「世界生産性ランキング」30位の日本を変える「ローコード開発」とはSB C&Sが開発コストを数十分の1に削減

企業ITを取り巻く人材不足という課題に「ローコード開発」と呼ばれるコンセプトで一石を投じるOutSystems。ローコード開発とは何か、OutSystemsジャパンのアーノルド・コンセンコ氏とSB C&Sの荒川直樹氏に話を聞いた。その模様を前編に引き続きお届けする。

» 2019年09月17日 10時00分 公開
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 社会のあらゆる領域で「デジタル化」が進行する中、多くの日本企業が生き残りをかけて、「デジタルトランスフォーメーション」(DX)の取り組みを始めようとしている。その中で、今、盛り上がりを見せているのが、システム開発の「生産性」についての議論だ。そうした議論に「ローコード開発」と呼ばれるコンセプトで一石を投じるのが、ポルトガルのOutSystemsだ。

 今回、同社の日本法人であるOutSystemsジャパンの代表取締役社長であるアーノルド・コンセンコ氏と、OutSystems Platformのユーザーであり、販売パートナーでもある、SB C&S ICT事業本部 販売推進本部 技術統括部 統括部長の荒川直樹氏に、日本企業における「開発生産性の向上」と「OutSystems Platform」の可能性について聞いた。

※前編はこちら

「世界生産性ランキング」30位の日本は変われるのか

――これまでのお話では、日本における、企業ITを取り巻く環境について、人材不足やエコシステム、生産性の課題が浮き彫りになりました。日本企業は、DXの波に飲み込まれずに、チャレンジし、変革することができるのでしょうか。

コンセンコ氏 米国企業がテクノロジーの面で、新しいものに次々と投資し、挑戦をする傾向がある一方で、日本企業は非常に「慎重」というか、コンサバティブな意識が強いようにも思います。

SB C&S ICT事業本部 販売推進本部 技術統括部 統括部長 荒川直樹氏 SB C&S ICT事業本部 販売推進本部 技術統括部 統括部長 荒川直樹氏

荒川氏 自己紹介のとき(前編参照)にお話しした通り、私はシリコンバレーに5年ほど駐在していましたが、その中で、企業や人とのつながりを持てたことに加えて、現地の「肌感覚」とも呼べるようなものを感じられたことが、大きな財産になっていると思っています。シリコンバレーでは、通勤電車の中でも、カフェテリアでも、ありとあらゆるところで、エンジニアがラップトップを開いてコードを書いているんです。

 インターネット初期にWebブラウザの「NCSA Mosaic」や「Netscape Navigator」を開発し、現在は投資家であるマーク・アンドリーセン氏が、2011年に「Why Software Is Eating The World」(参考リンク)という記事を書きましたが、まさに、「世界全体がソフトウェアによって作られる」時代になっていると感じました。

 ソフトバンクグループの代表である孫正義の経営手法は「タイムマシン経営」と呼ばれていますが、これは端的に言えば、米国でのトレンドが、数年後に日本のトレンドになるという予測の下、先端のテクノロジートレンドを見て、そこから逆算して日本でのビジネスを組み立てる手法です。特に新規事業に関しては、この手法が極めて有効だと考えています。

コンセンコ氏 日本企業は同業他社の状況を見ながら「よそがやっているのなら、うちもやろう」と考える傾向があるようですが、世界を意識すると、今後はIT環境や開発プロセスに対する考え方も、変化せざるを得ないでしょう。

 生産性の話に戻しますが、スイスのIMD(国際経営開発研究所)というビジネススクールが発表した直近の「世界生産性ランキング」で、日本の生産性は世界で30位にランク付けされています(参考リンク)。この順位を高めるためには、テクノロジーやツールの活用はもちろん、それを支えるITの開発運用を含む、アプリケーションライフサイクル全体の効率を上げる必要があります。

 OutSystemsとしては、パートナーとも協力しながら、日本市場にOutSystems Platformの新たなエコシステムを作り上げ、企業システムの開発プロセスを、より迅速で生産性の高いものにしていくことで、日本企業をサポートしたいと思っています。OutSystemsジャパンでは、会社のミッションとして「デジタルトランスフォーメーションで日本企業の競争力に貢献する」を掲げています。

ローコード開発で、なぜソフトウェア開発のコストを劇的に削減できるのか

――OutSystems Platformがもたらすローコード開発のメリットについて、もう少し詳しく教えていただけますか。

OutSystemsジャパン 代表取締役社長 北東アジア総括責任者 アーノルド・コンセンコ氏 OutSystemsジャパン 代表取締役社長 北東アジア総括責任者 アーノルド・コンセンコ氏

コンセンコ氏 OutSystems Platformは、グラフィカルなユーザーインタフェース(UI)を使って、データベースやビュー、ビジネスロジックの設計図(モデル)を書くことで、ソースコードを自動的に生成し、デプロイできる環境です。

 似たような例を挙げると、どんなコンピュータ向けのプログラムでも、最終的にはCPUが直接理解できる機械語にする必要があります。しかし、現在のプログラマーで、機械語やアセンブリ言語でプログラムを書く人はあまりいません。より人間にとって分かりやすい言語で書いておき、コンパイラで機械語に変換し、コンピュータに実行させますよね。OutSystems Platformでは、言語よりもさらに分かりやすい、ビジュアルなモデルから、自動的にソースコードを生成できます。これによって、開発にかかるコストや時間を、劇的に削減することが可能になります。

 これまで、要求仕様をまとめてから、動くものが出てくるまで長い時間がかかり、修正も難しかったウオーターフォール型のシステム開発が続いてきました。より短いサイクルで成果物を動かしつつ、ユーザーの希望にあったシステムを迅速に開発できるアジャイル型開発プロセスへの移行が、ローコード開発を活用することで容易になります。

 グラフィカルなUIを備えた「コードジェネレーター」や「BPM(ビジネスプロセスマネジメント)ツール」と呼ばれる製品は他にもありますが、モデルの作成や管理、コード生成、対象となる環境別のデプロイ、継続的なリリース、そして監視、運用管理といった、アプリケーションのライフサイクル全体をサポートできる点がOutSystems Platformの特長です。

OutSystems Platformの画面 OutSystems Platformの画面

開発コストを数十分の1に削減:ローコード開発の事例

コンセンコ氏 日本のビジネスITの領域では、まだローコード開発という考え方自体が十分に理解されておらず、ユーザーへのアピールが必要だと感じています。「ビジュアル開発だと、簡単なものしか作れないのでは?」と聞かれることもありますが、トランザクションベースのかなり大規模なシステムで採用されている実績もあります。

 また、日本では長く使われ続け、運用がブラックボックス化しているメインフレームなどが、ITコストを増大させDXの障害にもなっているケースが多いと聞いています。OutSystems Platformは、そうしたレガシーシステムを、段階的によりモダンな環境へリプレースしていくためのツールとしても使われています。

――SB C&Sは、OutSystems Platformをビジネス開発においてどのように活用しているのでしょうか。

荒川氏 SB C&Sでは、当社が提供しているB2B向けの購買ポータル「パーチェスワン」で展開する購買システムの開発を、OutSystems Platformで行っています。

 以前は、自社でフルスクラッチの開発を行っていましたが、OutSystems Platformを導入したことで、初期の開発だけではなく、お客さまごとの機能追加や、UIのカスタマイズといった粒度の細かいニーズにも、迅速に対応できるようになりました。基本となるモデルやUIはテンプレートとして用意されており、細かい修正に当たってコードを書いたり、直したりする必要がないので、開発全般にかかるコストは数十分の1といった規模で削減できています。非常に価値の高い導入だったと思います。

ユーザーにとって魅力的なエコシステムを構築しDXへの取り組みを支援

――SB C&Sは、OutSystems Platformの販売パートナーでもありますが、その立場では、今後どのような展開を考えていますか。

荒川氏 ディストリビューターとしては、企業のニーズに合った形でビジネス展開することを考えています。ただし、OutSystems Platformを活用して、アジャイル型開発や、DevOpsを実践し、成功事例を生み出していただくためには、最新の開発プロセスやローコード開発自体への理解を、より広く啓蒙(けいもう)する必要があるだろうと感じています。

 OutSystems Platformを中心に、リポジトリやライブラリ群、コンテナオーケストレーションやCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)などの周辺ソリューションをいかにコーディネートして、魅力のあるエコシステムを構築していくかが、そのカギになるだろうとみています。

 また、SB C&Sの新規事業開発としては、「データ」を中心として、その周辺のソリューションを提供する「データセントリックビジネス」の強化を進めています。人工知能(AI)やIoT(Internet of Things)を意識したデータセントリックビジネスの展開に、アジャイル型開発やDevOpsは、肝要なピースとなるはずです。その分野においても、OutSystemsは重要なパートナーになると考えています。

――OutSystemsとしての、今後の日本でのビジネス展開について、ビジョンを聞かせてください。

コンセンコ氏 「2025年の崖」の話も出ていましたが(前編参照)、日本企業は3年以内に、自社のIT戦略の一部としてローコード開発を組み入れることを検討してほしいと思っています。

 先ほど、日本企業は新たなテクノロジーの導入に対してコンサバティブだと述べましたが、既にOutSystems Platformを導入し、好意的にご評価いただいている企業も増えています。ビジネス向けソフトウェア/サービスのレビューサイトである「ITreview」では、既に導入済みのお客さまからの高い評価が集まっていますし(参考リンク)、SB C&Sをはじめとする、幾つかの大手企業での導入事例は、今後、他の大手企業、中堅中小規模企業がローコード開発に注目する良いきっかけになると思います。

 日本のユーザーが、製品の品質に対して厳しいことは承知しています。今後も継続してプロダクトの質を高めていくことはもちろん、日本語での情報提供やサポートの充実、ユーザーコミュニティーの立ち上げなど、より多くの日本企業の皆さんにOutSystemsを知っていただき評価していただける体制作りを進めます。OutSystems Platformによるローコード開発が、ユーザー企業の開発生産性の向上、ビジネスのスピードアップに貢献できることを信じています。

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提供:OutSystemsジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2019年9月30日

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