DX(デジタルトランスフォーメーション)トレンドの進展や人材不足などを背景に、一層のインフラ運用効率化が求められている情報システム部門。運用自動化はコスト削減、効率向上の大きな切り札だが、魅力的なツールは複数あれど、コストがハードルとなり導入を見送らざるを得ないケースも多い。そうした中、大手企業集団など多数の企業の注目を集め、着実に導入実績を伸ばしているという。運用自動化ツール“新たな選択肢”の中身とは?――ITソリューションの販売・構築を手がけるワイドテックに話を聞いた。
少子高齢化が進み、人材不足も深刻化する中、企業には一層の効率向上が求められている。特に多様なビジネスを支えるITインフラの運用管理においては、「コスト削減」という命題をクリアしつつ、ビジネス要請に応えるスピード、柔軟性、正確性を高いレベルで実現しなければならない。だが周知の通り、物理と仮想が混在した複雑なインフラの運用管理に手を焼いている企業が多いのが現実だ。
こうした中、近年多くの企業が導入を進めているのが運用自動化だ。例えばパッチ当てなど、従来は人手で行っていた“定期的に行う定型業務”を自動化することで、運用負荷/コスト低減を狙う。
運用自動化ソリューション「POLESTAR Automation」を提供している、統合運用管理ツールベンダー、NKIA Corporationのキム・ボナ氏は、次のように話す。
「ビジネス要請に応じたシステム拡張に伴い、ITインフラが複雑化・大規模化する一方で、『コスト削減』『経営貢献』など、情報システム部門への要求は年々厳しくなっています。しかし一般に、運用管理業務のうち、繰り返し行う定型作業は全体の45%以上、障害原因の65%以上はヒューマンエラーが占めるとも言われています。これらを自動化することで、運用コストの大幅な削減と、人的エラー抑止による運用品質担保を狙うことができるのです。人手不足が深刻化している今、スキルを持つエンジニアの数も限られています。限られた人員でいかに効率よく運用するか、エンジニアの能力をいかに有効に活用するかという問題は、規模や業種を問わず、企業にとって喫緊の課題と言えるでしょう」(キム氏)
もっとも運用自動化を推進する上では課題もある。周知の通り、運用自動化ツールを提供しているベンダーは複数あり、機能・操作性、共に優れたものもあるが、システムが複雑化・大規模化すれば、導入・運用コストやツールの教育コストもかさむ傾向が強い。場合によってはオープンソースソフトウェア(以下、OSS)を進んで検討する必要もあるなど、コスト・スキルの問題がツール導入のハードルとなる例が多いのが現実だ。
NKIAが開発した運用自動化ソリューション「POLESTAR Automation」も、まさしくそうした課題を見据えた製品だ。
POLESTAR Automationは、RBA機能とジョブスケジューラー機能を備え、構成管理の自動化、サーバ構築の自動化をはじめ、システム・脆弱性の点検、パッチ適用、ソフトウェア導入、Windows Update、差分点検などの定型業務をジョブにより自動化できる。
例えば「構成管理」では、サーバやネットワーク機器のインベントリ情報を自動的に収集し、変更の履歴を管理できる。システムの仕様やOSのバージョン、パッチ、ファイルシステム、各種設定、パラメータなど必要な情報を全て把握可能だ。「サーバ構築の自動化」も、サーバ構築に必要なファイル配布ジョブ、スクリプトジョブ、バッチジョブを組み合わせることで実現。設定したスケジュールに基づいて夜間に自動的に構築したり、定期的に構築したりすることもできる。
「点検管理」では、標準ポリシーに従って、事前に定義した点検事項に対するコンプライアンス状況を定期的に自動点検できる。例えばシステム点検では、サーバOS別の構成の点検、日常点検、OSパッチ点検などが可能。脆弱性の点検にも対応しており、サーバOS別のセキュリティポリシーに対する違反状況を点検できる。この他、変更管理、障害対応、調査レポート作成など、一連の定型業務をミスなくスピーディーに行えるようになる。
特長は大きく3つ。1つ目は、前述した「優れた操作性」。スマートオブジェクトと呼ばれる一連の作業部品がそろっており、管理画面上で自動化したい「作業部品」を選び、ドラック&ドロップ操作で管理画面上の「管理したい対象機器」に適用するだけで新規作業を手軽に生成・実行できる。特別なノウハウがない担当者でも、ジョブを作成して作業を自動化することが可能だ。
2つ目は、ベストプラクティスを反映した「レディメイドの点検ポリシーテンプレート」。多数の企業の運用業務調査の結果、「最も効率的かつ効果的」と判断された運用ノウハウを反映した自動化テンプレートを200種類以上そろえる。事前に用意されたテンプレートを使うことで自動化を迅速に導入できる他、テンプレートをカスタマイズすることも可能だ。
3つ目は、ウィザード形式で簡単にジョブを作成できること。Linux/UNIXシェルやWindowsバッチファイル、PowerShell、VBScript、Expect、Perl、Pythonなどで作成された多様なスクリプト言語を活用でき、各種システム運用作業を簡単に自動化できる。
他にも、Windows、Linux、商用UNIXに対応し、さまざまなOSが混在するサーバ環境やネットワーク機器を一元管理できるマルチプラットフォーム対応、導入後すぐに活用できる多彩な報告書作成用テンプレートの提供、標準構成もしくはスナップショットとの比較を即時・定期的に行い、差分をビジュアルに表示する差分検出が可能な監査ジョブなどを特長とし、規模も構成も多様な企業インフラにおいて運用管理の大幅な効率化を支援する。
さらに前述の通り、企業ニーズに応えた、導入障壁を下げる価格体系/最小購入単位も見逃せない。サブスクリプション(年間利用料金)は6500円/ノードから、ライセンス買い取りは1万5000円/ノードから(いずれもオプション別)となっている。
POLESTAR Automationは、海外ではすでに多数の企業に導入されている。例えばあの大企業集団、LGグループにITサービスを提供しているLG CNSもユーザーの一社であり、以下の図5のように測定結果も公表されている。
LG CNSは、米国、欧州、中国にグローバルハブとなるデータセンターを所有し、LGグループ向けにITサービスを提供している。社員は約6000名を数え、サーバは2万台超が稼働している(2018年10月時点)。そうした環境において、サーバ構成管理における基本情報の収集では199時間かかっていた作業が0.2時間と99%削減。導入済みソフトウェア一覧の検索作業では197時間かかっていた作業が4時間と98%も削減された。無論、運用効率だけではなく運用品質も大幅に向上したことは言うまでもない。
日本でPOLESTAR Automationを販売するワイドテックの香取邦彦氏は、同製品の特長を次のようにまとめる。
「LG CNSのような、サーバ数万台を超えるような大規模環境でも安定して動作しています。ISMS(Information Security Management System)やITIL(Information Technology Infrastructure Library)に準拠した運用を行うことも可能です。つまりPOLESTAR Automationは、運用自動化ツールでありながら、統合システム運用管理製品を代替できる機能・性能を持ち合わせているのです。価格面でも、既存の統合システム運用管理製品と比較して約3分の1〜4分の1ほど、最小ノード数も20ノードからとしています。導入期間も短く、導入したその日から利用することが可能です」(香取氏)
日本国内では2018年から本格展開しており、すでに大手通信事業者などに導入実績がある。機能強化も進めており、2019年には「エージェントレス対応」「他システムや運用管理製品とのAPI連携」を予定。さらに2020年には「監視やITサービス管理製品との統合プラットフォーム化」も予定しているという。
「構成管理やモニタリングなどではOSSも多く使われています。例えば、Zabbixで収集したイベント情報をBacklogやRedmineで管理するといった使い方です。ただ、OSSを使いこなすには一定のスキルやノウハウが必要な他、自動化した作業が属人化・ブラックボックス化するケースもあります。その点、POLESTAR Automationは一連の作業が可視化されるため、属人化しにくいツールですし、エンタープライズレベルの高度な信頼性・安定性を担保しています。定型作業の自動化を推進することで、コスト削減はもちろん、より効率的なシステム構成、運用プロセスを検討するなど、インフラエンジニア本来の業務に注力する時間も確保できるようになるはずです」(キム氏)
また、キム氏は日本国内でZabbixを使っている企業が多いことを挙げ、「例えばイベント情報などの収集はZabbixに任せて、その管理をGUIベースのPOLESTAR Automationで行い管理作業を効率化する方法もあります」と、既存資産を生かしながらPOLESTAR Automationを活用するアプローチもアドバイスする。
多くの企業を悩ませている運用管理のコスト、スキル、人手不足といった課題を、リーズナブルなコストで解決できるPOLESTAR Automation。評価版のダウンロード提供も開始されているので、まずは触ってみて利便性を実感してみてはいかがだろう。
なお、NKIAとワイドテックでは、2019年5月8日(水)〜10日(金)に開催される「2019 Japan IT Week 春【後期】」(会場:東京ビッグサイト)と、2019年6月12日(水)〜14日(金)の「Interop Tokyo 2019」(会場:幕張メッセ)の2つの展示会にPOLESTAR Automationを出展する予定。POLESTAR Automationを直接タッチ&トライできる良い機会となるだろう。
2018年から本格的に国内提供を開始した「POLESTAR Automation」。ではワイドテックはどのような経緯でPOLESTAR Automationの取り扱いを開始したのだろうか?――それは記事冒頭でキム氏が述べた「運用管理に悩む情報システム部門」への深い共感だったと言えるだろう。
POLESTAR Automationを取り扱う以前、ワイドテックでは運用管理を取り巻く状況を見据え、予算・スキルが限定的な中でも運用効率・品質向上を実現できる製品を、海外も視野に入れて幅広く検討・選定していた。具体的な選定基準は、「サーバ20台ほどの比較的小規模な環境でも導入しやすいこと」「操作のために特別なノウハウを必要としないこと」「すぐに利用を始められること」――そんな中で出会ったのが、NKIA Corporationの運用自動化ソリューション「POLESTAR Automation」だった。
NKIAは韓国の運用管理製品市場でトップクラスのシェアを誇るベンダーだ。自動化ソリューションのPOLESTAR Automationだけではなく、監視ソリューションの「POLESTAR Monitoring」、クラウド管理ソリューション「POLESTAR Cloud」など、一連の管理ソリューションを提供している。POLESTARのユーザー企業には、韓国の大手企業集団であるLGグループにITサービスを提供しているLG CNS、韓国主要銀行の1つ、ウリィ銀行などがある。
「韓国でもデジタル化が進展しており、ITサービス業や金融業をはじめ、ビジネスには一層のスピードが求められています。これを受けて、ITインフラ運用の管理負荷やコスト増大、スキルの属人化が大きな課題になってきたのです。2016年までは米国の運用管理製品が使われることがほとんどでしたが、そこにPOLESTAR Automationが登場し、急速にユーザー企業の支持を獲得することになったのです」(香取氏)
もともと「POLESTAR Automation」は、NKIAが2011年、LG CNSの標準化/自動化タスクフォースからの強力な要望を受け入れて開発された経緯を持つ。LG CNSは、米国、欧州、中国にグローバルハブとなるデータセンターを所有し、LGグループ向けにITサービスを提供している。社員は約6000名を数え、サーバは約2万台超が稼働している(2018年10月時点)。キム氏はPOLESTAR Automation開発の経緯についてこう話す。
「LG CNSではサーバが3000台を超えた2006年から、米国産のRun Book Automation(RBA)ツールを使って自動化に着手しました。しかし、そのツールは米国流のIT運用管理作法に沿ったもので、4年間取り組みを進めたものの、使いこなすのは困難だと判断しました。そこで2011年に社内タスクフォースを結成、まず運用手順の標準化などを推進しました。その上で、もともとNKIAの主要顧客であったLG CNSの要望を取り入れ、NKIAが開発した製品がPOLESTAR Automationなのです」(キム氏)
すなわち、一般的な企業が運用自動化の導入に当たって直面しやすい課題を経験・解決しながらノウハウを蓄積。さらに「使いやすいUI」「分かりやすいドキュメント」「ベストプラクティスのジョブテンプレート化」などLG CNSの要望を忠実にくみ取り、製品開発に反映してきた格好だ。
その後、2015年に製品プロトタイプが完成。LG CNSでシステム点検の自動化、Windows Update作業、新規サーバ構築の自動化などを行い、導入効果と適用業務の広さを確認。2016年に製品として正式リリースされた。現在は、自動化に対するニーズの高まりと、機能・価格のバランスの良さを受けて急速に採用が拡大し、韓国ではトップクラスのシェアを獲得するに至っている。評価版を触ってみると、利便性の高さを実感できるはずだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:株式会社ワイドテック
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2019年4月18日