企業データ、アプリケーションのレイヤー安定化がDX成功のカギ ベリタスのプラットフォーム・アプローチに迫るデータ管理の「抽象化」とは

デジタルトランスフォーメーションが進み、データの重要性に注目が集まる中、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドの普及でインフラ環境は複雑化、その重要なデータの保護について難易度が上がっている。ベリタスは、データとアプリケーションのレイヤーを安定化させることがビジネスの安定化につながるとして、データ管理全般のサービスのプラットフォーム化を打ち出した。業界リーダーの新たなアプローチは、また世界を変えるのか。その詳細に迫る。

» 2019年08月29日 10時00分 公開
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データ主導時代に潜むリスクの背景には何があるか

 ビジネスはデジタルトランスフォーメーションを背景に、データ主導へと進んでいる。こうしたデータ主導時代に潜むリスクの背景として、ベリタステクノロジーズ テクノロジーセールス本部 常務執行役員 髙井隆太氏は「インフラ複雑化」「データ活用多様化」「外部脅威の増加」を挙げる。

ベリタステクノロジーズの髙井隆太氏

 1つ目はインフラの複雑化。企業はビジネスのスピードを高め、負荷の増減に対応すべく、クラウドの積極的な導入を進めている。インフラ環境はかつてのオンプレミスから仮想化、クラウド化、さらにコンテナ化へと進んでいる。今ではクラウドとオンプレミスが混在したハイブリッドクラウドだけではなく、複数のクラウドサービスを併用するマルチクラウドにも進展し、複雑さは増すばかりだ。

 インフラ環境が変化すればデータ保護の方法もその変化に追随していく必要があるが、複雑化によって追随も簡単ではなくなっている。特にバックアップは、従来、インフラ環境ごとに設定している企業が多く、社内で複数の異なる手法やアプローチが併用されている場合もある。中には、変化に追随できない手法もあるため、環境の変化と複雑化によってデータ管理は困難になっていく。

 2つ目はデータ活用多様化。IoT(モノのインターネット)の実現やAI(人工知能)活用を背景にデータ活用方法は広がり、データの種類や量も急速に伸びている。2025年には世界のデータ量は175Z(ゼタ)Bに膨れ上がるという予測がある。これだけ急速にデータが増えると、従来のストレージに蓄積する方法ではコストも運用も間に合わない。必然的に、データはオープンソースのデータベースやクラウドのストレージに蓄積されることになる。クラウドのストレージはSLA(サービスレベル保障)があるため、一定の安心感があるが、それはあくまでサービス単体においてだ。

 クラウドを使うときには、責任共有モデルという原則があることを忘れてはならない。髙井氏はある調査結果を示した。ベリタステクノロジーズの調べによると「クラウドプロバイダーはデータのバックアップも行ってくれる」と考えている回答者は70%にも及んだという。これは危険な誤解だ。

 クラウド上に保持しているデータはSLAで保証されるものの、システム運用上のデータ保護やバックアップの仕組みを整えることはユーザー側の責任だ。例えばオペレーションミスで開発環境のデータを本番環境に同期してしまい、本番環境のデータが消えたとする。こういう場合、クラウドストレージのSLAは関係ない。データを上書きしてしまえばデータは消えたままだ。バックアップがなければ元に戻らない。

 3つ目はサイバー攻撃や自然災害などの外部脅威。典型的なものとして挙げられるのがランサムウェアだ。髙井氏によると、身代金を支払い、攻撃者から提供されたツールやコードを用いてデータが復旧できた割合は50%。身代金を払ってもデータが復旧できるとは限らない。復旧できたとしても、攻撃者から「身代金要求に応じる相手」と見なされると、繰り返し攻撃されるリスクも高まる。感染防止のための対策も重要だが、ランサムウェア対策で考えるなら、データをバックアップしておくことはとても有効だ。

 データの重要性が高まる一方、インフラ複雑化、データ活用多様化、外部脅威の増加などを背景にデータ管理に潜むリスクも高まっている。現状では個別に対処することに精いっぱいで、包括的な対応策はないというのが実情ではないだろうか。

エンタープライズデータプラットフォームが実現する保護、可用性、インサイト

 解決策の鍵として髙井氏が挙げるのが「抽象化」だ。髙井氏は「CPUやメモリなどを抽象化する仮想化技術にハイパーバイザーがあります。われわれは、複雑化したインフラを抽象化し、データ管理レイヤーをプラットフォーム化することで、お客様がデータ保護、可用性向上、インサイトを得られるようにすることを目指しています」と説明する。

 さらに髙井氏は「このアプローチはベリタスのDNAでもあります。もともとベリタスはオープンシステムのヘテロジニアスな世界でデータ管理を実現することをミッションに掲げてきました」と言う。かつてオープンシステムの時代には異なるOSやストレージが混在していた。現在は、異なるインフラ環境が混在する世界へと変容しているが、ベリタスは一貫して技術の差異を抽象化により吸収することでデータの保護や可用性向上を実現してきた。今度は、プラットフォームという形でハイブリッド・マルチクラウド環境でのデータ管理を実現する包括的なデータサービスを提供し、ビジネスに不可欠なデータのより効果的な活用を支援していくのだという。

 先述したリスクを踏まえ、ベリタスではビジネスにクリティカルなデータやアプリケーションを「エンタープライズデータサービスプラットフォーム」で包括的に扱えるようにする。

ベリタステクノロジーズが提供するデータの「保護」「可用性」「インサイト」(クリックで拡大)

 焦点としているデータ管理要素は、データの「保護」「可用性」「インサイト」と3つの視点から機能を整理している。視点ごとに見ていこう。

 まずはデータの「保護」。どのような環境であろうともデータの保護と復元を実現する。ベリタスの主力製品となる「NetBackup」、加えて「CloudPoint」や「Backup Exec」で実現する。最新版となる「NetBackup 8.2」は髙井氏が「ベリタスに分社化して以来、最大規模の更新です」というほど、多くの新機能や機能強化が盛り込まれている。オンプレミス、仮想化、クラウドなど500以上のデータソース、60以上のクラウドプロバイダーを含む150以上のストレージに対応する。

 中でも髙井氏が強調するのはAPI連携強化とクラウドへのペタバイト規模のデータ保管。前者は、先ほど紹介した「インフラの複雑化リスク」「活用の多様化」に対応する、包括的データ保護体制を実現してくれる。オンプレミスとクラウドにおけるスナップショットのバックアップ連携などを効率的に実施するだけでなく、クラウドへの災害対策オーケストレーションまでカバーする。

 後者は、大規模データ保存やDR(ディザスタリカバリー、災害対策)の低コスト実現のカギとなる。例えばNetBackup 8.2では「Amazon Web Services」(AWS)で長期保管用ストレージとして最近リリースされたばかりの「Amazon S3 Glacier Deep Archive」、データ転送用の「AWS Snowball Edge」「Azure Data Box」に対応している。DRに向けては、「NetBackup CloudCatalyst」が、ペタバイト規模の対象にも安心感を与える新たな選択肢となった。

NetBackup 8.2の大規模データ保存、DR機能(クリックで拡大)

 続いてデータの「可用性」。どこでもビジネスシステムが稼働できるようにする。「InfoScale」や「Resiliency Platform」により、ミッションクリティカルなアプリケーションに対する高可用性、パフォーマンス最適化、移動性向上を実現する。新機能には、パブリッククラウド上のHAサポート、専用エージェントによる切り替え自動化、AWSでのマーケットプレース展開がある。他にもNutanix、ScaleIO、NVM Expressとの親和性強化、Ansible向けテンプレート提供などがある。

 最後にデータの「インサイト」。近年ではGDPR(EU一般データ保護規則)をはじめとした個人データに関する規制やコンプライアンスに注目が集まってきている。企業は規制対象のデータがどこに保存されているのか、きちんと把握しておくことを求められている。常にデータ管理を最適化し、可視化を実現しておくことが必要なのだ。ここではデータの分類、把握、可視化を提供する「Information Studio」と、インフラの把握や可視化を提供する「APTARE IT Analytics」が活躍する。Information StudioはNetBackupを含む20以上のクラウドやインプレミスのデータリポジトリへのコネクターを提供し、700以上の事前構成済みパターン、110以上のポリシーによるデータ分類、タグ付け自動化などが特徴となる。

 APTARE IT Analyticsは最近ベリタスが買収した製品。オンプレミス、仮想化、マルチクラウドのインフラ環境を単一のビューで可視化し、利用状況の管理を実現する。エージェントレスコントローラーにより、約3万以上のデータポイントからデータを収集できる。収集したデータからストレージやバックアップなどの利用状況を分析し、キャパシティー計画、コストの最適化、利用者へのチャージバック、サービス管理が可能となる。髙井氏によると、顧客企業から「インフラの管理に課題を抱えている」という声が多く寄せられており、インフラの状態を可視化する機能を強化することにしたのだという。

 NetBackup 8.2をはじめとした製品群の進化や追加により、ベリタスでは多様なデータソース、多様なワークロード、多様なストレージターゲット、多様なクラウドプロバイダー(マルチクラウド)に対応できるようになった。さらに付け加えると、多様な運用シナリオにも対応可能となった。バックアップとリストアといっても、さまざまなニーズやパターンがある。データベースをある時点の状態に戻す、コンプライアンスや監査のためにバックアップを参照することもある。またリストアするとデータ移動で時間がかかるが、ベリタスならバックアップデータから直接システムを起動させることも可能だ。

 仮想環境への対応も業界では先駆けている。NetBackupは前バージョンで「Docker Container」に対応しており、データ保護製品としてDockerの認証を受けている。最新版ではOpenStack VMやRed Hat Virtualizationにも対応を広げた。

 髙井氏はベリタスの強みをあらためて強調する。「世界の大手企業5万社以上、Fortune 100企業の99%がベリタスの製品を使っています。もともとベリタスには強みを持つ製品群があり、ここにAPI連携強化を加えることで自動化やオーケストレーションを進め、プラットフォーム化を実現しました。NetBackup最新版とプラットフォーム化により、ビジネスを止めない安心感、価値の高いデータを十分に活用できる手段、外部脅威や規制への対応力を得ることができます」

 ベリタス製品は数多くの日本企業からも高い信頼を得ている。中でもNECは長年にわたるパートナーとして、企業向けソリューションにベリタスのデータ保護製品やアプライアンスを組み込んでいる。災害対策やランサムウェア対策に有効な大規模バックアップから、マイナンバーなどの規制対象データの保護まで、業種業態も含めて、そのソリューションは多岐にわたる。髙井氏は期待を込めてこう話す。「NEC様はわれわれの製品ポートフォリオ拡大に追随してくれています。幅広いソリューションをお持ちでインテグレーション能力が高いパートナーはとても重要な存在です。これからのエンタープライズデータプラットフォームも協力して展開していきたいです」


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提供:日本電気株式会社、ベリタステクノロジーズ合同会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2019年9月30日

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