、シンガポール、マレーシア、タイ、ミャンマーなどのASEAN諸国をはじめ、インドやヨーロッパ、さらにはアメリカやカナダ、メキシコやブラジルといった北南米など世界33カ国のエンジニアを採用しています。

――そうしたエンジニアの方々は、英語だけではなく日本語も使えるのですか。

大西氏 日本で働きたいという方については、少なくとも、JLPT(日本語能力検定)におけるN3〜N4、いわゆる「日常生活に支障がないレベル」の日本語力を有していることを条件としています。そのため、母国語に加え、英語と日本語を話せるエンジニアが多いです。

――GITを導入している企業の業種や職種には、どのような傾向がありますか。

大西氏 現在、クライアント約120社で活用いただいていますが、その約半分はシステムインテグレーターなどシステム系の会社です。次に多いのが製造業系の企業です。

――エンジニアにはさまざまな職域がありますが、GITエンジニアはプログラマーが中心なのでしょうか。

大西氏 GITエンジニアの中心は、大学卒業後2〜3年程度の若いエンジニアです。プログラマーが多いですが、フロントエンド系、バックエンド系はもちろん、フルスタックのエンジニアも多く抱えています。また、AIや機械学習に精通したデータサイエンティストも多く在籍しています。プログラミング言語としては、一番多いのがJava。その他にも、C#、PHP、C++、C言語、そしてクライアントからのニーズが非常に高い、Pythonプログラマーも活躍しています。

――ヒューマンリソシアでは、エンジニアの採用に当たって「こういった人材を求めている」といったコンセプトは設定しているのでしょうか。

ヒューマンリソシア GIT事業部長 大西利夫氏

大西氏 スキルやキャリア、出身国はバラエティーに富んでいますが、共通して最も重要だと考えているコンセプトは「日本が好き」で「日本に好意的な印象を持っている」人であることです。

 最初に少し話しましたが、日本の治安の良さや、日本人のまじめさ、誠実さなどへの印象から、日本人と一緒に働きたいという外国人エンジニアは多いです。そうした方が日本へ来て、クライアントであるキヤノンITソリューションズさまのような企業で働くと、その受け入れ態勢などから、その思いをより一層強めてくれます。

――ちなみに、日本に対して好印象を持っているかどうかは、どのように評価しているのでしょうか。

大西氏 それについては面接を通じて、本人から十分なヒアリングを行うようにしています。余談ですが、各国に輸出されているマンガやアニメを通じて日本に関心を持ち、それらを通じて日本語を勉強された方も多いです。

外国人エンジニアが日本で安心して働ける基盤を双方で整備

――キヤノンITソリューションズとしては、GITサービスのどういった部分が活用の決め手になったのでしょうか。

玉井氏 新たに加わっていただくエンジニアの方には、コミュニケーション言語としての英語と日本語、さらにプログラム言語としてJavaのスキルを求めていました。われわれ自身も国内でそうしたスキルを持つ方を独自に探してはいたのですが、ヒューマンリソシアさまからご提案いただいた方のほうが、いずれのスキルも圧倒的に高かったというのが採用の理由です。

 プロジェクトでは、段階的に採用人数を増やしており、現在では5人の方に、サーバサイドでJava実装を行う海外プロジェクトに参加してもらっています。1人目の方は、2017年の10月から参加してもらっているのですが、この方の英語、日本語、Javaのスキルが非常に高く、それまでにあった懸念が全て払拭(ふっしょく)されました。そうした経緯もあって、2人目以降の方はスムーズに活用が進んでいます。

――外国人エンジニアを迎えるに当たって、会社として対応したこと、気付いたことなどはありましたか。

玉井氏 在留資格の取得といった、入国や就業に関わる手続きについては、ヒューマンリソシアさまで手配してもらえたので、特に心配はありませんでした。われわれとしては、入社してくるエンジニアたちの背景にある文化や宗教の違いについて学び、彼らを受け入れる態勢を作ることが必要だと再認識しました。

 例えば、エンジニアの一人にムスリム(イスラム教徒)の方がいます。そのため、礼拝時間に困らないよう、特定の会議室を礼拝室として確保するといった対応を行いました。また、宗教によって教義上、口にできない食べ物などもあります。会社として行う懇親会的な催しは、そうした人たちも一緒に参加して楽しめる場にすることを意識するようになりました。

 仕事を進める上では、特にコンプライアンスやセキュリティに関する会社としての決まりごとを順守する必要がありますが、これらをきちんと伝えられるような体制づくりが必要でした。これらの教育は日本人のエンジニアに対しても行っていますが、マニュアルはこれまで日本語で書かれたものだけだったのです。

 日常生活が問題ないレベルの日本語会話ができる方であっても、日本語のマニュアルを読んで理解するのには時間がかかるケースが多いです。内容を要約して英語に翻訳したり、英語でレクチャーを行ったりすることで、日本人エンジニアと同じレベルで、コンプライアンス、セキュリティに対する規定を理解し、意識を持ってもらえるよう工夫しています。

――受け入れ手続きについてはヒューマンリソシア側で手配したとのことですが、そういったこともGITサービスの一部なのでしょうか。

大西氏 はい。弊社にて採用を決定した段階で、在留資格取得に関する日本での手続きをヒューマンリソシアが行います。来日時には、航空券の手配から空港への出迎え、給与の振込先となる銀行口座の開設、社宅となる住居の手配とそれに伴う行政手続き、手続きに必要になる印鑑の準備などを支援しています。来日後は、まずはヒューマンリソシアへの出社となりますが、最初は住居から会社までの通勤方法、配属先のプロジェクトが決定してからは、派遣先への模擬的な通勤なども支援しています。配属前の研修では、グループ会社であるヒューマンアカデミーの教育メソッドを活用し、日本語力のレベルアップを図っています。

 派遣先プロジェクト開始後も、エンジニアの求めに応じて、日本独自の医療サービスや行政サービス、引っ越しの際などに手助けをするということもしています。

 エンジニアにとっては、日本で暮らしながら仕事ができるようになることが最初の目標ですし、クライアントである派遣先にとっては、不自由なく仕事をしてもらい、エンジニアとしてのスキルを100%以上発揮してくれることが、外国人エンジニアを採用し、派遣活用する最大の目的です。それ以外の、生活支援部分においては、可能な限り、ヒューマンリソシア側で引き受けて、それぞれの目標に集中していただきたいという思いがあります。

プロジェクトの一員として業務に従事――自身のスキルアップにも強い関心

――現在働いている5人のエンジニアの経歴について教えてください。

大西氏 いずれの方も、日本で言うところの学士号を持っており、内容はさまざまですが出身国でのエンジニアとしての実務経験を有しています。その際、日系企業で働いていたり、何らかの形でやりとりがあったりという方もいます。また5人とも、英語でのコミュニケーションは問題ありません。

――具体的な業務内容は、どういったものでしょうか。

玉井氏 海外案件のプロジェクトチームに加わってもらい、海外のお客さまと英語で直接会話しながら業務を進めてもらっています。工程的には、要件定義から、設計、開発、テストの全工程に対応してもらっています。

 プロジェクトの性質上、英会話のスキルがないと業務が進まないのですが、皆さん英語は全く問題ありません。さらに、日本語についても問題なく他のメンバーとコミュニケーションをとれるレベルで、われわれが当初、期待した以上のスキルを持っているという印象です。

 また、特に今回派遣いただいているエンジニアの方々は、スキルアップしたいというモチベーションが非常に高いので、今後は、より難しい工程にチャレンジしてもらったり、本人の志望と実績に応じたジョブチェンジ、スキルチェンジなども行っていったりすることを視野に入れています。

――勤務時間、特に残業の状況などについては、いかがでしょうか。

玉井氏 仕事には、時期的な山や谷があるので、どうしても集中的に忙しくなってしまうタイミングはありますね。ただ、「効率的に仕事をして、プライベートの時間は自由に使おう」という社風なので、外国人エンジニアの方々にも、それに沿って勤務してもらっています。仕事が終わってもムダに長時間会社にいたり、プライベートの時間が全くとれないほどの残業が必要だったりといったことはありません。

大西氏 外国人エンジニアには、業務時間以外に自分のスキルを上げるための時間を確保することをとても重視される方が多いですね。スキルアップのために、勤務時間内でのパフォーマンスを高めようとしますし、そのことがモチベーション維持にもつながっているようです。そのため、派遣先のクライアントには、可能な限り休日出勤や過度の残業につながらないような労務管理をお願いしています。

 またヒューマンリソシアでは、エンジニアがプライベートの時間に受講してスキルアップにつなげられるようなオンラインコンテンツの提供を始めており、こちらについても、徐々に強化していきたいと考えています。

――キヤノンITソリューションズでは、今後さらに外国人エンジニアの採用を増やしていく計画はありますか。

玉井氏 冒頭で紹介したプロジェクトリーダーも、海外での業務経験があり、さまざまな国籍の社員が同じチームで仕事をする環境は当たり前だという感覚がありました。今回の外国人エンジニアの採用も、そういった意味では特別なことではなく、普通のこととして進めてきた感じはありますね。今後も、プロジェクトの拡充などに応じて、採用数を増やしてきたいと考えています。

 また最近では、これまでそうした経験がなかった社内の他の部門でも、外国人エンジニアを採用したいという話が出てくることがあり、先行しているわれわれが相談を受けることが多くなっています。何度か採用の実績ができれば、日本人にこだわらず、さまざまな国籍の人と一緒に仕事をする文化は、われわれの部門以外にも急速に根付いていくでしょう。

さまざまな国の人が共に働く環境の「副次的効果」を視野に

――最後に、外国人エンジニアの採用を検討している企業に対して、ご経験からのアドバイスなどがあれば、お願いします。

玉井氏 まず、彼らに対して先入観を持たないことが必要です。外国人であっても、日本人の採用と同じように、1人のエンジニアとしてフラットに判断する意識を持つことが第一歩です。もちろん、相手に応じた受け入れのための態勢づくりなどは必要になりますが、それはその後の話になります。

 実際に外国人エンジニアと一緒に働く中で、日本人の既存メンバーにも良い影響が出ていると感じています。例えば、その一つは「コミュニケーションの活発化」です。これまで、日本人だけの職場で「あうんの呼吸」や「暗黙の了解」で済んでしまっていた部分を、外国人が入ってくることで、互いにきちんと正確に伝えたり、確認したりしようと努力するようになりました。そのような形でコミュニケーションが活発になると、結果的に成果物の品質も上がってきます。これは副次的な効果ではありますが、実際にそうした影響も出てきています。

 その意味でも、外国人エンジニアの採用を考えている企業は、ぜひ積極的に進めてほしいですね。決して後悔はしないと思います。

大西氏 われわれとしては、日本での生活のしやすさや、日本のITを知ることによるスキルアップなどを視野に入れながら、海外にいる多くのエンジニアに、「ぜひ日本に来て活躍してほしい」との思いで、GITサービスを拡充しています。

 現在は、33カ国をフォローしており、採用しているエンジニアの多くは母国語と日本語に加えて、TOEICで800点以上の英語スキルを保有しています。今後はキヤノンITソリューションズさまのプロジェクトのように「英語力」を持ったエンジニアへのニーズがさらに高まっていくと考えています。それを踏まえて、英語圏エンジニアの採用も増やしていこうと活動しています。

 また、玉井さまからもお話がありましたが、外国人エンジニアを採用するに当たっては、共に働く日本人エンジニアへの良い影響も、ぜひ視野に入れていただきたいと思っています。

 海外のエンジニアと一緒に仕事をすることで、日本のエンジニアや派遣先のクライアントも、気付くことが多くあると思います。それは、仕事やスキルに関することに限らず、彼らの文化に関するものや、母国そのものへの関心かもしれません。もしかしたら、そこから今後の生き方やビジネスに影響するような大きな変化が生まれることもあるでしょう。今後の日本人や日本企業にとって、国内に固執せず、グローバルの一員として動いていくことの重要性に気付くということも、外国人と一緒に働くことの効果の一つとして考えていただければうれしい限りです。

玉井氏と大西氏の後ろにいるのが、ヒューマンリソシアのGITサービスを通じて、キヤノンITソリューションズで働いている5人の外国人エンジニアたち。出身国やキャリアはさまざまだが、日本での仕事の状況について聞くと「多くの仕事を任されることでやりがいを感じている」「これまでやってきた仕事の中では得られなかった新しい経験やスキルを積めていることがうれしい」「分からないことについて聞くと、周囲の人たちがとても親切に教えてくれ、不安なく仕事ができている」といった感想を語ってくれた。

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提供:ヒューマンリソシア株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2019年3月31日

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