業務改善やビジネス拡大のために迅速にアプリケーションを開発したいという顧客が増えてきた。SIerは、適切な製品があれば顧客のニーズを満たすソリューションを提供できる。有力SIerが注目する「Microsoft Power Platform」の魅力とは?
国内市場でユーザー企業による新しいソフトウェア投資が注目されている。ITを使ったビジネス成長や業務プロセスの効率化に取り組む企業が増え、その手法として特に「ローコード開発」や「ロボティック・プロセス・オートメーション」(RPA)に着目する企業が多いのだ。ミック経済研究所によると、ローコード開発プラットフォームの市場は2021年までCAGR(年間平均成長率)10.7%で成長するとみられる(注1)。RPA/BPM/ワークフローの市場に至っては2022年までのCAGRが62.8%で大きな市場を形成するとみられる(ITR調査)。
注1:ミック経済研究所「DX実現に向けたソリューション市場動向 2019年度版」 https://mic-r.co.jp/mr/01545/
注2:ITRがRPA市場規模推移および予測を発表 https://www.itr.co.jp/company/press/181025PR.html
ソリューションを提供するSIer(システムインテグレーター)はこの市場に注目し、エンドユーザーの支援を拡大している。その際の取り扱い製品として注目しているのが「Microsoft Power Platform」だ。Power Platformは、ローコード開発プラットフォームの「Microsoft Power Apps」、ワークフローの自動化を可能にする「Microsoft Power Automate」、ノーコードでbot(チャットボット)を生成できる「Power Virtual Agents」、データ可視化/分析ツール「Microsoft Power BI」といったアプリケーション群と、フロントシステムで生成されたデータを一元的に格納した“業務データストア”である「Common Data Service(CDS)」で構成するプラットフォーム製品。エンドユーザーの業務を効率化するのに加えて、SIerにとっても自社のソリューションビジネスに組み込みやすく、今後のビジネス拡大の有力商材となる製品だ。
テンダはいち早くこのPower Platformを活用したビジネスに乗り出し、日本マイクロソフトの認定パートナーとしてエンゲージした。「Power Platformは急速な進化を続けており、今後もまだまだ機能が追加されていくだろうと感じています。それだけマイクロソフトも“本気”で取り組んでいるということです」(テンダ ビジネスプロダクト事業部 ビジネスソリューション部 部長 岡田憲明氏)と高く評価をし、エンドユーザー向けのソリューションビジネスに活用している。「私たちも、Microsoftソリューションを提供するサービスを拡充し、Power Platformで稼働するパッケージソフトなども開発したいと考えています」
Power Platformは、ローコード開発やRPA/ワークフローの市場にどのようなインパクトを与え、同製品を扱うSIerにとってどのようなメリットがあるのか。本稿で説明しよう。
Power Platformは、ローコード開発、ワークフロー自動化、データ分析、Botの生成と、エンドユーザー企業が今必要とする機能を提供する製品だ。Power Platformを使うことで、現場で必要となるアプリケーションを迅速に開発できる。また、Power Automateを使えば複数のアプリケーションで構成する業務を自動化可能だ。Power BIは、さまざまなデータソースから情報を集めて分析し、その結果を分かりやすくレポートする。Microsoft製品だけに、「Microsoft Office」との連携が容易で、エンドユーザーはOfficeを使う感覚でローコード開発やワークフローの自動化を試すことができる。
Power Platformは、SIerがエンドユーザーに提供するソリューションとも相性が良い。エンドユーザー企業が必要とするアプリケーション開発に適用できるからだ。一からアプリケーションを開発するとなるとそれなりにコストと開発期間がかかるが、Power Platformを使えばコストや期間をかけずに高品質なアプリケーション開発が可能だ。エンドユーザーができる部分は自社で行い、それ以外の高度な開発はSIerが行うなどすみ分けができる。SIerにとってPower Platformを組み込んだソリューションは手離れが良く、失敗のリスクが少ないのだ。
テンダもPower Platformのこのような特長に着目して同製品を扱うようになった1社。同社が取り組んでいるのは、Notes移行ビジネスへのPower Platformの適用だ。よく知られるようにNotesの移行はエンドユーザーにとっても、支援をするSIerにとってもリスクが高い。長く使われてきたアプリケーションだけに従業員が慣れ親しんでいたり、作り込んでいたりする部分も多く、どうすれば現状を維持しつつ最新のサービスに移行できるか、苦慮しているユーザーやSIerが多いのが実情だ。
テンダは従来、エンドユーザーにNotesからの移行を提案する場合、「Microsoft SharePoint」や「Microsoft Office 365」、あるいはこれらの組み合わせを推奨してきた。しかし、従来のユーザーエクスペリエンスを保ち、作り込まれたワークフローを再現することは簡単ではなかった。「いざNotesからSharePointへ乗り換えようと検討を始めると、自らが高い壁に囲まれていることに気付くユーザー企業が多いのです」(岡田氏)
「元々Notesは、組織の業務改善のために活躍してきたツールです。その中核が『ワークフロー』で、組織固有の要件を満たすために、細かくカスタマイズしている例も多いのです。移行しようとしてもSharePointの標準機能のみではまかなえず、何らかの開発が必要となるケースが大半です。開発の内製化は難しく、一方で外注すれば大きなコストがかかってしまうため、二の足を踏むユーザーも少なくありません」(岡田氏)
そこでテンダが目を付けたのがPower Platformだった。SharePointを対象とするNotes移行では、開発が大掛かりになってしまったり、移行を断念したりする部分が確かにあるという。しかし、Power Platformの登場によって、ユーザーのさまざまなニーズを容易に素早くくみ取ることが可能になったというのだ。
「Notes移行サービスの提供に合わせて、Power Platformに注目し始めました。例えばPower Platformにある『Microsoft Power Apps』は、複雑なコーディングを必要とせずにビジネスアプリケーションを構築できます。SharePointとの親和性も高く、Office 365などのツールとの連携も容易で、コストも安価に済みます。開発のスピードが大幅に向上し、ユーザーの要望や修正依頼へごく短期間で応えることができるようになりました」と、テンダ ビジネスプロダクト事業部 ビジネスソリューション部 スペシャリストの村田浩輔氏は述べる。
SharePointへ移行する場合、大抵のユーザーは従来の機能や操作感をどこまで実現できるのかという点について、不安に思うものだ。そこでテンダでは、Power Automateなどを検証するためのサンプルアプリケーションを提供し、実際に体験してもらう方法を取っている。
「ユーザーに試してもらうと、できることがたくさんあることに気付いて、『あれもやってみたい、これはどうだろう』と考えるようになります。Power Platformであれば、そのような追加要望に対してもすぐに反映してサンプルを提供でき、修正できるため、ユーザーと一緒にアプリを作り上げることができるのです」(村田氏)
Power Platformは、手軽に利用できるソリューションであるため、内製化に取り組むユーザーも少なからずいる。とはいえ、高度なIT人材を十分に獲得できる企業は決して多くない。
「Power Platformであれば、ごく簡単な修正などはユーザーが自ら作業できます。一方で、比較的難しい作り込みや大掛かりな開発など、高度な部分は当社がパートナーとしてサポートします。単にシステムを提供するだけでなく、新しい活用方法や業務スタイルを提案できるように当社のビジネスもシフトさせてきました」と、テンダ ビジネスプロダクト事業部 ビジネスソリューション部 ビジネスソリューション開発課の江崎捷氏は述べる。
江崎氏らは、さまざまなビジネスシーンで自らSharePointとOffice 365を活用し、新しいビジネススタイルを体験しているという。そうした知見を生かして、使い分けや使いこなしを含めたコンサルティングサービスも提供している。テンダはPower Platformを扱うことでエンドユーザーの業務プロセス改善にも取り組むことができるようになったのだ。単にNotes移行を目的とした作業ではなく、業務改善やビジネスの拡大が、テンダとエンドユーザーの共通のゴールになった。「私たちエンジニアは、技術ではなくビジネスと業務を中心にシステムを考えるようになりました。Power Platformであればシステムをすぐに改良できるため、“業務改善”の楽しさを感じているエンジニアばかりです。その結果、ユーザーの期待値へ急速に近づけるようになったと実感しています」(江崎氏)
ビジネスをデジタル化し、新たな収益を見つけようとするデジタルトランスフォーメーション(DX)に多くのエンドユーザー企業が取り組んでいる。結果として、ユーザー企業のアプリケーション開発ニーズが格段に高まっているのが現状だ。しかし、技術的なハードルの高さやエンジニア人材の不足もあり、自社だけで開発を全て行うのは不可能に近い。そこにSIerにとっての新たな商機がある。しかもPower Platformというユーザー企業にもSIerにも適したソリューションが登場し、マイクロソフトが今最も注力している製品の一つがこのPower Platformである。Power Platformを扱うことでSIerが得られるメリットは多数ある。詳細について興味を持った方は日本マイクロソフトのセミナーで確認をしてほしい。
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2020年3月12日