VMware Cloud on AWS導入で気を付けるべき「バックアップとネットワークの課題」企業側が適切な要件を把握できないケースも

VMware Cloud on AWSはオンプレミスで利用しているVMware vSphere環境をAWSで稼働できるようにするクラウドサービスだ。だが、そのまま利用すると「バックアップとネットワークの課題」にぶつかるという。この課題の解決方法はあるのか?

» 2020年04月07日 10時00分 公開
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オンプレミスからクラウドへの移行を支援

画像 TISの野口氏

 ITシステムのクラウド化を推進する企業は増加の一途をたどっている。その理由は「既存システムに存在する課題を解決したい」と考える企業が多いからだ。既存システムの課題には、例えば情報システム部門を少人数で構成している場合、「障害が発生すると夜中であっても対処しなくてはならず、担当者の負担が大きい」ことや、「オンプレミスで構築したシステムのソフトウェアやハードウェアの定期的なバージョンアップが必要になる」といったことが挙げられる。

 クラウド化が進む中で、特にVMware製品を使って仮想化環境を構築している企業が注目しているのが「VMware Cloud on AWS」だ。オンプレミスの仮想化技術として幅広く普及している「VMware vSphere」がベースとなっているため、クラウド化しても、これまでのシステムとの親和性が高く移行も容易で、アーキテクチャと運用の連続性を維持できるという。

 移行が容易とされるVMware Cloud on AWSだが、幾つか注意が必要だとTISの野口敏久氏(サービス事業統括本部プラットフォームビジネスユニットクラウド&セキュリティコンサルティング部 主査)は話す。

 「『バックアップはサービス側で用意しているはず』という思い込みを持つユーザーは少なくない。だが、VMware Cloud on AWSが提供するサービスには、ユーザーが作ったVM(仮想マシン)のバックアップは含まれていない。別途バックアップソリューションの検討や費用が必要となるが、これを考慮していない企業がかなり存在する」

画像 TISの瀧内氏

 同じくTISの瀧内権輔氏(サービス事業統括本部プラットフォームビジネスユニットクラウド&セキュリティコンサルティング部)はネットワークに関する注意点に触れた。

 「オンプレミス環境とAWS環境を連携する際のネットワーク構成は若干複雑だ。ネットワークの接続方法や回線帯域などを検討する際に、これまでキャリアに任せていたため企業側で適切な要件を把握できないケースがある」

 TISは2010年からVMwareの上位パートナーとしてサーバ仮想化の導入や移行を手掛け、2015年からは「AWSプレミアコンサルティングパートナー」としても企業のクラウド活用支援を進めている。そのため、ネットワークやバックアップについての知見が豊富だという。

 それぞれの問題について解決方法を聞いた。

バックアップとDRの課題を解決する「Druva Phoenix」

 VMware Cloud on AWSのバックアップの問題となるのがライセンスだ。採用するバックアップ方法によっては、別途AWSと契約が必要になったり、バックアップサーバのソフトウェアライセンスも考慮したりする必要がある。しかも、バックアップは取得する数が増えるほど必要な容量も増えるため、変動費として考えなくてはならない。予算内に収まるかどうか把握しづらいという問題が生まれる。

 さまざまなベンダーからバックアップソリューションが提供されているが、その多くは大規模ユーザー向けとなっている。一般的に運用リソースが確保しにくい中堅規模の企業に向けたソリューションは比較的少ないのが現状だ。そこでTISはこうした課題を解決できる「Druva Phoenix」というサービスを提案している。

画像 バックアップ構成イメージ(AWSの場合)《クリックで拡大》

 Druva Phoenixは、物理サーバと仮想サーバのクラウドバックアップを行うサービスだ。Amazon S3(Amazon Simple Storage Service)を活用している。クラウドを利用しているため、ハードウェアやソフトウェア更新などインフラの保守作業は不要だ。使用する容量によって課金される従量課金制を採用しており、「バックアップ環境を整える初期費用はもちろん、運用管理コストも抑えられ、TCO(総保有コスト)を大幅に削減できる」と野口氏は話す。

 バックアップデータはまずAmazon S3 (ウォームストレージ) に保存する。そのデータを保存ポリシーに基づいて「Amazon S3 Glacier Deep Archive」 (コールドストレージ) に自動で移行する。この仕組みのおかげでシームレスにアーカイブデータを生成できる。

画像 バックアップ構成イメージ(Druvaの場合)《クリックで拡大》

 クラウドにデータを保管する場合、帯域制限を考慮する必要がある。Druva Phoenixはクライアント側で全てのデータを重複排除し、クラウドへのデータ送信に必要な帯域を最適化するという。重複削除は過去のデータも含め全データを対象に実施し、バックアップの高速化を実現している。

 気になるセキュリティ面については、独自の「エンベロープ暗号化」と「データスクランブル化」を採用しており、鍵を管理しなくても適切なセキュリティでデータをクラウド内に保管できる仕組みだ。クラウドネイティブのデータ保護サービス「Druva inSync」を活用すれば、従業員PCや「Office 365」などのSaaS上のユーザーデータを自動バックアップしたり、データを復元したりできる。さらにデータの可視化や分析なども可能になる。

 Druva Phoenixのバックアップ先は自由に指定できる。日本のユーザーでも海外、例えばシンガポールなどの遠隔地をバックアップ拠点として選択できる。ポータルはクラウドに置かれているため、適切にバックアップが実施されているかどうか、スマートフォンからでも簡単に確認できるという。

 「特に多店舗展開している企業の場合、店舗と基幹の情報システムを同時に担当している管理者が多く、移動時間も有効に使いたいと考えている。こうした管理者にとっては、スマートフォンからポータルにアクセスして監視できることは大きなメリットだ」と瀧内氏は話す。

 オプションとして、DR(ディザスタリカバリー、災害復旧)機能も提供している。クラウドベースのDRであるため別途インフラを用意する必要がない。有事の際には事前に取得していたVMのスナップショットを顧客のAmazon VPC(Amazon Virtual Private Cloud)へ展開し、仮想サーバ、つまりAmazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)として立ち上げる。そこにフェイルオーバーさせることで、DRサイトを高速でセットアップできるという。

 「最小限の管理でDR環境を運用でき、数分以内のRTO(目標復旧時間)を実現できる。これまでDRに手が回らなかった企業でも、Druva Phoenixを採用することでDR対策ができる。バックアップだけではなく、DRも含めて検討できるのがDruva Phoenixの最大の特長だ」と野口氏は説明する。

TISが独自提供するコンサルティングサービス

 TISは、AWSとVMwareの取り扱い実績が豊富なことから、VMware Cloud on AWSの国内展開が始まった2018年11月から「VMware Cloud on AWS導入支援コンサルティングサービス」を提供している。

 同コンサルティングサービスには、「導入支援サービス」「運用支援サービス」「請求代行サービス」「ネットワークパック」「PoC(概念実証)パック」「VDI導入・運用サービス」といった幅広いメニューが用意されている。

 導入支援サービスは、TISのエンジニアがアセスメントから調達、環境設計、構築までを一元的に支援する。運用支援サービスは、サービスデスクやネットワーク監視、仮想マシンやAWS環境の運用など、メニューを自由にカスタマイズでき、総合的な運用代行にも対応する。請求代行サービスは、VMware Cloud on AWS利用料の請求をTISが代行し、通常のクレジット購入形式に加えて月額利用形式でも提供可能とする。

 ネットワークパック、PoCパック、VDI導入・運用サービスは、2019年11月に新たに追加したサービスだ。ネットワークパックは、TIS推奨の回線や通信機器を含むネットワーク設計のベストプラクティスを提供する。PoCパックは、3パターンのPoCプランをもとに企業の事前検証の計画や実施を総合的に支援。オンプレミスとの連携方式、バックアップ、セキュリティなどの項目を、個別の環境や検証目的に合わせ最適な検証プランとして提案する。VDI導入・運用サービスは、仮想デスクトップ基盤となる「VMware Horizon 7 on VMware Cloud on AWS」の導入と運用を支援するサービスだ。

 ネットワークパックについて瀧内氏は次のように説明する。

 「導入コンサルティングにおいて企業の要件を聞き、TISのネットワーク設計のベストプラクティスが適応できると判断した場合、回線や通信機器も含めてパッケージとして提供する」

 企業内部のネットワーク部門や外部の通信キャリア、データセンター事業者との折衝も含め、TISのエンジニアが支援することで、基盤担当者の負担を軽減できるという。

バックアップも含めた運用負荷の軽減へ

 野口氏によると、中堅または小規模の企業で、運用負担の大きさからVMware Cloud on AWSを検討するケースが増えているという。

 「情報システム部門には数人しか在籍していないのに、仮想サーバを100台規模で運用しているというケースがある。こうした状況から脱却するためにVMware Cloud on AWSを採用し、運用の負担軽減を目指す企業が多い」

 TISは、ハイブリッドなクラウド環境を包括的にサポートする運用サービスを長年にわたって提供してきた。その対応プラットフォームの一環としてVMware Cloud on AWSの導入コンサルティングサービスを展開しているが、TISとしては「顧客の要件に合うクラウド環境を提案している中でVMware Cloud on AWSの位置付けは大きいと感じている」と野口氏は話す。瀧内氏も、「特にDruva Phoenixによるバックアップは、TISが他社のサービスと差別化できる点だ」として、バックアップも含め運用面を総合的にサポートできる点を強調した。

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提供:TIS株式会社、ヴイエムウェア株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2020年5月6日

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