ここにきて、オフィスに出社して仕事をする従来型の働き方に戻す企業が増えてきた。一方で、テレワークによる生産性の高い働き方を一度経験した従業員からは継続の要望も出ている。そして、それが可能な環境も十分に整っている。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のために政府から発出された緊急事態宣言を受けて、国内企業でも「テレワーク」が一気に普及した。それまでは「働き方改革」の一環として、あるいは育児や介護など、何らかの事情を抱えた従業員向けの例外的な施策という位置付けだったものが一気に広がり、“当たり前の働き方”となった。
だが、緊急事態宣言が解除され、徐々に経済活動が再開する中、以前のように9時から17時までオフィスに出社して働くスタイルに戻す企業が増えてきているという。
働き方改革が注目される前からテレワークに積極的に取り組み、生産性向上の効果を体感してきた日本マイクロソフト 業務執行役員 エバンジェリストの西脇資哲氏は、テレワークが定着せず、以前の働き方に戻ってきている現状はあまりにももったいなく、「残念」だという。
「テレワークができることは企業にとって非常に強い選択肢で、企業力、生産性を高める大変重要な施策です」
コロナ禍以前から、テレワークは主に働き方改革の一環として少しずつ広がってきた。西脇氏も「まず出社して働くだけではなく、在宅で、さらに育児や介護をしながら働くといった“働き方の多様化”を受け入れる必要があります。また、出社しなくても自宅で仕事ができるということは、雇用の確保という観点からも重要です」と話す。
その追い風になったのが、テクノロジーの進化だ。「インターネット、そしてクラウドといったテクノロジーの台頭によって生産性の向上が可能になり、『これだったら、どこで仕事をしてもいいだろう』という考え方が広がってきました。さらに、Windowsを搭載したデバイスもどんどん機動力が高くなり、もはや会社に置いておくものではなくなっています」(西脇氏)
コロナ禍という突発的な要因があったとはいえ、意外とスムーズにテレワークが導入された背景には、こうした緩やかな変化があった。しかも、日本マイクロソフトの調査によると、7割以上の回答者が「テレワークを継続したい」意向を示しているという。
それにもかかわらず、人々がオフィスに戻りつつあるのはなぜだろうか。その背景には日本企業特有の文化もあるが、テレワークの実現に当たってさまざまな不安がつきまとうことも一因だろう。「自宅では不安という方が大勢います。その要因を探ると、ネットワーク、デバイス、そしてコミュニケーションツールにあります」(西脇氏)
そこで日本マイクロソフトはパートナー企業と共に、ハードウェア、ソフトウェア、そしてクラウドサービスが一体となってさまざまな不安を解消し、テレワークを推進できる環境作りに取り組んでいる。
「今やWindows 10の上でMicrosoft ExcelやWord、PowerPointを使い、マウスとキーボードを用いて仕事をすることが当たり前になっています。つまり、最新の『モダンPC』というデバイスにWindows 10とMicrosoft Office 2019の組み合わせがあれば、どこにいてもほとんどの業務が可能な環境が整っているというわけです」(西脇氏)
若い世代には、スマートフォンや軽量のデバイスを駆使するユーザーも増えているが、西脇氏は「スマートフォンでメールやメッセージをやりとりしたり、SNSを使いこなしたり、あるいは論文を書いたりしても全く問題ありません」という。
問題は「仕事」をする場面だ。「会社で働くとなると話は違います。Web会議をしながら資料の画面を共有したり、複数のドキュメントを見比べ、他のウィンドウからコピー&ペーストしたり……そうしたさまざまな作業を高い生産性で行うためにPCはあります」と西脇氏は述べ、時と場合に応じてデバイスを選ぶべきとした。
今や「Microsoft Teams」(以下、Teams)などを用いたWeb会議も当たり前のように開催されるようになったが、そこでも2000年代からビデオ会議ツールを提供し、活用ノウハウを蓄積してきた結果である最新のモダンPCには一日の長があるという。
「モダンPCはカメラとマイクの性能が向上している上に、コミュニケーションツール側でもノイズキャンセリングや音量の自動調整、映像の画質を向上させる機能を備えています。Windows 10のハードウェアとソフトウェア、サービスが一体となって、うまくテレワークができるようになってきています」(西脇氏)
スリープモードへの移行や復帰が素早く行える快適性や、従来のイメージを覆すデザイン性の高さも相まって、「ただテレワークを実現するだけではなく、生活の中で快適に、生産性高くしっかりと業務が行えます」と西脇氏は強調した。
従業員の立場で感じるテレワークにまつわるデバイスやコミュニケーションの不安は払拭(ふっしょく)できたとして、IT管理者の立場からはどうだろうか。
テレワークの話になると必ずといっていいほど聞かれるのが「セキュリティは大丈夫ですか?」という質問だ。これも、「チップ、ハードウェアのデザインとWindowsが提供するソフトウェア機能、さらにクラウドサービスの組み合わせで、セキュリティ上の脅威に対抗する、Microsoftらしいアプローチを採っています。それが『Secured-Core PC』です」(西脇氏)という。
サイバー攻撃は年々巧妙化、複雑化の一途をたどっており、2019年春にはOSよりも下のレイヤーであるファームウェアやドライバの脆弱(ぜいじゃく)性を狙った「RobbinHood」のような攻撃が登場した。こうした新しい攻撃に対しても、TPM(Trusted Platform Module)2.0セキュリティチップに格納された証明書を起点として順に検証し、信頼の鎖を確立することで、クラウドサービスに至るまでエンドツーエンドのセキュリティを実現できるという。
また、そもそもWindows搭載PCは、コードの整合性を確立する「HVCI(Hypervisor-Protected Code Integrity)」や、悪意あるソフトウェアからカーネルを守る「カーネルデータ保護」「カーネルDMA保護」、プラットフォーム全体の整合性を確保する「Windows Defender System Guard」といったさまざまなセキュリティ機能を搭載しており、適切に設定することで、さまざまな攻撃からPCを守ることができる。Secured-Core PCでは、Microsoftがデザインした適切な設定パターンをあらかじめ組み込んでおくことで、高度な防御機能を手間をかけることなく利用できるようになっている。
もう一つ、IT管理者目線で気になるのは運用管理だ。従業員がテレワークに移行し、自宅で作業するのはいいが、そのサポートや運用を行うIT管理者は、問い合わせやトラブルに対応できない。何か問題が起きても、これまでオフィスにいたときのようにすぐには駆け付けることもできないため、課題となっていた。
「Windows 10と『Intel vProテクノロジー』を搭載したPCであれば、従業員だけではなく、管理者もリモートで作業できるようになります。インターネット越しにリモートでPCを起動したり、必要なパッチを適用したり、設定を配布したりといったさまざまな管理作業が可能になり、会社全体でテレワークを推進できます」(西脇氏)
これは、大量の端末を運用する大企業では運用コストの削減につながるのはもちろん、「一人情シス」状態で端末管理に取り組んでいる中小企業にも有効だ。特に、Windows 10で追加された「Windows Autopilot」を活用すれば、デバイスを配布し、必要なソフトウェアと設定を展開するまでの一連の作業をインターネット越しに行うことが可能で、管理の手間を大幅に削減できる。これも「最新のモダンPCならではの特徴」と西脇氏は述べた。
このようにハードウェアとソフトウェアが一体となることで、テレワークにまつわるデバイスの不安は払拭されようとしている。それをさらに後押しするのが、Microsoftが提供するさまざまなクラウドサービスだ。「当然のことながら、あらゆるクラウドサービスがただ動くだけではなく、心地よく、快適に、生産性が高くなるように開発されています」(西脇氏)
この取り組みを進めるべく、日本マイクロソフトは中堅・中小企業向けに「リモートワーク スターター プラン」を発表した。既にMicrosoft Office 2019を導入している企業が、Teamsや「Microsoft OneDrive」といったクラウドサービスを1ユーザー当たり月額399円(参考価格。販売価格は販売店および認定リセラーによって決定)で利用できる。
今後もMicrosoftではクラウドサービスの機能強化を進めていく方針だ。字幕や翻訳、議事録作成といったTeamsの機能強化が予定されている他、さまざまなワークフローの自動化など、続々と強化されていくという。
「Microsoftは今後も、ハードウェアとソフトウェア、クラウドを組み合わせ、シンプルでありながら高機能なテレワークプラットフォームを推進していきます。やはり、元の働き方に戻ってしまうのはもったいない話です。こうした取り組みを通して、テレワークは非常に生産性が高く、有効な選択肢であることを再認識していただきたいと思います」(西脇氏)
既にプライベートの世界では、オフラインで顔を合わせなくても、ソーシャルメディアやスマートフォンを活用して密なコミュニケーションが取れる時代になっている。
「そんな時代の中で、仕事だけ置き去りになるのはあまり良いことではありません。そのことに気が付いて、新しいやり方で生産性を上げなくてはいけない、従業員の信頼関係やチームワークを高めなくてはいけない――今はその瀬戸際に来ているのではないでしょうか」(西脇氏)
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