クラウド移行による“ビジネス変革”成功のカギは「データ」にあり――「データ」をクラウドに集約すべき理由とは?データこそがビジネス価値の源泉

デジタル技術を活用してビジネス変革を成し遂げようという動きが活発化している。そこでキーになるのが「クラウド」だ。だが、システムを移行するだけで、クラウドのメリットが得られるわけではない。重要なのは、特に既存システムに蓄積されている「データ」を資産としてどのように活用していくかだ。「クラウド移行では、データこそ最大の差別化要素」と強調する日本マイクロソフトに話を聞いた。

» 2019年03月29日 10時00分 公開
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製造業や小売業がITサービス業へ……進むデジタル技術を活用したビジネス変革

 企業がビジネス変革を成し遂げるために、デジタル技術を活用する動きが本格化している。従来、デジタル技術はビジネスを変革する手段というよりも、既存のビジネスをいかに支援するかが主要なテーマだった。例えば、ITはビジネスを行う上で役立つ基盤やアプリケーションを提供する意味合いが強かった。Webサイトやメールを提供する基盤を提供したり、販売データを分析する基盤などを提供したりすることがITの主な役割だった。

 だが今は、デジタル技術がビジネスに直結している。IoT(Internet of Things)、AI(人工知能)、AR/VR(拡張現実/仮想現実)、RFID、位置情報といったさまざまなデジタル技術がビジネスに密接に結び付き、デジタル技術なくしてはビジネスが成立しなくなり始めている。その中でITの役割も「Webサイトや分析基盤をいかに構築するか」から、「Webサイトや分析基盤でいかに収益を上げるか、いかに顧客価値を上げるか」へと変貌してきているのだ。

 さらに、デジタル技術を使って全く新しいビジネスを創出する動きも進んでいる。ここで大きなポイントとなるのは、デジタル技術の活用はIT企業だけではなく、製造業や小売業といった一般企業にも広がっていることだ。

 例えば、建設機械大手のコマツは、建設機械だけでなく、建設現場全体のICT化を推進して、安全かつ生産性の高い現場を実現する「スマートコンストラクションクラウドサービス」を提供。建設機械のGPS追跡や稼働状況の把握だけでなく、自動制御により熟練オペレーターと同等の制御が可能なICT建機で、土砂掘削やトラック搬出を管理するサービスなどを提供している。

 また、コンビニ大手のローソンは、スマートフォンをかざしてゲートを通れば決済が完了する「ウォークスルー決済」や、店舗の棚に置かれている商品の状況をリアルタイムに把握する「リアルタイム在庫管理」を備えた未来型店舗を開発。小売業として初めてCEATEC JAPAN 2018に出展した。CEATECは電機業界が中心のイベントだが、そこに小売業が参加すること自体が、業界の垣根を超えたビジネス変革が進んでいる象徴ともいえる。

 こうしたビジネス変革に向けたデジタル活用の動きを加速させているのが「クラウド」だ。コマツやローソンにクラウド基盤「Microsoft Azure」を提供している日本マイクロソフトでエグゼクティブプロダクトマネージャーを務める岡本剛和氏(クラウド&エンタープライズビジネス本部)は、こう話す。

 「製造や小売りは元より、金融、医療、ヘルスケア、農業などさまざまな業種業界で起こっています。共通しているのは、ビジネス変革におけるクラウドの活用です」(岡本氏)

クラウドにデータを集約することで生み出される「4つの価値」とは?

ALT 日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 エグゼクティブプロダクトマネージャー 岡本剛和氏

 例えば、コマツのスマートコンストラクションクラウドサービスでは、機械に備え付けたセンサーから収集されるIoTデータをクラウド上で管理している。クラウドで管理することで、世界中の機械からいつでもアクセスできるようになり、ビジネス環境の変化にも柔軟に対応できるようになる。

 また、ローソンのウォークスルー決済やリアルタイム在庫管理もクラウドを活用している。RFIDタグを読み取った決済データを在庫データとクラウドで連動させることで、ユーザーに新しい顧客体験を提供しながら、リアルタイムの在庫管理が可能になる。

 岡本氏は、こうしたビジネス変革の取り組みで重要になるのが「データ」だと強調する。

 「クラウドを活用しているさまざまなお客さまの事例を見ていくと、データを集約し、それに発展が著しいテクノロジーを組み合わせて活用している状況が見えてきます。ビジネスに必要となるさまざまなデータをクラウド上に集約し、それらをさらに他のデータと組み合わせて分析したり、分析結果を他のシステムと連携させたりすることで、新しい価値を生み出しているのです。ビジネス変革の中心にあるのがデータであり、データこそビジネス価値の源泉なのです」(岡本氏)

 岡本氏によると、データが生み出す価値には大きく4つの側面があるという。それは「お客さまとの接点強化」「オペレーションの最適化」「従業員の能力向上」「製品/サービスの変革」だ。

ALT ▲デジタル技術を活用したビジネス変革がもたらすもの《クリックで拡大します》

 これらは従来のITシステムなどが追求してきたものと同じように思えるが、従来とは根本的に異なる点がある。それは1つ1つが独立して存在するのではなく、それぞれがお互いに結び付くことで、従来にはない新たな価値を提供できること。岡本氏はこう解説する。

 「従来は、販売分析ならオンプレミスのBI(Business Intelligence)システム、顧客分析ならWeb上のアナリティクスシステムといったように分離していることがほとんどでした。しかし現在は、顧客の動態変化と商品の販売実績を組み合わせ、それを機械学習などのインテリジェントな仕組みで分析することができます。また、その結果を基に顧客が何かを求めたときに迅速にアクションを起こしたり、顧客が求めることを先んじてレコメンドしたりできます。そして、こうした仕組みは既存のオペレーションの効率化につながりますし、社員の新たな能力を引き出すことにもつながるのです」(岡本氏)

 クラウド上に集約された「データ」をビジネス横断的に活用しながら、データのつながりの中から「インテリジェンス」を見つけ出し、それを基にビジネス成果を改善していく「アクション」を起こす。それらを「デジタルフィードバックループ」として回し続けることが重要だと岡本氏は強調する。

ALT データを蓄積し、そのデータから新しい洞察を引き出し、その洞察を次のアクションにつなげ、そのデータをまた蓄積するという「デジタルフィードバックループ」が重要《クリックで拡大します》

オンプレミスに蓄積した膨大なデータこそビジネスの新たな武器になる

 ここで注意したいのが、デジタルフィードバックループを回し続けるには、クラウド上で生成されるデータだけでは不十分なことだ。デジタル技術を使ってビジネス変革を進めようとすると、新たな取り組みに関連するデータのほとんどはクラウド上に置かれることになる。近年は、全ての業務システムをクラウド上に移行しようという動きが進んでいることもあり、新興のスタートアップ企業などはそれでも問題がでないことが多い。

 だが、既存企業の多くは、システムだけをクラウドに移行しても、ビジネス変革につながるようなメリットはなかなか得られにくい。既存システムに蓄積してきたデータも含めて、クラウド上に集約して組み合わせることができなければ、新しい価値を生み出すためのデジタルフィードバックループが回りにくいからだ。

 では逆に、データを既存システムに蓄積したままの場合ならどうか。当然のことながら、販売実績データや過去の顧客データなど、クラウドを使った取り組み以前のデータは、オンプレミスや既存データセンター上に蓄積されたまま。しかし、この場合も、データから価値を引き出すことは難しい。というのも、デジタルフィードバックループを回し続けるためには、クラウドを基盤としたデジタル技術の活用が欠かせないからだ。

 「Microsoftのクラウド『Microsoft Azure』では、AIや機械学習、認知コンピューティング、IoTといったさまざまな機能をサービスとして提供しています。これらはクラウドとして提供することでアップデートがしやすくなり、最新の技術をすぐにユーザーが利用できるというメリットもあります。こうしたメリットを最大限に引き出すためには、データを含めてクウラド上に集約することが重要になってきます」(岡本氏)

ALT ▲Microsoft Azureではビジネス変革を支援するさまざまな機能をサービスとして提供《クリックで拡大します》

 実は、既存企業には、新興企業と違って大きなアドバンテージがある。これまでリアルの世界でビジネスを行ってきた企業にとって、オンプレミスに蓄積された膨大なデータはビジネス変革の“大きな武器”になるということだ。

 「クラウドの最新テクノロジーを活用することで、既に蓄積されているデータから新たな価値を引き出しやすくします。アプリケーションや技術は誰でも使うことができますが、これまで蓄積してきたデータはその会社独自のものであり、他社にはない資産です。そのデータこそが、ビジネスにおける最大の差別化要素になるのです。そんな中、データを新しい環境、つまりクラウドにマイグレーションすることが最近のトレンドになっています」(岡本氏)

EOSを契機として、データを中心としたクラウド移行の実施へ

 「クラウド移行と一口に言っても、現在運用している環境によって状況が異なりますし、手法もさまざまです。そこでMicrosoftが提案しているのは、まずは現在あるシステムについてアセスメントを実施することです。アセスメントから移行とモダナイゼーションのロードマップを作成していきます。その際に重要な観点は“データ中心のアセスメントを行う”こと。他社との差別化要素であるデータに着目してクラウド移行を検討することで、ビジネス変革に向けた道筋が立てやすくなります」(岡本氏)

ALT ▲クラウド移行の王道はアセスメントから移行モデルを作ること《クリックで拡大します》

 「リフト&シフト」がキーワードになっているように、今多くの企業がクラウドへの移行を本格化させている。しかし、単に既存システムをクラウドに移行しただけでは意味がない。移行によってクラウドのメリットを引き出すこと、そのためには既存データをどうするかという観点からの移行が求められているのだ。

 また、ちょうど今は、既存データを蓄積しているWindows Server 2008/2008 R2やSQL Server 2008/2008 R2がサポート終了(End Of Support:EOS)を迎えることもあり、データという観点でのクラウド移行が進めやすいタイミングでもある(Windows Server 2008/2008 R2は「2020年1月14日」、SQL Server 2008/2008 R2は「2019年7月9日」にサポート終了)。

 サポートが終了するシステムのリプレースをきっかけとして、クラウドへ移行するための予算も獲得しやすいだろう。また、Microsoftのサーバ製品やデータベース製品をMicrosoft Azureに移行することは、移行のハードルを大きく引き下げるものでもある。

 「Microsoftでは、サポートが終了した製品の移行が2020年に間に合わない場合を考慮して、有償の延長セキュリティ更新プログラムを提供する予定です。既存サーバをMicrosoft Azureへ移行した場合、この延長セキュリティ更新プログラムが3年無料で入手できるという優遇措置も受けられます。サポート終了を単純なシステム移行の機会ではなく、デジタル変革の好機と捉えることが大切だと思います」(岡本氏)

ALT ▲クラウドへ移行する機能的なメリット《クリックで拡大します》
ALT ▲クラウドへ移行するライセンスコスト的なメリット《クリックで拡大します》

 Microsoftでは、データを中心としたクラウド移行を支援するために具体的な移行方法を記したホワイトペーパーやガイドブックなども提供している。また、Microsoft Azureへの移行を検討いている企業や担当者に向けて、イベントやセミナーを開催している。それらを活用しながら、移行計画を立てることがスタートとなる。下記のリンクを参考に、自社のビジネス変革への第一歩を踏み出してほしい。

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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2019年4月28日

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