複雑化、大規模化したインフラの運用管理負荷増大に悩む企業が多い中、急速に導入企業数が伸び続けているハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)。中でも、マルチハイパーバイザー対応、各種自動化機能など、パブリッククラウドとのハイブリッド化も見据えた数々の特長を持つNutanixは、HCI市場をけん引する製品の一つだ。だが簡単、シンプルを特長とするHCIとはいえ、単に導入するだけで期待する効果を享受できるわけではない。では、SIerとしての顔も持ち、国内企業のニーズや課題を知り尽くしている日立製作所はNutanixをどう届けるのか。詳細を探った。
仮想化、クラウドの浸透を受け、企業のITインフラは年々複雑化している。IT部門の人手不足も深刻化し、運用管理負荷がますます増大している状況だ。さらにクラウド分野を中心にテクノロジーは急速に進化しており、それらをキャッチアップして新たなスキル、ノウハウを獲得することも難しくなっている。
こうした課題解決の有効な選択肢として、多くの企業に急速に普及しているのがハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)だ。サーバの内蔵ディスクをソフトウェアデファインドストレージ(SDS)で統合管理するHCIは、SANストレージのような設計や容量管理のノウハウが必要なく、仮想化されたサーバ管理の知識とスキルでストレージも統合管理できる。IDC Japanの調査「国内ハイパーコンバージドシステム市場予測、2019年〜2023年(JPJ44006419)」によると、国内のハイパーコンバージドシステム市場は2023年までにCAGR(年平均成長率)が18.1%で伸長し、700億円規模に達する見込みだ。
HCIは当初、仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)の提供基盤など特定用途で用いられることが多かった。これはパフォーマンスやデータ量、スケーラビリティなどの点で課題があったためだ。しかしその後、バージョンアップや新製品の投入などでこうした課題は解消されている。現在は、高トランザクションのデータベースサーバや、パフォーマンスが求められる業務アプリケーションサーバ、長時間の停止が許されない基幹系システムなど、多様なワークロードで利用されるようになっている。大規模システムやハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)といった一部の特殊用途を除けば、一般的な業務に必要な処理はほぼHCIでこなすことが可能になっているのだ。
そうした中、Nutanix、VMwareと協業し、それぞれのHCIをソリューションとして提供しているのが日立製作所(以下、日立)だ。同社は「日立ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)ソリューション」として、HCIの導入から運用までをトータルで支援している。
日立がNutanixらと協業してHCIソリューションを提供する理由は、「幅広い業務要件をカバーできるようになったHCIだが、ユーザー企業の環境によってはインフラ運用の課題をうまく解決できない場合もある」ためだという。
一般に、HCIが従来のインフラ運用にもたらすメリットは大きく3つある。1つ目は導入が迅速、簡単なこと。セットアップ/検証済み製品であるためスピーディーに導入できる他、最小構成でスモールスタートすることが可能だ。2つ目は、運用負担が小さいこと。Nutanixの場合、専用管理ソフト「Nutanix Prism」を使えば、あらゆる管理操作をワンクリックで行うことができる。3つ目は拡張が容易なこと。コンピュートノードやストレージノードをそれぞれ追加することで、性能や容量を柔軟に増やしていくことができる。
しかし、ユーザーの環境によってはこうしたメリットをうまく引き出せない場合もある。例えば、サーバを自由に増設した結果、管理対象がむやみに増えてしまうようなケースだ。これはコンピュートやストレージを柔軟に拡張しやすいというHCIのメリットがデメリットになってしまうケースと言える。
また、運用管理がシンプルになることで、万一の際の対応が遅れることもある。これまでは、兼任が多いとはいえ、サーバ、ストレージといった「対象システムと管理担当者」が明確だったため、障害発生時も担当者の知見を基に対応することができた。だがHCIは機能が一体化している。そのため、障害によってどの業務にどんな影響があるのか、影響範囲の特定が難しくなってしまうケースも多い。厄介なのは、こうした課題は導入の初期段階では表面化しにくいことだろう。企業内でHCIの利用が進んだ後で、これらが現実の課題となってIT担当者の頭を悩ませることになるのだ。
「日立HCIソリューション」の最大の特長は、こうした課題を発生させないよう、HCIの提供だけではなく、「導入設計」から「構築」「運用」までをトータルで支援できることにある。
こうした日立HCIソリューションの基本メニューの一つとして提供するのが「日立HCIソリューション for Nutanix」だ。これは、日立アドバンストサーバ「HA8000V」シリーズにNutanixを搭載したHCIソリューション専用モデルで、大きく3つの特長がある。
1つ目は、日立HCIソリューション for Nutanix専用モデルとして、認証が取れたハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアを組み合わせて提供すること。例えばハードウェアなどを他社から調達した場合と比べ、認証構成の不一致確認や、整合性の取れたファームウェア/ソフトウェアバージョンへのアップデート作業が不要になる。これにより、導入から運用、保守までスムーズに行える。“日立品質のハードウェア”とNutanixによる高信頼なHCIが実現できる。
2つ目は、日立のサポートサービス「日立サポート360」と連携し、日立の窓口でワンストップ対応を受けられること。サポートのためにベンダーと個別に窓口体制を確立する手間は不要だ。日立はNutanixとAuthorized Support Partnerを締結して、国内ベンダーとしては最大の認定サポート技術者数を抱え、万全の連携体制を構築している。さらにプラットフォームとしてHA8000Vシリーズだけではなく、Nutanix社のNXシリーズも今後サポートする予定だ。
3つ目は、日立独自のミドルウェアやソリューションを組み合わせることにより、運用管理や導入を効率化できること。例えば、統合システム運用管理「JP1」をバンドルすることで、「自動化による運用工数削減」や「リソース使用状況の可視化と工数改善」を支援。また、運用管理者の負荷軽減のためユースケースの設計および構築支援サービスや、HCIの導入効果をシミュレーションするコンサルティングサービスなど、ユーザーの”痒いところに手が届く”ソリューションも提供する。2014年からSIerとしてNutanixを提供し、経験とノウハウを持つ日立ならではのソリューションといえよう。
さらに、「製品の提供」だけにとどまらないことも日立の大きな特長だろう。最新のITソリューションを評価、検証したり、セミナー、展示、デモを通じてそのメリットを体感できたりする「日立ハーモニアス・コンピテンス・センター」では、現在「顧客用PoC(概念検証)環境」を提供する他、Nutanix技術者育成に向けたトレーニングセミナー、資格取得者促進策も推進するなど、ユーザー企業やパートナー企業に対し、“新たな知見”を随時学べる環境を提供している。HCIの環境を実際に体験し、ITシステムへの適用効果を事前に確認できる場として活用できるのではないだろうか。
日立とNutanixが協業を強化することで実現した数々のメリットは、日立の高信頼な機器とサポートの下、ユーザー企業に確実に還元化される。デジタルトランスフォーメーションの潮流が進展し、IT部門にもビジネスへの寄与が強く期待されている中で、数々の運用課題を解消する日立HCIソリューションは、そうしたIT部門の役割変革をも支援するものとなるだろう。
なお日立は、2019年9月13日に東京で開催されるニュータニックス・ジャパン主催のカンファレンス「.NEXT Japan 2019」、ならびに「X Tour 2019」(大阪:9月25日、名古屋:10月17日、福岡:10月31日、札幌:11月21日)に出展する。本稿で紹介した内容をセッションや展示で確認したい方は、足を運んでみてはいかがだろうか。
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提供:ニュータニックス・ジャパン合同会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2019年9月29日