日本で、日本のために――ファーウェイ・ジャパン代表に聞く、“貢献”のかたち通信を守るものとしての使命とは

約15年間通信インフラ事業などを手掛けているファーウェイ・ジャパン。代表の陳浩氏に、通信インフラを、日本自体をどう捉えているのかインタビューした。

» 2021年04月20日 10時00分 公開
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 コロナ禍に伴い、ビジネスにおいてICTがより一層注目されている。ICTを支えるのは“ネットワーク”であり、通信経路が重要な要素となる。同様に、テレワークやデジタルトランスフォーメーション(DX)においても、ネットワークがなくてはならない。ネットワークというインフラが、さらに重要視されている。

 2021年4月14〜16日に幕張メッセで開催された「Interop Tokyo 2021」において、日本のICTやネットワークにおけるさまざまなプレイヤーが集結した。各社が特色あるソリューションを紹介する中で、企業そのものがどのように現状を考えているのかを把握することも重要だ。今回は華為技術日本(ファーウェイ・ジャパン)の代表に、通信インフラを、そして“日本”自体をどう捉えているのかを聞いた。

華為技術日本 代表取締役社長 陳浩(ジェームス・チェン)氏(Interop Tokyo 2021のファーウェイ・ジャパンのブース前で撮影)。日本の印象について「大きな都市も小さな街もきれいに整っており、食べものも懐石料理から居酒屋まで、雰囲気がとっても好きだ」と述べる。来日する前から好きだったものは宮崎駿作品、「東京ラブストーリー」「クレヨンしんちゃん」「SLAM DUNK」とする知日家

――ファーウェイが2020年度の年次報告書を発表しました。増収増益となった主な要因は何なのでしょうか?

チェン氏 2020年を振り返ると、ファーウェイにとって挑戦的な1年だったと思います。外部の影響はありましたが、それでも結果を残せたのは、パートナーの皆さまの協力とファーウェイ従業員の力があったからです。

 特に、3つの要因があったと思います。

 1点目は、業界全体の話です。DXが加速し、これがトレンドとなって各業界でICTに対するニーズが高まっています。優れたベンダー、優れたソリューションプロバイダーが求められています。

 2点目は、ファーウェイの30年以上の歴史です。これまでお客さま、そしてパートナーと築いてきた信頼関係が大きいでしょう。外部の影響がありましたが、多くのお客さまが引き続きファーウェイを信頼してくださり、支援していただいています。特に日本のお客さま、パートナーにはこの場を借りて感謝の言葉を述べたいと思います。ありがとうございます。

 3点目は、従業員の努力です。弊社は供給を多元化し、一社供給、一国供給にはならないような戦略を採っています。多様化、分散化される中で供給体制を維持する。従業員たちの努力があり、このような実績につながったのではないかと考えています。

――日本において、ファーウェイのビジネス状況はいかがでしょうか?

チェン氏 日本での事業は、2005年にファーウェイ・ジャパンを設立したので、15年以上の歴史があります。日本にはセールス、サービス、ソリューション提供部門だけではなく、R&D部門を設立し、千葉県船橋市には製造プロセス研究ラボも設置しました。日本はわれわれにとって戦略的にも重要なエリアであり、サプライチェーンの観点でも極めて重要な拠点です。

 この15年を振り返ると、通信キャリア向け事業だけではなく、法人事業の支えもあり、安定して成長できたと思います。ここ2年間は外部の影響による課題も否めませんが、それも成長や原動力につながります。その上で、事業の成果をしっかりと残したいと考えています。

――直近では、コロナ禍による影響もあったのではないでしょうか。

チェン氏 もちろん、影響はありました。分かりやすいところでいえば、ビジネスにおけるエンゲージメントのやり方です。これまでならば直接お会いしてお話しすることが当たり前でしたが、今ではオンライン化されています。会議室にディスプレイを置き、画面越しで打ち合わせをするのが当たり前になりました。弊社でもオンライン会議のツールを活用してビジネスを行っています。

 また、Interopのようなイベントもオンラインで行われるようになりました。リモートワークや通信のニーズが高まることは、言い方を変えればICT産業へのニーズが高まることにつながります。通信トラフィックの増大にどう対応するかを考えねばなりません。

モバイルコンピューティング部門:審査員特別賞を受賞した、テレワーク向けWi-Fiゲートウェイ「OptiXstar B850G」(左下の黒く四角い端末)と「OptiXstar K562」(右下の白くて円筒型の端末)。それぞれオフィス(SME)用と自宅用のゲートウェイ製品である。写真上部のディスプレイには、ボトルネックがどこにあるかを診断できる「リモートセグメントスピードテスト」技術について詳細が示されている。「高速なのはもちろん、多岐にわたる機能が詰め込まれていますが、受賞のポイントはファーウェイの独自技術でした」(チェン氏)

 ICTは交易、貿易の中でも大きな成果を挙げています。例えば「教育」分野では、タブレットやデジタルホワイトボード、そして生徒には通信端末を用意しなければなりません。必然的に、ネットワーク帯域も十分なものが必要になります。

 「医療」でも同様にICTが活用されています。新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっていた頃、中国・武漢には火神山医院が10日間で作られました。ファーウェイはこの医院において、数日間で5G通信環境を敷設することで協力しています。例えば、CTスキャンの映像を医師がチェックするとき、現地にいる医師だけでは手が足りません。5Gのネットワークを活用することで、外部にいる医師とコラボレーションして診察できるようになりました。

 こういった活用方法もあり、コロナ禍において、ICTが極めて重要なものと認識されてきたのではないでしょうか。

サーバー&ストレージ部門:グランプリを受賞した「OceanStor Pacific 9950」。「Ocean、Pacificという名前の通りの大容量ストレージです。各種ストレージプロトコルによるデータ利用をサポートし、かつNVMeとRoCEv2サポートによる高速データ転送を可能としています。大量データ解析といった分野に求められるニーズを満たしたストレージ製品であると認められました」(チェン氏)

――今回のInteropで、ファーウェイは新しい製品を展示していますね。

チェン氏 Interopは、日本のICT業界にとって影響力のあるイベントだと思います。ファーウェイは9年連続で参加しており、Interopに全力で取り組んでいます。

 もちろん今年も、日本に最適な製品を紹介するよう取り組んでいます。2021年はデジタルパワー、法人向けストレージ、データ通信、無線Wi-Fiといったテーマで展示しました。そのうち、優れた新製品を審査する「Best of Show Award」において、グランプリ1件、準グランプリ2件、審査員特別賞3件、また「Best of ShowNet Award」の特別賞1件を獲得しました。

――特に、蓄電池とエネルギー関連のソリューションを展示したのが、今年の特徴でしょうか。

チェン氏 われわれはそれらを「デジタルパワー」と呼んで、これまでも力を入れて開発してきました。日本においても数年前から展開しています。例えば太陽光発電のパワーコンディショナー(パワコン)やデータセンター向けの電源などです。それらは変換効率が極めて高く、省エネへの貢献が特徴です。

 日本は環境保護を特に重視する地域です。これら先進的な技術を提供することで、2050年に向けたカーボンニュートラルの取り組みに貢献したいと思います。

クラウドコンピューティング(インフラ)部門:審査員特別賞を受賞した無停電電源装置(UPS)用バッテリーエネルギーストレージシステム「SmartLi」のミニチュア版。実物はShowNetでも活用されていた。「UPSは長年にわたって大きな進化のなかったデータセンター設備でしたが、複数のセンサーデータを駆使してデジタル化しました。リモート保守や人工知能の活用が可能になった点が評価されたようです」(チェン氏)

――ファーウェイは日本の各業界の顧客にどのようなサポートをし、どのような価値をもたらすことができるのでしょうか。

チェン氏 ファーウェイはICTのソリューションを提供するプロバイダーです。競争力のあるソリューション、高いサービス品質を提供し続けていかねばなりません。その上で一番うれしいことは、ファーウェイのソリューションを採用したことで、お客さまのその先にいるエンドユーザーの皆さまに優れた体験を提供できたと評価されたときです。

 もはや通信は、空気のような存在になりました。どこにでもあり、意識することはないかもしれません。しかし、有事の際にはその品質が判断されるわけです。例えば10年前、2011年3月11日に東日本大震災が発生しました。その発生直後、ファーウェイ・ジャパンのエンジニアは通信事業者のパートナーとして、現地の通信を復旧させるべく尽くしました。

 このような災害が起きたとき、通信は極めて重要なインフラです。災害の状況確認や復旧作業の指揮、家族の安否確認で通信路が必要となります。ファーウェイ・ジャパンはお客さまとともに、48時間以内で300を超える基地局を復旧し、その後2週間で約600局以上を復旧しました。

 このときは、ファーウェイ本社のエンジニアに大きく助けられました。現地はどのような状況なのか分からないので、エンジニア自身、その家族の同意がなければ派遣できません。しかし、全ての家族からサポートを得ることができました。会社としても非常に勇気付けられたことを覚えています。

 また、震災直後、ファーウェイ本社のCFO(最高財務責任者)を務める孟晩舟も香港から日本に直行して、視察に向かいました。香港から日本への航空便の乗客は、わずか2人しかいなかったそうです。当時はおそらく、多くの方が少しでも遠くに逃げようと考えていた頃でしたが、ファーウェイとしては現地近くに行きたかった。なぜなら、われわれは通信を守るものとしての使命があるからです。こういったことも、われわれが提供できる価値なのではないかと思います。

「今年のInteropはコロナ禍ということで、例年ですと、Interop全体で1日当たり5万人の来場がありますが、今年は初日でその4分の1の約1万2000人と聞いています。弊社のブースにはその10%ぐらいの方に来場いただきました。東京以外の地方のお客さまが来場できなかったこともあり、弊社としてはInterop開催終了後に、同じ展示内容の展示会をします。大阪、京都、名古屋、福岡などを回る、いわばインターロップロードショーですね」(チェン氏)

――社長ご自身についても伺います。日本で仕事をするようになって、日本とそれ以外の国の違いはどんなところがあると思いましたか?

チェン氏 私は2000年に中国の浙江大学を卒業し、その後ファーウェイに入社しました。最初の4年は中国で、その後北欧、ボーダーフォンのグローバル業務、および中央アジア地域の総裁、北ヨーロッパ地域の常務副総裁として、15年間ヨーロッパで勤務、ヨーロッパ圏お客様のDXをサポートする業務に尽力しました。2019年末に日本に赴任しています。

 ヨーロッパと日本では、サービス品質、ものの品質を重視することは共通していると思っています。違いは意志決定の時間が挙げられるかもしれません。ヨーロッパでは、結果が見えれば決定は非常に早い。一方、日本では意志決定の時間がかかるとよくいわれますが、それは無駄な時間ではなく“信頼関係を築く”ためのものだと思います。一度信頼関係が築ければ、それは長く続きます。

――最後に、日本の顧客に伝えたいメッセージをお願いします。

チェン氏 私たちは今後も日本のマーケットに根ざして、お客さま、パートナーに対して、競争力のあるサービスや製品を提供していきます。

 コロナ禍による影響やDXなどにより、新たな技術へのニーズは日々高まっています。テレワークや遠隔による教育、医療もそうですね。その中で引き続き、ベストプラクティスを日本市場に提供し続けます。

 そして、企業の使命としてのCSR活動は引き続き取り組んでいきます。例えば、次世代を担うリーダーを育てるためのプログラム「HUAWEI Seeds for the Future」やICT学院などです。

 われわれのモットーは「日本で、日本のために」です。今後も引き続き、日本社会に貢献していければと思います。

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提供:華為技術日本株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2021年4月29日

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