AI活用のハードルを一気に下げる、AutoMLツール最前線人材、ノウハウがなくても大丈夫

攻めと守りの両面で、規模や業種を問わず不可欠になりつつあるAI活用。もはや「PoC止まり」も許されなくなりつつある今、各種制約がある中でもプロジェクトを進められる方法とは。

» 2020年07月15日 10時00分 公開
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AIの本格導入が始まった

 AI(人工知能)活用が一般企業にも広がりを見せつつある。これまでは一部の先進企業における研究開発やPoC(概念検証)に限られるケースが多かった。だがここにきて、業種や規模を問わず、多くの企業がさまざまな分野でAIの取り組みを加速させている。

 例えば、生産設備や製造装置における予防/予知保全だ。装置に振動センサーを取り付け、その信号をAIで分析し、ラインで発生する機械の故障を事前に予測する。その他、購買履歴を基に顧客分析などに役立てている小売業、道路や橋梁(きょうりょう)などの設備メンテナンスに活用している建設業、SNSデータ分析などマーケティング活動に利用しているサービス業、ゲノム解析に活用している医療機関など、AI活用は幅広い業種に及んでいる。

 これには大きく2つの理由がある。1つはITインフラの進化だ。AIによる分析処理にはGPUを中心に膨大な計算リソースが必要だが、社内で賄うには多大なコストがかかっていた。そこでクラウドという外部リソースを活用するようになったが、今度はクラウド活用の専門ノウハウが必要になった。そんな中、近年は高性能なGPUを搭載したエッジサーバが開発されたことで、重要データをクラウドにアップロードすることなく、よりスピーディーかつコスト効率の良いAI処理が可能になってきたのだ。

 もう1つの理由は、AIモデルの作成が容易になったことが挙げられる。AIのメリットの1つは、信号や画像などから人では判別できない違いを素早く見つけられることだ。こうした分類のために作成するのがAIモデルだが、以前はAIモデル作成のためにデータサイエンティストのような専門家の力が必須だった。

ALT H2O.ai
Head of Japan Sales
浅倉靖之氏

 それが近年は、データサイエンティストの分析作業を省力化したり、データサイエンティストの代わりになったりするようなツールが提供されるようになった。こうした機械学習(ML)を自動化するツールは「AutoML(Automated Machine Learning:自動化された機械学習)ツール」と呼ばれ、人材やスキルの獲得が困難だった企業でもAI活用に着手できるようになってきたのだ。

 AutoMLツール「H2O Driverless AI」(以下、Driverless AI)を提供するH2O.aiの浅倉靖之氏(Head of Japan Sales)は、こう話す。

 「ハードウェア、ソフトウェアの両面からAI活用の基盤が整備されてきました。当社は2019年から日本での営業活動を本格化していますが、既に20社を超えるお客さまに採用いただいています。AIが本格的な普及期に入っていることを実感しています」(浅倉氏)

AI/MLの取り組みで直面する3つの課題

 H2O.aiは2012年に米国シリコンバレーで創設されたAI企業だ。主力製品であるDriverless AIの他、そのオープンソースソフトウェア(OSS)であり、R/Python/Scalaを使ったAI処理が可能な「Sparkling Water」、データプリパレーション(準備)や可視化のためのツール「H2O Q」、AIモデル運用を支援するプラットフォーム「H2O ModelOps」を開発、提供している。

ALT H2O.aiが提供するAIプラットフォーム(出典:H2O.ai)《クリックで画像を拡大》

 また、日本での展開に当たってDell Technologies(以下、デル)とパートナーシップを結び、デルのハードウェア上でDriverless AIの性能が最大限に発揮できる状態にしているという。デルの山口泰亜氏(Dell Technologies インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 ソリューション本部 シニアシステムエンジニア)は、協業の狙いについてこう話す。

ALT Dell Technologies
インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括
ソリューション本部
シニアシステムエンジニア
山口泰亜氏

 「AIは世界中の企業が進めている取り組みです。お客さまが直面する課題は共通するものも多く、さまざまな解決策を共有することで、取り組みをスムーズに進めることができます。デルとH2O.aiはグローバルレベルで協業して、多くのお客さまをご支援してきました。そこで得た知見やノウハウを日本企業の皆さまにも提供できるようにしているのです」(山口氏)

 両氏によると、企業がAIやMLを推進する上で直面する課題は大きく分けて3つに分類できるという。1つ目は「AI人材の獲得・教育」だ。AIモデルを構築するのはデータサイエンティストだが、人材不足が続く中で、専門家を獲得することは容易ではない。

 「AIをビジネスで活用するためには業務知識が必須です。データサイエンティストを獲得できても自社の業務を教えることが不可欠となります。事業部門からデータサイエンティストを育成することも考えられますが、その場合、Pythonや統計学などデータサイエンスに必要な知識や経験を養っていく必要があります。いずれにしても長い時間と手間がかかります」(浅倉氏)

 2つ目は「業務への適用」だ。AIモデルを構築できても、実業務に適用できなければ意味がない。そこで「専門知識やスキルを持たない担当者でもAIモデルを使いこなせること」が求められる。

 3つ目は「スピード感を保ち続けること」。分析や機械学習を高速処理できることはもちろん、ビジネスニーズに機敏に反応できること、ビジネス環境の変化にも素早く対応し続けることが求められる。

 「AIモデルの構築もトライ&エラーの世界です。どのアルゴリズムがふさわしいかを探るのには時間がかかります。選択したアルゴリズムを実行する計算リソースも必要ですし、ビジネス環境が変化したら、それに合わせて適切なアルゴリズムやモデル、インフラを選択し直すことが重要になるのです」(山口氏)

Driverless AIがユーザー企業にもたらす3つの価値

 デルとH2O.aiが共同展開するソリューションのDriverless AIは、上記3つの課題を解消するものだ。具体的には3つの特徴があるという。

 1つ目は「GPUを利用できるAIモデリングツールであること」。AIモデリングツールは、準備されたデータセットからさまざまなアルゴリズムを適用して特徴量を抽出する。その際、CPUだけでなくGPUを利用できると、線形モデル(GLM)といった統計モデル、分散ツリー、GBM(Gradient Boosting Machine)などの樹形モデル、Deep Neural Networks(多層パーセプトロン)を使った複雑なアンサンブルモデルを高速に構築できる。これにより、業務への適用をスピードアップできる他、統計学やPythonプログラミングなどの深い知識がなくても利用できるため、人材獲得の課題も解消できる。

ALT Driverless AIはさまざまな機能・特徴で機械学習を自動化し、業務への適用をスピードアップするとともに、人材獲得の課題も解消する(出典:Dell Technologies)《クリックで画像を拡大》

 2つ目は「作成したAIモデルをオフラインに展開して利用できること」。これにより、AIモデルをダウンロードしてスマートフォンアプリに組み込んだり、自動販売機のシステムに組み込んで商品の需要を予測したりすることが可能になる。すなわち、エッジサーバやIoT(Internet of Things)デバイス側でAIを活用できるため、ネットワークの制約を受けにくくなり、幅広い業務での運用が可能になる。

 3つ目は「継続的な機能改善が可能なこと」。AIモデルは一度作成したら一定期間使い続けることが基本。だが環境変化のスピードが速くなると、作成したモデルが陳腐化するのも早くなる。そこで継続的にモデルを入れ替えたり、不足している機能を補ったりして、AIモデルを改善していくことが重要になる。

 Driverless AIはこうした新たなビジネスニーズが発生した場合に、「レシピ」と呼ばれる機能(Pythonコード集)をアドオンできる。さまざまなレシピが公開されており、それらを活用することで、顧客企業に合わせたオーダーメイドのAIシステムを迅速に構築することも可能だという。

 「つまり、Driverless AIはビジネススピードに追随できるアーキテクチャを備えているわけです。GPUで動くAIモデリングツールであること、オフラインにデプロイしてさまざまな業務に適用できること、足りない機能をレシピで拡張できること――この3つは、競合他社にはない特徴だと考えます」(浅倉氏)

專門的なスキルや知識が必要なく、ミニマムな予算でもチャレンジできる

 こうしたDriverless AIの特徴を最大限に引き出すハードウェアを提供するのがデルだ。デルはH2O.ai向けのリファレンスアーキテクチャを公開しており、検証済みソフトウェアとしてH2O.aiのデータサインエンスツール、MLツールを提供。

 また、検証済みハードウェアとして、2Uラックの2ソケットサーバ「Dell EMC PowerEdge R740xd」を提供し、Intelの機械学習ライブラリ「Intel Data Analytics Acceleration Library」(Intel DAAL)のレシピを使って、性能がどの程度向上するのかを公表している。それによると、機械学習のトレーニングプロセスは、比較対象のアーキテクチャに比べて11.7倍も高速化されたという。

ALT デルが提供しているGPUサーバのポートフォリオとAI環境向けストレージ(出典:Dell Technologies)《クリックで画像を拡大》

 「リファレンスアーキテクチャでは、汎用(はんよう)的なPowerEdgeサーバを用いることで、ビジネス用途での使いやすさを向上させています。検証済みのため導入が早く、安心、簡素化、高速といったメリットを確実に得られることが特徴です。また、デルの強みはそれらに加え、AI向けのGPU専用機や、AIの取り組みで活用できるオールフラッシュNAS(Network Attached Storage)などのストレージ製品を、幅広いラインアップで提供していることにあります」(山口氏)

 具体的には、GPU専用機として最大4基のGPUをサポートする高密度1Uサーバ「Dell EMC PowerEdge C4140」や、「NVIDIA Tesla V100」を最大10基搭載する機械学習用サーバ「Dell EMC DSS8440」がある。ストレージ製品としては、膨大なデータを効率良く蓄積、収集できるオールフラッシュNAS「Dell EMC Isilon」を用意。さらに、NVIDIAと協業して展開する「Dell EMC Ready Solutions for AI」などのソリューションも用意している。つまり、AI活用をスモールスタートして、ビジネスの成果に応じて必要なインフラをワンストップで拡張していける体制を整えているのだ。

 「国内では東京・三田にあるカスタマーセンター内の『Dell Technologies AI Experience Zone』に、H2O.aiのデモ環境を用意しています。お客さまのデータを持ち込んで検証していただくこともできるので、AIの効果を実際に体験できます」(山口氏)

ALT 企業のAI導入を推進するデルの「Dell Technologies AI Experience Zone」(出典:Dell Technologies)《クリックで画像を拡大》

 もっとも、AI活用は未着手で何から始めればよいのか分からないという企業も少なくない。山口氏は「そうした悩みを受けて、デルでは導入目的の明確化から、必要なインフラ、ライブラリ、AIフレームワークの選定、活用までを支援します」と話す。

 「AIの取り組みが本格化するのはこれからです。今このタイミングでも決して遅くはありません。以前は『Pythonや統計学が分からないから不安』という声もありましたが、今はそうした知識がない方でも使えるツールがあります。まずはデルに相談してください」(山口氏)

 浅倉氏も「專門的なスキルや知識は必要なく、ミニマムな予算でもAI活用にチャレンジできるようになりました。大事なのは、まず足を踏み出すことです。これによって3年後には望む成果が得られるはずです」と訴える。

 冒頭で述べたように、AI活用は規模や業種を問わず、企業にとって不可欠になっていくことは間違いない。デルとH2O.aiが展開するAutoMLソリューションは、AI活用への第一歩を踏み出す上でも、現在のAIプロジェクトを加速させる上でも、大きな力になるだろう。


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提供:デル・テクノロジーズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2020年8月14日

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