企業がビジネス成長を図る上でもはや不可欠となったクラウド活用。だがノウハウや人材などに制約がある中では、マネージドサービスプロバイダー(MSP)の支援を受けることが活用のカギとなる。では真に成果を得るためにはどのようなMSPを選べばよいのだろうか。
ビジネスのデジタル化が加速する中、スピーディーかつ柔軟なビジネス展開を支えるクラウドは単に「使う」だけではなく、「使いこなし」が求められるステージに入った。だが、企業にとって本業は「クラウドを使うこと」ではなく、「ビジネスを伸ばすこと」だ。ではノウハウや人材、予算など制約がある中で、クラウドをどう活用していけばよいのか。
そうした中、あらためて注目されているのが、クラウドを対象にしたマネージドサービスプロバイダー(MSP)だ。オンプレミスの運用保守などの領域ではMSPが広く利用されており、現在ではクラウドの領域でも多数のパートナーが登場している。特に認知度が高いのはAWS(Amazon Web Services)の「AWSマネージドサービスプロバイダー(AWS MSP)パートナー」だろう。
だが、「AWS MSPパートナー」の場合、一般的な意味でのMSPとは意義も役割も大きく異なることはご存じだろうか。一般にMSPというと「運用の外注先」「運用負荷やコストの低減手段」といった意味合いが強い。もちろんクラウドのMSPにも同様の効果は期待できるが、今求められているのは「ビジネスに貢献するクラウド活用」だ。
その点、「AWS MSPプログラム」は単なる外部委託ではなく顧客企業と共に、目的に最適なシステムを設計、構築、運用、改善し、「顧客企業のビジネスをサポートする」ことを明確に定義付けている。故にパートナー認定のハードルは非常に高く、2020年11月現在、第三者監査機関による要件審査をクリアした「AWS MSPパートナー」は、国内で15社のみとなっている。
AWSが日本リージョンを開設した2012年からAWSビジネスを展開し、「AWS MSPパートナー」として多数の企業を支援しているスカイアーチネットワークス専務取締役の高橋玄太氏は、クラウドを巡る企業の状況をこう話す。
「コロナ禍でデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性が広く認識される中、あらゆる業種業態の企業がクラウド活用を本格化させています。ただ、クラウドをうまく活用できずにいる企業も増えています。クラウド活用にはベストプラクティスがあり、特定の手順に沿って取り組みを進めることでスムーズに効果を得られるのですが、そのことはまだ十分に理解されていないのです。当社はそうしたノウハウを各社に最適な形で適用することで、顧客企業のビジネス成長を支援しています」(高橋玄太氏)
特に注目されるのは2020年7月、同社が「AWS MSPプログラム」の最新版「バージョン4.1」を対象とする日本で初めて認定されたパートナーとなったことだろう。これは既存パートナーの中でも特に優れた「クラウドインフラストラクチャおよびアプリケーション移行のスキル」を備え、「顧客企業のインフラのプロアクティブなモニタリング、オートメーション、管理を行う能力と顧客実績」を持つ企業だけが選定されるものだ。クラウドによって「顧客企業のビジネス成長をサポートする」能力の高さの証しともいえる。
営業本部 アカウントセールス部 部長 松田昭穂氏は「バージョン4.1の認定を受ける前から、“スカイアーチネットワークスならではの付加価値”は一貫しています」と強調する
「当社のスローガンは『あなたの側で、あなた以上に考える』です。『AWS MSPプログラム』に沿いつつ、顧客に寄り添ってマネージドサービスを提供することで、常に顧客のビジネスを最大化することを目指してきました。顧客企業のDXを実現できるよう、クラウド活用プロジェクトを“請け負う”のではなく、“伴走”しているのです」(松田氏)
では、徹底的に顧客に寄り添うスタンスを持つ同社の場合、クラウド活用における企業の課題をどのように見ているのか。
まず課題になりがちなのは「計画や設計段階で、クラウド活用のノウハウが不足する」ことだという。クラウドの利用自体は、テスト運用などで多くの企業が経験している。だが「業務や社外向けサービスで利用している本番システム」をクラウド移行しようとすると途端に壁にぶつかることになる。サービス企画室 室長の高橋勝氏はこう話す。
「システムが本当にクラウドで動くのか、判断できないケースがよくあります。そのまま移行できるのか、設計を変えるべきなのかが分からない。失敗すれば損失が大きいだけに、計画や設計のノウハウ、人材が不可欠です」(高橋勝氏)
構築や移行の際も課題にぶつかる。既存の設計のままクラウドに移行するアプローチの一つに「リフト&シフト」がある。だが移行しただけではむしろ運用コストが高くなるだけの場合もある。サービス企画室 安藤祐輝氏はこう話す。
「既存システムをクラウドに移行してメリットを引き出すためには、アプリケーションのアーキテクチャや運用基盤の見直しも必要になります。それらを見越してシステムを設計した上で、構築や移行を進めることが重要です」(安藤氏)
移行後は新システムやサービスを実行し、運用を回すことになる。ここで課題になるのが、バージョンアップやメンテナンスなどの運用保守だ。オンプレミスとのハイブリッドで運用するケースが多く、それぞれの運用が必要になる。
「クラウドは基盤や機能のバージョンアップが頻繁にあるため、それに追従するだけでも運用者の負担になります。従量課金のため、コスト計算などこれまでにないノウハウを習得することも必要です」(高橋勝氏)
そしてビジネス価値を生み出す上で大きなポイントになるのが「最適化」だ。「システムを移行して終わり、バージョンアップして終わり、ではなく、経営環境やビジネスニーズに合わせてシステムを継続的に最適化し続けなければ、変革の実現は難しいのです」(安藤氏)
同社のマネージドサービスが提供するのは、こうした「計画と設計(Plan&Design)」から「構築と移行(Build&Migrate)」「実行と運用(Run&Operate)」「最適化(Optimize)」までの一連のライフサイクルを実行する支援だ。
「一般にMSPと呼ばれるサービスの中には、クラウドの状態監視にとどまっているものも少なくありません。4分野全てを提供できることが当社の大きな特徴です。バージョン4.1の監査でも、認定要件を定めた約90項目のバリデーションチェックリストの全てを満たし、満点を獲得するという高い評価を得ました」(高橋勝氏)
特にクラウド活用で大きな課題となりやすい「コスト最適化」や「クラウドのメリット享受」については、前述のようにAWSのベストプラクティスに沿った設計、移行、構築を提案している。具体的にはAWSのWell-Architectedフレームワークを参考にしている。
同社の強みは顧客ニーズに合わせて、これらを柔軟に組み合わせて実施する点にある。ベストプラクティス自体は多数の活用実績を基に整理したものだが、これを「各社各様の目的に合わせてどう適用、実施するか」がMSPの腕の見せ所となるわけだ。
加えて同社の場合、Web系ではない一般的な日本企業の悩みに寄り添い、解決してきた実績とノウハウがある。バージョン4.1の監査においても、「システム障害時に迅速な復旧を実現するノウハウを持つ」「サーバインフラの導入設計や構築から24時間365日の監視保守サービスまでを一貫して提供できる」「各プロジェクトや業務システムにおける品質管理基準や企業品質を維持するための、優れた専門知識を保有する」など、一般企業が特に懸念するポイントを押さえていることが高く評価されたという。
無論、企業がMSPを選ぶ際には、他にも見るべきポイントがある。例えばMSPの経営状態やSLA(Service Level Agreement)などだ。事業基盤に関わるサービスである以上、「会社としての信頼性」もMSP選定の大前提となるわけだ。
その点、「AWS MSPパートナー」はMSPとしての事業の存続性や財務の健全性、後進の育成などの項目について、多岐にわたる厳しい監査を定期的に受けている。
「ソリューション設計能力をはじめ、顧客第一主義、SLAの最適化などについて、厳密な監査を受けています。特にバージョン4.1では、4.0から要件レベルが引き上げられたため、社内にCCoE(クラウド推進組織)を新設しました。当社にはAWS認定ソリューションアーキテクトなどのAWS専任エンジニアが数十人、最高難易度の有資格者も17人在籍しています。さらに彼らを含む全従業員の10%がCCoEに対応する組織体制を築いています。資格取得だけではなく、具体的な高品質のソリューション構築やベストプラクティスの実装、ワークロード状態の確認を担当し、お客さまの要望に応じて、改善を支援するための専門的な知識を備えたWell-Architected Leadの称号を持つエンジニアも現在8人所属しています」(同社)
企業はMSPを活用することで、各種課題を共に解決し、クラウド活用の成熟度を高めていくことになる。それ故に、単なる“発注者と受注者を超えた信頼関係”が求められる。「AWS MSPパートナー」であるか否かは、そうした信頼性を見極める手掛かりとなるわけだ。ただし、その上で重要なのは、やはり「どこまで痛みを共有し、どこまで寄り添えるか」といった部分だろう。
特にメガクラウドベンダーの進化は速く、企業が独力でサービスを使いこなすことは難しくなりつつある。ましてや「クラウドを使うこと」が目的ではない以上、ビジネスに集中できることが肝要となる。高橋玄太氏はそうしたクラウド活用の前提を振り返り、あらためて強調する。
「計画と設計、構築と移行、実行と運用はもちろん、ビジネス成長ひいてはDXの実現を目指して、システムを継続的に『最適化』できるエンジニアがそろっていることが当社の強みです。クラウドはあくまでツール。それを使ってビジネスをどう加速させるかが重要です。『あなたの側で、あなた以上に考える』というスローガンの下、共に走るパートナーとして、今後もより良いサービスを提供していく考えです」(高橋玄太氏)
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