昨今のエンジニアを取り巻く環境やテクノロジートレンドは変化が激しい。このような時代だからこそ、自らのキャリアを「将来性」という軸で考えてみることは理にかなっているといえるだろう。今後も「売り手市場」であると予測される職種は何だろうか。SAPコンサルタントはその答えの1つだ。案件そのものが多く、「2025年問題」などが控えているのも事実だが、それ以上に「SAPが企業のデジタル変革(トランスフォーメーション)へのニーズに応えるソリューション」であることから、SAP人材への需要が途切れることはない。しかし、未経験の状態からSAP人材を目指すことは可能なのだろうか? 本稿では第二新卒・非IT業界からSAPのプロフェッショナルへ転身した女性エンジニアとその上司へのインタビューを通じ、「未経験からSAP人材として成長し、キャリアを構築することは可能なのか? そのための環境とは何か」について考えたい。
――まずは鈴木さん、どのような経緯(けいい)でアクセンチュアに入社されたのでしょうか?
鈴木 私は大学卒業後、大手の日系食品メーカーの原料調達部門に勤めました。転職活動を始めるまでアクセンチュアの社名さえ知りませんでした。
アクセンチュアとの出会いは合同説明会でした。講演に登壇したアクセンチュアの女性マネジャーのキャリアへの考え方や自立した生き方、価値観は、当時の自分には全く異なるものでしたので、違う自分になれるかもしれないと、わくわくしたことを今でも覚えています。
実は別の会社の調達業務のお話を伺うために参加したのですが、今までの延長ではなく、「自分はどういう人材になりたいのか」「将来、どんなふうに活躍できたら楽しいか」といったビジョンから逆算してキャリアチェンジを選んだともいえます。
――ということは、IT系のキャリアではなかったわけですね。SAPやテクノロジーコンサルティングという言葉も初めて聞いたのですか?
鈴木 はい、前職の現場で使っていたのは独自開発の業務システムだったのでSAPではありませんでしたし、PCも日報や報告書の作成で使うくらいでした。プログラミングや財務・会計、経営関係の知識はアクセンチュアに入社してから勉強を始めました。
当時の私はアクセンチュアがいかに巨大なグローバル企業なのか、コンサルタントとは何をするのか何も知りませんでした。つまり面接時に私が持っていたスキルは「数年の社会人経験」と「調達部門の業務知識」だけです。ですので、面接官との意思疎通がうまくできなかったように思います。
ところが、幸運にも特別に追加の面接の機会をいただきました。人事担当者からアクセンチュアのビジョンや仕事内容を説明してもらい、社史などより深くアクセンチュアの内面を語る媒体を読んだおかげで、次の面接ではしっかり対話ができたのでは、と考えています。
堀内 やはり入社後に「イメージと違う」というギャップがあると、お互いに不幸になりますからね。
鈴木 コンサルティング企業は仕事内容が分かりにくい傾向にありますが、アクセンチュアからは応募者のイメージとのギャップを解消し、納得して進むためのケアをしようという意識を感じて好印象を持ちました。
――現在の役割を教えてください。
鈴木 私はSAPプラットフォームの構築を担当する業界横断型の部門に所属しています。現在は大手エネルギー企業のお客さまのデジタル経営基盤の構築プロジェクトにおいて、SCM(サプライチェーン管理:物流システムを統合し、効率化するための手法)領域のモジュールの開発やテストチームのサブリーダーを担当しています。誰もが知っている大企業がお客さまですし、プロジェクト規模が大きくて緊張する反面、やりがいや充実感も大きいのです。
SCM領域は、経営層の視点と業務現場の視点をバランス良くミックスしながら仕事をすることが求められます。私の場合は未経験状態からのキャリアチェンジと考えていましたが、思いがけず前職での調達業務の経験が活用できていてうれしいです。
堀内 SAPの構築プロジェクトはお客さま企業のビジネスや決算スピード、業務効率から現場の生産性までを改善できるところに醍醐味(だいごみ)があります。アクセンチュアとSAP社はグローバルレベルでのパートナーであり、SAPの最新の知見をお客さまへ提供できる点でも付加価値が高いのです。
鈴木 はい、若手コンサルタントもお客さま経営層とのディスカッションに同席できますし、現場の方々ともとことん議論できる面白さがあります。また、アクセンチュアに所属しながら、さまざまな企業に入り込める「いいとこどり」の仕事だなと感じています。
堀内 現在SAPは企業経営をデジタル化していくための基盤となっています。「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉で知られている通り、デジタル変革は企業にとって避けられないテーマとなりました。これは日本企業にとって喫緊の重要課題であり、アクセンチュアはそのダイナミックな変化の最前線でお客さまをご支援しています。こうした社会的影響の大きさからも、「仕事の意義」を感じられる職場だと思います。
――鈴木さんはどのようなワークスタイルで仕事をなさっているのでしょうか。
鈴木 私は現在、お客さま本社の近くに設置されたプロジェクトルームに出勤しています。この部屋はプロジェクト専用として借りている場所で、お客さまオフィスに訪問して会議に参加する他は、だいたい毎日プロジェクトルームで勤務します。
フェーズによって異なりますが、業務時間の約3分の1はミーティングや調整作業、残り3分の2は自分の担当タスクに集中します。もちろん「丸一日お客さまとディスカッション」という日もあれば、「書類作成をひたすら詰める日」までいろいろあり、決まったパターンはありません。長期プロジェクトなのに毎日が新鮮です。
堀内 このプロジェクトは3年間の長期プロジェクトです。お客さまの中期経営計画でも言及され、CEOの年頭所感やあいさつでも触れられるなど、強く期待されています。現在のフェーズは国内のデジタル基盤の構築、その後は海外の関係会社へのロールアウトを予定しているなど、この先の世界展開を見据えているプロジェクトでもあります。
――とはいえ、未経験者がいきなりSAPのプロフェッショナルになれるわけではないと思います。鈴木さんはどのようにスキルアップしたのでしょうか?
鈴木 おっしゃる通りです。初めてSAPプロジェクトにアサインが決まったときは不安でいっぱいでした。入社直後の研修、トレーニングはしっかり受けましたが、あくまで仮想的なものだったので、いざ実践だと思うと緊張しました。
プロジェクトチームに入った私に、リーダーが「1つのシナリオ設計」という小さいながらも重要な役割を私に与え、信頼して任せてくれました。経験が浅くても自分の担当領域に責任を負い、調査や検討、周囲のメンバーへのコミュニケーションは自分なりに考えて進めなくてはならない点は、縦割な日系企業の文化とは全く違うものでした。
とはいえ、納期スケジュールを非常な重圧として感じたことは事実です。限られた時間の中で、たった一人で成果を出すことはできません。お客さま、チームメンバーとの人間関係の構築を特に意識しました。
業界知識、SAP知識のどちらもゼロに等しかった私ですが、どんなに忙しくても1の質問に対して10の答えとアドバイスをくれる先輩がいる心強さ、納得がいくまで突き詰めて考えさせてくれる環境下で、知識の幅が急速に広がったのを感じました。これが私の成長ドライバーになりました。
入社前、アクセンチュアは外資系企業だから人間関係がドライなのではと予想していました。しかし実際は相互に助け合う文化が浸透しています。これは入社後に強く感じた「意外な点」でした。アクセンチュアの仕事には、ひとりで成し遂げられることは少なく、チームで支えあって進めていく、そこが自分にはぴったりだと思います。
堀内 確かにアクセンチュアのメンバーは、自主性を重視して自由裁量を若手や新人にも与えますね。新規メンバーのクイックな立ち上がりをチーム全体でサポートしますし、特に管理職者は「支えながら、任せる」ようにしています。だから経験の浅い若手こそ、創意工夫もしながら急速に成長していきますね。
鈴木 やはりそうなのですね。自分の仮説がうまく当てはまらず、行き詰まったときほど、背中を押してくれる上司、同僚のチームワークを感じます。「私はここまで理解しているつもりですが、この先がどうしても分からない」という理解度を明確にして相談することで、サッと答えや方針を示してくれるコミュニケーションが気に入っています。
堀内 メンバーのコラボレーションが進むのは、「お客さまへより良いサービス、高い付加価値を提供したい」というマインドを共有しているからでしょう。
そうしたマインドの共有はもちろん、一人一人の個性、特性を見極めて、対話しながら成長機会を提供していくことがプロジェクトにおけるスーパーバイザー(SV)の重要なミッションの1つです。
鈴木さんのSVの話では、「鈴木さんは成長意欲が高く、座学よりも現場を任せる方が本人の積極性をテコにして成長できます」と評価されているようです。逆に「現場に出る前に知識をしっかり固めたい」というタイプの人はトレーニングを厚めにしておくことができます。成長の仕方は人それぞれです。多様なスキルアップの方法がアクセンチュアには用意されています。
鈴木 確かに、私にとっては日々の実務経験が一番身に付くように思います。月並みな表現ですが、なりたい自分を自分で決められる点で、自分の成長の枠は無限大だと感じます。
――未経験からSAPプロフェッショナルになるというキャリアのイメージが湧いてきました。入社時の目標だった女性マネジャーのロールモデルには近づけそうですか?
鈴木 確かに1歩ずつ近づいてはいますが、ここが頑張りどころだと思います。SAPはITにおける世界共通言語の1つですし、これからも良い意味で「欲張って」いきます。
業界知識とSAPスキルをしっかり身に付ければ、「人材として生き残れる」と思っています。
堀内 生き残る。いいフレーズですね(笑)。SAPスキルへのニーズは全業種、業界にあります。いわゆる「市場価値の高い人材」を目指してほしいと思います。
それに、SAPはパッケージ製品ですから、お客さまの経営状況や現場の状態にどのように適用していくかは、議論を重ねることでしか答えを導き出せません。つまり、お客さまの実情を的確に捉えるためのコミュニケーション能力と、ロジカルシンキングを軸とするコンサルティング能力。その2つの能力を一人一人の適正に合わせて伸ばせていけるのが、アクセンチュアの人材開発のポイントだと思います。アクセンチュアでは、個々人に最適化した支援をすべく体系化されたトレーニングコースを幅広く用意しています。
個人の特性は多様です。鈴木さんのようにコミュニケーションが得意な人、プログラミングやパラメーター設定に強みを持っている人など、特性に応じた幅広い働き方がアクセンチュアにはあります。何より、そうした多様性を認め合う社風です。
SAPだけでなく、他のテクノロジーに関する知識、コンサルティングスキル、英語力など、必要に応じたトレーニングメニューが提供されているのも特徴ですね。エンジニアはグローバルのトレンドを取り入れた最先端の知見を伸ばすこともできます。
アクセンチュアで活躍している人の特徴を1つ挙げると、心に柔軟性を持っていることでしょう。既成概念に縛られない、「システム導入とはこういうものだ」というような枠組みを自分で決め付けないといったことです。アクセンチュア自身も試行錯誤を繰り返すことで事業を拡大してきました。柔軟性をバネにして成長してもらえればと思います。
――ありがとうございました。
SAP領域で活躍できる人材を目指すメリット、それは「日本を代表するレベルの大企業」のプロジェクトに参画でき、その案件内容も「デジタル変革など喫緊の経営課題の解決」に関わる貴重な経験を多く(そして早く)獲得できる点にある。
そのために必要なことは何か。そうした環境に勇気を持って飛び込むことだ。未経験だからと引け目を感じる必要はない。それは鈴木氏、堀内氏へのインタビューからもお分かりいただけるだろう。
アクセンチュアには未経験からでもクイックに成長できるトレーニングが体系的に整備されており、業務現場はメンバー同士が助け合う文化が浸透している。何より、一人一人の特性、個性を見極めて、キャリア構築への有益なアドバイスを惜しみなく提供してくれるスーパーバイザーの存在は大きい。
冒頭でも述べた通り、SAP人材へのニーズは高く、市場価値は高まるばかりだ。自身のキャリアデザインとして、ぜひSAP人材を選択肢としてみてほしい。
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アイティメディア営業企画/制作:@IT自分戦略研究所 編集部/掲載内容有効期限:2020年8月20日