テレワークなどで急増するクラウドニーズにより、“初めてのクラウド移行”や“急を要するコストの最適化”に悩む一人情シスは少なくない。現在の企業には、クラウドの利点を生かしつつ、既存の人材・スキルで運用できる仕組みが必要だ。この相反するようなニーズに応えるクラウドサービスがあるとしたらどうだろうか。2ノード構成も可能になり、災害対策用のサービスも強化する予定だという、そのサービスのメリットをあらためて整理しよう。
近年の日本企業は、ITのクラウド化が急ピッチで進められている。特に2018年の日本政府による「クラウド・バイ・デフォルト原則」の発表以降、公共含めてこの流れが加速している。クラウドサービスの持つ迅速性、柔軟性、自動化を含む運用性の他、信頼性やコスト効果などが高く評価されたためと推測できる。
さらに2020年の世界的な新型ウイルス感染症のまん延によって社会機能がマヒし、事業活動にも大きな制限が設けられたことから、BCP(事業継続計画)対応の強化を図ろうとする企業が増えた。また従業員の環境も大きく変わり、テレワークなど新しい労働スタイルに対応しようという動きも活発化している。結果、IT投資の先をこうした変化に適したものへと見直そうという経営者が増えている。端的に言えば、従来型のオンプレミスシステム/データセンターから、クラウドサービスへの転換だ。
クラウドニーズの急激な増加について、最も悩んでいるのはIT担当者だ。幾つもの課題を抱えて、解決の道を模索している読者も少なくないだろう。
特に大きな課題は「管理負担の増大」である。そもそもIT管理者は人材不足で、ごく小規模な組織であることが多い。小さな企業では「一人情シス」といわれる状況が大半で、他の業務を兼務していることすらある。もしここにクラウドサービスという新しいITを取り入れようとしても、現担当者に余裕などない。新たな担当者を雇用したくとも、長期間かかる上にコストも増大する。
国内や海外に拠点を持つ企業であればなおさらだ。遠隔拠点に専任のIT担当者を配属させる組織は“まれ”であり、現地担当者ではクラウドサービスの管理を委任するのは難しい。統制が取りにくいため、セキュリティやコンプライアンスに大きな問題を抱えてしまう恐れもある。
クラウドサービスは、急なITリソース要求へ対応しやすく、また将来の拡張性にも優れているのが大きな利点の一つだ。開発や検証などの目的で一時的に増設したいというようなニーズにも柔軟かつ迅速に応えられる。とはいえ、既存のオンプレミス環境と大幅に異なるため、IT担当者が不慣れだと理想通りにはいかないのが難点である。迅速な対応を期待するならスキルアップが必須で、ここでも相応の時間やコストがかかることになる。
そこで、ヴイエムウェア ソリューションビジネス本部 クラウドサービス統括部 クラウド戦略推進部 リード クラウド セールス スペシャリスト 千原義範氏は、『VMware Cloud on AWS』が役に立つとする。
「クラウドサービスを最大限に活用するためには人材やスキルの強化が欠かせません。しかし現在の企業には、クラウドの利点を生かしつつ、既存の人材・スキルで運用できる仕組みが必要なのです。この相反するようなニーズに応える、つまりクラウド独自の専門知識がなくてもすぐに使いこなせるのが、VMware Cloud on AWSです。多くのIT技術者が習得しているVMwareのテクノロジーを、そのままアマゾン ウェブ サービス(AWS)上で利用できます」(千原氏)
VMware Cloud on AWSは、AWSとの共同開発で誕生したVMwareによるマネージドサービスである。AWSのベアメタルサーバとそれに付帯する利用料(スペース、電気代、作業費など)、「VMware Cloud Foundation」をベースとした「VMware vSphere」「VMware NSX」「VMware vSAN」のライセンス、および、それらのサポートやアップグレードなどの運用保守がセットになっている。
オンプレミスでVMware環境を運用している企業ユーザーにとって、大きく8つのメリットがある。
特に、移行や運用についてのメリットとして、千原氏は以下の点を挙げる。
メリット1については、VMware Cloud on AWSの運用管理はオンプレミスのVMware環境と同等であるため、新しいスキルを得なくとも従来通りに運用することができる。既存のアプリケーションも環境が同じであるため、そのまま稼働する。ネットワーク設定などの改修は必要だが、たいていは軽微で済むはずで、クラウドサービスへ格段に早く移行することが可能だ。これは逆もしかりで、今後何かしらの理由でオンプレミスに戻す場合も非常に有効である。
また、メリット2についてはさらに見逃せない。メリット1に加え、L2延伸も利用することで、IPアドレスを変更せずに稼働させたり、移行したりすることも可能だ。これはIPアドレスを変えることのリスクを大幅に減らせる他、当時開発した担当者が不在の場合でも、いったん、最短でクラウドにリフトできるため、IT管理者の負担を大幅に軽減できる。
メリット5について千原氏は「インフラの運用は、VMwareが担当します。仮想化環境はもちろん、AWSで稼働するハードウェアレベルまでサポートするため、お客様はアプリケーションやデータ、認証、OS、論理ネットワーク、カタログなど自社システムの運用に集中できます」と話す。
マネージドサービスであるため、仮にベアメタルサーバに障害が発生したとしても、運用負荷はもちろん費用負担も増大しない。クラスタを構成するホストに障害が発生した場合、自動的に新しいホストが約12分で追加されてワークロードをフェイルオーバーし、問題のあるホストを自動的に取り除く処置がなされる。つまり一時的にホストが増えることになるが、この費用はVMwareが負担する。
また、「VMware vRealize Operations Cloud」「VMware vRealize Log Insight Cloud」「VMware vRealize Automation Cloud」などの運用支援・運用自動化ツールもオプションで対応しており、高度なハイブリッドクラウド環境にも対応できる。オンプレミスの「VMware vRealize Operations」ライセンスを持ち込むことも可能とのことだ。その他、機械学習やAIなどAWS側で提供されるサービスに直接アクセスできることも今後、よりクラウドを活用していく上で大きなメリットとなるだろう。
そしてVMware Cloud on AWSを選ぶメリットとして、メリット8の多くの国・地域に拠点(リージョン)が広がっている点を挙げたい。地方拠点や海外拠点で利用するシステムの運用やセキュリティ/コンプライアンス管理が、クラウド化における課題の一つである。VMware Cloud on AWSであれば海外展開も容易で、統合的に運用でき、後述する小規模拠点向けの構成も選択できる。拠点の多い企業には特にお薦めだという。
2020年7月、VMware Cloud on AWSのサービスメニューに新しく「2ノード構成」が追加された。2017年のリリース当初は4台、最近では3台が最小構成であったが、さらに小さな環境でも利用できることになる。
「VMware Cloud on AWSで採用されているベアメタルインスタンスタイプ(i3.metal)はなかなかにパワフルで、4〜5年前から稼働している3〜4ホストのクラスタであれば十分にカバーできるスペックを持っています。そのため、約3年前に本サービスが提供開始されて以降、とても多くのお客様やパートナー様より2ノード構成のご要望をたくさん頂いており、ようやく実現する運びとなりました。時間単位での柔軟な課金方式に加え、お得な長期プラン(1年・3年)も用意されています。私たちの試算では、高品質なマネージドサービスであることや、移行にかかる時間やその工数を考えてもオンプレミスと同程度のコストに抑えることが可能です。また小規模拠点や支店などのシステムをクラウド移行したい場合、段階的なクラウド化やスモールスタートを考えている場合などにぴったりの構成です」(千原氏)
もちろん2ノードだからといってサービス品質が低下することはなく、3ノード以上の構成と同様のSLA(サービス品質保証)で提供される。また、VMware Cloud on AWSを試したいユーザー向けに、PoC(概念実証)専用のシングルノード(1カ月間のみ)も用意されているため、ぜひ積極的に活用したいところだ。
今後、VMwareでは、災害対策用のサービスも強化する予定だ。一例としては、バックアップ(セカンダリー)用途に適したストレージ容量の大きなベアメタルサーバ(i3en.metal)の対応を計画していることが挙げられる。その他、最近ではDRaaS(Disaster Recovery as a Service)でリードするDatriumを買収し、よりコスト最適化が図れる災害対策用ソリューションを提供予定とのことで、将来的にはAWS上でVMwareを最大限に活用できるようにしたいという。
「クラウドサービスへの移行は確かに効果的ではありますが、人材や時間、費用などで難しい面もあります。クラウドのメリットを生かしながら、スキルやアプリケーションなどの既存資産を有効活用することが、ビジネスにスピードを求められている今、まさに必要ではないでしょうか。VMware Cloud on AWSは約3年にわたるお客様との豊富な経験からすでに実利用に適した機能を多く実装しています。また、VMwareによるマネージドサービスであるためハードルが低く、“初めてのクラウド移行”や“急を要するコスト最適化”などに最適なサービスです。企業競争力の維持・強化に、ぜひ有効活用してください」(千原氏)
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2020年9月7日