ハイブリッド/マルチクラウドをうまく活用できないのはなぜか――安心、安全を実現する方法とは「クラウド活用の課題」を今すぐ解決するには

ビジネス、働き方に新しい在り方が求められ、それを支えるITシステムにも変革が促されている。そのカギとなるのがクラウドだ。ビジネスニーズをより適切に実現する上では、複数のサービスを使いこなすハイブリッド/マルチクラウドのアプローチが求められる。だがスキルや予算に限りがある中、ミッションクリティカルシステムを多数持つ組織の場合、どうすればビジネスニーズを実現できるのか。金融、自治体をはじめ多数の支援実績を持つNTTデータに聞いた。

» 2020年09月28日 10時00分 公開
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コロナ禍で必須になったハイブリッド/マルチクラウド運用

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を受けて、対面を前提としたビジネスの在り方は大きく変わった。リモートワークをはじめ、あらゆるビジネスコミュニケーションでは「ITを介する形」が一般化し、多くの企業がビジネスの在り方、働き方そのものの見直しを迫られている。

 こうした中、ビジネスを支えるITシステムにも変革が求められている。その大きなカギとなるのがクラウドだ。ここ数カ月でWeb会議などのSaaS(Software as a Service)利用が伸長したように、必要なITリソースをいつでもどこからでも必要なだけ使える点で、経営環境変化にも対応しやすい。

NTTデータの本橋賢二氏

 無論、既に多くの企業がクラウドを利用している。2018年6月には政府が「クラウド・バイ・デフォルト原則」を掲げたり、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)を公表したりと、企業はもちろん国や自治体でも活用が進んでいる。だが実際は悩みが多い。エンジニアが不足している、既存システムを移行しただけでプロジェクトが終わってしまう、どのシステムを移行すべきか分からないなど、使いこなすには至っていない例が多い。NTTデータ クラウドエバンジェリストの本橋賢二氏はこう話す。

 「企業や組織がクラウドに期待するのは、コスト、拡張容易性、先端技術活用の3つです。しかし個別要件への対応、移行/運用性、セキュリティの3つが課題となりやすい側面があります。例えばリソース共有型のサービスは、コストを抑えられますが、標準化されたサービスのため、個別ニーズへの対応や、既存アーキテクチャの踏襲、信頼性の確保が難しい場合もあります。一方、リソース専有型のプライベートクラウドサービスは、既存システムの移行やセキュリティにメリットがある半面、拡張性に難がある、コストが高くなるなどのデメリットが生じる場合が少なくありません」

1種類のクラウドで全てのニーズをまかなうことはできない

 コスト削減の他、スピーディーなインフラ調達によりビジネスニーズに迅速に応える、機械学習やAI(人工知能)、コンテナなどの最新技術を活用するといったメリットへの期待も大きい。だが「個別要件への対応」が課題となり、自社に合わせて作り込んだ結果、コストがかさむなどせっかくのメリットが享受できない例も多い。

 それ以前に、どの既存システムをどう移行するか、クラウド特有の運用ノウハウをどう習得するかが課題となる。さらにセキュリティ対策では、従来の境界型セキュリティではなく、ゼロトラストなどクラウドに適したセキュリティモデルに転換していく必要もある。すなわち、認証やデータ保護、監査の在り方などを根本から見直す必要もあるのだ。

金融機関向けの知識とノウハウが注ぎ込まれたクラウドサービス

 本橋氏は「重要な選択肢になってきたのがハイブリッド/マルチクラウドです。業務やシステムの特性に応じて、複数のクラウド環境を使い分ける発想が必須になっています」と話す。

 「ビジネス目的やシステムの特性に応じて、インフラ(IaaS)、ミドルウェア(PaaS)、アプリケーション(SaaS)ごとに、リソース共有型/占有型を適材適所で使い分けていきます。例えば先端技術を活用して、スピーディーにアプリケーションを展開したい場合は共有型のクラウドを選ぶ。ビジネスニーズを満たすために個別対応を図り、強固なセキュリティも確保したい場合は、占有型のプライベートクラウドを選ぶといった具合です。さらに個別要件を満たしながら、コスト削減、移行、運用の容易さも求めるなら、同様の業務要件を持つ同業種の特定ユーザーだけでリソースを共有するコミュニティークラウドを選ぶ方法もあります」(本橋氏)

 こうした適材適所を実現するために、NTTデータが提供しているクラウドサービスが「OpenCanvas」だ。

 OpenCanvasは、全国ほぼ全ての金融機関が35年以上にわたって利用しているNTTデータのシステム「ANSER」の基盤と運用ノウハウをベースにしたクラウドサービスだ。最大の特徴は金融機関システムと直接接続できる基盤を持ち、金融機関で求められる厳格なセキュリティに沿った安心、安全なクラウド運用が可能になること。

 オープンな技術を活用することで、パートナー企業など社外とのデータ連携やAPI連携も容易に行える。すなわち、金融、保険、製造業などで強く求められているオープンイノベーションの活動にも“安心、安全に”取り組める基盤となっている。

OpenCanvasが提供するクラウド基盤で3つの課題にトータルで対応

 OpenCanvasは2017年に金融機関向けクラウドサービスとして提供を開始した。「残高照会」「振込依頼」「本人認証」「口座確認」といった金融機関の各種機能を共通API経由で利用できるため、サービス開始当初は、「FinTech企業とのコラボレーションによって、金融機関が新しい事業を創造、推進するための基盤」として採用が進んだ。その後、継続的に改善がなされ、現在は金融機関に限らず、自治体や一般企業が利用できる汎用(はんよう)的なプライベート/パブリッククラウド基盤へと進化している。

 基盤技術として、インフラ管理を担う「Red Hat OpenStack Platform」、コンテナ管理基盤の「Red Hat OpenShift Container Platform」、運用自動化を実現する「Red Hat Ansible Automation Platform」といったオープン技術を活用している。高い堅牢(けんろう)性と信頼性を持ちながら、オープン技術によるエコシステムを活用した多種多様な連携が可能だ。

OpenCanvasの全体像

 「OpenCanvasはIaaSからSaaS、パートナー企業のソリューション、NTTデータによるクラウドコンサルティングなど、サポートまで含めて提供するクラウドサービスです。例えば、PaaSとして提供される銀行APIを使って、企業の業務アプリケーション上で金融機関とのやりとりを自動化する、認証基盤を活用して外部パートナーと連携する、AIを使った新しいビジネスを立ち上げる、といったことができます。また、個別要件への対応時にはNTTデータのシステム構築、運用のノウハウを活用いただけます」(本橋氏)

 ビジネス目的やシステム特性に応じた「適材適所の使い分け」といっても、言葉で言うほど簡単ではない。その点、OpenCanvasは「自社の目的に応じた最適なインフラの形」を、NTTデータのコンサルティングによって導き出し、迅速に実現できるわけだ。

 特にIaaSとして提供されるクラウド基盤は、高度な信頼性とセキュリティ、運用保守サポート、業界ネットワーク接続などの知見とノウハウが盛り込まれた類を見ないサービスとなっている。

クラウド基盤としてのOpenCanvasの特長

 「OpenCanvasで提供するクラウド基盤は、コスト効率、スピード、柔軟性、拡張性といった一般的なクラウド基盤の特長と、金融機関や行政機関に求められる信頼性やセキュリティを併せ持っています。パブリッククラウドでは実現しにくい国内データセンターのみでのデータ保管保証、データ消去の保証、監査への対応、データセンターへの機器や回線の持ち込みなどが可能です。システム管理者に代わってオペレーションを実施することで、既存の運用ノウハウを変えずにクラウドを導入することも可能です。金融機関のネットワークだけではなく、自治体のLGWAN(総合行政ネットワーク)など、各業界ネットワークに安全に接続できます」(本橋氏)

 すなわち、コスト、スピードといったパブリッククラウドのメリットを享受しながら、一般的な企業や組織の悩みだった「個別要件への対応」「高度なセキュリティ」を実現する他、新たな価値創出に寄与する「業界ネットワーク接続」「金融機関向けAPI」など、独自の付加価値も提供できるのがOpenCanvasというわけだ。

ユーザーに寄り添い、ビジネスとシステムの変革を支援

 さまざまな組織で利用できるOpenCanvasだが、近年、特に引き合いの多い対象は官公庁などの行政機関だという。例えば、行政機関が金融機関に対して預貯金などの照会業務を電子化するサービス「pipitLINQ(ピピットリンク)」がある。

統一フォーマットを用いるpipitLINQを採用することで多種大量の書面を処理する必要がなくなった

 行政機関は税公金負担や生活保護給付の公正性確保のため、幅広い金融機関に対して預貯金状況の調査を実施している。だが、この際に用いられる調査依頼書は、行政機関ごとに異なる様式で、書面で郵送されるケースが大半だった。そのため、行政機関から照会依頼を受ける金融機関は、多種大量の書面を処理する必要があった。この処理基盤をOpenCanvas上に構築し、pipitLINQを実現した。

 「行政機関と金融機関の双方がpipitLINQに加入することで、加入機関間で電子データによる預貯金照会が可能になります。既に90団体以上の利用実績があり、書面を扱う人的負担や郵送によるコスト、回答までのタイムラグが大幅に軽減され、迅速かつ適正な業務の実現につながっています」(本橋氏)

 行政機関向けにセキュアにクラウドベースのAI-OCR(光学文字認識)を展開した事例もある。NTTデータは、大量の紙書類を高精度で仕分け、データ化し、業務効率化を支援するAI-OCRソリューションとして、AI insideの「DX Suite」を提供している。大量の紙を扱う行政機関などがこれを利用していたが、オンプレミス型で独自にAI-OCRシステムを構築する場合、数千万〜1億円という初期構築費用がかかることが課題だった。そこで、AI-OCRの専用機器を使いつつ、クラウドのメリットを享受できるようにAI-OCRシステムを構築し、行政専用のネットワークであるLGWAN経由でアクセスするサービス「NaNaTsu AI-OCR」の提供を開始した。このような柔軟な対応ができる点がOpenCanvasの特長なのだという。

 「NTTグループが提供しているRPAツール『WinActor』や『WinDirector』などと組み合わせることで、申請書類の入力から基幹システムでの受付処理まで、トータルな自動化が可能です。既に500団体の実績があり、2019年3月には横浜市と行ったRPAに関する共同実験で、平均84.9%の作業時間削減効果を確認しました」(本橋氏)

 OpenCanvasを活用した行政機関向けマルチクラウドインテグレーションサービスも提供している。「デジタルコミュニティープラットフォーム(DCPF)」と呼ばれるもので、公共機関のさまざまなインフラ環境に合わせ、検討段階からのコンサルティング、クラウドサービスの選定、運用、活用まで、最適なデジタル化の実現を支援する。

 「クラウドはビジネスを変革し、企業をあるべき姿に導いていくための有効な手段です。環境が激しく変化する中、ビジネスニーズは多岐にわたり、将来の予測もますます難しくなっています。一般的なパブリッククラウドだけでは実現できないニーズも増えています。そうしたニーズに対して、NTTデータは“かゆいところに手が届くサービス”を提供し、ユーザーに寄り添ってビジネスの変革を支援していきたいと考えています。OpenCanvasはその基盤となるものです」(本橋氏)

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提供:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2020年12月8日

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