レッドハットのコンテナ基盤「OpenShift」、今後のエコシステム拡大の焦点はISVにある企業ITの未来はコンテナ上に作られる

日本国内における「OpenShift」のエコシステムが急速に拡大している。国内大手ITベンダーがこぞってマネージドサービスを提供し、DX支援に力を入れ始めた。今後の焦点は、ビジネス変革につながるソフトウェアが、OpenShiftでどこまで豊富に提供されていくかにある。

» 2020年07月30日 10時00分 公開
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 「Red Hat OpenShift Container Platform(以下、OpenShift)」のエコシステムが、急速な広がりを見せている。OpenShiftを採用したインフラ、サービスが増え、さらにOpenShiftへの対応を進めるソフトウェア開発ベンダー(ISV)が増加している。

 企業におけるコンテナ基盤の代名詞として、多数の国内システムインテグレーションベンダーがOpenShiftを顧客に提案している。これに加えて注目したいのは、サービスとしての提供の広がりだ。

 OpenShiftの勢いを端的に示しているのは、「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform(GCP)」「IBM Cloud」など、世界の最大手のクラウド事業者がこぞってサービス化していることだ。このような事業者のほとんどは、自社で「Kubernetes」によるコンテナサービスを運営している。それに加えてOpenShiftにもサービスを提供していること自体、OpenShiftへのニーズがどれだけ強いかを明確に示している。

 さらに日本のユーザー組織にとって心強いのは、伊藤忠テクノソリューションズ、NTTコムウェア、NTTデータ、NEC、日本IBM、野村総合研究所、日立製作所、富士通という、大手IT企業が続々と、OpenShiftのマネージドサービスを提供し始めていることだ。大手IT企業がOpenShift環境の構築支援と、サービスとしての提供を拡大することで、顧客にとってオンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッド環境など、選択肢は大きく広がる。

 ここで、「Red Hat OpenShift Managed Practice Program」という興味深い取り組みがある。これは、マネージドサービスを提供する企業を対象とした日本独自のパートナープログラムで、主要な活動の一つに、レッドハットとパートナーのSRE(Site Reliability Engineer)の間での情報共有がある。レッドハットは技術ワークショップや勉強会を通じて、自社のマネージドサービスで蓄積した運用ノウハウやベストプラクティスをパートナーのSREと共有する。SRE自体がまだ新しい概念であるため、SREそのものについてのベストプラクティスに関する情報共有も進めている。

 こうして、クラウドネイティブなITインフラを支えるエンジニアのすそ野を広げ、将来はさらにその輪を広げていくことが期待できる。

なぜOpenShiftが注目されているのか

 では、OpenShiftはなぜ注目されているのか。理由は幾つかある。

 まず、これからのITインフラは、Kubernetesによるコンテナ基盤であるという認識が広がっていることだ。Kubernetesを中心としたクラウドネイティブ関連のオープンソースプロジェクト群が急速な進化を遂げ、テクノロジー企業にとってはITインフラの常識になりつつある。これを受け、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めたい一般企業における採用が相次いでいる。一般企業は、先駆的なテクノロジー企業が活用するコンテナ環境を採用し、併せて開発体制を変えていきたいと考えている。

 とはいえ、ほとんどの一般企業はテクノロジー企業と異なり、オープンソースソフトウェア(OSS)のKubernetes基盤を使いこなすエンジニアを雇うわけにはいかない。安定稼働やセキュリティ、使い勝手などの点で安心でき、サポートが受けられるようなサービスが必要だ。OpenShiftはKubernetesに基づく企業向けのコンテナ基盤として、こうしたニーズに応えている。

 さらに重要な点として、OpenShiftは単なるKubernetes基盤ではないということが挙げられる。DXを進める企業が必要としているのは、コンテナを用いて自社のビジネスを駆動するアプリケーションを開発し、運用し、活用することだ。

 そこでレッドハットはソフトウェアの開発プロセスを近代化するツールやミドルウェアをOpenShiftに搭載し、併せて企業の開発組織を変えていくためのワークショップやコンサルティングサービスを提供してきた。こうした取り組みの結果、ますます多くの企業が「DX」「コンテナ」「OpenShift」を結び付けて考えるようになってきた。

今後の焦点はソフトウェアのエコシステムにある

 今後ユーザー企業がDXを推進する上で、前述の「OpenShiftは単なるKubernetes基盤ではなく、企業のビジネスを駆動するアプリケーションを開発し、運用し、活用する」ための環境としての役割を果たしていくことが、とても重要だ。ユーザーが豊富な選択肢の中からアプリケーションやミドルウェアを選び、これを即座に活用できるようにするための環境を整備していく必要がある。

 ISVもコンテナ対応やコンテナへのマイグレーションが必要な時期に来ている。ユーザーの利用が進むコンテナ上での稼働への対応が必要となり、中にはユーザーのニーズを素早く製品に取り込む必要があり、開発体制そのものをコンテナに適した開発体制に変える必要性がある場合もある。

 このため、レッドハットは、ソフトウェア開発ベンダー(ソフトウェア開発パートナーとシステム開発の現場)による既存アプリケーション/ミドルウェアのコンテナ化、あるいはコンテナベースの新規アプリケーションの開発や提供を、さまざまな形で支援している。

  • 開発検証用のサブスクリプションを無償提供
  • パートナー向けのオンライントレーニングサイト「Online Partner Enablement Network(OPEN)」の提供
  • ナレッジベースへのアクセス
  • 製品の認定
  • 共同マーケティング

 「従来、自社の製品を仮想マシン形式などで提供してきたISV(独立系ソフトウェアベンダー)の間では、コンテナ市場がどう広がるかが見通せず、自社のソフトウェアのコンテナ化に踏み切れないという声が聞かれます。しかし、これでは『鶏が先か、卵が先か』の状態になってしまいます。レッドハットとしては、ソフトウェア開発ベンダーの収益化支援が急務だと考え、具体的な活動を進めています」(レッドハット パートナー・アライアンス営業統括本部 クラウド・ISVパートナー営業本部 ISVビジネス開発 三島匡史氏)

レッドハットは、ソフトウェア開発ベンダーによるコンテナ対応の道筋を、段階的に支援している

 レッドハットが実施してきた活動は、大きく3つある。

  • 「OperatorHub.io」

 「Operator」は特定アプリケーションのための設計パターン定義だ。これにより、対象アプリケーションのインストールや初期設定、アップデート、バックアップなどを自動化できる。

 こうしたOperatorをユーザーが見つけやすくするためのカタログ機能を果たしているのが「OperatorHub.io」だ。商用製品のOperatorであっても、GitHub上の「Community Operators Repository」への登録が認められれば、自動的にOperatorHub.ioに掲載される。費用はかからない。

 OperatorHub.ioはレッドハットが、Amazon、Microsoft、Googleと共に開設し、運用している。ソフトウェア開発ベンダーは自社のコンテナベースのソフトウェアを露出させる場として、OperatorHub.ioを最大限に活用できる。

  • 「Red Hat Ecosystem Catalog」

 OperatorHub.ioは一般的なコンテナソフトウェアのカタログだ。一方、ソフトウェアとその「Operator」にRed HatがOpenShiftに特化した認定を与えることで、Red Hat Ecosystem Catalogにも認定製品として掲載できるようになる。これにより、OpenShiftユーザーの目に直接触れるチャンスが生まれる。

Red Hat Ecosystem Catalogでは、OpenShift上で、認定Operatorを用いたデプロイが可能
  • 「Red Hat Universal Base Image」の無償提供

 ソフトウェア開発ベンダーは、「Red Hat Universal Base Image(UBI)」を用いて自社ソフトウェアのコンテナ化を行い、上記の認定とカタログ化につなげることができる。UBIは「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」をベースとした最小構成のコンテナイメージのことで、レッドハットがメンテナンスしている。このコンテナイメージをソフトウェア開発ベンダーは、コンテナソフトウェアの基盤として無償で自由に利用でき、再配布も可能である。さらにRHELのkernelを除く全てのRPMパッケージを利用することまで可能となっている。UBI部分はレッドハットによるサポートを受けることができ、セキュリティなど高い品質が求められる環境においても製品を提供可能となる(保守を受けるには、別途サブスクリプションの購入が必要)。

「Red Hat Marketplace」でユーザー主導のソフトウェア流通へ

 最新のニュースがある。2020年4月末にレッドハットが年次イベント「Red Hat Summit 2020 Virtual Experience」で技術プレビュー版を発表した「Red Hat Marketplace」だ。現在は北米のみの提供となっているが、日本を含む他の地域でも順次提供開始を予定している。

 Red Hat MarketplaceはOpenShiftを利用する企業内開発者を支援するために生まれた。クラウドネイティブ時代の開発者は、機動的にソリューションを構築し、クラウド、オンプレミス、エッジなど、あらゆる場所にデプロイできなければならない。また、Kubernetesアプリケーションについても、構築やデプロイ、管理をスケールさせる形で実行できなければならない。開発者は、企業における利用に適した認定済みのソリューションを容易に見つけ、迅速に調達し、即座に導入して、活用できなければならない。

Red Hat Marketplaceが目指していることの一つは、ユーザーがソフトウェアを自ら調達し、どこへでも迅速にデプロイできる仕組みの提供だ

 Red Hat Marketplaceは、文字通りの「マーケットプレイス」だ。ユーザー企業の開発者は、レッドハットとサードパーティーソフトウェアベンダーによるOpenShift認定ソフトウェアを検索し、認定レベルなどの詳細情報をチェックできる。画面上のボタンをクリックすることで、無料トライアルや購入へと即座に進むことができる。デプロイは、OpenShiftのパイプラインを通じ、認定Operatorを活用して自動化できる。

 「ソフトウェア市場は大きく変わろうとしています。今後はアプリケーションを構築する人たちが、どのようなプラットフォーム上でも使えるソフトウェアが求められます。また、スピードが求められるクラウドネイティブな開発の世界では、ライセンスなどに手間や時間をかけることなく、自動化によって迅速にソフトウェアを活用していく必要があります。ISVの皆さまには、こうした時代の流れに取り残されないよう、ぜひRed Hat Marketplaceに参加していただきたいと考えています」と、三島氏は話している。

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提供:レッドハット株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2020年8月12日

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